山形県

2008年 9月21日記

 以下は、山形県と呼ばれるエリアの案内である。

 その駐車場から少し下った道端の駐車場に車を置き、ボルダーエリアに向かう。今回のエリアは山形県エリアと言う所らしい。今回初めての所である。日本一美しい初段と日本で二番目に美しい初段がある所らしい。

 5分も登らない所にボルダーが現れる。そこから上には幾つものボルダーが見える。この時期、下草が全部無くなるので、ボルダーが良く見える。これがもう少し季節が進むと下草でボルダーが見えなくなってしまうから、今迄気がつかなかったというか、今迄開拓をしなかったエリアらしい。今回はこのエリアの開拓が目的のようだ。

 そのボルダーの前に荷物を置き、付近のボルダーを見に行く。確かに幾つも適当な大きさのボルダーが存在するようだ。

 荷物の所まで戻って、その岩の林道面のスラブでアップする事にする。一番左が一番やさしいらしい。まずはそれでアップする。続いて右側のくの字状に登る課題を登って見る。最初が出難い。教わったのとは少し違うスタンスとムーブでスタートする。そして、途中の膨らみにマントル気味に乗り込む所で巧くゆかず途中までクライムダウンして飛びお降りる。やっぱりスラブは恐い。何しろホールドに信頼が置けないものが多い。おまけにスタンスも心許ないのが多いし。

 その課題の右のカンテを廻り込んだ所に一寸した壁がある。カチを使ってスタートしてリップを取れば終わる課題である。最初はスタートのホールドがちょっと持てないかと思ったが、仲間のもう少し上が効くとのアドバイスを受けて少し背伸び気味にその教わった場所を持ったら身体が上がった。あとは伸びればリップが取れる。上に抜ける。

 仲間が昨日登ったと言う日本一美しい初段の存在する岩を見学する。林道側の薄被りの面の真ん中にシンクラックが一本走っている。扇型に近い奇麗な形をした岩だ。その左の面がやはり薄被りで、一見何にも無いのっぺりした壁なのだが、良く見ると、ポケットとかフレークが張り付いた感じの所が僅かにある。それを繋いで登るのが初段らしい。確かに奇麗な課題だ。

 その岩の上には2本のハンドクラックが走る岩がある。その岩の右側の面はポケットがあちこちにあるスラブ状の壁になっている。そこを磨けば10級か9級の課題が出来るかもしれないと、ブラシで磨き始める。

 丁度顔の前当りにポケットがあるから、先ずは、それに良さそうな適当なスタンスを磨き出す。下地が少し傾斜しているから、出だしがなんとなくいやらしい。もう少し適当なスタンスを探す。適当な小さなポケットが2つほど見つかる。

 一歩岩に立てば、あとは適当な少し大きなポケットが適当に散らばっている。磨きながら上に登る。

 この大きなポケットだが、意外とリップが無いと言うか、浅いと言うか、持ち難かったりする。或はサイドにしっかり持てたりするが、ガバガバガバとはいかない。左手甘いポケットの上の縁をピンチで持って足を上げて右のサイドに効くポケットを持つ。そのポケットで次の左足を上げる。すると一寸した外傾した棚が持てると下からは見えたのだが、その外傾したバンドと言うか棚と言うかが悪い。僅かなリスがあるから持てる事は持てるが、想像していたより悪い。

 その棚からはリップまでは一手である。足を上げてリップを見るとノペッとしていて、ホールドになりそうな物はない。わぁ、最後が悪い。10級や9級にはならないかも。

 膝をガクガク言わせながら、リップの苔を落とす。しかし良さそうなホールドは出て来ない。だめだこりゃ。少しクライムダウンするが、少し高いスタンスに乗り込んだ所がホールドが悪いから降りられない。仕方が無いからそこから傾斜の上の方の地面目掛けて斜めに飛び降りる。

 着地時に、地面が少し斜めだから足首に少し圧力を感じる。別にたいしたことはないが、ちょっと心配する。なにしろ、歳を取ると極端に足首が硬くなるようだから。静的には曲がるのだが、動的な曲りに付いて行けない感じになるのだ。

 上に廻ってリップを磨いて見る。しかし、本当のマントルをする辺りは恐くて近付けないからあまり磨けない。仕方が無いからまた少し下から足を探って登って見る。

 少し斜めにトラバースしたい時のスタンスが登りながらだと巧く磨けない。その辺に足があればと思うのだが、傾斜はそんなに無いから、スメアが出来ればと思うのだが、苔が付いているから足が置けない。仕方が無いからリップを精一杯手を伸ばして磨いて見る。すると左の方にポケットを発見する。よし、これでマントルできる。

 しかし、左の方のポケットで足は相変わらず左に出せないからマントルが出来ない。ポケットを持ち変えたり、リップのもっと奥を探ったり何とか抜けようともがくが、段々膝が笑い出して来る。仕方が無い。再び飛び降りる。今回はマットを敷いたからマットに降りる。

 良く見ると、リップのもっと左の方に大きなポケットがある。苔が有っても十分に乗れるポケットである。あれを使おう。

 またまた登りだす。リップの一本指のポケットからずっと足を左に開いて大きなポケットに乗ってマントルをする。そして、上に登って降りるための道を作る。ついでにまっすぐ登るラインのリップの分厚い苔を剥がす。すると、リップの少し奥にカチが2ヶ所出現する。これを使えば足を左に大きく開かなくても登れそうだ。

 仲間の一人がカンテ付近のリップを磨き始める。その下に大きなポケットが有って、それをサイドに使えばリップが取れるかも知れない。結構面白そうな課題が出来るかもしれない。果たして、リップにおあつらえ向きのポケットが二つ出現する。

 そこを登って見ないかと言ってもらったので、登って見る。右手で大きなポケットガバを持って、サイドに引きながら足を上げて左手をリップまで伸ばす。少し遠いから右手を引付けて一生懸命左手を伸ばす。リップの一寸した皺を中継して、やっとポケットを捕らえる。それを取ってしまえばあとは簡単なマントルである。2手か3手だが結構面白い。

 日本一美しい初段の岩に行って見る。

 下から仲間の知り会いらしい人達の一団が登って来る。この上の岩塔を登る予定らしい。さっき駐車場で支度をしていた人達のようだ。で、少しお話しをしている。その時、そのうちの一人が去年やはりこのボルダーの前を通った時に目を着けていたラインが有るというと、仲間がそれは昨日登ったと言う。あれが登れたのかとかなんとか話しをしていると、どうもその人の言うラインと仲間の登ったラインは違うらしい事が解る。それで実際に壁の前に行って話すとやはり、その人のラインは右の方の途中にポケットがポコンとあるラインであった。出来れば8はあるのではと睨んでいたとか。

 その人達は上に登って行く。もう独り山梨の人がやって来る。御岳や小川山で良く会う人だ。山梨だからここは何回か来ているのかと思ったら初めてだったらしい。下の方の岩で大分登って来たらしい。

 その人と、仲間がさっきのポケットの課題の下に横たわる太い倒木を少し動かす。でないと、ポケットから次のポケットに飛んだ時にもろに倒木に落ちてしまうからだ。

 山梨の人と仲間二人はその岩のクラックの初段やカンテの課題等をやるらしい。小生は荷物を置いた場所に戻る。

 その岩の林道を向いて左隣にも少し大きな岩がある。その岩のこっち側のカンテとダイクを使って登る課題が3級位らしい。行って触って見る。

 右手のカンテはそこそこ持てそうだ。左手のダイクがスローパーチックで少し持ち難い。少しホールドを探るとダイクの最初の所よりも少し上が持ち易い事がわかる。足を少し高めのカンテに求めて離陸する。しかし次の手が出ない。降りてカンテのホールドを試す。

 カンテも最初の所から少し上を持てばそのまま次のリップが取れそうだ。再び離陸する。右手で次のリップが取れる。足を上げて、左手を出そうとするが、バランスが悪く左手が出ない。右足をもう少し上げて、左足をダイクにヒールフックすると身体が安定し左手が出る。そこはもうガバだからあとは心配はない。

 リップに立ったが、その上にもまだ岩は続いている。しかし、その上はなんか登に登るのはいやらしい。岩も磨かれていないようだ。荷物を置いた所にいた仲間にその後はどうするか聞くと、そこまで登らずに、そのまま壁をトラバースして降りたと言う。リップに立たなくても良かったようだ。そのまま壁をトラバースしながら地面に降りる。

 荷物の所まで戻って、食事をする。といっても、実は昼食用のパンを買うのを忘れてしまい、昼食は茹卵一つしか無かったのだが。

 さっきやって出来なかったスラブの課題に再度挑戦する。さっきは途中の膨らみにマントルできなかったのだが、下から見て、スタンスを発見していたので、今回をそのスタンスに乗って見る。すると、苦労せずにふくらみの上に立つ事が出来た。後は右斜め上に行って、リップのガバポケットを繋いで上に抜ける。

 昨日も御岳で遊んでしまったので、今日はもう既に疲れているし、明日もあるからと、日本一美しい初段の岩に行って、仲間の登りを見学する。

 仲間は左のカンテの課題に挑戦している。丁度逆三角形の面を持つカンテである。被ってはいないが、両方のカンテが直角より大きく、持つには厳しいカンテを両手両足で挟んで上のリップを取りに行くと言う課題である。先ず出だしが核心の様だ。スタンスもホールドも無いという感じである。それで出て甘いリップを取ってから奥のホールドを取ってマントルすれば終わりらしいが、そのマントルも悪いようだ。

 別の仲間が苔苔の岩を磨いて、ダイクを使う課題に挑戦している。ダイクからリップが遠く、大分苦労している。結局その日は成功はしなかった。

 昨日仲間が挑戦していたダイクが走る岩に行く。

 この岩はそんなに高くはないが、真ん中辺にクラックが走り、その左側の壁の真ん中に斜めにダイクが走っている。ダイクから上はホールドらしい物はない。仲間が挑戦していたのはそのダイクの真ん中辺を直上する課題である。

 なかなか登れないからと、別の仲間が先に登ってしまう。それではと、続いて小生も挑戦する。2回目か3回目にやっとリーチでリップを取って登る。最初に挑戦していた仲間も登る。

 クラックの右の壁も磨いて登る。その右も磨く。一番左も磨く。ここにも4本か5本の課題が出来る。さっきの岩に続いて、この岩も一応全課題を登る。難しくないからだが。

 上では昨日の甲府の仲間が昨日の課題に打ち込んである。別の、仲間と一緒の天場にいた人達はその上のクラックの課題をやっているようだ。なんだかんだ、道から見えるからか、結構人が来るようだ。

 昨日小生が磨いて登った壁のある岩に行く。クラックが2本ある岩である。

 その右のクラックの右側の壁が登れるらしい。因みに1級とか。仲間が二人登ったので、小生も真似をして見る。

 スタートは小生の苦手な浅い2本指ポケットである。離陸すら出来ない。2〜3回やって見る。やっと身体が上がった。しかし、身体が一瞬浮いた程度で、すぐに落ちる。すぐに諦める。

 例の日本で一番美しい初段の課題が二つある石の前に荷物を置き、それぞれがアップを始める。小生は、それらの仲間の写真を撮ろうと、デジカメを用意して、適当に移動する。

 相変わらず仲間の一人はアップが早い。既に何本かの課題を登ったようだ。

 今回の仲間の一人はこのエリアは初めてである。というか、この仲間と一緒にボルダリングに行くのは初めての仲間である。あとの3人はこのエリアの開拓者を始め、何時もの仲間である。

 小生と仲間一人とで、上に向かってずっと右の方にある一寸したクラックのある石に行く。ここにはダイクを使う一手ものの課題がある。

 何だか今日は石が湿っているようだ。前回ほど快適では無さそうだ。そういえば今日の朝は結構靄が濃かったし、気汁らしいものもしきりと降っている。

 小生が前回デッド気味に行ったと話したので、仲間はその課題をスタティックに行こうとするがなかなか出来ない。飛べば簡単なのだが。

 シャツの後ろ首の所に虫が入り込んだので、出そうと手を入れて少し動かしたら、左手中指の先を刺されてしまった。さっきから五月蠅く付きまとっていた蜜蜂だろうか。結構痛い。指の爪の生え際だからなお痛い。家を出る前に右手の人差し指の先の皮が切れて、少し剥がしてしまったので少し登る気が失せていた所にこれだから、益々登る気がしなくなってしまう。

 少し我慢をしていたら痛みが少し収まったので、アップの積もりでその右のクラックを登る。今回は少しはジャミングで登ったような気になったが、でもやっぱり実際はレイバックが入る。なかなかジャミングは難しい。

 他の仲間も集まって来る。

 続いて小生も仲間のやっている課題をやって見たがなかなか出来ない。お師匠さんはリップ下の僅かなカチでスタティックに登る。小生真似して見たが出来なかった。

 何だかんだその課題やその隣のクラックやスラブの課題で皆で少し遊ぶ。

 仲間は上の方にあるクラックが二本ある石に行く。

 小生は仲間が上に行く前に登っていた、そして前回登った、荷物を置いた岩の右少し下の方にある石のカンテを使って登る課題を独りでやって見る。

 前回は比較的簡単に出たはずのスタートがなかなか出来ない。どうやったのか全く忘れている。ホールドのフリクションが落ちていた事もあるのかも知れないが。

 やっと思い切って離陸して上のリップのガバを取り、仲間がガサゴソと登って行った、小生は前回は横に逃げたので登っていない、苔苔の所を登って上に抜ける。

 小生の後に仲間の一人が挑戦していたが、なかなか登れないようだった。

 仲間の一人が上の石のクラックを二本登る。さすが元アルパインクライマーである。その右のポケットから飛ぶ課題も登る。

 小生とここが初めての仲間は、その前に元アルパインクライマーが登った、そのクラックの右にある、ポケットでリップに飛ぶ課題を触る。

 この課題は丁度一本指の入る深い穴で身体を上げ、少し遠いリップを取って、少し右に廻り込み気味にマントルをする課題である。

 小生はこの一本指に耐えられず、前回は離陸が出来なかった課題である。

 先ず、右手の中指をポケットに入れ、左足で離陸する。そして、右足を決めて右上のリップに飛ぶ。しかし、離陸が出来ない。仲間はリップを叩く。

 ポケットの持ち方を工夫してまた取付く。身体が上がりだす。少し身体を振った状態で離陸しようとしていたが、少し正対気味で行った方が身体は上がるようだ。しかし、その方が確実に指の負担は大きくなる。身体を少し振った方が指に力が入るし、ポケットへの指の掛かりも良いのだが。

 右足を決めリップに飛ぶ。リップの少しコブみたいになった所に手の指の第二関節位までを触る。これはもしかすると何回かやれば止るかも。

 仲間はリップを取って身体を上げようとして落ちる。小生は段々離陸がきつくなって来て飛べなくなって来る。一度などは指がすっぽ抜け、もう少しで少し後ろの松ノ木様の木の幹に頭をぶつける所だった。そして、もしかすると極軽い鞭打ち症状が出るかもしれない位に首が強く後ろに振られてしまった。危ない危ない。

 仲間がさっき登ったクラックをSDで登ろうとしている。その仲間にもう一人の仲間と一緒にジャミングを教わる。

 仲間はハンドジャムを決めその手一本で石にぶら下がる。真似をするが、出来ない。これで効きそうだと言う感触はなんとなくわかる気がするのだが、実際ぶら下がると手の甲の皮がビリっと破けそうで、恐くてぶら下がれない。やっぱりテープを巻いて練習をしないと駄目なのだろうか。仲間は素手でやっているのに。

 ここは諦め仲間と一緒に下の日本で一番美しい初段を二本持つ石に移動する。

 下から一人登って来る人がいる。どうやら仲間の知り会いのようだ。下の駐車場の自動車を見て登って来たらしい。少し見学して帰る。

 少し休んで、皆で少し上の藪の中の被った面を持つ岩に行く。ここにはカンテから上のリップに飛ぶ課題がある。仲間の二人が飛ぶ。しかし、小生は、芸風ではないので、何とかスタティックに行こうとする。

 カンテにヒールフックをし、リップの左の方を持ってから皆が飛んで取ったリップを取りマントルを返す。しかし、そのヒールフックをした足が木の枝にかかっていたらしい。で、真の成功ではなくなってしまう。悔しいから再度何とか登ろうとムーブを探る。

 カンテにヒールフックをするとどうしてもトウが木の枝に触ってしまうので、このヒールフックは使えない。仕方が無いから一度カンテを中継しリップの左を取ってからリップの真上を捕らえマントルと言うムーブを探し当てる。

 少し間を置かずにトライしてしまったので、最後のマントルでよれよれになってしまったがなんとか上に抜ける事ができた。続けてその仲間の一人が小生のムーブを真似したが、結局出来なかった。

 最初から今回はここの一番日本で美しい初段のうちの一つをやりたいと言っていた仲間がその奇麗なクラック、と言ってもジャミングを使う訳ではないが、の課題に挑戦する。

 この課題は右手ポケット、左手クラックでスタートし、一手上げた左手のクラックに右手を添え、左手をその上のクラックに上げて足を上げ、右手で右のリップ下のポケットを捕らえてマントルするという課題である。最近は結構多くの人がトライしている課題のようだ。

 仲間は何回かのトライで徐々にクラックに両手を添えて、手を上げ、足を上げる所まで行ったが、リップ下のポケットが遠くて、指がかかるが持てずに落ちる事を何回か繰り返す。もう手は届いているのだが。

 さっきのリップをとんだもう一人の仲間は、その後独りで黙々と例のポケットでリップに飛ぶ課題に挑戦し、マントルの所で撃墜されている。遂に上半身裸になり、その後何回目かでやっとカンテを廻り込んでマントルを返し降りてくる。

 その仲間と一緒に小生も少しその課題を触る。仲間は手添えをし左手を上げるところまで行く。小生はポケットからクラックを取るところで落ちる。その後何回か挑戦したが、結局クラックをとるところまで行ったが、その先は行かなかった。

 最初の仲間は、仲間に思い切って行けばリップ下のポケットはガバだよと助言を貰い、また日本一美しい初段の課題への挑戦を続ける。

 穴を持つがマントルが返らない。親指が掛かるよと再度助言をもらい、また挑戦する。

 下の方から声が聞こえ、犬が見える。また山梨の人の犬かと見ていると、黒と灰色と二匹の犬である。何時もの山梨の人の犬では無さそうである。

 段々犬が近付いて来る。二匹の犬は紐で結ばれている。そして、結構大きい。我々の回りにまとわり付いてくる。石の下をうろつく。

 石の上ではリップ下のポケットを取った仲間が最後の力を振り絞り必死でマントルをかえそうとしている。普段あまり見る事のないほど必死な状態が伝わって来る。

 下では今上がって来た大きな犬が二匹、ハアハアいいながらうろついている。誰かのパンの袋を咥える。それを仲間が取り戻す。そんな騒動が繰り広げられている。

 そんな中を仲間は、結局マントルをかえし、上に抜ける。

 丁度その時、下から犬の飼い主と、その仲間が登って来る。犬の飼い主は仲間達の知り会いであり、小生もジムや岩場で何回か会っている人である。

 みんなで降りて来た仲間を祝福する。

 その課題の左には、一寸見には3級くらいにしか見えない難しいカンテがある。まず普通の人では離陸すら出来ないであろう。その課題を仲間が触っいる。そのスタートは変態チックだよと教えて上げる。しかし、見当が付かないようだ。で、初登者にムーブを教わる。改めて変態チックである。因みに二段だそうだ。

 小生は阿修羅は出来ないから、荷物はそのままに、その上のクラックとスラブのある岩に行き、クラックを触る事にする。

 クラックに手を入れて、色々やって見たが、手が痛くて、巧くゆかない。こんなことが出来るのだろうか。なおもしつこくやっていたら、サムジャムが決まり、一瞬ぶら下がる事が出来た。

 気を良くして仲間の所に戻る。食べ物を少し食べて、荷物を持って、またクラックの前に行き、靴を履いて、さっきと同じようにサムジャムをやってみる。所が、手が痛くてぶら下がれない。折角何とかなるかもと期待をしたのに、駄目か。

 以前、もう少しで何とかなるかもと言う期待を持った、そのクラックの右のポケットから少し遠いリップを取る1級の課題のスタートのポケットを触って見る。普通に持つ分には支障は無いようだが、指を少し奥まで入れると中に水が溜まっている。ぶら下がって見たが、離陸出来そうに無い。諦めてその右の、穴がいっぱいある、苔だらけのスラブに行く。

 この壁は、以前は右の方からトラバースしたのだが、直上が出来そうなので、直上して見る事にする。

 左ポケットで離陸し、右ポケットを取って、左上の浅いポケットで耐えて、右アンダーポケットを取る所まで行く。やっぱり、右アンダーポケットが取れない。左手が甘いし、バランスもあまり良くない。スタティックに行けないのである。左足はスタンスらしい所に乗っているのだが右足が浮いているので、何とか右足を探す。右足適当なアバタを拾って何とか右アンダーを取って身体を上げる。

 これで一応身体が安定するので、両足を大きなポケットまで上げて、リップの少し下のちょこっとした丸いテラス状の所にある僅かな皺を捕らえる。傾斜は少し寝ているから、後は足を上げれば何とかなりそうだと思ったのだが、それ以外のホールドも見つからず、右往左往している内に手が張って来たので、急いで途中までクライムダウンし、マットに飛び降りる。

 所が、ここの下地は、悪くはないのだが、少し窪んでいて、おまけに少し傾斜している。案の定、窪みの法面に着地したために足首を少し多目に曲げてしまい、少し痛みを感じてしまった。

 歩くにはなんの支障も無いから、先ずは少し安心する。また、少し食事をして、荷物をかき回していたら、テーピング用のテープが出て来る。そうか、テープを持っていたのだ。

 下から壁を見上げると、ポケットが結構沢山あり、スタンスは十分に見える。先程の所からでも、右足、左足と適当なポケットが見える。どうも、全く足を見なかった様だ。

 それを意識して、取付いて見る。やっぱりアンダーガバの所で落ちる。しかし、今度は窪みの法面を避けるべく、傾斜の下の方に向くように身体を90度捻って飛び降りる。無事着地する。良かった。

 2回か3回目に、少し長めに休んだ後に、アンダーガバがしっかりと持て、先程の到達点迄行く。足を見て、足を上げて、先に上から確認してあった左の方のポケットを取ってマントルをしようとしたのだが、バランスが悪く、恐くてマントルが出来ない。左の方の大きなポケットまで左足を送り、なんとかマントルを返す。なんとか出来た。

 休んでいたら、別口の仲間の一人が登って来た。ここのエリアは山の斜面にボルダーが点在しているのである。

 その人が手にテーピングをして、小生が触っていたクラックの課題を登り出す。この人は小川山を開拓した仲間の一人だから、簡単そうに登ってしまう。確かに、このクラックは10aとか10cとかのグレード位らしいから、その道の人には難しくはないのだろう。

 先程、仲間がテーピング用のテープをくれると言ってくれたのを断ってしまったが、荷物から出て来た自分のテープを自分の手に巻いて見る。

 実は、クラックの為にテーピングするのは初めてなのである。見よう見真似で指の付根から掌にかけてテープを巻いて見る。握り拳を作ると何だかすごく窮屈である。こんなものかと思いながら、クラックに手を入れて見る。

 あんまり痛くない。力を入れても、十分に耐えられるのである。所が、やはりぶら下がると手が抜けてしまう。

 休みながら、テープの巻き方を聞いて見る。やはりきつすぎる様だ。巻く時は軽く握った状態で巻くらしい。まっすぐ伸ばした状態で巻いた物だから、握るときつくなり過ぎてしまったようだ。一度巻いたテープを解いてまた巻きなおして見る。

 大分具合が良くなった気がしたので、クラックに手を入れて見る。そんなに緩くもなさそうだ。そのまま少し色々とやって見る。手を入れる所を探して見たり、左右の手を変えて見たり、掌を返して見たり。しかし、なかなかしっくりと来る場所が見つからない。効いている感じのする所は何ヶ所か、また幾つか感じたのだが、その状態で離陸しようとすると、足が悪かったり、力を加える方向が悪くて効かなくなってしまったりしてしまって、どうも巧くゆかない。クラックに足を入れて見ても、巧く入らないし、方向もあまり良くないように思える。

 僅かに被っているから、しっかりと効いていないと足も効かないのだろう。なにしろ、クラックなんて、素手で何回か触っただけだから、教則本で何回か読んだだけだから、巧く行く訳もないのだから、いきなり10aはきついのかも知れない。

 クラックを一頻り登った仲間が小生が登った所を登っている。小生が左に逃げた所をしっかりと直上している。小生も早くあのような技術を身に付けたいものだ。

 もう少し易しいクラックを求めて、小生独りでさざなみクラックという課題のある岩に移動する。

 このクラックは少し右に傾いていて、稲妻のような形をしている。丁度掌がすっぽりと入る位の広さである。スタンスもクラック以外にも求める事が出来る。ジャミングを使わなくても登れる課題である。そこをあえてジャミングを使って登る訳である。

 最初は全てジャミング、足もクラックを使ってとやって見たが、クラックが傾いているから、なかなか巧く行かず、離陸すら出来ない。それでも、しつこく色々とやって見る。

 手に巻いたテープが緑色になっている。クラックの中はうっすらと苔が生えているようだ。気にしないで繰り返す。

 あまりに出来ないから、スタンスをクラックの外に求める。片方の手はカンテ持ちをしたり、クラックの中のホールドを持ったりして見る。まぁ、まだ初心者だから、ジャミングが出来る所でやれば良いやと、気持ちを切り替える。そうすると登れる。まぁ、当たり前のことである。

 その壁の左のすごく寝ているスラブを登って見る。クラックの左の縦に走るバンド状の所を登って見る。

 その壁の一番右の所も触って見る。確か以前登った所なのにとホールドやムーブを確かめるが、なかなか思い出さない。どうやるんだったっけ。

 阿修羅の岩に戻ると仲間一人と別口のもう一人の人がいた。仲間は、阿修羅ではなく、その左側の壁の課題をずっとやっていたらしい。阿修羅は触らなかったらしい。そして、その課題の核心を2回か3回越えたらしいが、遂に指の皮を破いてしまったらしい。仕方が無いから、指にテープを巻いて阿修羅でも触って見るらしい。

 暫くして、千里眼にいっていた仲間が戻って来る。倶利伽羅という課題が登れたらしい。その課題が何処に有ってどんな課題かは小生には良くはわからないが。

 阿修羅の岩の少し下にやはりクラックのある岩がある。そこに行って、そのクラックを登って見る。何回か挑戦したが、結構ジャミングで登れるようだ。

 別口の仲間のもう一人と、千里眼に行っていた仲間が、岩を少し磨きながらプロジェクトらしい課題を登っている。少し見学をしてから阿修羅の岩に戻る。

 「阿修羅」の岩に行くと、暫くここに篭っていた仲間が一人だけで登っていた。

 丁度その岩の下に着いた時に、その仲間がリップを摂り損ね、上から、直ぐ後ろの太い木にぶつかりながら落ちてきて、地面に倒れこんでしまった所だった。

 暫く動かなかったから、どうしたのかと少し心配したのだが、ずっと打ち込んでいて、後少しと言う所で落ちてしまったので、それで、暫く動かなかったようだ。特に体に支障があったわけではなかったようだ。

 仲間は「阿修羅」を触り始めたので、小生はその岩の上のクラックのある岩に行き、クラックを触ることにする。

 右側のクラックはしみだしており、登れそうに無かったが、左側のクラックは乾いていたので、左のクラックを触って見る。

 こちらのクラックは少し広く、クラックの内側にガバホールドがあるので、それを使って離陸する。しかし、その後のホールドがクラックのリップになるから、縦方向の水平カンテという感じになるから、とっても持つことが出来ない。体を振ることを模索して見たが、突っ張る足も見つからず、ワイドクラックの技を繰り出さなければ無理なような感じがしたので、今の小生には無理だと諦め、何回かでやめてしまった。

 そのクラックの右にはポケットでスタートしてリップを取るという1級の課題があるので、それを触って見る。

 ポケットは辛うじて2本の指が入るのだが、その2本が完全に効く形で入るわけではないので、そのポケットをレイバック気味に持ってハイステップの足でリップを取りに行くということが出来ず、2〜3回で諦める。確か以前は離陸して体が少しは上がった気がしたのだが。

 その右側のカンテを回りこんだところに易しい、ガバポケットで離陸する課題があるので、一応それをやることにする。なにしろ、それまで、まともなものは何一つ登っていないのだから。

 右手でガバポケットを持ち、足を大きく上げて岩に乗り込み、カンテのカチというか、ガバというか、を適当に持ってマントルをする。しかし、この辺は殆ど登られていないようで、岩の上は苔に枯葉だらけ。傾斜はそんなに無いが、恐る恐る四つん這いで暫くのぼり、岩の上に立つ。

 ポケットでスタートして、足を大きく開いて、尚且つ複雑に動かして、上に登って行く。昨日落ちたリップを取って、もう一方の手もリップを取って上に抜けた。やったぁー。2人で拍手をする。因みに、2年越しのプロジェクトだったらしい。

 見た目は凄く安定していた。降りてきた彼にそう言うと、最後のリップのホールドが最初は良い所が取れず、やっと登ったのだという。しかし、小生にはそうは見えなかった。まぁ、この人の登りは何時もそうだから、とは別の仲間の弁ではある。

 仲間も1回か2回「阿修羅」に挑戦し後、いつもの駐車場で4時待ち合わせと言うことだったので、既に4時であったから、自動車に戻ることにする。別便の仲間はまだ寄る所があるということだったので、2人で自動車に戻る。別便の仲間の自動車は無かった。

 そのまま阿修羅の岩の右を通って上のクラックのある岩に行った。多分この岩も久し振りのはずだ。

 荷物を置き、先ずは、クラックではなく、右の端の、ポケットで離陸してリップをマントルする、確か1級の課題を触って見た。

 左手の中指をポケットに入れ、左足を突っ張って離陸する筈なのだが、相変わらず中指に力が入らず、離陸ができない。右手のホールドを探ったが、お助けホールドも見つからない。薬指や人差し指を中指と一緒にねじ込んだりして見たが、結局そのポケットを持つことはできなかった。ここも、御岳のデッドエンド直上と同じで、そのポケットがどれくらい持てるようになったかの、小生にとっての一つのテストピース見たいな課題だ。結論は、まだまだだということだった。

 真ん中の、ハンドが効きそうなクラックに手を入れて見た。一手目は効いて、またその上の二手目のところにお助け的に入れた手の力も借りることができて、離陸はできた。ニ手目をしっかり入れ直そうと少し上に上げて良いところを探っていたら、力が尽きた。

 左のフィンガーが効きそうなクラックの方も探って見た。隣のクラックもそうだったと思うのだが、確か初登者はSDで登ってたような気がする。それで、3級とかいっていた気がする。まぁ、グレードとか限定とかは小生にはどうでもよいのだが。

 そのクラックは、確かにフィンガーが効いた。しかし、指が痛かった。

 早速、指にもテープを巻いた。それで、少しは痛くはなくなったが、基本的には痛いことには違いはない。我慢するしかない。

 スタートに良さそうな、少し低めの場所は、指の付け根まで入るフィンガーで、これが結構効いてくれた。その手で離陸し、次のジャムを決めようとしているうちに、初手の指の痛さが効いてきた。仕方がないから、そこで降りてしまった。

 ここの二本のクラックは、いくらか前掲している。従って、手への負担は大きめである。背中への負担も多分相当なものだ。そう続けてはできない。昼には少し早かったが、お昼用のパンを食べ始めた。

 水やお茶を持ってきていた筈なのに、昨日使ったザックに入れっぱなしで、ボルダリング用の、いつものザックには移していなかったのだ。つまり、飲み物が相棒用の小さなお茶のボトルしかなかったのだ。仕方がないから、相棒に少しだけお茶をもらった。

 阿修羅の岩の方に降りていったら、人の声が聞こえてきた。阿修羅の面の左側の面からだ。行って見たら二人のボルダラーがいた。その面の右側の、リップのちょっとしたのポケットに飛びつく課題を触っているみたいだったので、その課題の話を少ししてみたら、その課題の初登者、つまりここの開拓者の話が出てきた。山梨の人か聞いて見たら、そうだと言った。そいて、○○さんですよねと、反対にきいてきた。どこかであったことがあるかと聞いて見たら、御岳であったとの事だった。小生は全く忘れていた。誠に申し訳ない話だった。

 その後も少しだけ、その課題、瑞牆ピョンピョンとかいう課題名らしいが、の話をして上に戻った。

 相変わらず、クラックの課題を続けて見たのだが、埒が開かないので、クラックの上のリップを見に岩の上に回って見た。

 リップには落ち葉が積もっており、傾斜もそこそこの傾斜があった。そういえば、この岩を磨いていたときも、そのリップの淵で怖い思いをしたことを思い出した。そして、たとえマントルまで持ち込めたとしても、その上がこの有り様ではとってもだめだと悟り、そのクラックは諦めることにした。

 少しその上の岩も見に行って見た。少し上に大きなスラブ壁を持った岩が現れた。そのスラブの中ほどには水平にちょっとしたスジが走っていた。そういえば、以前触ったような記憶がよみがえってきた。結構難しかったような。そこは眺めただけで、その右手の方にある、少し被った面を持つ岩に行って見た。こちらもいくらか記憶があった。しかし、もっと木に覆われていて、下地ももっと小さな木があったような気がする。今は回りには木は全くなく、日が当たっている状態だ。本当に以前見た岩かどうか良く分からなくなってきた。

 まぁ、そんなことは良い。少し被っていて、上の方が少し丸く尖った感じの、格好良い形の石だった。なんとなく以前は、天辺のリップへランジ見たいな感じだったようで、多分登れていなかったと思われるので、登って見ることにした。

 左少し上の二つのカチで離陸し、右のカンテを取りに行った。そこは少し傾斜が寝ていたから、持つことができた。足を上げて、右手をより上のより傾斜の立ったところに飛ばして見た。持つことができずに落ちてしまった。

 スタンスが少し甘目で、ホールドも少しだけ外傾斜していたから、以外と力が必要で、少しつかれてしまった。

 少し休んで、カンテの二手目を少し上にしたら、持つことができた。左の方のスタンスを拾って、体を少し左に開き、天辺のリップを取りに行った。そこは意外と悪めだったので、少し左の方によってからマントルをしてしまった。本当は真ん中の天辺をマントルすると格好良かったのだが。

 なんとか岩を登ることができたので、気を良くして降りて行った。

 ジムの仲間は阿修羅の岩を登るというので、初めての人と一緒に上のスラブの岩を見に行った。

 クラックが二本ある岩のスラブはそれほど難しくはないし、苔も戻っていたので、さらに上に行って見た。

 結構きれいに磨かれた感じの、のっぺりとしたスラブが現れた。傾斜もそこそこあるから、結構難しいスラブだと思う。そこを初めての人が触り出した。

 上のリップが苔だらけに見えたので、上に回ってリップを確認して見た。リップは見事に苔苔だった。リップにはホールドらしいものは見当たらないから、実際に登るには磨き直さなければならないようだった。

 下に戻ると、難しくて離陸ができないから諦めたと言ったので、そこから少し離れたところの、僅かに被った、カンテを登る岩に行った。この岩は多分前回ここに来た時に触った岩だ。

 初めての彼は、リップは使わず、リップのすぐ脇の壁の中のフレークの縁の縦カチホールドで、天辺のリップに跳んだ。それが、あまりにも気持ち良さそうだったので、小生も真似をして跳んで見たら、リップが取れた。跳ぶと言っても、足がスタンスからほんの少し離れるくらいの距離だから、難しくはなかったのだが、やっぱりランジが決まると、結構気持ちが良いものだ。


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作成年月日 平成20年 9月21日
作 成 者 本庄 章