指力について考える

2010年 7月18日記

 人工壁に於いて最近、遅ればせながら、被った壁のカチホールドにぶら下がることが多くなってきた。そこで、面白いことに気が付いた。というか、幾らか前からなんとなく感じていたことなのだが、最初のうちは、そのカチホールドに片手の指の第一関節でぶら下がることができないのだが、やっているうちに、ぶら下がれるようになってくるということに気付いたのだ。つまりは、そのホールドが最初のうちは持てないので、その課題が登れないのだが、暫らくトライを重ねるうちに登れるようになってくるということなのだ。

 カチホールドに指の第一関節までを掛けてそのホールドにぶら下がると、最初のうちは指が開いてしまい、ぶら下がれないのだが、同じことをやっていても何回かやっていると、だんだん指が開かなくなり、そのホールドにぶら下がることができるようになってくるのだ。同じ課題を繰り返しやらなくとも、暫らく他の課題の他のホールドに触った後、再びそのカチホールドにぶら下がると、ぶら下がることができるようになっているのだ。

 以前は、自分にとっての高難度課題を登るためには、「朝1パワー」ということで、ウォーミングアップもせずに、その日の1番でその課題に取りつき、落としていたのだが、このような現象に気付いてからは、というか、そのカチホールドが核心の場合は、朝1パワーが全く効かないということに気がついたのだ。つまりは、指のウォーミングアップが終り、指パワーが発揮されるようになったころには、他の大きな筋肉のパワーが落ち始めており、朝1パワーが使えないことに気がついたのだ。さぁーどうしよう、という感じなのだ。

 この指パワーは、実はカチホールドにぶら下がることだけではなく、カチホールドやピンチホールドを保持する場合にも表れるのだ。ぶら下がるほど顕著には現れないが、ムーブを起こしてみると、明らかにその保持力に違いが感じられるのだ。よって、できなかったムーブが出来だすのだ。しかし、そうなるに従い、体幹力は衰え、大きな力衰えてしまう。お互いに相反する、このことの調整を図らなければ、自分の最高のパフォーマンスは生み出せないという難題が発生してしまったのだ。

 しかし、これって、最近のことなのだろうか。とすれば、どうしてそうなったのだろうか。その辺ははっきりはしないが、もしかすると、体幹力の増加というようなことなのだろうか。体幹力が増し、より指の負担が増えたのだろうか。だとすると、なぜなのだろうか。その辺のことを少し考えてみよう。

 小生の通うジムの最近の課題について、他のジムよりも難しいとの評価が一部にある。で、その理由についてオーナーは、当ジムの課題は、持ちやすいホールドで、体幹を使って遠目のホールドをスタティックに取りに行く課題が多いからだ、と言っていた。確かに、リーチ的には遠くは無いが、身体を壁に入れて、手、足を延ばさなければ届かない、また、ホールド面の上に小さなカチホールを逆様に被せ、デッドではそのホールドを取りにくくしてある、というような課題も多いようだ。その為に、小生にも十分に持てるホールドで、身体を壁に添わせ、手を伸ばしたり、足を伸ばしたりすることが増えたように思う。ホールドを引きつける場合でも、手は伸ばし、肩の力で身体を壁に着ける、そんなムーブをやるようになって来た様に思う。また、160度壁に取りつくようになったこともあるかも知れない。確実に、腹筋、背筋が強化された感はある。

 ということだとすると、小生は強くなったのだろうか。以前よりもそれだけ体幹が強くなり、指も強くなったのだろうか。その辺のところはわからない。何しろ最近、当ジムのグレード体系が大きく変わり、以前のグレードと比べることが出来ない。例えグレード体系が変わらなかったとしても、ホールド替えの度にグレードが動いてゆくということがあるから、人工壁ではおそらく過去との比較は困難だろう。

 外岩の課題のグレードは殆どの課題で動くことはない。動いたとして、それは適切ではなかったから動いたのであって、不適切な方向に動くことは先ずない。とすれば外岩に行けばよいのではないか。しかし、ここの読者であればお分かりだろうが、最近小生は全く外岩に行っていない。従って、これも検証のしようがない。つまりは、今のところ、強くなったのかどうかの検証が出来ないということだ。

 仕方がないから、しばらくは今まで通り、ただ黙々と精進するしか無いということか。それしかないようだ。仕方がない。そうしよう。

 それにしても、今回はいいかげんだなぁ。


戻る

作成年月日 平成22年 7月18日
作 成 者 本庄 章