裏磐梯のボルダーを見に行ってきました

2007年11月26日記

 仙台のダム湖の公園で開催されるボルダリングフェスティバルに参加する序に、以前あるブログに紹介されていたボルダーを見に行ってきた。今回は一人である。

 仙台の近くの川崎町というところの釜房ダムのみちのく杜の湖畔公園だったかで開催されることになっていたボルダリングフェスティバルが雨で順延になり、スケジュールも丁度合ったので、急遽、参加することにした。このフェスティバル、以前はコンペとして開催されていたのが、何年か前から、フェスティバルに衣替えしたものである。そのコンペ時代に一度仲間と参加させてもらったことがあるので、この公園のボルダーは2回目である。

 実はこのボルダー、公園のオブジェとして置かれているものなので、普段は登ってはいけないのだ。この年に一度のフェスティバルの時だけ登れる、云わば幻のボルダーなのだ。

 折角仙台まで行くのに、日曜日1日だけで帰ってくるのも勿体ないと思い、序ということで、前日の土曜日に、以前から気になっていた裏磐梯にあるというボルダーを見に行くことにしたのだ。

 金曜日の夕方、家を出た。どうせ急ぐ旅でもないので、下道を走ることにして、先ずは水戸を目指した。水戸からは郡山を目指すつもりだ。

 何時もならカーナビがあるのだが、今回は無い。修理に出してしまったのだ。従って、地図と首っ引きで走らなければならないのだった。

 水戸での118号線への入り方が単純では無い。一度51号に入り、そこから右折して左折して右折して左折して、みたいに、何回か道を乗り換えなければならない。

 途中、恋瀬橋の駐車スペースで地図を見たら、118号より349号の方が走り易そうに見えた。そして、349号へは6号の工業団地入り口というところから左折すると、その先で349号に直接ぶつかることもわかった。ということで、349号を走ることにした。

 水戸に入ると、バイパスのきれいな広い道路になった。当然信号も増え出した。そして、もともと読みにくい夜に加えて、交差点も広いから、交差点の名前が読みにくくなってしまったのだ。交差点の真ん中を過ぎなくてはその交差点の名前が分からなくなってしまったのである。大型トラックに挟まれるように走っているから、名前を読むためにゆっくりとという訳にもゆかない。唯々真っすぐ走るしかない。

 工業団地の入り口の交差点で左折するつもりだったのだが、なかなか工業団地の字が現れない。そうこうするうちに、左折で349号との看板が現れた。多分工業団地のひとつ点前の交差点のはずだ。勝手にそう思い込んで、左折して見た。

 道は細かった。すごく細かった。でも、真っすぐに走って行ったら、少しだけ広くなった。なおも進むと、信号のある広い交差点に出た。中央分離帯のある、なんだか349号チックな交差点だった。道は真っすぐに伸びており、案内板には直進が太田と書いてあったが、思い切って右折してみた。

 交通量の多い道だった。少しだけ走ったら、その先工業団地と出てきた。仕方がないから、中央分離帯の切れ目でUターンして、戻って行ったら、それらしい広い道との交差点に出て、太田の文字を見つけた。その交差点で右折したら、その道が349号だった。意外と空いていた。

 暫く走った後、道が少し細くなってから程なく道の駅が現れた。さとみという道の駅だった。時間は既に11時を回っていた。眠くもなっていたので、その道の駅で寝ることにした。先客は、キャンピングカーを含め、5〜6台いた。

 少し寒さを感じ、4時頃に目が覚めてしまった。仕方がないから、そのまま出発した。

 矢祭りから118号に入り、暫く走ると、棚倉から白河に入っていた。そのうち、矢吹とかの地名が出てきてしまった。118号で須賀川に出るつもりだったのが、いつの間にか県道の31号だかに入ってしまっていた。どこかで道を間違えたらしい。

 結局須賀川の近くで6号に出た。そんなに遠回りをした訳では無さそうだった。

 郡山の少し手前で会津方面に行く49号に別れ、猪苗代を目指した。

 途中、朝飯と昼飯でもと、コンビニを探しながら走ったのだが、結局猪苗代の辺りまで来てしまい、桧原湖方面への別れ道に来てしまった。

 そこから国道115号に別れ、しばらく走ると、コンビニが出て来た。朝ご飯にと、おにぎりを買い、昼ご飯用にはパンをいくつか買った。

 桧原湖まで来たのだが、時間はまだ8時前だった。気温は確か0度近くを指していたと思う。あまりに寒いし、山は雪が残っている様子だったので、ちょうど桧原湖の前にあった駐車場でゆっくりすることにした。

 後部座席に移り、湯を沸かした。その時、湯を少し多く沸かし過ぎたので、蓋付きのコップに残っていたお茶を捨て、そのコップにインスタントコーヒーを入れた。

 ラジオを聞きながら、おにぎりを食べ、持参していたルービックキューブで時間を潰した。

 気が付いたら、9時になっていたので、出発しようと、自動車の外に出たら、先程捨てたお茶が凍っていた。

 目星をつけた場所に行って見ると、広い駐車場に数台の自動車が停められていた。ハイキングにでも来ている人達なのだろうか。

 支度をしていたら、隣に熟年のカップルの乗った自動車が入って来た。支度を整え、自動車を降りると、その人たちも降りて来たので、どこかハイキングにでも行くのですかと聞いて見たら、目的の場所に行く道が閉鎖されていたので、こちらに回って来たのだと言った。別にここからの目的は無いから、適当にぶらぶらするとの事だった。

 そのカップルはまた自動車に乗り込んだので、一人で歩きだした。

 広い、日当たりのよい、傾斜のゆるい沢の中の尾根状のところに、写真で見たボルダーが一つだけポツンとあった。高さは多分3m位か。わずかな斜面にあるから、下の面はもう少し高くなっている。

 参照したブログには、上にもボルダーがあるらしいと書かれていたので、そのまま上にも登って行ってみた。その斜面の真中から上は白くなっていた。

 大きく人の手の入った場所だから、木はない。その木の無い見通しのよい斜面にはボルダーはない。有るとすれば、その緩い沢型の側面の茂みだ。

 側面を気にしながら登って行ったのだが、それらしい岩陰はほとんど見えなかった。

 ちょっとしたコルというか、少し平らな場所に出ると、反対側に雪を頂いた山が見えて来た。辺りには何日か前に降っただろう雪がうっすらと残っていた。下から見たときは霜だろう位に思っていた山肌の白は雪だったようだ。

 辺りの傾斜も無くなったし、なんとなく岩陰も見え隠れしているので、薮の中に入って行って見た。

 いくらか大きめの、と言っても2mちょっと位だが、岩が見えたので、結構密に茂った薮を漕いで近づいて見た。

 2手位いでリップが取れる大きさだが、いくらか被り気味のちょっとした面を持っており、少しは面白そうに見えたので、触って見ることにした。

 と言っても、下にはうっすらと雪が残り、岩の上には苔も載っている。ほんのお戯れ気分だ。

 先ず、靴を履くことに苦労した。何しろ一面雪なのだから。それでもなんとか小さな岩の頭とかを使って靴を履き、セットしたデジカメのシャッターを押しに行った。

 戻って、最初に目をつけた一番高いところを目指して離陸して見た。

 離陸して、小さなカチを取って、リップに手を延ばしたが、ホールドが見つからなかった。身体を引き付け、リップの上を伺うと、やはりホールドらしいものは見つからなかった。苔を掘って見てもだめだった。

 思い切って、右のリップに手を延ばして見た。やっぱり落ちた。

 少しは左の、少しは低いところを登って見ることにして、いきなりリップで離陸して見た。やっぱり、マントルが出来なかった。

 諦めて、荷物を畳み、道に戻って、先に進むことにした。

 その先は、ちょっとしたピークを巻くように進み、裏側のやはり開けた広場みたいなところに出て来た。そこには、先程駐車場で会った熟年カップルがいた。

 少し話をしながら、傍らの、1mちょっとの岩を指さしながら、この辺にこれよりももう少し大きな岩は無いか聞いて見たら、この先の池の辺に岩がゴロゴロしていると教えてくれた。その池はそこから10分位だとも教えてくれた。

 そこからは、幅の広い尾根筋の薮の中を歩く道になる。その道は泥濘んでおり、チビた運動靴にはちときつい、普通のハイキング道だった。

 傾斜はないし、辺りは結構広いから、岩陰を探しながら、足元を気にしながら歩いて行くと、右側に小さな池が現れた。その池の周りには岩は無かった。

 そこからほんの少し進むと、左側にちょっとした水面が見えてきた。どうやら、その池は結構大きく、その畔には岩影が幾つも見えた。

 そこからほんのわずかで、その池の辺に出やすいだろう場所が現れた。ちょっとした広場で、案内板が立っていた。

 足がヌルッとした。表面が泥濘んでいたのだ。しかし、これまでの道のようにすぐ脇が草つきという訳ではなく、広場だから逃げようがない。仕方なく慎重に歩いて行った。

 池の辺に出ると、いきなりボルダーが現れた。高さは3m位か。ちょっとしたスラブ面の右半分の下は少し凹んだ面になっている、典型的な形のボルダーだった。

 近付こうと、池のほとりに一歩踏み出したら、またまた泥濘んでいた。

 岩の下は芝のような草が覆っているので、泥濘みはしない。が、湿っていた。つまり、靴が濡れるのだ。

 靴が濡れることは気にせずに、靴を履き、デジカメをセットして、左の方の一番易しそうなところを登って見た。難しくはなかった。

 続いて、真ん中の下が少し被ったところを登って見た。

 ホールドを探したら、左にサイドのややアンダー気味のガバが見つかった。それを使って一気に足をリップの上まで上げ、足が滑ることに気を付けながら立ち上がり、慎重に上に抜けた。

 先程ここを教えてくれた熟年カップルがやってきた。一応、こんなことをやってますと、あいさつをし、続けて、右側を触りに行った。

 そこは、被った面が胸の辺りまであり、ホールドもスタンスも乏しかったので、ああだこうだ探って見たが、結局は離陸すらできなかった。

 回りの茂み中には結構いくつもの岩があったので、薮を漕いで奥まで行ってみた。しかし、それほど大きな岩はなかったので、2mちょっと位の岩で遊んで見た。一番最初の岩を小振りにしたような型ちの岩だった。

 いきなりリップが持てたのだが、その先がなかなか進まず、結局少し左によって、少し斜めのリップにはい上った。相変わらず靴は濡れているし、下地もそれほどよくはないし、と、言い訳ではある。

 その岩の裏に、2m位の、いくらか小降りの、垂直の壁をもった岩があったので、そこを登って見た。

 両側のカンテを挟むように持ったら、難しくはなかった。というか、簡単だった。

 降りてきて、その岩を見直したら、右下にSDにちょうど良さそうなホールドが見えた。そうか、SDか。

 SDでやって見た。手はあるのだが、足がなかった。あると言えばあるのかも知れないが、濡れた靴にはきつかった。

 どこかで、岩が崩れるような、崩れた岩が転がり落ちるような結構大きな音が聞こえてきた。沼の対岸の山の斜面が、山頂近くまで結構広いガレた面になっていたので、そのどこかで、氷が緩んで崩落でも起こったのだろうか。薮の間からははっきりと確認することはできなかった。

 なおも進むと、少し大きな岩が出てきた。その岩の正面と思しき面に回り込むには、ちょっとした岩の段差を薮を漕ぎながら降りなければならなかった。荷物を置き、空身で下に回り込んで見た。

 高さは、まああるのだが、そそらなかった。蔦や苔も纏わり付いていたし、何より、ガチャガチャした面だったのだ。

 熟年カップルのところまで戻ると、もう一人熟年の男性がおり、お話をしていた。そばで聞いていたら、先程の音の話をしていた。なんだか爆発かと思ったとか話していた。

 熟年のカップルだが、最初はご夫婦と思ったのだが、それにしては女性が少し若い。齢の離れた夫婦かとも思ったのだが、その時の会話がどうも夫婦には聞こえなかった。それでわざわざカップルと表現したのだった。

 そこから、湖岸を反対側の方向に行ってみた。すると、先程よりは平らな薮の中に、3m、いや4m位かもしれない、大きめの岩が現れた。薮もそれほど濃くはなかった。デジカメをセットし、取り付くことにした。

 右側が少し低く、左に行くほど高くなっている。傾斜は恐らくほぼ垂直に近い。下には少し大きめの石がいくつか転がっている。壁は、大きく凸凹しており、適当にホールド、スタンスは得られそうだった。

 まずは、右側の低いところからスタートし、リップを左にトラバースすることにした。

 一応は下の石を避けて離陸し、少し左に寄ってからリップを取った。リップは結構鋭角なガバだった。しかし、結構薄そうなフレークチックなところも出てきたりして、それがなんとなく浮いている感じもして、反対に欠けそうで、怖いところもあった。

 一応はリップが平らになったので、そこで岩の上に上ったのだが、ちょうどその辺りに、何かのビンの少し細長いキャップのようなものが埋め込まれていた。接着剤でしっかりと固定されていたから、噴火予知かなにかのためのセンサーだったのかも知れない。その後気を付けて見ていたら、外にも何カ所かそんなのが設置されていた。しかし、ケーブルなどは見当たらなかったから、いったい何だったのだろう。

 一カ所ではもったいない程広い壁だったので、続いて、その壁の一番高いところを目がけて登って見た。最初はのっぺりとした感じに見えていた壁も、以外とホールドはあり、思った以上に簡単に登ることができた。

 実は小生、こういう、少し高めで、少しこわ目で、一見どう登るのだろうと思わせておきながら、登って行くと要所要所にちゃんとホールドのある、そんなに難しくはない課題が好きだ。グレードにすると、5級とか6級というところだろうか。

 この課題は、少しだけそれに近い気がした。もっとも、小生的には6級くらいかという気もするのだが、傾斜は無いから7級か、もしかすると8級とか言われそうな気はする。確かに、パッドを使えば8級と言われてもしようがないが。

 一番左側の壁は、少し被り気味で、難しそうだったので、登れればとは思ったが、諦めることにした。

 その奥にも少し行って見たが、目ぼしそうなものは、大体そんなもののようだったので、引き上げることにした。

 先の熟年カップルは、荷物を広げて昼ごはんのようだったので、、一応は声を掛け、戻ってきた。

 先程の開けた少し広いところに戻り、反対側の斜面かと思った斜面を見下ろして見たら、登ってくる時に右に別れた少し傾斜のきつい広い面だということが分かった。小生はその広い左右の斜面の真ん中のコブを左から回り込んで、右に出て行ったらしかった。

 帰りはその少し傾斜の強い斜面を右斜め下に向かって下って行った。

 ちょうどコブの基部辺りをトラバースする感じで下って行ったので、そのコブの中を見ながら下って行ったら、そのコブの裏側の雪を被った山が見えだしてきた。そこで、山の写真を撮ってはいないことを思い出したので、斜面を少し登り反し、山がきれいに見えるところまで行って写真を撮ってきた。

 その斜面の下の方の真ん中辺に、あるブログに写真の載っていたボルダーがある。今回のメインのボルダーだ。

 山の上の方からの結構強い日差しを受け、すごく明るく見えた。今までの岩がほとんど薮の中だったので、余計にそう見えた。

 まずは、その、一番日の当たっている面を触ることにした。外の面は逆光になってしまうということもあったのだが、実は何を隠そう、今回のボルダリング行も写真がメインだったのだから。何しろ、おニューのデジカメのインターバル撮影の初めての試験でもあったのだから。

 今までは、一人で岩の写真を撮る時は、セルフタイマーを使っていたのだが、今回の新しく買ったデジカメのセルフタイマーは10秒の設定しかできない。10秒では相当にあわてなければ岩に登っている写真が撮れない。と思っていたのだが、5秒とか10秒の間隔にシャッターを切ってくれる、インターバル撮影という機能を使えば、岩に登っている写真が、急ぐ事なく、おまけに、岩の上に抜けるまで撮影してくれるという事が分かったので、今回からはその機能を使うことにしたのだ。

 この機能、以前のデジカメにもあったはずなのだが、小生には銀鉛フィルムの時代の感覚しか無かったから、一度に何枚も写真を撮ってしまうという、いわゆるこま落としムービー的発想が沸かなかったのだ。

 先ず、降り口になるだろう、一番易しそうなところを登って見た。登るのは易しかったが、降りるのは、少うしだけ難しかった。でも、一応降り口は確保できた。

 一番日の当たっている、一番すっきりしたというか、のっぺりとしたほぼ垂直の壁を触って見た。

 リップには直接は手が届かないから、リップ直下辺りにホールドを探さなければならない。しかし、リップもその上も、もう一つおまけに垂直の壁にも、顕著なホールドやスタンスはほとんど無い。特にスタンスがない。ここは日が当たっているから、靴が濡れることはないが、それでも、スタンスがない。

 真ん中から右、左と、壁の中を撫で回したら、真ん中辺りのリップの下に結構なホールドがあることが分かった。

 そのホールドを使って離陸し、リップ上のホールドを探ったが、ホールドは見つからなかった。先程上からそのリップを見た時も、持てそうな顕著なホールドが見当たらず、大丈夫か少し心配しながら登って見たのだが、やっぱりホールドはなかった。

 無理して落ちるのもいやだったので、そこは無理せずに降りてきた。

 もう少し左の方を探って見たら、もう少し良さそうなホールドが見つかった。リップも少しだけ低くなった。

 離陸し、リップ上のホールドでマントル態勢に入ったのだが、もう片方の手のホールドが見つからなかった。先程よりはいくらか余裕があったので、少しだけ奥の方まで探って見たら、ちょうど3本指が入るような、ボーリングされたような穴が見つかった。もしかして、これは使っては行けないのでは、一瞬そう思ったが、それを使わなければ、多分登れない。それも、少し悲しい。ということで、しっかりとその穴を使って登ってしまった。上から確認したら、ドリルか何かで掘られた、きれいな穴だった。

 その面は、リップのマントルが怖そうだったし、何よりスタンスがなかったので、その面のほかの場所を登ることはあきらめ、降り口の左の方の面を見に行った。

 その面は、わずかに被った面なのだが、きれいにスパッと切れた感じの壁で、おまけに蔦が這っていたりして、恐らく未だだれも触ってはいない壁に見えた。

 その左の、下部は丸くちょっと膨れた感じで、その上は傾斜が少し寝ている壁に行って見た。下の丸いところを乗り越せれば上は難しくはなさそにみえたのだが。

 リップの上のやや寝た面にわずかな皺を見つけたが、とても持てるものではなかった。方向を変え、角度を変えて、いろいろとやって見たがだめだった。

 足も、場所が悪かった。少し寝てはいるが、左に寄り過ぎているのだ。その足を生かすべく、左の方にもホールドを探して見た。いくつかの皺は見つかったものの、いずれもホールドにはならなかった。それでも、辛うじて離陸だけはできた。しかし、それも一回だけだった。

 地ジャンででも出れば、上のホールドに見えるところが持てるかもとも思ってやって見たが、手は届かなかった。

 その左側の面は、傾斜も少しだけ寝てきて、ホールドスタンスもいくらか増えるように見えたが、その分高さも増している。下地も斜面になっていて、落ちると転がりそうな傾斜だ。やって見たい衝撃にも駆られたが、無理することはしなかった。

 時間はまだ2時前だった。しかし、自動車に戻ることにした。

 まだ昼食を摂ってはいなかったので、自動車の中で湯を沸かし、コーヒーを抽れて、買ってきたパンをほうばった。

 明日は釜房ダムでのボルフェスだ。しかし、まだその夜の宿は決めてはいなかった。

 途中、五色沼の無料休息所でトイレを済ませ、土湯峠を目指した。この峠も何回越えただろう。仙台から猪苗代、あるいは安達太良、そしてその反対と、結構な回数越えているはずだ。

 来る途中の電光掲示板に、土湯峠方面路面凍結注意の文字があった気がする。タイヤは当然未だノーマルだ。磐梯山は雪だった。少し心配だったが、3時前ということで、土湯峠を越えることにしたのだ。

 土湯峠の道の駅はすごく混んでいた。ここは、トイレを新たに増やしたらしい。今までのトイレとは反対側の端に新しいトイレが建っていた。

 そこで、名前は忘れたが、パンと蒸しパンの合いの子のような面白そうな食べ物があったので、それを買った。

 リンゴの富士を売っていたので見ると、千円だった。五色沼の休息所では同じくらいで500円だった。五色沼で見たときは安く感じたので、一瞬買おうかとも思ったのだが、量が少し多めだったし、最近の相場を承知していなかったので買わなかったのだが、買っておけばよかったと後悔してしまった。

 まだ、夜はどこで寝るかが決まらなかったので、自動車に戻り、再び地図を見ながら、どこで泊まるかを考えてみた。そして、高速のサービスエリアで寝ることを考えた。釜房ダムの近くには、道の駅様の施設はないからだ。

 どこのサービスエリアがよいかを調べて見ると、釜房ダム最寄りの山形道の川崎インターまでには国見サービスエリアと蔵王パーキングがある事がわかった。国見は以前やはり釜房ダムに来たときに寄って、偶然仲間の自動車を見つけた場所だ。どうせなら新しいところがよい。蔵王なら一つ先の白石インターで乗ればよいし。ということで、白石インターから高速に乗ることにした。

 福島から国道6号を走っていたら、国見を過ぎた辺りでトイレのある駐車スペースが現れたので、一休みすることにした。休みながら、トイレもあるし、そこで泊まろうかとも考えたのだが、時間はまだ4時過ぎだった。夕食もまだだったので、やっぱり高速に乗ることにした。

 ところで、蔵王パーキングには食べ物を売っているところがあるのだろうか、不安になってしまった。どこか食べ物屋があればと、探しながら走ったのだが、結局見つからずに白石インターについてしまった。仕方がないから、その先、コンビニを探しに行くことにした。

 2km程走るとコンビニが現れたので、夕食と朝食を調達し、引き返した。

 すぐにインターが現れると思っていたのに、なかなか現れなかった。おかしいなと思いながらしばらく走ったら、先に休んだ駐車場についてしまった。

 仕方がないから、そこで、またUターンして、インターを目指した。

 結構通り過ぎてしまったようで、大分戻ったところでインターが出てきた。やっぱり夜は看板が見にくかったようだ。

 インターを入ると、間もなく蔵王パーキングの案内が現れた。恐れていた通り、トイレ以外のマークは何もなかった。

 実際、蔵王パーキングに入って見たら、何もないパーキングだった。時間はまだ5時ちょっと過ぎだ。ここで、先ほど買ってきた夕飯、と言っても、万が一なかった場合ということで、もし晩ごはんに有り付ければ次の日の昼に回すつもりで、パンを買ってきただけだから、質素と言えばこの上ない質素な夕飯だ。それで、翌朝まで此処にいるのも、あまりにも情けない気になってしまった。

 以前、釜房のコンペに行った時は、湖の対岸の公園で寝たので、ちょっと寂しいけど、そこで寝た方が良いかと考え、釜房のダムまで行くことにした。

 インターは次の村田で降り、一般道を川崎町まで行くことにした。

 村田は、食堂でもあるかと期待したのだが、食堂らしきものは見当たらなかった。

 川崎町でも見つからなかったが、ダムへ行くのに曲がる交差点を間違え、引き返してくる時にお弁当屋を見つけたので、そこで、海苔弁を買い込んだ。

 弁当屋に入る前に、おばあさんに道を聞いたところ、先に見える交差点を右折だと教えて呉れたのだが、少し心配だったので、お弁当屋さんの小母さんに聞いて見たら、その交差点を直進し、ただただ真っすぐだと教えて呉れた。

 お弁当やさんのの言う通り、真っすぐ走って行くと、間もなく国道286だかに出たので、それを真っすぐ走って行った。

 道がほぼ直角に曲がった辺りにちょっとした駐車スペースがあったので、そこに入ると、案内板があった。どうやらその辺が釜房のダムのようだった。来過ぎたのではと、内心びくびくしていたのだが、安心して先に進んで行った。

 程なく、反対側に電気が点いている駐車場が現れたので、そこに入って見た。そこにはトイレがあった。自動車も1台停まっていた。

 停まる予定の駐車場は電気はない。公園の横から細い道を走り、なんだかごちょごちょ行った記憶しかない。なんとなく行きたくないなと思っていたところだったので、脇の国道の交通量は多いが、そこに泊まることに決めた。

 トイレに行き、回りを見回すと、そこから一段下がった場所にも駐車スペースがあり、そちらの方が光が少なかったので、そちらに移動することにした。

 そちらは、上よりは平らな感じで、外には自動車は停まってはいなかった。

 寝るための用意をし、湯を沸かしてコーヒーを入れた。そして、少しゆっくりしてからお弁当を食べた。

 持参したルービックキューブで少し遊んだ後、10時前に寝た。


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作成年月日 平成19年11月26日
作 成 者 本庄 章