初日にマット一枚では地面からの熱が冷たかったので、2枚のマットを敷いた甲斐があって、明るくなるまで寝ることが出来た。それでも7時過ぎには起きだしてしまった。南東北のシークレットエリアを巡ってきました
南東北ボルダー巡り第三弾その22005年 2月20日記
待ち合わせは10時らしい。充分に時間が有るし、仲間の一人も起き出したので、テントを抜け出し、少し駅のほうに散歩に出かけてみる。
なんだか訳の判らない駅である。どう考えても廻りに人家なんか無い。我々の泊った駐車場は、自動車で駅まで来る人たちの駐車場なのだろう。それで、ブルを常駐させて雪かきをしているのだろう。しかし、土曜日の朝とはいえ、そろそろ8時近いというのに我々以外の自動車は一台も来ない。
朝食を済ませ、駅の反対側にも歩いて行ってみたりして戻ったら、雪かきがされていなかったから昨夜は判らなかったが、我々の駐車場の上も、より広い駐車場の様だ。それにしても自動車の全く来ないのどかな駅前駐車場である。
9時過ぎに、自動車のマフラーから迫力のある音を出しながら、仙台の人たちがやってきた。大勢で来られるように聞いていたが、やっぱり雪の影響か二人だけの様だ。
自動車が停まり、中から4人の人たちが降りてきた。後ろの窓ガラスがスモークだったから、見えなかったらしい。
この駅で東京からの方と待ち合わせているとのことで、うち二人が駅のほうに行く。我々はその時間を使ってテントを畳む。
駅まで行った人たちが、迎いに行った人が乗っていなかったと帰ってきた。やっぱり普通の人はこんな時期にこんなに寒い東北にわざわざ関東から来ないよなとか言っていたら、その人らしい人が歩いてきた。トイレに寄っていたらしい。
トイレは我々の探索では見つからなかったから、トイレはどこにあるのかと聞いたら、訳の判らない建物の中にあると言う。訳の判らない建物は鍵が締まっていたから、そう言ったら、切符を売る人が来ていて、開いていると言う。じゃぁトイレに行って来るかとも思ったのだが、なんだか面倒くさかったから、そのまま出発した。結局我々は誰もトイレには行かなかった。
仙台車の先導で小生の運転で走り出す。
昨夜は良く見えなかったが、結構路面が凍っている。坂になった大きなカーブでも凍っている。そんな中を先導車は結構なペースで走ってゆく。しかし、こちらは四駆とはいえノーマルの山の殆ど無くなったタイヤだから、そろそろとゆっくり走ってゆく。
岩場に到着し、荷物を降ろして、自動車を駐車スペースまで回送する。といってもそんなに遠くは無いから、それほど遅れることは無い。
川原の崖を降りると、大きな岩が2つ3つ目に入ってくる。結構大きな岩だ。
事前に、4級以上の課題しかないエリアだと聞かされていたから、その積もりだったのだが、周りの小さな岩に10級クラスのラインを引くことは充分に可能なことを確認する。
被った高いカンテの課題を皆が触りだす。それを川の中に頭を出している岩のうえからデジカメに納める。
寒い。というより、風が冷たいのである。日が照っているし、気温も低くは無いのだが、風が頬を刺すのである。岩陰に隠れても風は岩を回り込んでくるのである。どこに行っても冷たい風が追いかけてくるのである。昔カヌーをやっているときに、いやと言うほど冬の川風の寒さを味わっていたことを、あの暖かい御岳でさえ、ブリヂストンの保養所の手前のカーブなどでは、本当に凍え死ぬかと思えるほどの冷たい風が常に吹き抜けていたことを、すっかり忘れてしまっていたようだ。
上から一人の若者がパッドを背負って降りてきた。仙台からの高校生である。かの有名な元中学生である。って、当たり前だが、元中学生クライマーである。電車で一人ではるばるやってきたらしい。
この高校生、一番大きな岩の未だ登られていないらしいところを登るのだと、なにやら土木工事を始める。そして、トライを始める。
下は何となくホールドがありそうだが、上のほうにホールドは見えない。大丈夫なのだろうか。
この岩のその場所の右のほうに4級位のところがあって、そこを勧められる。登れるかも知れないと思えるところだったのだが、降り口が反対側の苔だらけのカンテと言うことで、見に行ったら、下まで水が迫っていて、最後の飛び降りがいやらしそうに見える。先にそこを登って降りてきた仲間に聞いても、降りるほうがいやらしいと言う。折角勧められたのだが、諦めることにした。
高校生は相変わらずその左の壁に挑戦していた。
斜面の上のほうにある余り大きくない岩を登ろうとあがってゆく。高さは2mかそこらの高さで、その手前のリップにはいきなり手が届く。そっから出たのでは面白くないから、一応一手下から出ることにする。
難しくは無いが、誰も登っていないみたいだから、苔だらけで、下地は結構急傾斜だったから、少しだけ面白かった。
仲間が川に面した岩の面の課題を跳ぼうとしている。3級位らしいのだが、丁度着地しそうなところに岩が迫っている。下手をするとその岩に激突しそうに見える。跳ぶには少し勇気がいる課題なのだ。
仲間は一回中途半端に跳んだ後に、2回か3回目に相当振られはしたが、リップを捕らえることが出来た。
そこを仙台の人が跳ぶ。そして、失敗し、落ちた時にその後ろの岩に顔をぶつけ、メガネを飛ばしてしまった。自動車を運転してきた方だったから、大丈夫か少し心配してしまった。
皆が、色々な場所にトライしていたので、小生も、少し離れた岩に行って、その岩を触ってみた。
最初は、少し大きな岩の前の大きなフレークみたいなところを触ってみる。
フレークの左の方は水平で持てるのだが、その右のほうは縦ホールドになって、それを右手で持つから、なかなか持ちにくい。身体を右にもってゆかなければならないのだが、下半分は切れているから、足を腰の近くまで上げなければならず、なかなか身体を右にもってゆけないのである。
何回かトライしたが、疲れてしまって先に進めない。諦めて、その左の狸の腹のような丸みを帯びた下部を持つ岩にチョークがついていたから、そこを触ることにする。
この岩も腰から下辺りが切れている。ホールドは右手はかかるが、左手は良いものが無い。最初は離陸の方法がわからなかったが、やっと右手でぶら下がって何とか左足を上げ、身体を引き付けて上のホールドを取ることが出来た。そこからは傾斜が寝ているから簡単である。しかし、どうもそこから上に抜けた様子が無いのである。岩の上は藪で、その藪を漕がなければならないようなのだ。
飛び降りようかと思ったのだが、下には岩がある。パッドを敷いている訳でもない。飛び降りるには相当の勇気が要るのだ。仕方がないから、藪の薄い右のほうに抜けて、先にトライした岩の後ろを廻ってガサゴソと降りてきた。
皆のところに戻り、昨夜飯坂のスーパーで半額で購入した寿司弁当をほうばる。岩場でご飯も久しぶりである。
高校生はまだ先程の課題をやっている。その岩の反対のカンテを仲間が登っていたから、それを見物に行く。下には大き目の石が幾つか出ているから、落ちることは出来無そうなカンテである。この人、そんなところでもパッドは敷かないのである。
大分休んだからと、先程登れなかった岩に戻り、その大きなフレークに再び挑戦してみる。
やっぱり休んだからか、或いは体が少しは温まったのか、先程は足すら上がらなかったのが、しっかりと足が上がり、その足を突っ張って、右の縦ホールドを右手でしっかり持って、右足も上げ、その縦ホールドを両手で持つことが出来た。あとはそのフレークに左足を上げ、リップの一番上を持ってフレークの上に立つだけである。
ところが、その斜めのフレークに上げた左足がすべり、不覚にも落ちてしまう。ったくっもう。やる気の無い証拠であろうか。そうとは思いたくは無いのだが。
気合を入れ直し、何とか登ることが出来た。やっぱり気合は必要の様だ。反省する。
最初に皆が取り付きだした尖がった岩のカンテの課題を完登する人が何人も出てきて、そろそろ別のエリアに移動することになる。既に荷物は纏めてしまっていた小生だから、直ぐに支度は済んでしまった。
高校生の乗る自動車が無かったから、我々の自動車にその高校生を同乗させ、少し移動する。
エリアらしいところについたのだが、ここも普段停める路肩の部分が雪で狭められてしまっていたので、先程と同じく、その場所に人と荷物を下ろし、自動車を移動する。
先程は自分の荷物も降ろしてしまったら、その荷物を仲間が運んでくれてあったので、申し訳ないから、今回は自分の荷物だけ降ろさずに自動車を移動させた。
皆を降ろした場所まで戻ると、川原に降りるであろう石段がある。そこから先も雪が積もっていたが、硬く締まっていたので、潜ることなく川原まで降りることが出来た。
ここは大きな岩の基部にあるやはり少し大き目の二つの岩とその周りの余り大きくない幾つかの岩で構成されるエリアである。
ところが、川辺の斜面には雪が真っ白についているから、少し大き目の岩の下はその雪解けの水が流れていて、ビショビショである。駄目かと思ったのだが、そこにブルーシートを敷いてトライを始める。
その下地だが、普通だったらぬかるんで、ブルーシートを敷いても入れないくらいなのだが、幸いと言うかなんと言うか、その下地の砂が凍っているから、人が乗ってもぬかるまないのである。そんなことが有るのだと一瞬驚いてしまった。
皆はその少し大きめの2つの岩で遊んでいたが、小生は小さな丸っこい岩で遊びはじめる。
最初は易しいところを登る。
後ろで騒ぐ声が聞こえる。その岩の後ろは緩やかな斜面になっており、その斜面にびったりと雪が張り付いているのである。そこを一人の人がクラッシュパッドで滑り降りようとしているのである。慌ててデジカメを取り出し、撮影してみたが、逆光で綺麗な写真にはならなかった。
次はその易しい場所の左側である。丁度顔辺りのところに出っ張りがあり、そこをアンダー気味に使ったりして登れそうだったので、そこを登ることにする。
しかし、その出っ張りの場所が少し高いから、最初からアンダーでは使えず、なかなか離陸が出来ない。意を決して一歩出てみたのだが、すんなりと落ちる。
すると、また、「登らないんですか」の声が飛んでくる。小生の写真を撮ろうと構えていたらしい仲間の声である。そういわれても、落ちようと思って落ちて居る訳ではないから、登れと言われても簡単には登れないのである。少し焦りながら、ああでもないこうでもないとホールドを探った後、やっと出っ張りの向こう側に左手を回し、指をアンダー面に掛けるというような持ち方でやっと離陸する。
地面からリップが持てる高さだから、離陸が出来ればお仕舞いである。といって、リップはスローパーチックだから、少しオポジション気味にリップを持って上に抜ける。
大きな岩の、上がハングしたところが4級だと勧めてくれたのだが、どう見ても4級に見えない。そう言ったら、勧めてくれた方が登って見せてくれた。ますます4級には見えなくなった。
またまた仙台の方が現れる。既に帰ろうかと言う時間である。
既に4時近くになってしまったが、もう一つのエリアにぜひと言うことでまた移動することになる。そこは山のほうらしい。
自動車を停めた場所まで皆で歩いていったら、またまた自動車が一台現れる。見ると、御岳でも皆が帰りかけることにやってくる方である。そう、関東の方である。でも、自動車は東北ナンバーのようだ。今は関東ではないのかも。その方も交え、何人になったのだろう。
結局自動車4台で移動する。
一面真っ白である。その真っ白の雪原の奥に岩があるらしい。
今度の所は先程と違い、かなり雪が積もっている。従って、つぼ足では膝くらいまで足が潜ってしまう。仙台からの方々はゴム長持参である。我々は運動靴である。でも、行くしかない。
林の中にだるまさんの顔のような模様のある、頭に綿帽子を被ったような三角の岩がある。傾斜は僅かに寝ている感じなのだろうか、何しろ雪が深いから、歩き廻れないから、その岩の面を横から見ることが出来ないのだ。
関東からの二人か三人と、仙台からの何人かがトライを始める。岩の上には50cmくらいの雪が載っているが、幸いカンテの部分の2〜30cmくらいは雪が無い。フェースにも当然雪は無い。雪の上にシートを敷けば、まぁ、トライには支障は無いと言うことらしい。
仲間がトライを続けている間に、別の仙台の方が、登ってきた道をさらに上に登って行かれたから付いていってみる。
2mくらいの道が続いているのだが、今までそんな道は無かったらしい。
50mも登って行くと開けた斜面が出てくる。勿論真っ白である。その斜面の上のほうに雪を被ったボルダーが見える。それがカリメロだかなんだかの岩らしい。しかし、この雪ではその岩に辿り着くだけでも大変である。今回は諦めざるを得ないようだ。
戻る道で、その反対側の大きな斜面を見ながら、その仙台の方が、ボルダーがなくなっているという。前回来たときはボルダーがゴロゴロしていたのだが、伐採中だったので近づかなかったらしいのだが、そのボルダーの殆どが見えないらしい。雪で埋もれるような小さな岩ではなかったらしいから、どこかに持っていってしまったらしいのだ。
何しろ、花崗岩は御影石だから、少々大きな岩でも幾つかに割ってしまって運び出すことをするらしいのである。どうやら墓石にされてしまったらしいのである。そういうこともあることを始めて知ったのであった。
またそのだるまの岩に戻ってみなのトライを見物する。
こちらは先程の川原と違って、寒くはないのだが、何しろ雪の中だから、足が冷たいのである。布の運動靴だから、なおさら冷たいのである。それでもデジカメを構えながらトライ見物を続行する。
我々の仲間の一人がその岩の上に抜ける。周りでは皆デジカメやデジムービーを構えていたが、一斉にうめき声が上がる。結構何人もがトライしたがプロジェクトのままの課題だったらしい。
悪いカチを右手で取り、左手でカンテを掴んで上に抜けて行く。その悪いカチが右手で取れなかったらしいのだ。最近では不可能ではとも囁かれだしていた課題だったらしいのだ。
最後は「雪を使ってもかまわないですかねぇ」とか言いながら雪を押さえながら岩の上に立ち上がった。見ている人たちも感動したようだ。それで、だるま岩の「雪だるま」という課題になったらしい。
仙台の方が宿を提供くださると言うことなので、その日は素直にお邪魔することにした。
途中、「極楽湯」だったかのスーパー銭湯により、今夜の宿を提供くださる方の家の近くの焼肉屋に大勢で押しかける。まぁ、偶には豪華な夕食もしなければ。
関東からの4人と今回ご案内いただいた仙台の方とそのお友達の方と6人で、その方の家にお邪魔する。
いきなり犬の歓迎を受ける。サークルに入っているから、そこから出ることは無いのだが、何しろその犬の数がすごいのだ。数えたわけではないから正確ではないが、5〜6匹はいたように思う。そのほかにも亀はいるは、ヘビはいるはで、大変に楽しい部屋である。
早速飲み物をご馳走になりながら、色々な岩の写真を見せてもらう。勿論CDに焼かれた写真だから、パソコンでである。序に小生のページの岩の写真も見てしまった。自慢じゃぁ無いけど、小生のHPは・・・ まっいいっか。
なんだかんだで、2時を廻った頃にやっと就寝した。