とある岩場のボルダーその2

2003年12月 8日記
 どうも最近の天気予報は良い予報が出ない。今回も土曜日は雨、日曜日の天気はころころ変わる。いずれにしても土曜日は駄目だと金曜日に週末の外岩を日曜日の日帰りと決める。

 仲間は秩父方面にやはり日曜日日帰りで出かけるとメールが入る。しかし、小生は、日曜日に町内の一斉清掃が入っているので、相棒に一人で行ってくるとは言えない。清掃の後、相棒と近場の岩場に行くことにする。

 土曜日の朝、晴れている。というか、雨は降ってはいない。昼過ぎ、未だ雨は無い。夜、相棒によると雨が降ったというのだが。

 日曜日の朝、天気がよい。町内の一斉清掃といっても、家の周りの清掃をするだけだから、1時間か2時間で終わる。10時からだというのだが、殆どの家で9時には始めている。我が家も相棒が9時頃から清掃を始める。

 10時過ぎには清掃も終わったので、11時頃に家を出る。

 今回は、以前初めて行って、その時知り合いに教えてもらった、その岩場のもう1つのエリアが気になっていたので、とある岩場のボルダーのその新しいエリアに行って見ることにする。

 途中、道路工事の為に渋滞が有ったりして、少し余計に時間がかかってしまったが、何とか2時ちょっと過ぎには岩場の入り口に到着する。

 その入り口は、知り合いに、口で教わっただけだから、はっきりした場所はわからなかったので、最初は間違った場所に入ろうとしてしまったが、直ぐに引き返し、その次のそれらしい所に自動車を停め、念のため、相棒を残して偵察に出る。

 その知り合いから、新しいエリアは長靴の方が都合が良いとの助言を得ていたので、長靴を持参していたのだが、偵察だからと、サンダルで山道を歩く。はっきりとした道なので不安は無かったが、やはり長靴を履くべきだったか。

 5分も歩かないうちに岩が見える。有った有った。間違いない。引き返して、自動車を後続車の邪魔にならないように停め直し、仕度を始める。

 今回は昼飯は持ってきていないから、着替えた後、道具とパッドだけをもって、持参した長靴を履いて出発する。

 岩の見える少し広くなった場所に荷物とパッドを置き、相棒も、そこにいると言うので、そこに残し、デジカメだけをもって、岩の偵察に出かける。

 左手の方が尾根状になっており、右手の方は沢状になっている。

 直ぐ上に見える岩を幾つか見ながら、先ずは左手の尾根上を登ってみることにする。

 そんなに傾斜は無い少し広めの尾根である。しかし、尾根上にもその尾根の向こう側にも目ぼしい岩は見当たらない。やはり、その尾根の右側の沢沿いに岩が点在しているようだ。

 さっきから、頻りと鉄砲を撃つ様な音が遠くから聞こえてくる。既に狩猟の時期であるし、ここは狩猟が許されている場所なのだろうか。一人で藪をガサガサ歩いていると鉄砲で撃たれてしまうのではないかとの恐怖が少し湧いてくる。

 尾根を少し登ると、上のほうから人の声が聞こえてくる気がする。このエリアは前回行ったエリアから歩いて来れると言っていたから、多分前回行ったエリアからなのだろうか。

 その先岩も無さそうなので、そこから沢に降りる。

 沢へは少し急な斜面になっているが、沢床は比較的広く、水も無いから歩きやすそうである

 こちらの斜面には岩は有るが、目立つ岩は無い。その向かいの尾根への斜面に少し大きな岩が見えるので、そっちに行ってみる。

 カンテが綺麗に磨かれた感じの岩である。近づくと、一方の面の上の方に残っている泥が黒く完全に濡れている。上に乗った土の部分から染み出しているのだろうか。やっぱり昨夜の雨の様だ。写真を撮る。

 その上のほうにも岩は有りそうだったのだが、時間があまりないからと、そのままその沢を下ることにする。

 その下にも磨けば登れるかと思われる岩が幾つか有が、なんとなく皆似たような形状の岩のように見える。殆どが縦に割れて、その割れた面がスラブ状壁をなしている、そんな感じの岩なのである。瑞牆や小川山のように、上の方の大きな壁が崩落し、そのかけらが風化して面白い曲面を持つようになった、そんな感じの岩が余り見られないのである。といって、笠間の様な丸っこいカンテを持った適当な大きさの岩も少ない気がする。

 完全に沢床に降りると、大きなハング面を持った岩が現れる。登れたら面白いかもと思ったが、まぁ、小生の芸風ではない。一応写真に収める。

 その岩の下はもう直ぐ荷物を置いた広場である。相棒のもとに戻る。

 荷物を置いた場所の直ぐ上に少し大きな幅の広い綺麗な壁を持った岩が見える。近づくと、石を切り出した跡の様だ。まっ平らな僅かに寝た垂壁である。しかし、全面が濡れている。

 仕度をして、最初に見に行った岩に行く。綺麗なクラックを持った岩である。

 カンテの部分に小さな赤い矢印が付けられている。課題の場所を示す印の様だ。一応、その印に従って登ってみる。まぁ、難しくは無い。

 その右の面に綺麗なクラックが斜めに走っている。ハンドからフィストサイズのクラックである。クラックの中にはカチからガバに近いホールドもある。多分登られているのだろうが、赤い印は無い。

 ジャミングをしてみる。テーピングをしていないから、手が痛い。レイバックで、足だけジャミングして触ってみる。クラックが斜めだから、なんとなくバランスが悪い。下地も傾斜していて、そばに大きな石が出ている。思い切ったトライは出来ない。

 その岩の左のほうの壁にも矢印がある。僅かに寝たスラブチックな壁である。

 離陸して、2手か3手目で、右足を少し高くに上げ、その足に乗り込んでリップを探ったらホールドが有った。

 その左の壁も登れそうだと行って見ると印がある。やっぱり。

 足がはっきりしなかったので、離陸に少し時間を要したが、何とかスタンスを探って離陸する。ホールドは適当にある。リップには厚く土が乗っているから、どこを持つのか分かりづらかったが、リップ付近の泥を探るとその下にカチホールドが有った。そこで、マントル、なのだろうが、何しろ土の上に枯葉だから、無理をせずに、素直に横の木の幹を掴む。

 その岩の下にも2mかそこらの岩がある。ここにも赤矢印がある。

 スタートに少し迷ったが、何とか登る。

 その横にも2m位の岩が有る。ここにも3つ位の赤矢印がある。1つは真横を向いている。多分トラバースなのだろうが、トラバースは最初からはやる気がしないので、無視する。

 その印の面を左に回りこんだ面にも2つ印がある。

 右側の印は下がハングした場所につけられている。スタートに丁度良い持ちやすいホールドがある。ハング面にスタンスを探したが見当たらない。スタートの足と思しきスタンスはリップの高い所の様だ。そんな所までは足が上がらない。諦める。その左は石の上からのスタートの様だが、あまりそそられなかったので、登りはしなかった。

 下から人の声が聞こえる。誰か来たようだ。見ていると、二人連れであり、一人は知り合いであった。

 久しぶりにお会いするので挨拶をし、少しここのエリアの概要をお伺いする。綺麗なクラックのところはやはり登られていて、「ヨルダン川」とかいうらしい。

 上のエリアで人の声が聞こえたと言うと、上のエリアには2人しかいなかったと言う。確か女性の声が聞こえたような気がしたのだが?

 その人が上のほうの岩を見に行くというので相棒ともどもついてゆく。

 沢沿いを暫く上り、最初の偵察で見つけた濡れた岩の横を通り、その上の尾根上の岩に行く。綺麗な面を持った岩である。カンテ沿いとその左の面に二つか三つの課題が有りそうである。左の面は磨けば3級位らしい。

 下りが少し急だったので、相棒は我々とは少し違う沢床に直接降りるルートで降りてくる。それをサポートすべく沢床を少し上ると、そこに赤布がつけられている。やはりこちらが楽なルートの様だ。

 その岩から上のほうを登ってゆくと、ここのメインのエリアのアンコ岩の近くに出るらしい。踏み跡も有り、赤布も付けられているらしいのだが、倒木などがあり、現在は歩きにくくなってしまったらしい。距離的にはすぐの様だ。

 ハング面を持った岩に行く。

 この岩は壁一面を蔦で覆われていたらしい。それが剥がされ、掃除が行われたらしい。よく見ると、下地の一部が掘られ、平らにされている。

 ハングの中を覗くと、これぞスタートホールドと言わんばかりのホールドがある。この岩のメイン課題はこれに決まりだろう。そこからリップのクラックを取ってハングを乗っ越し、やや寝た面を登る。小生には出来ないだろうが、多分そんな課題が出来るはずだ。

 そのハング面にはその他にも、結構ホールドが有りそうなので、ハング面を登ってゆく課題も出来そうである。ただし、この岩場全体に言えることなのだが、岩の風化が少し進んでいる様で、なんとなく岩に脆い部分が存在する感じがするのである。特にフレーク等は結構浮いたものが見受けられるのである。それが少しだけ心配と言えば心配ではある。

 「ヨルダン川」のある岩の左端っこにある、ここの開拓者が結構苦労して登ったらしい課題を教えてもらう。そんなに高くは無い、傾斜も僅かに寝た壁で、細く浅いクラックも走っていたりして、一見易しそうに見える壁である。

 知り合いが上のエリアに戻っていったので、先ほど教えられた課題を触って見る。

 スタートホールドは丁度手を伸ばした辺りのL字型のガバチックなカチである。左手は顕著なホールドは無く、強いて言えば、斜めに走る浅いクラックをアンダー気味に持つという感じである。スタートの足は右足のスメアか。

 右手が効くから、右足のスメアでスタートし、左足を縦に走る浅いクラックのちょっとした窪みに置いてみる。

 足が滑る。よく見ると、中に泥が詰まっており、濡れている。そこのもう少し上のクラックの窪みか。

 離陸し、左足を上げる。少し高いけど、右手が良いから、何とか上がる。右足を探るが、スタンスが無い。飛び降りる。

 右足のスタンスを探る。ちょっとだけ丸く膨らんだ出っ張りにチョークでマークをつけ、やって見る。スメアでは効くが、立つ事は出来ない。再度足を探る。

 僅かな少しだけ斜めのカチスタンスを発見する。場所が少しだけ低いから、もしかすると立てるかもしれない。まぁ、そんなに良いスタンスではないが。

 左足を上げ、右足を上げる。まあまあ立てる。右手を右上のクラック様の場所に伸ばす。悪い。持てはするのだが、それで体は支えられない。やっぱり足を探さなければ。

 足をまたまた探る。僅かなフレークとか、痘痕とか、スメアで効きそうなところは幾つか見つかるのだが、先に見つけた価値スタンス以外には、何とか立てそうなスタンスはない。

 カチスタンスで、左足を切ってみたり、流して見たりやって見たが、そのスタンスには乗り切れない。右手を少し上に移して見たが、そのホールドも悪く、状況は変わらない。左上のカンテの苔は磨かれてはいない。そこから左のカンテへデッドで手を出したいのだが、初登者はそうはしてはいないようだ。下地も少し狭いから、思い切ったムーブは出来ない。相変わらずパッドは相棒の休息用にと下の広場に置きっぱなしである。

 L字型のスタートホールドに両手を添えてスタートして見たり、幾つかの試行錯誤をやって見たが、これと言ったムーブは見つからない。だんだん右手の悪いホールドを取るムーブがスムースになってきた気はするが、大きな進展は無い。

 既に薄暗くなり出してきた。時間を聞くと4時を過ぎたらしい。諦めるか。

 先に触って直ぐに諦めてしまった「ヨルダン川」を再度触ることにする。

 本当はジャミングで登りたいのだが、テーピングまでは面倒くさかったので、レイバックのムーブをやって見る。

 2手目くらいに持つ辺りのクラックの淵の岩が浮いている。動くのである。その部分は持たないようにして、足はクッラクにねじ込み、離陸する。

 このクラックは、体の右側を岩につけるようにしてレイバックするのだが、その側に少し傾いているので、手には良いが足には余りよくはないのである。

 何とか、両手でクラックを持って、両足をクラックに捻じ込む。下の手を上に移す。下の足をクラックから外し上に移動する。バランスを崩し、落ちる。

 上の手を上にずらせ、下の手を上げる。上の足を上に上げ、下の足を上げる。下の手でクラックの反対の淵のガバを持ってみる。バランスが悪い。下の足を壁の方に移して見る。やっぱりバランスを崩す。

 下地の脇には大きな石が出ているから、レイバックが外れると、その岩にぶつかってしまう。傾斜もしているから、下手に着地すると、やっぱりその石にぶつかってしまう可能性もある。現に、足が外れて、手が残ってずり落ちたときに、その石にぶつかりそうな体勢になってしまった。思い切ったムーブは出来ない。

 既に薄暗い。そんなに時間はかけられない。でも、レイバックは疲れる。だんだん力が落ちてくる。余り休めない。ますます疲れる。

 思い切って、手、足をずり上げたら、リップのガバが取れ、右足をクラックの右側の壁のカチスタンスに置くことが出来た。あとは慎重にリップの手を探り、足を上げて岩の上に立つ。出来た。

 もう直ぐ5時になる。丁度良い時間である。

 自動車に戻り、帰り支度をしていると、上から先ほどの知り合いと思しき自動車が降りてきて、クラクションを鳴らして行く。暗くてその自動車の中は見えなかったが、一応手を振って挨拶をする。

 もと来た道をそのまま戻り、途中、龍ヶ崎という町の牛丼屋で夕食を摂り、本来なら出発前に済ませるはずだった相棒の買い物を済ませて家に帰る。

 家で少しのんびりして、写真の整理なども終わって、テレビを点けたら、普段なら既に終わってしまっている番組をやっている。あれぇー。そっかぁー。まだこんな時間だったんだぁー。何時もなら帰着が11時かそれ以降なのが、今回はまだ10時前であった。

 近場って、早く帰れるから、いいなぁー。


戻る

作成年月日 平成15年12月 8日
作 成 者 本庄 章