とあるボルダーその7

2002年11月10日記
 連休の後半、早川に続けて、例のとあるボルダーエリアに行った。早川のメンバーにもう一人の仲間が加わった。総勢8名である。

 何時も使う天場に、仲間を迎えに行った仲間を除き、先着組のテントを二張り張る。当然他には誰もいない。仲間のテントに集まって、例によってワイワイやる。少しして、新しい仲間と共に途中別れた仲間が合流する。

 寒い。日が照っているのに寒い。既に朝の10時だと言うのに寒い。それぞれで朝食を済ませ、一先ず何時もの駐車場に行く。すごい自動車である。こんなに朝早くから、と思ったのだが、既に11時である。我々が遅かったのだ。

 先ずはアップにとロッジの近くのエリアに行く。以前一度行った事のあるエリアである。砂利が敷かれた広場を横切ってエリアに行くのだが、その広場で、マイモーズという、最近半分忘れかかっていたボルダリングチームの話しをここが初めての二人に一人の仲間がすると、ぜひ入りたいと言う。早速二人にじゃんけんをしてもらって、今月の会長に就任してもらう。

 木々の葉っぱは黄色くなり、大半の葉っぱは落ちている。従ってこのエリアはそこそこ日は当たる。しかし、沢沿いだからか風が強い。おまけに栗のイガがいっぱい落ちている。運動靴の上からトゲが刺さって少し痛い。

 斜めにクラックの走ったほぼ垂壁でアップする。先ずは右から。斜めクラックでスタートし、左手でガバを取れば後はリップのガバである。次はその壁の右側のやや寝た所の右の易しい所を登る。

 仲間はその課題の左の少しいやらしい所を登っている。そこは、下の方に薄いフレークがあり、その左端が一寸した棚状のホールド、右端は縦の5cm位の段差になっていて、そこにはヒールが掛かる。左手左端の棚状のホールド、右手フレークの右端の角の薄い所でスタートし、右足ヒールフックで右上の僅かに掛かるホールドを取りに行く。続いて、左手を左上の指先が少し掛かる一寸した溝を取って左足をスタートホールドに上げればあとは簡単なマントルである。

 仲間は殆ど登る。が、小生には足が上がらず、なかなか登れない。前回はなんか横を向いて登った様な記憶があるのだが、そんな横を向けるようなホールドは見当たらない。

 仲間の一人が右手を左の溝に持って行って足を上げていたのを思い出し、そのムーブを試す。

 右足のヒールフックを少し上に上げて、右手で左の溝ホールドを捕らえる。そこを両手で持って、右足を右手のスタートホールドの薄いフレークに上げる。右手を右上のホールドに移し、右足に立って左足を左スタートホールドに上げる。何回目かにやっと出来た。

 仲間は空中座標とか言う初段の課題をやっている。丸っこいハングした所を登る課題なのだが、足が、ハングのツルっとした面にあるから、見えなくなってしまう課題なのだ。それで空間座標というらしい。

 小生はその右隣のオフィズスのクラックと言うかを、半身身体を入れてずり上がる。レイバックでも出来るのだが、こちらの方が圧倒的に力は使わない。

 最初に登った斜めクラックの壁の左を登る。クラックは右上に伸びているから、方向的には反対向きのホールドになる。手が入る所のアンダー持ちでは少し高すぎて持ち難い。少し難しくなる。スタートさえ出来れば左上にガバがあるから、離陸してそこに飛びつくだけの一手物の課題である。まぁ、何とか登る。

 あまりに寒いから、前の砂利敷きの広場にマットを持って移動する。ここは沢筋から少し外れるし、周りは背の高い草で囲まれているから余り風が来ない。日当たりは抜群だから暖かい。結局若者4人も集まってひなたぼっこを始める。

 ここは林道のすぐ脇である。その林道は交通量が多い。マイクロバスやら大型バスまで結構頻繁に通る。途中車を止めて散歩に出て来る人達もいる。その人達から我々は丸見えである。良い若者が車座になって、草原の真ん中でひなたぼっこをしている様はどう見えていたのだろう。結構異様な様ではあるはずだ。

 前回小生が登れなかった4級の少し高いスラブの壁がある。ここが何回目かの仲間は登るが、初めての仲間はなかなか登れない。三段ボルダラーも途中からのダイブを繰り返す。スラブのハイボールはグレード以上に難しいのである。

 初めての一人の仲間が、三段ボルダラーがダイブを繰り返した場所で動けなくなる。そして、三段ボルダラーに助けを求める。どうすれば良いのかと。降りるに降りられないし、2m程もあるだろうし、おまけに下にはマットも無いし、わかるような気はする。

 空間座標は登れると易しいらしい。スタートホールドを触ったが、ぶら下がる事は出来る。後は、被っているから足を選んで右手を出す。左手を近くに寄せて右足を上げられればマントルが返せる。そんな課題の様だが、右足を上げるのが、狭いしホールドも良くないらしいので難しいらしい。結局スタート後の一手が出なかった。

 アップも充分過ぎるくらいに済んだので、阿修羅とかいう課題のある場所に移動する。

 駐車場所に行くと、カム類をいっぱい積んだ車が置いて有る。仲間の知り会いの人の車らしい。良く見ると、運転席に置いて有る携帯電話に名前が書いてある。間違いなく知り合いのようだ。

 先ず、さざなみクラックのエリアに行く。そこで、上に行くグループと、阿修羅に行くグループに別れる。小生と相棒は上に行く。上に行くグループは5人だ。皆初めてではない。

 前回は見ただけの岩に新しい課題が出来たらしい。そのうち、右のやさしい課題を登って見る。スタートして、リップのガバに飛びつく。そこが少し遠いが、あとは簡単である。リップのガバに片手でぶる下がってしまったが、何とか止り上に抜ける。

 その右に廻り込んだ所にやさしい課題を作ったと言うので、小生が試しで登って見る。いきなりリップに届いてしまうが、SDと言う事で下から出て見る。確かに易しい。所が、その時のフレークのホールドが「ミシッ」って感じで音がした。再度触って見ると少し動く。仲間が触るともう少し動き出す。剥がそうと揺すると、なかなか剥がれない。来春には剥がれているだろうと言う事にする。

 仲間と、少し離れたハイボールのスラブを見に行く。右の方は3級位らしいが高いからパスする。

 戻って来て、もう一つの左端の易しそうな所を仲間が登ったので小生も登って見る。仲間は易しいと言うが、小生には易しくは見えなかった所だ。

 やって見ると、やはり右手のホールドの向きが悪く、次のホールドもわかり難いので易しくはない。左手が取れずに落ちる。足を上げて右手をガストン気味に持つのだが次の左手がわからない。何回かやって、仲間が上げた所よりも下のスメアチックなスタンスを使ったら辛うじて左手が取れた。後は少し身体を振ってリップを取り、上に抜ける。

 仲間はさっきのハイボールの左の易しい方を登りに行く。そこはすごく高いから、小生は行かなかった。

 阿修羅に別れた仲間の一人が戻って来たので、その人ともう一人の仲間と4人で千里眼という課題の岩に行く。残りの2人の仲間は阿修羅に合流する。

 この千里眼と言う課題は、最初にここに来た時に連れて来てもらった所である。課題名は良く聞いていたが、課題を確認出来たのは初めてである。

 この岩の左の方に少し高い下地もあまり良くない、カンテの4級だったかの課題が有り、前回はそこが恐くて登れなかったのである。今回も恐いから登らないのである。で、少し自身をつけたランジの、千里眼の右の3級位の課題を飛ぶことにする。仲間は勿論千里眼である。

 まぁ、結局そういうことで、間もなく暗くなり始めるからと直接駐車場所に戻る。

 駐車場所では我々が仲間を待っている間に、仲間の知り合いの人が丁度戻って来た。ルートではなくボルダリングだったらしい。仲間と色々とお話しをしていた。

 仲間がなかなか戻らないので、待っている仲間がハッキーとかいうお手玉みたいな物を足で蹴り会う遊びを始める。

 この遊び、アメリカ辺りで流行っている遊びらしいのだが、小生の行くジムで最近結構流行っているのである。今回も、朝のトイレによる駐車場でも遊んでいたし、午前中の広場でのひなたぼっこのの時にも遊んでいた。来る途中の高速のサービスエリアでも遊んでいたらしい。

 暗くなり掛けてやっと仲間が帰って来る。で、買い出しに出るという仲間二人と別れ、天場に戻る。

 夕食を済ませ、ラジオを聞いていたら眠くなってしまい、うとうとと寝てしまった。

 人の声で目を覚ますと、買い出しに行っていた仲間が帰って来たようだ、雪が降って来たといっている。テントから顔を出すと、確かに細かい雪が舞っている。これが積もったら嫌だなぁと思いながら、外に出しておいたポリタンクの水を仕舞い、結局はまた寝てしまった。

 朝、目を覚ますと既に8時頃である。日もさしている。さっきはテントの周りを誰かが歩いている気配が有ったのだが、今は誰一人起きている気配はない。昨日のように側の道を走る自動車もいない。仕方が無いからまたしばしうとうとする。

 さすが、9時前には起きだし、朝食の用意をする。向かいのテントからは仲間が一人顔を出す。しかし、隣のテントからは物音すら聞こえない。

 食事を済ませ、どうしても我慢が出来なかったので、先にトイレのある駐車場まで行き、トイレを済ませてまた戻って来る。隣のテントの若者集団はやっと起きだしていた。

 テントを畳み、皆の支度を待って、再びトイレのある駐車場に行く。今日も観光客は多かった。

 皆の協議の結果、畑の近くのボルダーに行く事になる。そこは以前行った事のある場所である。

 林道の脇に車を止め、岩のある所に行く。この岩は一つだけで、近くには岩はない。片面はスラブになっており、もう片面はより立った壁になっている。

 結構苔が生えている。殆ど誰も来ないようだ。再び皆で岩の苔を磨く。

 スラブは恐いから、立った面の易しい課題を登る事にする。

 最初は左の方の課題だ。足もあるし手もソコソコある。そんな課題だったと思う。次は右の方の細かいカチでスタートする課題だ。皆が登る中、小生は離陸が出来ない。言い訳だが、初日に穿けた右手人差し指の腹の穴が痛い。三日目だから力が出ない。

 真ん中のそれより難しいらしい課題を触る。一寸した棚状の所を使って、横を向いて少し遠いリップのガバを取る、そんな課題だったと思う。その棚にはヒールフックを使ったかも知れない。二回目位には登る。他の仲間はその面のトラバースや、裏のスラブを登っている。

 大体一通り登ったので、少し離れた別の場所に移動する。離れているとは言ってもそう遠くはないので、歩いて行く。

 ここは沢沿いのエリアだ。道からは結構急な落ち葉に埋まった斜面を降りて行く。

 すごく被った面を持った岩が現れる。が、そこには課題は無いらしい。その少し下の岩が黄金岩という岩らしい。丸っこい形の大きな岩だ。

 その沢の下流側の下が被っている。そこを細かいホールドでスタートして、二手三手と繋いで丸っこいリップ部分をマントルして行くそんな感じの課題が設定されているらしい。因みに初段だとか。何人かの仲間はその課題を触り出す。

 小生はその少し下流の沢沿いの小さな岩を見に行く。

 中っ位の岩の沢側が半分くらいの高さの所から凹面状に窪んでいて、ペタペタという感じでマントルすると面白そうな感じがする。しかし、小生には出来そうに無いので、その少し斜面側の小さな丸っこい岩に行く。

 下に石の挟まった、金床型みたいなマントルにもってこいの岩である。リップにはこれ又ここからスタートして下さいと言わんばかりのホールドが幾つかある。高さも2m足らずだから、磨くのも磨き易い。

 リップのホールドからブラシでごしごし磨き出す。表面は風化しているからざらざらしている。そのざらざらした所が削れると結構大きな結晶が出て来る。痛そうぅ。

 今度はリップの上の部分だ。すごく寝ているから苔がすごい。苔を剥がすと泥がすごい。泥を払うには硬いブラシよりは柔らかいブラシの方がやり易いので、荷物の中から柔らかいブラシを取り出す。

 一通り磨いたのだが、リップの上にホールドはない。これでは小生にはマントルが出来ない。磨き残した左の方の苔を剥がす。すると、少し右斜め上に走る一筋の溝が現れる。これを使えば間違いなくマントルできる。でも、左により過ぎているから、あんまり面白くはない。でも、一先ずはこの岩を登らなければと一生懸命磨いてよいしょと登る。

 仲間が来て、その右端の出っ張りの所のスタンスにヒールをかけて登ればと言ってくれたので、次はそこのマントルをやって見る。

 左側のガバチックなホールドを両手で持ち、右のリップ直下の斜めの面を持つスタンスにヒールを掛けて乗り込んで行く。所が、この面が余り広くないし斜めだから、フックする場所を相当に吟味して乗り込んで行かないと段々不安定になってしまう。

 何回かやって見てやっと右足に乗り込む。次は岩の上に乗り込む段だが、手が良い所が余り無い。幸いその寝た斜面の一番上が峰状になっていて手が掛かる。そこまで手を伸ばして膝をその峰の向こうの斜面まで巻き込んで馬乗りになるような格好でやっと岩の上に乗り上がる。不格好だったけど、何とか登れた。

 黄金岩を登っていた仲間がやって来る。その仲間に登ってもらうと、ヒールフックも向こう側の面を使う事も無く、正対気味に足を上げて簡単に乗り込んで行く。簡単なんだ。

 出来ないと思っていた真ん中の所も、リップの所の丸っこいガバチックなホールドだけでマントルを返してしまう。そっちも簡単らしい。その仲間のムーブを真似て小生もやって見たら出来た。ちょっと勢いを付けてリップ直下のスタンスに乗り込んだら身体が上がった。右手を返すのが少しきつかったが何とか返って完全に右足に乗れた。こういうマントルも有ったんだ。忘れてた。

 先に見たちょっとペタシチックな岩を仲間と一緒に見に行く。

 先に確認したスタンスを磨くと意外と良いスタンスである。そのスタンスに乗れば終わりそうだ。リップとその上の凹面は殆ど苔はない。

 仲間が、スタートの手と足で少し迷っていたが、スタートの外エッジに乗れるスタンスを見付けると、それを使ってすんなり登ってしまう。意外と簡単そうだ。もう少し凹面をペタペタとやらなければならないと思ったのだが。真似をしたら、ペタペタも無く小生にも楽に登れた。

 仲間がその左のちょっと丸っこくボコッと出っ張った壁をそこそこ悪いホールドとスタンスで登る課題を始める。が、左手のホールドまで左足を上げる所が悪いらしくなかなか成功しない。そこを別の仲間が登る。最初にやっていた仲間は結構長い事やっていた。

 一人の仲間が対岸の岩を磨いて登ったらしい。戻って来て仲間を誘ってまた対岸に行く。他の仲間も何人かでその岩ではない岩を見に行く。ここはいくらでもマイボルダーを磨く事が出来るのだ。

 対岸は岩がゴロゴロ所か折り重なっていて、それらの岩と岩の間をよじ登らなければ先に行けない状態である。仲間は岩をよじ登って先に行くが、小生と相棒は遠回りして岩をよじ登らずに奥に進んで見る。すると、仲間が見付けて色々と探っていた洞穴みたいになった所に出る。仲間3人が色々と探っていたが、登るのは難しかったようだ。

 我々は引き返したが、内一人の仲間はブラシを持って引き返し、その洞穴の後ろの岩を登ったらしい。それで、また別の仲間がその岩に行く。

 別の仲間が上流に大きな途中まで磨いた形跡のある岩が有るというので、その仲間を追って相棒と行って見る。

 途中、岩などは無い林の中を不安になりながら、少し歩くと大きめの岩が目に入る。それかと近付くとその先のもう少し大きな岩の上に仲間がいて、こっちだと言ってくれる。

 相棒を待って、その岩に近付くと、藪の中にほぼ垂直の壁が有り、仲間二人がトライしている。すでに薄暗くなっていたからフラッシュをたいてその状況を写真に撮る。

 どうも登れなさそうだったので、最初に見えた手前の岩に戻り、もしかすると登れそうなカンテを登って見る。カンテの上の方は苔がついていて、それを掃除していないから、そのカンテは登れないのだが、途中まで登った所を相棒に写真に取ってもらう。

 奥の岩から戻った仲間が、そのカンテの右側の壁が易しそうだというから、小生には難しそうに見えたから駄目だろうと答える。で、その仲間がそこを登り始めたのだが、やはし易しくは無かったようだ。2級位だったらしい。登らなくて良かった。

 もう暗くなり掛けていたから、仲間はそこから自動車まで直接戻る。しかし、我々二人は荷物を置いて来たので、荷物の所まで戻り、まだそこで登っていた仲間を置いて、一足先に自動車に戻る。

 所が、途中で帰った仲間を送って行った仲間が車をここまで乗り入れており、その車で我々の車を置いた所まで戻ったので、我々二人が一番遅くなってしまった。

 今回は近くの温泉ではなく別の場所の温泉に寄る事にして、インター近くのファミレスで夕食にする。その後、武川の湯という前にも寄った事のある温泉に行き、ゆっくりして8時過ぎに帰った。

 例によって、相模湖までは国道20号であった。途中湾岸で工事渋滞らしいものに遭遇してしまったが、14号に迂回して、12時過ぎには家に着いた。


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作成年月日 平成14年11月10日
作 成 者 本庄 章