とあるボルダーその6

2002年 6月26日記
 相棒と一緒に土日でとあるボルダーエリアに行った。天候があまり良くなさそうだったのでどうしようか迷ったのだが、ジムの仲間が行くと言うので、我々も行く事にした。

 仲間には多分行けないだろうと話しをして有ったので、待合わせ時間を気にせずに、土曜日の朝7時頃に家を出る。途中丁度7時半頃に7時半に開く何時ものガソリンスタンドの前を通ったので、ガソリンを入れる。

 普段の土曜日のこの時間だと、道路は結構混んでいるのだが、今回は比較的空いている。湾岸も首都高も渋滞はない。中央道も渋滞の情報はない。やはり梅雨の合間だから空いているのだろうか。

 途中、中央道の八王子の手前で石川のサービスエリアに入る。電光掲示板では「空き」との表示になっていたのに大型バスの数が多く、なかなか空きスペースが見つからない。一番本線寄りのスペースは幾つか空いているのだが、真ん中の通路に入ってしまったので、今更そちらには廻れない。おまけにその真ん中の通路の先には大型バスが停まっていて先に進まない。トイレに行きたくて入ったのにとやきもきするが仕方が無い。やっと動き出したが、その両側には空きスペースが無いから、そのまま素通りしてサービスエリアを出てしまった。

 その先のトイレは藤野のパーキングエリアまで無い。相模湖インターで高速を降りようと考えていたのだが、藤野のパーキングエリアは相模湖の先である。仕方が無いからもう一つ先の上野原のインターまで行く事にする。幸い、藤野のパーキングでは何とか車を止められたのでトイレを済ます事ができた。

 上野原からは甲州街道を走って甲府まで行く。ガソリンはまだ半分も減ってはいなかったが、甲府市内で何回か前に見付けた比較的安いガソリンスタンドに寄って、帰りの分の給油を済ませる。これで帰りのガソリンの心配をしなくても良いので大分楽になる。なにしろ、ガソリンを満タンにしても往復では僅かに足りないのだ。

 何時もの場所に1時頃に到着する。途中仲間の自動車らしい物は無かったし、そこにも仲間の自動車らしい物はない。一応少し昼食を取って、仲間がテントを張ったのではないかと思われる場所に行って見たが、自動車はない。とすると、最近ずっとテントを張っている場所かと、そこに行って見ると、仲間のテント3張りと自動車二台が有った。

 ここは途中大きな泥濘が有り、最近は天気があまり良くなかったので、一番行きたくなかった所なのだが、今回はその泥濘に土が入れられたようで、そんなに泥濘は酷くはなかった。

 我々もその場所にテントを張り、以前、その近くの沢沿いにボルダーを探しに行ったと言う事を聞いた事が有るので、沢沿いに行ったのではないかと、沢沿いに少し登って見ることにする。

 途中岩場が有り、クライマーがいたので、沢沿いに道があるかと尋ねたが、わからないと言う事だったので、行ける所まで行ってみようと暫く踏み跡を辿る。10分程でその踏み跡は沢に出て、沢沿いに行くようになるが、沢も狭くなり、ボルダーが有りそうな雰囲気も無いし、相棒を歩かせるには少しきつい道になるので、そこから引き返す。

 先程の岩場まで戻り、そこから沢の下流の右岸に付けられた、工事の時の道と思しき少し幅の広い道を下ってみる。その道の脇の斜面は下草が殆ど無いし、それ程傾斜も無く、適当にボルダーが転がっている。もしかしてこの辺かとも思ったが、人の入った形跡も見当たらないから、そのまま15分ほどその道を下る。

 すると、その道は、沢床に降るところでコンクリート舗装になるが、沢床を進む部分が壊されて完全に失われており、ゴーロになってしまった。大分下って来てしまっているし、登りも大変だろうと思い、そこから引き返す。

 テントに戻ると、相棒が疲れたから休むと言うので、相棒をテントに残し、小生独り空身で、そこから始まる山道を登って見る事にする。その山道の先にも岩場があるらしいのだが、未だ一度も行った事がないのである。

 最初は自動車がやっとこさ入れるくらいの道なのだが、すぐに山道になり、尾根を巻き込んで、尾根沿いに登る道となる。その尾根沿いにも、幾つかの磨けば7級や8級位の課題は出来るかもしれないボルダーが転がっている。

 その尾根が切れて斜面にぶつかる辺りでまた岩壁が現れる。その岩壁の基部を廻り込むと、またもう少し大きな岩壁が現れる。その基部の道の反対側にはやはりノペッとした壁を持つボルダーがある。そして、その道の真ん中にザックが一つ置いて有る。そのザックの上にはチョークボールが置かれている。

 なおも進むと、その道は木の梯子のようなものを渡して作られた沢沿いの道になる。沢沿いを行くようになるが、その先何処まで行ってもきりがないので、そこから引き返す。

 さっきの荷物の所まで戻り、折角だからと脇のボルダーを見て見る。90度弱位の傾斜で、顕著なホールドやスタンスは見当たらない。多分登れる所が有るのだろうが、易しくはなさそうだ。現に下の方にはホールドやスタンスになりそうな所にチョーク跡が有るが、真ん中辺あたりで消えている。リップの下辺りは苔が結構生えている。

 テントに戻って、相棒と二人でお茶を沸かして飲む。少し寒いので寝袋に入ったらうとうとしてしまった。5時過ぎにジムの仲間が戻って来る。テントから出て挨拶をし何処に行っていたか聞いて見ると、全員でさっき荷物の置いて有った岩場でクラックを登っていたらしい。小生が通った時は丁度裏側の方にいたらしい。

 仲間の自動車の前輪がパンクしていたので、タイヤ交換をする。その時ジャッキが無かったので小生の自動車のジャッキを使う。なんとその仲間は初めてのパンクらしい。もう一人の仲間もタイヤ交換は初めてだったらしい。

 仲間のテントの一つに皆が集まり焚き火を囲みながら食事をし、そのまま11時過ぎまでお話しをする。何時もの事だが、いつもの話題で盛り上がる。まぁ、仲間内の話題である。

 朝方、雨の音がする。やっぱり雨が降ってしまったようだ。仕方が無いからまた寝る。7時頃また目を覚ますと雨は止んでいた。しかし、曇っており、テントは濡れている。若しかすると登れないかもしれない。

 何時もより遅く、9時過ぎに皆が起きだし、食事をして用意をする。仲間は昨日の場所に行く仲間、別のルートに行く仲間、ボルダリングをする仲間と別れる。我々は別に登らなくて良いので、楽珍な所にくっついて行って皆が登るのを見学していても良かったのだが、岩場まで行くのが大変だし、ボルダリングをしたいと言う仲間が一人だけだったので、我々もその仲間と一緒にボルダリングをする事にする。

 走り出して早々に、なんか変な音がするような気がする。道が極悪だからどこか自動車の底を打って何かを壊したかとも思ったが、そのまま少しゆっくり走りながら何時もの駐車場に到着する。先に着いていた、昨日パンクした、ルートを登りに行く仲間の一人がこちらを指差している。降りると、やっぱり前輪の左がバーストしている。パンクなんて物ではなく、完全にタイヤが破けている。なんとなく、そんな予感はしていたのだが。やっぱりという感じである。

 仲間に手伝ってもらって早急に黄色いエマージェンシータイヤに交換する。これで、おそろいになってしまった。一応5時頃に待合わせてルートの仲間と別れ、適当に歩き始める。

 ここのボルダーはほとんどが林の中なので、日当たりの良いものは少ない。従って、何処と言うあても無い。一応千里眼という課題のある当りにいるとルートに行った仲間にはもう一人の仲間が伝えたのだが、小生にはそこが何処だかはわからない。

 適当に歩いて、適当に見えた石に近付く。仲間曰、そこには5〜6級の課題と2級の課題があるらしい。石に触って見ると、濡れてはいない。まぁ、乾いているとも言えないが。支度をしてアップをする。

 仲間がカンテの課題を登る。やさしいらしい。仲間はそのカンテを右の方から出て登る。出だしが少し悪いらしい。一応その辺を写真に納める。仲間がその右のポケットからランジ気味にリップを取ってマントルする課題を登る。

 小生は先ずカンテを左から出る。なんとか登る。しかし、リップ付近のガバカチですでに指が痛い。まだ暖まっていないからなのだろうか。続いて右から出て見る。右手で上のガバカチを持ったが痛くて耐えられず落ちる。やっぱり。

 少し休んでまたやって見たら、今度はそのガバカチがしっかりと持て、足を上げてそのホールドを引き付ける事ができた。あとは左からの課題と同じだから、先程の学習結果から、少し違うより安定したムーブで上に抜ける。当然右隣の少し被った課題は触らない。次に移動する。

 また道に戻って、少し右に移動してまた斜面を登って行く。ここは少しだけ歩き難い。

 ここには凹角のルーフからスタートして上のスラブ状の所を登る課題がある。スタートが結構被っているが、凹角だからステミングで何とか被りを殺せそうだったが、ルーフのクラックが悪そうだったから今回は小生はパス。今度独りで来た時の課題としよう。仲間は登る。

 その石の少し上にすごく被った所にクラックが走る石がある。仲間がその課題をやると言うので、小生はその右のほぼ垂直の壁の課題を触ることにする。

 途中ホールドがあって、それを繋げばリップに手が出るのだが、リップの上がわからなかったのと、降り口を探る目的で裏からその石の上に廻って見る。しかし、これが結構大変である。大分大きく廻らなければならないし、途中、払われた下枝を束ねたがさがさの所を越えなければならない。石の上は草茫々で、刺の生えた植物も生えている。

 リップにはおあつらえ向きの細長いポケットが二つか三つ空いている。マントルは簡単そうだ。でも降りるのが大変である。石の下に戻って、登って見る。リップが思いの外止まる。ポケットは少し奥だから最初はリップを持つ事になるのだが、そこが結構持てたので、そこから、少しもたもたはしたが、奥のポケットに手を送ってマントルを返す。

 石の上に立って、廻って降りるのが面倒くさいからその場所をクライムダウンする。リップのポケットがガバだから難しくはない。

 仲間は少し時間をかけてその課題を攻めると言う事なので、小生はその右の先に登った石の左のカンテを磨き出す。そこは下に石が有るのだが、70度位のカンテになっており、こっちの面は少し被っているが、カンテのリップの少し下にガバがあるので、それを取ってカンテに廻り込めれば後は苔苔だけど易しく登れるだろう所である。

 カンテのリップはそれ程苔はないがその少し奥は少し厚い苔に覆われている。カンテのリップを少し磨いてみたが持てそうな所が見つからない。奥の苔を剥がして見る。すると、縦のガバが現れる。これを使えば簡単だ。もう少し上の苔も剥がすと、そのガバがずっと伸びていて、上の方で斜めガバになっている。これなら上がってから上の苔を掃除しても大丈夫だ。

 足になりそうなカンテの小さなポケットを磨いて、下にある石の横から左手は奥の縦ガバ、右足は適当なスメアでスタートし、左足をカンテの小さなポケットに乗せてマントルを返そうとしたら足が滑って真横になって落ちる。幸い下の石にはぶつからなかったので大事にはならなかったが、もう少しで後ろの木の切り株にぶつかる所だったようだ。

 やっぱり苔を落としたとはいえ、上の苔を剥がした時の泥とか、なんだかだで結構滑り易い。マットを持って来て下に敷いて、そのポケットの足が少し低いので、その少し上にスメア出来そうな所を探して、磨いて、そこに足を乗せてサイドガバと斜めガバでカンテへのマントルを返す。

 その斜めガバというか小バンドというか、そんな感じの所に乗って、上の抜けぐちのリップの苔とその下のスタンスを磨く。別に磨かなくてもリップは腰の少し上くらいの位置だからリップに身体を預けて這い上がれば上がれるのだが、一応、スタンスは少し外形はしているがガバスタンスが見つかったのでそれと、手になりそうな所を入念に磨いてから上に抜ける。そして、石の上のガサから裏に廻って降りてくる。マントルの所が核心と言えば核心の、多分9級位の課題だと思う。

 今度は、この課題のスタートの下にある石に乗ってスタートして見る。石の上からだとやさしいかと思ったが、結果はどっちでも変わらないようだ。多分石の上からでも9級位だろう。

 仲間は相変わらず被った石の課題をやっている。でも、一回のトライが結構疲れるらしく、少し長めに休んでいるようだ。スタートの次のポケットが持ち辛いらしく、なかなかリップが持てないようだ。

 さっきカンテを登った石の向かいにも小さな石がある。この石は下がルーフ状になっていて、そこからのSDスタートを仲間が探ったが、難しいようだ。小生はそのルーフのリップに乗り込んでその側壁を登るのをやって見る。ここは既に石が磨かれているので、既に誰かが登ったのだろう。

 スタートとなるであろうホールドは浅いポケットである。右手はサイドカチだと思う。しかしスタートの足が少し高く、スタートのポケットが悪いので身体が上がらない。あしを色々と探すがこれだと言う物はない。まだ磨かれていない左の方を少し掃除して見る。小さなポケットや一寸したカチっぽいのが有るのだが、何れも今一つで、小生には使いきれない。

 左のカンテ近くの所の苔を剥がしたらガバポケットが現れる。しかし、この石は高さが無いから、このガバを使ってしまうと面白くない。一応そのガバポケットを磨きはしたが、使いたくはない。でも他にホールドモ見つからないからそのポケットで離陸して見る。一歩出ればリップが掴める。しかし、リップは掴まず、最初にトライしていたラインの方にトラバースする。

 これが簡単そうに見えたが意外と出来ない。足を磨くとそこら中に足が出て来る。適当に磨いてまたやって見る。ホールドが無いから足に乗り切れていないから横に動けない。足を少し上に上げたら少し横に動ける。右横のホールドが取れる。あとはやさしい。

 どうしてもガバポケットを使わずに離陸したかったから、なおもしつこくホールドを探す。少しは良さそうな浅いポケットを磨くが、結局は位置とかの関係であまり変わらない。仲間もあまり進展が無い様だ。

 雲が降りて来たような気がする。頬に水滴を感じる。遂に来たか。仲間も雨を感じたらしい。やっぱり降り出したようだ。仲間は被っている所をやっているから、急いで靴を履いてトライを始める。しかし、休み方が足りないのか離陸して次のホールドを取りに行く所で終わる。

 完全に雨が降り出す前に支度を整え車に戻る。途中結構降って来たので、途中の東屋で雨宿りをする。10分も休んだだろうか、少し小降りになったので歩きだす。車までは5分もかからない所だ。

 駐車場に戻り、車の中に避難する。時間は2時ちょっと過ぎだろうか。ラジオを付けると演歌をやっていた。

 ルートに行った仲間はそこから一時間くらいかかるところに行ったらしい。その方面を眺めると雲の中である。完全に雨が降っているはずだ。登っている最中だとすると降りてくるまでに一時間半位は掛かるのだろうか。そんな話しをしながら聞きたくも無いラジオを少し聞く。何しろここはNHKの2局しか聞こえて来ないのだ。

 雨は降っているのだか止んでいるのだかわからないくらいになっている。ワイパーを動かすとその跡に新たな水滴が付くので、降っているのだと確認出来る位だ。

 なんだか雨も止んだようだし、一応傘も持っているからと、仲間がまだ行った事のないおはようスラブ方面を見に行ってみる。

 車で少しだけ移動するのだが、そっちの方の道は結構濡れている。一応傘を持ってでる。

 やっぱりおはようスラブは日当たりが良い分雨にも濡れている。その上の二段の課題のある石も見に行く。帰りにはその下の沢沿いの石も見て見る。全て濡れているから見学だけだが。

 元の駐車場に戻ると、そっちは湿っていると言う感じで濡れていると言う感じではない。高々数百メートルしか離れてはいないのだが、こんなに雨の振り方が違うのだろうか。なんか不思議な感じになった。

 もう4時近いのに仲間は降りて来ない。どうしたんだろう。雨は止んでいるから少し近くを散歩する。

 4時半頃だっただろうか仲間が降りてくる。聞くと、雨は降ってはいたが、壁が被っていたので雨の中を遊んでいたそうだ。前傾のクラックで結構面白かったらしい。

 我々は、それでも3時間近くは遊べたから、小生は満足している。仲間の若人は満足しなかったかもしれないが。

 別のエリアに行った別の仲間のグループは別に約束をしていた訳ではないから結局合流しなかった。それにしても、その仲間達はあの雨の中をずっと遊んでいたのだろうか。仲間内では全会一致で有り得るとの判断だったのだが。

 帰りには途中から雨となった中を村営の少し寄り道となる温泉による。こちらは一人500円である。サウナとか薬湯とかは無いが露天風呂も有り、休息所もあるから、お買得の温泉であろう。

 そのまま高速のインターに向かうと言う仲間と別れ、相棒と二人で一般国道を、エマージェンシータイヤを履いているから、チンタラと走る。とはいっても、流れを止める訳には行かないから、一応前の自動車には付いて行く。途中の甲府市内で何回か前に寄ったハンバーガー屋に寄って夕食を済ませ、高速の渋滞の掲示板をよそに、相模湖まで車の少ない一般道を走る。

 相変わらず途中強くなったり弱くなったりはするが、雨は降っている。小仏トンネルの渋滞は10数キロだったのが3キロ位になっている。もう渋滞は無い様だ。

 タイヤがなんとなく心配ではあったが、高速に乗る。そして、やっぱり80キロ位でチンタラ走る。空いているし、雨も降っているから、そんなに抜いて行く車も多くは無い。

 中央道、首都高と渋滞も無く11時には何事も無く家に着いた。朝は遅くまでゆっくり寝ていたし、ボルダリングもあんまり頑張らなかったから、そして、ハンバーガー屋でコーヒーのお代りをして2杯も飲んでしまったから、帰りも眠くはならなかった。

 今回も大変にゆっくりしたボルダリングでは有った。


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作成年月日 平成14年 6月26日
作 成 者 本庄 章