とあるボルダーその19

2007年 6月 2日記

 土曜日の日に、もう何年振かになる昔の仲間と茅ヶ岳に登ることになった。その計画は、茅ヶ岳に登った後、仲間の山荘で一泊し、日曜の朝解散ということだったので、折角だからと、そのまま相棒と二人で、とあるボルダーに行ってきたのだ。今年初、久し振りのとあるボルダーであった。

 朝10時頃から用事があるという仲間の予定に合わせて、朝5時頃、仲間と一緒に山荘を出て、我々はとあるボルダーに向かった。その山荘は明野町だったので、そのまま広域農道に出て、みずがき湖に向かう道に合流した。しかし、朝ごはんも昼ごはんも用意をしていなかったので、いったん須玉町まで出て、国道沿いのコンビニに寄った。

 そんな訳で、みずがきの森駐車場には6時頃には着いてしまった。到着するまでは、自動車の中で寝ていればよいやと考えていたのだが、いざついて見ると、寝る雰囲気ではなかった。気温も3度しかなかった。

 しばらくラジオを聞いていたが、瑞牆山荘からの登山道の脇にもボルダーがあるとの情報があったことを思い出し、そっちを偵察することを思い立った。

 瑞牆山荘の前にはしばらく前だが、新しくできた広い駐車場がある。まだ見たことがなかったので、そっちの駐車場に自動車を停めた。

 その駐車場は広く、アスファルトで舗装されていて、きれいに白線が引かれている。そこには、既に20台から30台位の自動車が停められていた。

 一番奥の場所に自動車を停め、朝露があるかもと、自動車に積みっぱなしになっていた長靴を履いて出発した。

 駐車場の左手奥の隅から樹林帯の中に踏み跡が伸びている。結構な人がこの駐車場を利用するはずなのに、その踏み跡は以外と踏まれてはいなかった。あまりこの踏み跡を利用する人はいないのかも知れない。

 その踏み跡は程なくメインの登山道に合流し、ゆるやかな傾斜で樹林帯を登って行く。しかし、ボルダーの陰はほとんど見えない。傾斜がゆるいから、ボルダーはその辺までは転がっては来なかったのだろうか。石があっても小さなものばかりだった。

 しばらく登って行くと、少し傾斜が出てきた。そして、隣の尾根筋や、その間の沢筋にボルダーが見えてきた。以前インターネット上に紹介されていたその付近のトポには、登山道の脇に沿って点々とあったような気がするのだが、登山道の脇にはボルダーは出て来ない。その先だんだん傾斜は増してくるように見える。想像していた、比較的ゆるやかな斜面にボルダーが転がっているというイメージとは離れていってしまう。そう思えたので、隣の尾根に見えるボルダーを目指して沢に降りて行った。

 枯れ葉が積もり、ところどころ水が流れていて、ぬかるんだところがある。小生は長靴だからかまわないのだが、相棒は普通の靴だったから、ぬかるみを避けながら歩いて行った。

 沢型の中にある大きな岩の基部に行ってみた。高さは3m位か。少し被った面が丸く窪んで削られているという感じのおもしろい面である。削り残された、縦ピンチの出っ張りも走っている。ところどころポケットもあるし、残された堅い部分の鋭利な縁がホールドに見える。

 目の前にある縦ピンチホールドをつかんで見た。ザラザラであった。引っ張ったら、大きなザラザラの粒が崩れてきた。結構風化の進んでいる岩だった。

 その奥には、10m近くあるのではと思われる岩が見える。あまりに大きく感じたから、見には行かなかった。

 沢型のゆるやかな側壁を少し登ると、適当な岩が散らばっている。わずかに被った左のカンテ付近にホールドになりそうなところの見える、3m位の岩があったので、近づいて見た。

 なんとなく登れるかもという感じがしたので、荷物を置き、支度をして取り付いて見た。

 右手で少し上のポケットを持って、左足をわずかに寝た傾斜のフェースにおいて、左手で、左上のリップの少し下のホールドに見えるところを取りに行ってみた。少し届かなかったが、少し頑張って、指を掛けてみた。指は掛らなかった。以外と外傾しており、小生にはホールド足り得ない場所だった。そこが持てれば足をなんとか上げてリップが持てると思ったのだが。

 その少し上にずんぐりした丸いカンテをもった、いかにも花崗岩然とした岩があったので、少しリップが低くなった右側のカンテ絡みのラインを探って見た。

 リップが肩のように少し下がったところに持てそうな場所があったので、背伸びをして触って見た。少しザラザラしていた。ブラシで少しザラツキを取り、ぶら下がって見た。まあまあ持てそうな感じがしたので、足を探して見た。見つからなかった。左手のホールドを探して見た。見つからなかった。つまり、どうにもならなかった。

 仕方がないから、少し戻って、一番先に見たザラザラの少しグズグズ気味の岩に行ってみた。

 右上のポケットを二本指で持って、30cm位の高さのスカート状のリップに乗って、左上のリップ直下のカチホールドを取りに行った。そのホールドはまぁまぁ持てたので、そのホールドで足を上げようとしたのだが、ザラザラでスメアも利きづらく、体が上がらなかった。飛びつくのもこわそうな岩だから、無理はできない。ということは。結局諦めた。

 いつもなら10級にも満たない場所を登ったりするのだが、それもする気が起こらなかったので、素直に引き上げた。

 まだ7時かそこらだと言うのに、もういく組かの登山者とすれ違った。皆さん、結構まめな方達のようだ。小生、いつもだったら多分こんなに早く出てくることはないだろうと思ってしまった。

 歩いて山荘の前まで戻り、林道を戻りながら、林の中に伸びていそうな踏み跡を探しながら下って見たのだが、それらしい踏み跡は愚か、岩陰すら見えなかった。

 なおもめげずに林道を歩いて行ったら、少し広めの、自動車が入る道が見つかった。行って見たら、その少し先が多分1ha程の広さで伐採されていた。もちろん岩陰などは全く見えなかった。

 岩探しは諦めて、いつもの駐車場に戻った。

 朝、ここに来るまでにコンビニで買ったおにぎりを自動車の中で食べてしまっていたので、もうすることはない。仕方がないから、自動車の後部に移り、ねっころがってラジオを聞いていたら、いつの間にか寝てしまった。

 目を覚ますと、9時前だった。見ると、ボルダーマットを持った人達が目についた。自動車から降り、近づいて行って、少しお話をしてみると、その方の自動車に大○工業のステッカーが張ってあった。聞いて見たら、大○工業に知り合いの方がおられるらしかった。

 その方に、以前来たときに行った岩が見つからないのだとお話したら、どんな岩かと聞いてくれたので、沢の中に流れを横切る形で横たわる、5級くらいの斜めに登るラインを持つ岩なのだがと話して見たら、自分で作ったという、カレンダーか何かの紙の裏に手書きされた、岩の配置図を見せてくださった。

 小生、このとあるボルダーエリアは相当歩いた方だと自負するのだが、如何せん、課題の名前をほとんど知らないのだ。最近になって、有名どころはいくらか分かるようになったのだが、それでもたかが知れている。その方も、あまり課題名というか、岩の名前などは承知していないと言っていたが。

 その地図は、いわゆる会場エリアが描かれていた。その他のエリアは描かれてはいなかった。恐らく、大多数の人達は会場エリア以外には行かないようだ。

 管理棟が開いたので、相棒と行ってみた。

 あまり見たことのないお菓子を売っていたので、つい買ってしまった。この辺ではそのお菓子を油で揚げて食べるのだとか。確か花豆紅梅焼きだかなんだかと言ったと思うのだが、はっきりとは覚えてはいない。

 どこに行こうか迷いながら、一応0の谷にでも思いながら遊歩道を歩いていたら、後ろからマットを背負った3人程のボルダラーが歩いて来たので、その人たちの後にくっついて行こうと、少し待っていた。すると、そのボルダラー達は、途中から4の谷の方に行ってしまった。

 一瞬どうしようか考えたが、普通はあまりいきなり4の谷の方に行く人も少ないようにも思えたし、4の谷が未だにあまりはっきりとは分からないところだったので、その人達を追って、4の谷の方に降りて行ってみた。

 少し深目の谷を横切って、その先に登って行くと、その人たちの姿が見えなくなってしまった。おかしいなと思いながら、後ろから来る相棒を待っていたら、少し手前で、相棒が立ち止まって、谷の下の方で声が聞こえると言う。相棒のところまで戻って、谷の下の方を見ると、確かに人の声が聞こえてきた。

 多分行ったことがない場所だったので、降りて行って見たら、谷の中の高くはないが少し大きめの岩に既に二人ほどが取り付いていた。その人たちに声を掛けたような気もするが覚えてはいない。

 その岩は難しそうだったし、その岩に行くには少し急な斜面を降りなければならなかったので、そのまま相棒のところまで戻り、山形県エリアの方に行くことにした。

 途中、猫頭岩に行くところを注意しながら歩いたのだが、下草がきれいになくなっていたりで、なんとなく以前の感覚が分からず、どこだか分からないうちに山形県エリアに登る駐車場の上まで来てしまった。

 仕方がないから、阿修羅の岩を探しながら先に進んで行くと、いつの間にかさざ波クラックの岩の前に出てしまった。どうやら阿修羅の岩の下は通り越してしまっていたようだ。

 このさざ波クラックだが、以前登った時は、クラック登りは意識せずに、レイバックとかフェースのホールドで登ったはずであった。「そうか、これはクラック登りをしなければ」そう思い、そこを登って見ることにした。

 このクラックは、稲妻のような形にギザギザになっている。そして、いくらか右の方に傾いている。真っすぐなクラックではないのだ。そして、サイズもちょっとワイドなハンドからフィンガーというか、決して一定の幅ではないのだ。

 適当に手を入れて見た。なかなかきれいにハンドの決まる場所が見つからなかった。順手にしたり逆手にしたり、やっと小生にも使えそうな場所が見つかったのは結構上の方だった。手を見ると、甲が擦りむけていた。

 本日はクラックにしよう。そう考え、手にテーピングを施すことにした。幸い、幅広のテープも持っていたので、まず最初に手の甲だけに幅広のテープを三段に張り付けてみた。

 このテープを手に張る時なのだが、長さが分からないから一度テープを手に沿わせて、長さを見極めてからテープを切っていた。そうすると、テープを切る時とか、張る時に、テープの糊面どうしがくっついてしまって、うまく張れないのだ。今回も一番最初からその状態が発生してしまった。

 今回はいくらでも時間があったので、2回目には、張り付けたままテープを切れないかと模索して見た。

 手の甲にテープを張り、小指側の縁でテープを切るのだが、手の甲を膝に押し付けながらテープを切ると、片手でもうまくテープを切れることを発見した。なんとなく嬉しくなった。

 一般的に行われるテーピングは、手のひらの両脇の縁にテープを張ったり、手首に一回り巻き付けたりするらしいのだが、そうするとなんだか仰々し過ぎる気がしたので、ちょっと中途半端ではあったが、手の甲だけにしか張らなかった。

 先ず左手のハンドで離陸して見た。片手では出られなかったので、右手をフィンガー気味の中途半端な状態で沿えて見たら、なんとか離陸ができた。中途半端な右手をしっかりと決めようと上の方を探って見たのだが、クラックの角度が傾いているし、幅も少し広めだったり狭めだったりで、なかなかよいところが見つからない。適当なところで右手に荷重して見たのだが、手がズルズルと滑り出す。そんなこんなで、結局飛び降りざるを得なかった。確か、初めてここに来たときに登っていたクラックの達人は、すんなりと登っていた気がするのだが。もっとも、この前のクラックの講習の時も、講師がなんて事なく登るところを、離陸すらできなかったから、今の小生の状況は充分に、頭では理解するのだが。

 そんなことを何回か繰り返しながら、やっと、2手目までの場所と方法が定まって来た。しかし、最後のリップ下の場所と方法が定まらなかった。

 休んでは挑戦し、休んでは挑戦していたら、相棒が「もう諦めたら」といった。「相当に力が入っている」とも言われた。そう言われると、確かに結構疲れて来た。でも。

 先にも言ったように、このクラックは少し右に傾いている。従って、少し体を右の方にもっていった方が良いかもしれない。そう思って、少し右の壁のスタンスを調べて見た。別に右の壁のスタンスを全く調べなかった訳ではない。改めて調べ直して見たのだ。

 それまでも、スタートは少し右に寄ったりしていたのだが、途中からスタンスをクラックに求めていたので、体が少し右に倒れる感じになっていたのだ。それを右の壁のスタンスを使って見たら、リップ下のジャムがなんとなく決まってくれた。その上はクラックが広くなる。その広くなったクラックを無理に使わなくとも、リップを持ってしまえば、楽だ。そして、そのリップにマントルすれば、そこから数10センチ上の平らな石の上に立てる。で、そうして、石の上に立った。なんとか登ることができた。なんとかクラックでリップまで登ることができた。やったぁー。

 次は阿修羅の岩の上のクラックだ。来るときに歩いた遊歩道の一段上の遊歩道を会場エリアの方へ歩いていったら、阿修羅の岩が見えてきた。

 下草はほとんど無く、すごくきれいになってはいるが、上の木には葉っぱが茂り始めている。そのせいで見通しは冬に比べれば少し悪いのかも知れない。それで、下の方からでは阿修羅の岩が見え辛かったのかも知れない。

 下の駐車場に自動車があったので、誰かいるのかと思ったのだが、人影は見えなかった。

 そのまま阿修羅の岩の右を通って上のクラックのある岩に行った。多分この岩も久し振りのはずだ。

 荷物を置き、先ずは、クラックではなく、右の端の、ポケットで離陸してリップをマントルする、確か1級の課題を触って見た。

 左手の中指をポケットに入れ、左足を突っ張って離陸する筈なのだが、相変わらず中指に力が入らず、離陸ができない。右手のホールドを探ったが、お助けホールドも見つからない。薬指や人差し指を中指と一緒にねじ込んだりして見たが、結局そのポケットを持つことはできなかった。ここも、御岳のデッドエンド直上と同じで、そのポケットがどれくらい持てるようになったかの、小生にとっての一つのテストピース見たいな課題だ。結論は、まだまだだということだった。

 真ん中の、ハンドが効きそうなクラックに手を入れて見た。一手目は効いて、またその上の二手目のところにお助け的に入れた手の力も借りることができて、離陸はできた。ニ手目をしっかり入れ直そうと少し上に上げて良いところを探っていたら、力が尽きた。

 左のフィンガーが効きそうなクラックの方も探って見た。隣のクラックもそうだったと思うのだが、確か初登者はSDで登ってたような気がする。それで、3級とかいっていた気がする。まぁ、グレードとか限定とかは小生にはどうでもよいのだが。

 そのクラックは、確かにフィンガーが効いた。しかし、指が痛かった。

 早速、指にもテープを巻いた。それで、少しは痛くはなくなったが、基本的には痛いことには違いはない。我慢するしかない。

 スタートに良さそうな、少し低めの場所は、指の付け根まで入るフィンガーで、これが結構効いてくれた。その手で離陸し、次のジャムを決めようとしているうちに、初手の指の痛さが効いてきた。仕方がないから、そこで降りてしまった。

 ここの二本のクラックは、いくらか前掲している。従って、手への負担は大きめである。背中への負担も多分相当なものだ。そう続けてはできない。昼には少し早かったが、お昼用のパンを食べ始めた。

 水やお茶を持ってきていた筈なのに、昨日使ったザックに入れっぱなしで、ボルダリング用の、いつものザックには移していなかったのだ。つまり、飲み物が相棒用の小さなお茶のボトルしかなかったのだ。仕方がないから、相棒に少しだけお茶をもらった。

 阿修羅の岩の方に降りていったら、人の声が聞こえてきた。阿修羅の面の左側の面からだ。行って見たら二人のボルダラーがいた。その面の右側の、リップのちょっとしたのポケットに飛びつく課題を触っているみたいだったので、その課題の話を少ししてみたら、その課題の初登者、つまりここの開拓者の話が出てきた。山梨の人か聞いて見たら、そうだと言った。そいて、○○さんですよねと、反対にきいてきた。どこかであったことがあるかと聞いて見たら、御岳であったとの事だった。小生は全く忘れていた。誠に申し訳ない話だった。

 その後も少しだけ、その課題、瑞牆ピョンピョンとかいう課題名らしいが、の話をして上に戻った。

 相変わらず、クラックの課題を続けて見たのだが、埒が開かないので、クラックの上のリップを見に岩の上に回って見た。

 リップには落ち葉が積もっており、傾斜もそこそこの傾斜があった。そういえば、この岩を磨いていたときも、そのリップの淵で怖い思いをしたことを思い出した。そして、たとえマントルまで持ち込めたとしても、その上がこの有り様ではとってもだめだと悟り、そのクラックは諦めることにした。

 少しその上の岩も見に行って見た。少し上に大きなスラブ壁を持った岩が現れた。そのスラブの中ほどには水平にちょっとしたスジが走っていた。そういえば、以前触ったような記憶がよみがえってきた。結構難しかったような。そこは眺めただけで、その右手の方にある、少し被った面を持つ岩に行って見た。こちらもいくらか記憶があった。しかし、もっと木に覆われていて、下地ももっと小さな木があったような気がする。今は回りには木は全くなく、日が当たっている状態だ。本当に以前見た岩かどうか良く分からなくなってきた。

 まぁ、そんなことは良い。少し被っていて、上の方が少し丸く尖った感じの、格好良い形の石だった。なんとなく以前は、天辺のリップへランジ見たいな感じだったようで、多分登れていなかったと思われるので、登って見ることにした。

 左少し上の二つのカチで離陸し、右のカンテを取りに行った。そこは少し傾斜が寝ていたから、持つことができた。足を上げて、右手をより上のより傾斜の立ったところに飛ばして見た。持つことができずに落ちてしまった。

 スタンスが少し甘目で、ホールドも少しだけ外傾斜していたから、以外と力が必要で、少しつかれてしまった。

 少し休んで、カンテの二手目を少し上にしたら、持つことができた。左の方のスタンスを拾って、体を少し左に開き、天辺のリップを取りに行った。そこは意外と悪めだったので、少し左の方によってからマントルをしてしまった。本当は真ん中の天辺をマントルすると格好良かったのだが。

 なんとか岩を登ることができたので、気を良くして降りて行った。

 次はどこにしようか。やっぱり0の谷か。そう思って、阿修羅の岩の下の遊歩道を会場エリアに向かって歩きだした。

 山形県エリア方面からなら猫頭に行く場所がわかるかもと、気をつけて歩いて行ったのだが、やはり状況がいくらか変わっていたのか、確認することはできなかった。確か2回か3回は行ったことがあるはずなのに。

 0の谷の前に、4の谷も、小生にとっては、はっきりしないエリアである。ここのところ来る度と言っていいほど探している沢の中の岩もいまだ見つかっていない。ということで、4の谷を渡ったところで見つけた踏み跡を、上の方に登って行って見た。しかし、その踏み跡は途中で分かりにくくなり、回りに岩の気配もなかったので、そのまま、谷を渡り、水道の配管を越えて上の方に上がって行った。

 沢の上は、傾斜のゆるい、平らな歩き易い場所になっているので、そのまま、沢沿いに上の方に登って行くと、遊歩道が見えてきた。その遊歩道に出て、なおも進むと、遊歩道が沢を離れ始めたので、また沢沿いの場所を登って行った。

 途中で、踏み跡のようなものが出てきた。そのかすかな踏み跡は二つに別れたので、沢側に別れる方に入って行くと、ボルダーが現れた。なんだか見覚えのあるボルダーだった。

 踏み跡はその先にも続いているように見えたので、相棒をそこに残し、小生だけでその先に行って見た。

 その踏み跡はすぐに消えたが、沢沿いが歩けそうだったので、沢沿いを登って行くと、対岸に人影が見えた。

 早速その人達の方に行って見ると、結構大きな、2段か3段に岩が重なった岩の、一番下の岩の壁を登っていた。多分初めての岩の気がする。

 その人たちは、最初にくっついて行ってみた人達だったようだ。最初の岩から上がってきたようだった。

 ほぼ垂直な壁を登り、その岩と上の岩の隙間をデッド気味に取りに行くという感じの課題だった。その上の岩は、少しガチャガチャしていて、そのまま上の岩を登るのかどうかは分からなかった。一応聞いて見たら、上に行くとは行っていたのだが。

 その壁の右端にクラックが一本走っていた。触って見たら、意外と効く感じだった。よし、ここを触ろう。

 その岩は、先に上がってきて、途中から沢に降りた、その踏み跡のすぐ上の感じがしたので、そのままその岩から少し真っすぐ下ってみた。しかし、さっきの道の沢に降りた地点ははっきりとは確認できなかった。

 少し沢の中を下ってから相棒のもとに戻ったので、大分相棒を待たせてしまったようだ。

 少し戻って、先程別れた踏み跡のもう一方の踏み跡に入り、少し上の方まで行って見た。なんだか見覚えのある岩がいくつかあった。多分、以前来て、仲間と岩を磨いたことのある場所のひとつだろう。

 途中から沢沿いに出て、沢を少し登って見たのだが、傾斜が強くなって来たので、そのままその沢を下り、先ほどのクラックの岩に行った。

 ふだんはB○○に行っているという先客と少しお話をして、彼らのトライの合間をぬって先程偵察したクラックに取りついて見た。

 最初は左手で出て見たのだが、次の手がうまく行かず、落ちてしまった。さっきはうまく行くと思ったのになぜだろう。2手目も確認した筈なのだが。

 右手ででてみた。さっきよりは良さそうかも。左手をクラックに突っ込んだ。おぅ、効く効く。その手でクラックの少し高い場所に足を入れ直し、そろそろと立ち上がったら、リップが取れそうだったので、そのまま右手でクラックの右のリップを取ってしまった。まぁ、明確なホールドだから、それで良いだろうと納得し、そのちょっとしたテラスに立ち上がった。岩はまだ、ガチャガチャと続いていたが、ルートとしてはそこで終わってもおかしくない感じがしたので、そこから降りて来た。

 あると思っていたクリカラが見えなかったので、先客にクリカラの場所を聞いて見たら、確か美しき日の上の方だと教えてくれた。どうやらクリカラは4の谷では無かったようだ。

 次は0の谷か。しかし、4の谷から少し行ったところに上に登る広めの遊歩道があったので、そこを登って行って見た。

 少し登って行くと、その遊歩道は終わり、細い山道に繋がっていた。その山道への入り口の木に看板がかかっていたので、近づいて見たら、瑞牆連絡会で設置した「廃道だから入らないように」との注意の看板だった。ということは、その先がいわゆるパノラマコースだったのだろうか。或いは、十一面という岩場に行く道だろうか。いずれにしても、行ったことのある道のはずなのだが。(実際は十一面に行く道だと思う。)

 そこから、ゆるやかな尾根状をトラバースしていったら、ゆるやかな沢状に出た。多分3の谷だろう。

 結構大きな岩が出てきた。なんだか以前見たことのある感じの岩だ。しかし、定かな記憶はない。

 ぜんたい、この辺は一度ならずとも来ているはずなのだ。多分。しかし、その記憶はほとんど無い。困ったものだ。

 なおも下って行くと、はっきりと記憶のある岩が現れた。この岩はこの谷だったのか。一応確認はしたものの、次に来たときにはほとんど忘れているのだろうなぁ。再び、全くもって困ったものだ。

 はっきりと、一生懸命マントルを試みたのだが、さっぱりできなかった、高さが2mに満たない横に長い岩が出てきた。この岩ははっきりと、その時の初登者と一緒に挑戦したことを思い出した。

 その岩の下に下ると、美しき日という課題のある岩が出てきた。でも、なんとなく何回か見ているはずの岩の姿がなんとなく違う感じもする。ここのエリア全体の感じが何か違う感じがする、その事と関連があるのだろうか。

 美しき日の横の垂壁の壁の前の、何年か前に戯れに磨いた岩にもチョーク痕が残っていた。相変わらず触ってくれる方がいらっしゃるようだ。この岩、実は見た目以上にむずいのだ。なめたらあかん岩なのだ。

 そこから少し下がったところにある、扇型の凹角をもつ岩のその凹角に取り付いている人が二人いた。

 その岩の裏に回ると、よく写真に出てくる、少し高めの岩塔状の岩がある。その岩の、正面というか、わずかなクラック状のところは、高いし、確か4級位だったかなので、触っては見たが、登ることはせず、その左に回りこんでいった。

 その左の面は、双頭峰のような、真ん中に鞍部状のところをもった、それほど難しくは無さそうな壁になっている。こっちなら登れるだろうと、そっちを登ることにした。

 途中、左の方にちょっとしたフレークがあったので、そんなに難しくなく登ることができた。

 その奥には、2m足らずの小さな岩だが、真ん中に縦にクラックの走った岩が有った。どうせだからと、そこも登って見た。

 多分ほとんど登られることのない岩、そして、クラックだからか、クラックの中はジャリジャリしていた。特に上部のフィストが決まりそうなところは、ジャリジャリだった。それでも傾斜がなかったから、何とか登ることができた。

 2手か3手だった。あまりにもあっけなかったし、高さも2mもなかったから、SDでもやって見た。1手か2手か増えたので、まぁ、少しは登って気がした。

 その岩の前を通って、2の谷の方にトラバースしていったボルダラーがいたので、支度を整えて、我々もトラバースしていった。

 傾斜はないし、下草もほとんど無かったので、ほどなく千里眼の岩のところに出た。千里眼の岩の前にはボルダーマットが2枚おかれていた。しかし、人の影は見えなかった。付近に人を隠すような物陰もほとんど無いし、さっきの人はどこに行ったのだろうか、少し不思議だった。その前を通って、大黒岩の方に行ってみた。

 相変わらず大黒岩は大きかった。こんな高い所を本当に登ったのだろうか。今じゃもう登る気はない。その上の方の3級の課題のある岩に行ってみた。

 この岩は、以前から登りたいと考えている岩だ。できれば登りたい課題だ。

 右手でカンテをもち、左手でカチをもって、左足スメアチックなスタンスで離陸する。この離陸が少し力がいるのだ。続いて左足をポチッと出っ張った小さなスタンスに上げ、その左足に乗り込んで左上のかかりの悪い斜め横長のカチを取りに行く。そして右手をほぼ垂直に近いカンテに上げる。そんなムーブだったと思う。

 離陸はなんとか出来た。左上のカチをいくらか飛びつき気味に取りに行った。ホールドの縁をかすっただけだった。

 あのホールド、あんなに悪かったっけ。指はしっかり届いているのに、ズルッと滑っただけで留まる気配は全くなかった。

 足を探って見た。左上にちょっとしたポッチリがあった。

 今度はそのポッチリに乗ってみた。というか、足を乗せて左上のホールドを取りに行った。さっきよりは指がかかったが、保持するまでには至らなかった。

 次は、そのポッチリにしっかり乗って、静かに左上のホールドを取りに行った。今度は指がかかった。右手をカンテのほぼ垂直な部分に上げた。が、ここも悪かった。

 結局そこまでだった。その後は、ポッチリになかなか乗り込めず、左上のカチが取れなくなってしまったのだ。そこまでを何回か繰り返した後、靴のソールを確認して見た。角は丸かった。このせいかも。先っぼのソールもだいぶん薄くなっていた。またリソールしてもらわなければ。ということで、結局そこも諦めた。

 普通はこの谷までが一般的な会場エリアだ。まぁ、この先の遊歩道沿いに四角い岩がひとつあることはあるが。

 この先に捜し求める0の谷があるらしい。やっとその0の谷の探索だ。大黒岩の前を通って遊歩道に出て、先に進んで行った。

 その先には、以前イベントで使用した小さなスラブの岩がある。そこを過ぎると、結構大きな沢を渡る。これが1の谷だろうか。とすれば、その先の沢が0の谷か。

 芝草に覆われた遊歩道を進むと、それらしい沢が現れた。しかし、その沢は結構傾斜が急であった。この沢かなぁ。半信半疑で沢の上の方を窺った。そんなに大きくはないが、いくつかボルダーがあると聞いていたのだが、会場エリアに比べると傾斜が急すぎる。

 一応踏み跡などを探して見た。しかし、当然はっきりとした踏み跡などはまったくない。0の谷、0の谷と捜し求めていた割りには、そこで登ろう、岩を探そうというモチベーションは高くはない。はっきり言えば、登る意識はほぼゼロだ。そのまま帰ることにした。

 時間は3時前後だっただろうか。もしかすると4時近かったかもしれない。

 帰る途中で、遊歩道わきの四角い石の前を通った。

 この石もだいぶん以前に仲間と登ったっけ。その時は、石の上の草はもっとぼうぼうに茂っていたっけ。そんなことを思い出していたら、急に登りたくなってきた。

 まず、遊歩道から右の面を見て見た。垂直の壁だ。右のカンテからみなら小生にも登れるかも。

 裏に回って見た。右側が、途中にちょっとしたフレークがあるので登れそうに見えた。

 最初は、その易しそうに見えたところを登って見た。

 フレークで離陸し、そのまま足を上げてリップを取りに行ったら、辛うじてリップが取れた。フレークに足を上げたら、マントルは簡単だった。

 次は最初に見た右のサイドの垂壁だ。

 真ん中辺にちょっとしたカチがある。それで離陸して、さぁどうしよう。離陸直後に降りざるを得なかった。持てると思ったホールドがまったく持てなかったのだ。

 しばらくホールドを物色していたら、少し左上に使えそうなカチが見つかった。

 そのホールドを使うべく、離陸地点を左に移し、左手で持ったホールドを右手で持って離陸した。次は、少し左に足を上げて乗り込んで行くのだが、ちょっとした出っ張りの指2本でつまむ感じのホールドだから、体を引き付けることが出来ない。足が悪いのだ。

 調べて見たら、足を少し上げ過ぎていたようだ。左足を少し低くしたら、左手が持てて、右手を上げることが出来た。そして、リップが取れた。

 最初に見た時に想定したラインよりは左に寄ったので、少し格好よさはなくなったが、なんとか垂壁を登ることが出来た。少しだけ満足だった。

 降りてきて、その壁を眺めていたら、右側のカンテを使っても登れそうにみえたので、登って見た。垂壁の中のホールドは、よくはなかったが、それも登ることが出来た。

 続いては、その壁の反対側の、遊歩道から見ると左の壁に回って見た。その壁は、高さが一番低く、あまりおもしろそうには見えなかった。でも、左のカンテ辺りは少し高さが増してくるので、そのカンテを登って見た。

 カンテは持てたので、すぐにリップを持つことが出来たのだが、そのリップのマントルが悪かった。し方がないからカンテを左に少し回り込んでからマントルを返した。少し心残りだったが、し方がないか。

 一応その石も、登れそうなところを4カ所も登ったし、4時を回ってもいたので、まだ思い切り明るくはあったが、戻ることにした。

 会場広場の上でボルダラーに会った。そのボルダラーも結構早めに上がるのだなぁーと思っていたら、駐車場までは降りては来なかった。やはりまた別の場所に行ったのだろう。

 5時頃駐車場を出発した。

 朝の5時前からの活動だから、上がる時間が少し早かったとは言え、動いていた時間は長かった訳だ。

 いつもなら、増富の湯に寄るのだが、昨日は、茅ヶ岳の帰りに、昼真っから太陽の湯に浸かってしまったから、今回は風呂はパスすることにした。

 帰りはいつものように、相模湖辺りまで下道で行くつもりだったのだが、相棒が、双葉のサービスエリアで、ほうとうが食べたいと言っていたので、韮崎から中央道に入った。時間は6時少し前だから、通勤割り引きの適用が受けられるはずだ。

 行きにもこのサービスエリアに寄ったのだが、確か上りと下りが同じ場所のはずだった。しかし、なんだか下りと様子が違った。下りのトイレには、登り方面からの出入り口が有ったのだが、上りのトイレには、そのような出入り口はなかった。

 というのも、相棒が下りのこのエリアで、ほうとうが680円だったと言っていたからだ。もしかしたら、上りはその値段ではないかもしれない。

 食堂がある建物に行くと、うどん屋があった。メニューを見ると、やはり、ほうとうは900円だった。レストランに行ってみた。そっちは1100円だった。で、結局うどん屋でほうとうを食べることにした。

 券売機にお金をいれて、券を買う方式なのだが、相棒が、この券売機はどうなっているのだろうという。画面を見ると、OKボタンを押せと指示が出ているのに、どこにもそのOKボタンがない。隣の券売機でやってみても同じだった。

 仕方がないから店の人を呼んだら、ほうとうを選んだら出てくる「ほうとう」という文字をもう一度選ばなければOKボタンが出て来なかったのだ。ほうとうを選んだ後に出てくるほうとうの文字をまたもう一度選べなんてどこにも説明がなかったのだ。多分ほうとうにもいくつかの種類が有ることを前提としたシステムをそのまま使ったために分かりにくくなったのだろうか。

 カウンターに食券を出すと、既に注文は届いているとの事だった。

 席に座って、上を見上げると、電光掲示板に、受付中の食券ナンバーとできあがった食券ナンバーが表示されていた。なんだか市役所の受付窓口みたいだった。今は皆こんなふうになっているのか。つくずく田舎者を自覚してしまった。

 アナウンスとともに電光掲示板に我々の番号が表示されたので、相棒と二人で取りに行くと、唐辛子みそがあったので、相棒がそれを入れてくれた。

 席に持ってきて、改めてほうとうを見ると、結構なボリュウムだ。食べ出したら、肉も結構な量入っていた。やっぱりセルフではあっても、900円だけはあった。途中、冷たい水をお代わりに行ったりして、やっとのことで完食した。因みにこのお冷、サービスエリアの湯茶サービスの自動給湯器から自分で汲んで来なければならなかったのだ。そんなこと知らないから、少し店内をうろうろしてしまったのだった。

 帰り掛けに、案内所のパンフレット置き場に高速の料金表が置いてあったので、もらって見たら、通勤割り引きと、早朝夜間割り引きの説明が載っていた。ちらっと見て見たら、八王子から先が見なし距離とかとなっていて、甲府昭和からの料金が表示されていた。あれっと思って、別のところを見ると、韮崎から八王子の料金が書いてあった。韮崎からは通勤割り引きであり、甲府昭和からは早朝夜間割り引きであった。

 少し不安になったので、自動給湯器の前の椅子のところまで戻り、座って、じっくりと見直して見た。我々は韮崎から、通勤割り引きが適用される時間帯に高速に載っている。従って、八王子までは通勤割り引きが適用される。でも、八王子からそのまま高井戸まで走った場合、料金は八王子で一括で払うので、高井戸までのその見なし距離が加算されて、通勤割り引きの対象である100kmを越えてしまうのだろうか。たとえ通しで走ったとしても、料金計算は、八王子で一旦切れるから、大丈夫だと思うのだが。その辺がはっきりしないまま、なんとなくすっきりしない気持ちで自動車に戻った。

 朝も早かったし、ほうとうも食べ過ぎ位に食べたので、眠くなってしまった。どうせ、この先渋滞している。八王子を10時過ぎに通過すれば、八王子を高井戸間は早朝夜間割り引きが適用になる。はずだ。その時はちょっと自信がなかったが。

 相棒と二人で、自動車の後ろに移り、仮眠をした。

 目を覚ますと、9時半頃だった。既に良さそうな時間だ。というか少し寝過ごしたかもしれない。ということで、出発することにした。

 相変わらず、途中、通勤割り引きと、早朝夜間割り引きの関係が気になったが、何事も勉強ということで、そのまま八王子の料金所を11時頃に通過した。アナウンスは、1600円だった。しっかりと通勤割り引きと早朝夜間割り引きが適用され、韮崎、高井戸間が行きと同じく全線5割引となった。行きも、同じパターンで5割引だったから、帰りもそれが適用されるのは、普通に考えれば当然なのだが。

 湾岸の東関東道を走れば、それも5割り引きになるのだが、そこは一般の湾岸道を走り、家には12時頃に着くことができた。

 この、早朝夜間割り引きと、通勤割り引きの組み合わせは、我々のパターンに非常にマッチする制度である。これからも大いに利用させてもらうことにしよう。万が一午後8時までに韮崎から乗れなかったとしても、甲府昭和、あるいはその先で乗れば、早朝夜間割り引きが使え、おまけに料金もその分安くなるから、同じく十分に使える割り引きだと思う。早朝夜間割り引きは午後10時から午前6時の間にどちらかの料金所を通過すれば良いのだし、行きの通勤割り引きは、韮崎を午前6時から午前9時の間に降りれば良いのだから。


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作成年月日 平成19年 6月 2日
作 成 者 本庄 章