とあるボルダーその16

   とあるイベントのお手伝い
2005年 8月 9日記
 ジムの仲間と二人でとあるボルダーに行って来た。今回はボルダリングではなく、あるイベントのお手伝いがメインである。

 とあるボルダーも久し振りである。恐らく今年初めてでは無いだろうか。いつもの様に待ち合わせ、金曜の夜に出発する。

 首都高は少しばかり混んでいたが、中央道は空いていた。

 お話をしながら走ったものだから、降りようと思っていた勝沼インターを通り越してしまい、御坂インターで降りる。甲州街道から甲府駅の裏を通り広域農道に入る道を走るためである。

 何時の頃からか、同乗者と話をしながら走ると、ついそちらに意識が行ってしまって、運転がおろそかになってしまう現象が出始めたのである。最低限の走るための注意意識は働いていると思っているから、今のところ不安はそれほど感じることは無いが、若しかすると結構危険な状態なのかも知れない。心しなければ。

 途中コンビニに寄って、暑かったからガリガリ君を買って、瑞牆湖の駐車場を目指す。

 瑞牆湖の駐車場には2〜3台の自動車が停まっており、いつもテントを張る一番奥のスペースは先客が居たので、少し手前の場所にテントを張る。

 翌朝、5時くらいだったか、大型車がエンジンを掛けたまま近くに停まったので、五月蝿くて仕様が無い。五月蝿いなぁーと思いながら、尚もうとうとしていたら、そのうち走り去った。

 7時頃に起き出し、炊事の用意を始める。

 近くに停まった自動車から降りてきた人は仲間の知り合いのようで、仲間が声を掛け、二言三言言葉を交わしていた。その人は小川山に行くらしかった。

 一応の待ち合わせは9時から9時半頃に植樹祭会場跡地の駐車場である。少しのんびり食事をしていたら既に8時になってしまっていた。

 テントをたたみ、待ち合わせ場所に向かう。

 8時過ぎに駐車場に入ると、既にクライマーらしき人の自動車が何台か停まっている。そのうちの一台では、荷物を広げ、用意をしている最中である。近寄っていったら、以前から一方的に存じ上げている方が居られる。今回のスタッフの一員のはずである。お声掛けし、挨拶を交わす。

 シーカヤックを2台屋根に積んだ自動車が現れる。この奥の不動沢の駐車スペースで何度か見かけた自動車である。で、やっぱりその自動車の方も今回のスタッフだった。

 小生も以前はカヌーをやっていたから、その方と少しだけそんなことをお話する。

 今回このイベントへの誘いを受けた仲間一家が現れる。で、その仲間から、もう一人の今回のスタッフの方を紹介される。

 その方曰く、以前にここ瑞牆でお会いしているとか。小生には全く記憶が無い。それにしても、本人は大して目立たない存在だと自認しているのに、結構あちこちで「○○さんですか」とか「以前御岳でお目にかかりました」だとか言われることがある。やっぱり目立つのかなぁ。

 イベントは明日だから、本日はそのための準備である。先ずは、「大黒岩」にトップロープをセットする。続いて、近くの初心者にも登れそうなボルダーを幾つか磨く。って、小生はその殆どを端で見ているだけだったのだが。

 一応それで準備は終わり、「大黒岩」に戻ったら、外の仲間達によってチロリアンブリッジ用のロープと、綱渡り用のチェーンが張られていた。

 靴を履いて、先に磨いた、大黒岩の「七夕」という恐い課題の前の小さな岩を登ってみる。

 腰辺りから下が抉れており、その上はスラブである。小生の一番苦手とする、所謂やさしめ、離陸核心と言われる課題である。

 右足を腰の辺りのリップに上げ、左手をオポジション気味に離陸すればほぼ終わりである。右手は適当な小さな穴だったと思う。

 足が少し高目だし、手はいずれもしっかりとしたホールドは無いから、なかなか右足に乗り込めない。ああだこうだ、少しバランスを探って、ようやく離陸に成功する。若者なら簡単に足が上がって簡単に離陸が出来るのだろうが、小生には股が開かないから、なかなか足が上がらず、簡単にはやっと開いている足に乗り込むことが出来ないのだ。

 あとは少し傾斜の緩めなスラブが2mちょっとだから、少しだけ頑張って上に抜ける。グレードはどれくらいだろう。誰もグレードは言わないし、小生にもわからない。多分易しいのだろう。

 瑞牆に自分達だけで来た時は必ずといってよいほど寄る、「千里眼」の右のランジの課題を触りに行く。

 右手は水平の余り良くは無いカチ、左手はちょっとした、指が二本程かかるようなかからないような浅いポケットで、左足は少し左に外れた水平のかっちりしたカチスタンスで離陸する。ここのところが先ず最初の小生にとっての核心なのである。

 右手のカチが意外と持てる。意外とスムースに離陸が出来る。決して状態が良いわけではないから、今までなら離陸するまでに少し時間が必要だったのだが、今回は一発で離陸が出来る。右足をあるんだか無いんだか判らないくらいのスタンスに乗せてみる。

 このスタンスが決まらない。何となくもう少し利いてくれた気がするのだが、今回は足を置けている気がしない。やっぱりこの課題も未だ遥かに遠い課題のようだ。でも、今までからすると、大分近付いてきた気はするが。まぁ、今後も気長にトライを重ねよう。ということで、そのトライはこれでお仕舞い。何しろ暫くは登れてはならない課題?なのだから。だって、登れてしまったら、また別の適当な課題を見つけ出さなければならないのだから。

 大黒岩の前には、明日のイベント用に大きなタープみたいなテントが張られている。そのテントの前に綱渡り用のチェーンが張られているのだが、そのチェーンで綱渡りが始まる。

 駐車場で最初にお会いした方が、綱渡りのコツを伝授する。

 足元は見ない。目線は真っ直ぐ前の、チェーンを結び付けてある木の幹の真中辺に定める。片足でチェーンに立ちこんだら、目線を移さず、もう一方の足を場所を探りながらチェーンの上に置く。それを繰り返すということなのだが、チェーンが弛むし、揺れるからどう考えても難しい。それが出来る人は結局その人だけである。

 先ほどのランジ課題の前に戻ると、以前ここでお会いした方が「千里眼」を飛んでいる。

 小生に続いて、このイベントに誘いを掛けてくれた仲間と、一緒に来た仲間も上がってくる。

 声を掛けてくれた仲間が「千里眼」を飛んでみせる。小生もその横のランジ課題を跳んでみる。相変わらずまだまだである。

 他の人たちが「クリカラ」という課題のある岩に行くと言うので、小生も付いて行く。多分始めての岩である。

 「千里眼」の尾根を少し登るとその岩はある。下から見ると右側に丸い砲弾のお尻のような突起が張り出しており、その張り出しの付け根の細いクラック沿いに登るのが「クリカラ」(倶利伽羅なのかも知れないが、字はわからない。)である。そのハングの下からSDで離陸し、ハングの左カンテ、そして、右のカンテを取ってハングを乗ッ越して行くという課題もあるらしい。因みに名前はまだ無いらしい。

 その「カラクリ」のある場所の反対側の方の被ったところには「カラクリ」という課題がある。「カラクリ」と「クリカラ」の間の苔々の所も案内してくれた仲間は登ったらしい。

 他の仲間が「クリカラ」やその下のまだ名前の無い課題をやっている間に、苔々の所を登って見る。

 確かに登れたが、磨かれていないから、そこそこ恐い。

 皆がトライしているハング部分の上に行ってみると、下からのクラックがずっと上にも続いている。そのクラックを追っていったら、ぐるっと回って、ハング部分の付け根を一周しているように見える。下に戻って、仲間と調べたら、本の数センチを除いてクラックが廻っている。ということは? どうせ小生の課題ではないからいいんだけど。

 次は、大黒岩との間の沢を渡って少し登った所にある少し高い凹角のある岩である。

 その凹角は1級位らしいのだが、何しろ高い。どう考えても、湯河原幕岩的にはリードの課題である。でも、綺麗だし、ここを登れと言わんばかりの凹角なのである。

 一瞬、登りたいと思ったが、仲間の登るのを見て、その気持ちは押し静めた。出だしが核心で上に行くに従って易しくなるとはいっても、やはりガバでは無さそうなのだ。でも、いつかは登ることにしよう。

 その凹角の右の被った場所でも二本ほどの課題が登れれているらしいが、そこは本当にフリーソロチックだったし、下地も決して良くなかったから、今回は誰も登るとは言わなかった。

 実は、デジカメはザックの中に置いてきてしまっている。悔やんでもしようがないが、やっぱりデジカメを持ってくるんだった。

 朝から僅かにポツポツ雨が落ちたりしていたが、遂に大き目の雨粒が落ちはじめる。急いで荷物を撤収し、一部はテントの中に残置して、雨具の用意を始める。小生も傘を持ってきている積りで、ザックの中を探ったのだが、折りたたみ傘を入れた袋は自動車の中のメインのザックに入れっぱなしだったようで、雨具がない。それを見た仲間がゴム引きの風呂敷を貸してくれた。

 雨が降り始めたと思ったらすぐに、物凄い降りになってきた。ズボンも靴も一瞬でずぶ濡れである。当然皆走っている。前の人に続いて小生も走っているのだが、頭に被った風呂敷がずれてきて前が見えなくなってくる。立ち止まって直している余裕などない位に雨が落ちているから、走りながら何回か被り直す。

 ほうほうの体で自動車に辿り着き、中に逃げ込む。

 フロントグラスから外は殆ど見えない。ワイパーを回してもその状況は変わらない。それほどの降りである。少しは小降りになるだろうとずぶ濡れのまま暫く待ってみたが、一向に弱まる気配を見せない。

 仲間達の自動車が少しずつ動きはじめる。誘ってくれた仲間の自動車が小生の自動車の横にやってきて、これからどうするか聞いてくる。仲間の自動車は、窓の上にフードが付けられているから、窓を開けてもそのフードが屋根になって雨は入らない。しかし、小生の自動車はそのフードを取り付けるフレームがないから、フードが付いていない。窓を開ければ即雨が降り込んでくる。でも開けなければ声が届かないから、ほんの少しだけ開けてお話をする。

 そんなこんなで、結局その仲間にくっついて、その仲間の天場にお邪魔することにした。

 その天場に行く途中、道は川になっている。その水嵩も半端ではない。道幅いっぱいに流れているのである。こんなに降って大丈夫なのかと心配してしまうほどの、水深を持った流れである。恐る恐るゆっくりと下って行く。

 仲間の天場に付くと、少しは雨が弱まってきた。でも、まだテントを張ろうと言う気にはさせてくれない。それに、テントを張る場所も選ばないと、既に地面は泥々だろうし。

 以前に何回もテントを張ったことのある場所を見に行くと、先客が居る。知らない人の横にテントを張るのも憚られたので、別の場所を物色する。

 以前何回かテントを張った別の場所を見に行ったが、地形が少し変わっていて、あまり思わしくない。近くに自動車を停める場所が無いのだ。で、結局、仲間のテントの少し奥のほうの場所にテントを張ることにした。幸い下地は砂のような土質だったから、濡れてはいたがドロドロにはなっていなかった。

 そうこうしているうちに雨はポツポツ程度まで収まってくる。あんなに降っていたのが嘘のようである。

 テントを張り、既に雨が上がったからと、外で炊事をする。

 食事を終え、いつもの様に飲み物を持って仲間のテントまで行く。

 お邪魔すると、もう一人のスタッフの方もいらっしゃった。都合6名で、暫しの歓談。少々年齢が高い人たちが多かったせいか、少しだけレトロな話題が多かった。気がする。でも、若干二名の若者は、その話題についてきていたから、それほどレトロではなかったのだろう。まぁ、音楽ネタだったし、リバイバルというか、なつかしのメロディーと言うか、そんな感じで若者にも理解が出来たのかも知れないが。因みにこのときのメンバーだが、小生とそれほど変わらないお歳の方々と、その息子達という感じだったのである。

 翌朝、天気は良い。駐車場へ。

 新たに、もう一人の方と、二人の方々がスタッフに加わる。参加者は20名の親子。昨日の雨で、岩は未だ少し濡れてはいたが、おおむね順調に、成功裏にイベントは終了した。心配した雨も無かった。ここ3週ほど続いたと言う車上荒しも、今回の関係者には無かったようだ。暫しの反省会の後解散する。

 何時もの温泉で温泉に浸かり、久しぶりの甲府市内のファミレスで食事の後、勝沼から小仏トンネルまで渋滞との中央道を避け、いつもの様に甲州街道を暫く走り、相模湖から未だ小仏トンネルまで渋滞の続く中央道に入る。

 高井戸の手前で、誘ってくれた仲間の自動車を追い越す。同乗の仲間が振り返って自動車の中から手を振ったのだが、誘ってくれた仲間達は気が付いただろうか。

 その後は順調に出発点へと戻ることが出来た。

 およそ二ヶ月ぶりの外岩、5月の連休以来のお泊りでの外岩だったから、荷物があっちこっちで、少しあたふたとしながらの出発だったので、やはり忘れ物とか、忘れてはいなかったが肝心なときに役にたたなかったりと、それなりの不具合はあったが、おおむね順調ではあった。めでたしめでたしと言うところか。

 それにしても、外はいいなぁ。岩なんか登らなくとも。また行こっと。


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作成年月日 平成17年 8月 9日
作 成 者 本庄 章