とあるボルダーその14

2004年 5月20日記
 4月中旬の土曜日から日曜日にかけて、ジムの仲間と二人でとあるボルダーに行ってきた。とあるボルダーも泊りがけの遠出も久しぶりである。

 二人ということで、金曜日の夜、仲間の家の近くまで迎えに行く。コンビニの駐車場で待ち合わせ、出発する。

 首都高の湾岸線からレインボーブリッジ経由で中央道に行くつもりだったのが、話に夢中になってしまって、レインボーブリッジに分岐する有明ジャンクションを見落としてしまい、その先の大井ジャンクションまで行ってしまう。偶々すぐ先にUターン出来る道があったので、ほんの少しの遠回りで済んだが、その道が無かったら結構時間のロスとお金のロスになるところであった。

 二人だし、夜も遅いからと、中央道を勝沼インターで降り、20号を少し走ってから、甲府駅の裏を通り、広域農道を使ってとあるボルダーエリアに行った。

 とあるボルダ−エリアにはすでに仲間が入っているので、その仲間のテントの近くの何時も使う場所にテントを立て、午前2時頃に就寝する。

 8時過ぎに目を覚まし、仲間のテントに行くと、仲間の一人がテントの前におり、コーヒーをご馳走してくれる。

 事前に仲間一人が2週間くらい此処にこもっているという情報があり、その仲間と一緒に登るために来たので、その仲間一人かと思っていたのだが、その仲間は3人で来ていたようだ。もっとも、他の二人が2週間もいたかどうかは聞かなかったが。

 その仲間の一人と会うのも久しぶりだったので、少しお話をしてからテントに戻る。

 仲間がやっと起き出したので、朝ご飯を食べ、支度をしていると、その横を、先ほどの仲間のグループが何時もの駐車場に移動していった。

 テントを張った場所は、テントを張りっぱなしにしておくには少々不都合な場所だったので、2人でテントを持って、仲間のテントのそばに移動する。

 何時もの駐車場に行くと、仲間達が待っていてくれた。

 いっしょに行った仲間が、楽園という課題を触りたいと言うので、仲間の自動車の先導で、そのエリアに行くことにする。

 仲間がアップを始めたので、小生もやさしそうなところで、アップをする。

 少し被っているところだがガバが有るので、登れるだろうとやってみたら、見事に途中で落ち、刺のある、野ばらみたいな小さな潅木の茂みの真中に両足を突っ込み、開始早々に両足を負傷する。まぁ、広範に刺で引っかき傷を作ったという感じだから、そんなに痛くはなかったのだが、結構血が出てしまったので、大変に怪我をしてしまったように見えたらしい。仲間が声を掛けてくれる。まぁ、何とか2撃する。

 他にもやさしそうなところを2つくらい登って、その岩の先に見える、一緒に来た仲間の名前のついたボルダーに一人で行ってみる。

 小ぶりの岩で、そんなには難しそうではなかったので、登ってみる。その面の右側の面も磨かれていたので触ってみる。下が切れていて、足をリップまで上げなければならない。しかし、そこまで足が上がらない。登れずに皆の元に戻る。

 楽園に挑戦していた仲間も、すでに気温が上がっているせいか、できそうに無いということで、別の場所に移動することにする。行く先は別口の仲間にお任せである。

 このとあるボルダーエリアであるが、過去に何回か来ているのだが、2回3回と訪れたエリアは数えるほどしか無いのである。行く度に違うエリアで岩を磨いていたという感じなのである。で、次に行ったエリアも始めてのエリアだったのである。

 そのエリアは、このエリアに来る途中の場所で、何時も行き帰りに通っていた場所なのだが、岩が道から見えてはいたが、今回触ったような立派な岩があることを知らなかった、そんな場所である。

 沢沿いの場所で、大きな岩が1つ、デンと座っている。それ以外のボルダーはそれほどは多くない。結局この岩を中心に遊ぶこととなった。

 先ずはその岩の周りを巡って岩の品定めをする。もっとも、此処につれてきてくれた仲間はすでに偵察済みの岩では有るのだが。

 仲間が一斉に岩の沢側の大きなメインの面を磨きだす。小生は、その面の左の方の、それほど高くないカンテの途中に出るラインを磨く。

 仲間が、メインの真中の高い課題に挑戦するのを見学や写真撮影しながら、自分で磨いた課題に挑戦する。

 その課題は、スラブ的な課題だから、先ずはスタンスを探す。そして、印を付ける。

 2歩目がガバスタンスで、そこに立つと斜めのリップが触れるのだが、最初はそんなに悪いようには見えなかった、そのリップと、そのリップの上が思ったよりも悪く、リップへのマントルが出来ない。

 ブラシを持って、リップに手が届くガバスタンスまで行き、リップを一生懸命磨く。そして、下から登ってみる。やっぱりリップが少し悪いから、体が上がらない。

 今度は、体を上げるためのスタンスを探す。スタンスといっても、しっかりしたカチスタンスが有る訳ではないから、部分的に傾斜が緩くなっている場所や、結晶の出ていそうな場所をブラシで磨き、チョークで印を付ける。

 いくつかのスタンスの候補を磨き、足順を頭に入れて、登ってみる。やっぱり手が悪いから体が上がらない。

 また降りて、足順を考え直す。で、そのムーブをやってみる。だんだん体が上がりだしてきたが、もう1つ体が上がらずにマントルの体制に持ち込めない。

 休んだり、岩を磨いたり、何回かやっていたら、すごく惜しいところまで持ち込める。しかし、やっぱりもう1つ手が決まらない。

 またまたスタンスの吟味を始める。

 小生、足の力がそう大きくないから、高いところへの乗り込みが出来ないので、どうしても足を刻む感じで、狭い間隔でスタンスを磨いている。しかし、体を上げるには足を上げなければならないからと、もう一段高いスタンスを探って見た。すると、最後に使っていた右足のスタンスの10〜15cmくらい上に、同じようなスタンスが有るのを見つける。左足から少し離れていてなおかつ少し高くなるから、その足に乗り込めるか少し不安では有ったが、そのスタンスに乗ってみたら、十分にそのスタンスに乗れ、マントルを返すことが出来た。何回かかったか、覚えてはいないが、相当何回もやってやっと登ることが出来た。で、リップの上の方のあらかたは仲間に磨いてもらったのだが、一応初登である。因みに、4級位ということだ。

 この岩の裏というか、山側はそんなに高くは無く、傾斜も少し寝ている。そして、顕著なダイクが走っている。今度はその面を磨くことにする。

 先ずはダイクの所。ダイクを使って足が良いから、10級くらい。

 次は、左端の丸い寝たカンテを登ってみる。そんなに難しそうでも無いから、下のほうのスタンスになりそうなところを少し磨いて登る。ホールドは欲しいところに具合良く大きなポケットがいくつか並んでくれているので、10級位か。

 その真中は、傾斜も少しきつくなるし、ホールド、スタンスも乏しくなるから、少し難しくなる。例によって、離陸に手間取ったが、何回かで何とか登る。此処は別の仲間がすでに登っていたと思うが、グレードはどれくらいだろうか。

 その面の3つの課題を仲間が登ってくれる。そして、ダイクの所は10級で、左のカンテは少し難しいから9級だそうだ。確かに足が少し悪いから、やっぱり9級か。真中は、6級くらいだったかな。忘れてしまったけど。

 正面に戻って、仲間のトライを見学する。

 途中から、左に逃げると3級くらいらしいのだが、スラブだし、高いから、小生も勧められたが、やらなかった。

 仲間は、その壁の真中を直上する課題を完成させる。1級くらいといっていたかな。仲間の一人がトップロープで挑戦していたが、小生はやらなかった。

 その場所の林道の脇に既に磨かれているような、真中にクラックが走っていて、いかにも登ってくださいと言わんばかりの岩がある。林道から岩全体が見えるから、既に登られている岩らしい。

 靴と足拭きマットを持って行ってみる。

 傾斜はきつくは無い。クラックも普通のホールドとして持てるクラックである。

 先ずはクラックのところ。次はその左。その次は右側。都合3箇所を登る。難しくは無い。

 仲間のもとに戻ると、一緒に来た仲間が、林道の反対側の被った面を持った岩を登りに行くところである。で、小生も、少し遅れてデジカメを持って行ってみる。

 林道の側壁の中腹に大きな岩があり、仲間がいた。

 登ってゆくと、下地はあまりよくは無いが、少し被っていて、格好のよさそうな面を持った岩である。逆光にならない位置を選んでデジカメを構える。

 少し高いところのホールドで離陸し、斜めに走るフレークで体を上げ、リップのところのホールドをとれば登れる。そんな感じの岩なのだが、最後のフレークからリップが無茶遠いのである。その間ホールドらしいものはどうやらないらしい。

 距離的には飛べば届きそうな距離なのだが、もし、失敗して落ちると、結構急な斜面に激突することになりそうだし、例え真下に落ちたとしても、その下地は決してよくは無い。おまけに、飛びつくホールドがスローパーチックらしい。とっても怖くて飛べないらしい。

 仲間は、そこまで登り、いろいろとホールドを探る。岩の上に回りこみ、リップの下のホールドを探る。しかし、僅かな窪み以外はホールドになりそうなものはまったく見当たらないらしい。途中から別口の仲間も加わり、少し大きくリップ下の苔を落としてホールドを探したが、やはりホールドになりそうなものは見つかりそうに無いようだ。

 日も暮れかかって来たので、その課題は諦めたようで、いっしょに荷物のところまで戻る。

 まだ明るかったが、テン場まで戻る。

 今夜は、一緒に来た仲間と、もう一人の仲間が、甲府まで出て、会食会ということだったので、別口の仲間二人と小生で食事をし、色々とお話をして、10時前には就寝した。

 翌日は、朝の8時過ぎに起き、昨日と同じくコーヒーをご馳走になる。

 我々はテントをたたみ、支度をする。

 本日のエリアは、テン場の前である。

 ここも、最近はこのエリアにくると大体ここにテントを張るのだけれど、その場所のすぐ前にそんなに岩があるとは知らなかったエリアである。

 一緒に来た仲間は、ルーフの途中からスタートする課題をやっていたが、小生はそのルーフの岩の近くの傾斜の緩めなスラブ壁を登ることにする。

 別口の仲間は、そのスラブ壁の右側の、一段下がったところからスタートするスラブを登っている。

 一緒に来た仲間が、アップに小生が登ろうとしていた所を登ったので、それを真似て、小生、先ずは、真中から少し左よりに登ってゆく。

 傾斜が無いから足はそこそこあるのだが、手が無い。そこを何とか足を探して、その足に乗り込んで、上に抜ける。なんとなくスラブがうまくなったような気になってしまう。

 次は、途中から右のカンテに出て上に抜ける課題を登る。その次はそのカンテを使わずにカンテのすぐ左を登る。いずれも難しくは無い。

 一緒に来た仲間が、少し斜面を登ったところの、ルーフの課題を触りに行くというので、小生もくっついてゆく。

 ガバでトラバースしてマントルという課題なのだが、マントルが悪そうだったので、仲間の写真撮影にとどめる。

 戻ると、別口の仲間の一人が、先ほどの被った岩の近くにスラブがあると教えてくれたので、行ってみる事にする。グレードはと聞くと、10cくらいと言う。10cは厳しいなぁというと、短いからという。そして、真中だったかは10aくらいだともいう。

 足拭きマットを持って行ってみる。

 少し高めの壁で、そんなに傾斜が急ではない。左の方に浅いクラック様の溝が走っていて、ホールド、スタンスが豊富に有りそうである。ここなら登れるであろう。

 少し大きな岩だから、降り口を探してみると、裏のほうが降りられそうだ。しかし、大分に大回りしなければ戻ってこれない。まぁ、降りられるからいいや。

 クラック様の溝を登ると、途中は快適。抜け口で少し緊張したが、上に抜ける。

 岩の上の枯草を踏んで奥まで行き、岩の上から降り、右回りで、いくつかの岩を回り込んでスタート地点に戻る。

 次はどこにしようか。真中はホールドが乏しそうだから、右のカンテにするか。

 カンテを観察すると、意外とホールドがない。スタンスもあまり良いものがない。

 左よりに一応スタンスを見つけるが、左足では高くて立ち込めない。足を変え、右足で立ってみたが、やっぱり立ち込めない。

 カンテの右側の下のほうにカチスタンスを見つける。カンテの向こう側だから、使ってもよいのかなぁと一瞬考えたが、まぁいいやと使うことにする。

 右足でそのスタンスに乗って、左側の方の僅かなフレークの頭に乗る。しかし、ホールドが無い。カンテの手も動かせない。次に動けない。

 ホールドを探って、またやってみる。しかし、フレークの頭に乗れなくなる。このムーブ、結構力がいるようだ。少し休む。

 またやってみる。やっぱりバランスが悪い。うまく出来ない。ということはこの先、そのムーブではだめかもしれない。色々と考えながら岩を見つめる。

 その課題はだめそうだからと、真中の課題を探る。

 一見ホールドもスタンスも乏しそうなのだが、よおく見ると、何とかスタンスがある。何回目かにそのスタンスに立つと、左隣を登った時に使ったホールドが触れる。まぁいいや。上に進む。適当に足を上げていって、何とか上に抜ける。登れた。

 降りるときに、右回りよりも左回りのほうが近そうだったので、左回りで降りることにする。

 途中、ちょっとした水の流れを越えなければならないのだが、その時に、枯れ枝の束の中に足をとられ、危うく靴をぬらしそうになってしまった。

 またさっきのカンテをやってみる。相変わらずバランスが悪い。またスタンスを探る。

 カンテよりの少し高いところに、乗れそうな場所を見つける。そこに足を上げてみるか。

 やってみたら、体が上がった。後はカンテを使ったら、少し伸び上がってポケットを取ったりで、上に抜ける。

 何とか3本とも登れたので、仲間のもとに戻る。

 別口の仲間の一人が回りの岩の偵察から戻ったところのようだ。その彼が、尾根の上の岩に面白そうな課題を見つけたらしく、そこに行くというので、くっついてゆく。

 尾根の上のなんでもない小さな岩だ。その尾根を乗っ越すと、尾根の向こう側は沢になっていて、結構急斜面になっている。その斜面側がルーフになっていたのだ。

 えっ、まさかっ。下地は7〜80cmほどは傾斜が無いが、その先は急傾斜になっている。落ちたら転げ落ちてしまう。沢までは20m以上は落ち込んでいる。

 ルーフといっても、リップからスタートできる高さだから大きくは無い。マントルの課題だ。

 斜面を少し下り、立ち木に寄りかかって、デジカメを構える。

 リップから、超外傾しているスローパホールドに両手をマッチして、リップに上げた左足を乗り込んでゆく課題である。リップの上のフェースにはそのスローパーホールド以外にホールドらしいものは無い。左上に僅かにヘアラインのように細い浅い溝があるだけらしい。

 小生が写真を撮っている間には上れなかったが、その後登ったらしい。

 その岩の下の沢沿いに、その仲間の連れが岩の偵察に入ってゆくのが見える。丁度、そこから良く見える綺麗な岩を見に行ったようだ。一応尾根上から写真を撮る。後で聞いたら、上から良く見えた正面はノーハンドのスラブらしいし、側壁は登る気がしなかったらしい。

 いっしょに行った仲間は、ずっと大きなルーフの課題に取り付いている。

 この課題、ルーフの途中からスタートし、右上のリップの窪みのホールドをとってマントルしてゆく課題なのだが、リップのホールドが取れないらしい。おまけに、そのホールドは右淵が鋭利な刃物状になっていて、下手をすると小指のサイドをえぐりとられてしまうらしい。リップのホールドを取っても、足が切れてしまって、ホールドを保持できないらしい。

 この場所に来る途中に有った、なんとなく登れそうに見えた岩を磨いてくればと別口の仲間が言ってくれたので、ブラシと靴拭きマットを持って行ってみる。

 その岩は、緩い斜面の途中にある、2mちょっとの角張った岩で、僅かに被った面を持っている。その面が登れそうだ。しかし、岩の下には潅木が生えているし、その潅木を切った切り株も残っている。あまり良い下地ではない。

 先ずは壁の真中あたりの斜めのカチを磨いてみる。指の第一関節がかかるカチである。そこからリップを取ることにするか。

 上に回って、リップ付近を磨く。しかし、リップの上にはホールドになりそうなところは奥のほうにしかない。リップの上はものすごく寝ているから、リップは持てるだろうが、その先のホールドが無い。僅かなポケットや、皺や段差を一応磨いてみる。

 下に戻って、スタートしてみる。しかし、持てると思ったカチがスタートの前に欠けてしまう。いきなりリップからのスタートしかなくなる。

 直接リップに届きはするから、リップの、ちょっとした切れ目の指先がかかるホールドを右手で持って、左下のスタンスで離陸する。左手もリップを持って、体を上げてみたが、奥のホールドまでは遥かに遠い。足を上げてリップにヒールを掛けるには手がもたない。諦めて荷物のものに帰る。

 仲間が先ほど尾根の上から沢の中に見えた大きな岩に行っているようなので、小生も行ってみる。

 沢の合流点付近の川原にある大きな岩である。その岩の垂直の面の真中あたりにクラックが走っている。中段あたりには水平のクラックも走っている。

 仲間は正面を磨いているので、小生はその右側の水際の所の低い所を磨く。

 上のリップあたりは磨いていないので、ブラシを腰につけて登ってみる。

 結局、傾斜が無いから、リップを磨くことなく、上に抜ける。

 仲間は、正面のクラックのSDをやっている。そこを、立ったままのスタートで登らせてもらう。

 頭の上あたりのクラックのリップのフレークを持って、水平クラックに足を上げて伸び上がり、上のリップの窪んだところのホールドを取る。その奥はガチャガチャしているのだが、ガバホールドは無い。適当にホールドを持って、膝をリップに掛けて、何とかマントルを返す。4〜5級といっていたから、多分5級だろう。

 その岩の奥にマントルの課題が出来そうな岩が有ったのを、別口の仲間が磨きに行ったので、デジカメをもって付いてゆく。

 2mちょっとの小さな岩で、丁度手を伸ばしたあたりに斜めのリップがあり、その上はそこそこの傾斜の面になっている。見た目は難しそうなリップなのだが、別口の別の仲間がその岩を見たときに、5〜6級と見たといっていた。その時は、小生は決してそんなにやさしくは無いと思ったのだが、何しろ、マントルは5級もまともに出来ない小生だから、そんなものかと眺めていた。

 別口の仲間が磨いているのを、その傍らの土手上の小さな尾根の上から眺める。もう、登る元気も無いし、磨くのを手伝うほど大きな岩でもない。ただじっとデジカメを構える。

 磨いていた仲間が、トライを始める。

 リップの持つ場所を選んでいる。やっぱり、外傾しているから、持ちにくいらしい。足は有るようだから、持つ場所が決まれば体は上がる。しかし、リップの上にはホールドは無いようだ。ホールドを探したり、リップの手を返したり、色々とやっているが、なかなかうまく行かないようだ。

 しばらく、その光景を眺め、何枚かの写真を撮り、小生も、仲間が移動していった林道の反対側に移動する。

 小さな沢の中に釣り人らしいカップルが見える。こんな小沢で釣りが出来るのだろうか。他にも何人かの釣り師を見ているから、釣れるのだとは思うのだが。

 少し大きめの僅かに被った面を持つ、下地に大きな岩がゴロゴロしている岩の前に仲間2人がいる。

 トラバースの課題を設定中らしい。被り気味の面で、日も当たる場所だから、掃除はそれほど必要は無いようだ。

 一緒に行った仲間が途中までのトラバースをやる。左から右にトラバースし、途中から少し左上方向に抜ける感じである。ガバガバだから、5級くらいらしい。別口の仲間は、その先のムーブを探っている。

 ガバガバということで、小生も、途中までをやってみることにする。

 仲間は、両手を2つの小さなカチでスタートしたようだが、小生にはそのカチが持てない。トラバースだからと、カンテにホールドを探ってみる。

 左手を何とかもてる場所に持ってゆき、右手は仲間と同じカチでスタートする。足は結構ある。

 左手を少し高い場所のガバに飛ばす。後はガバの水平の淵が立った10cm前後の幅のバンドが続く。手、足を送って、バンドが少し切れた場所をガバとガバで繋ぎ、最後の少し甘いバンドを右手で持つ。次の斜めの甘いバンドでリップを取るところあたりが核心らしいが、そこまでは何とか行ける。次は、右足を少し高い目のガバスタンスに上げ、リップの奥のガバを取る。それが取れれば後は易しいマントルでお終いらしいのだが、それまでに疲れてしまっているから、右足が上がらない。

 そのまま落ちると、岩と岩の間である。素直には落ちられないから、少し体を右に移動し、斜め右下の岩に飛び降りる。

 ガバだし、スタンスも悪くは無いし、難しくは無いのだが、出来ない。

 少し休んで、足を少しおさらいして、またやってみる。今度は、右足が上がったが、体が上がらず、リップ奥のガバが判らない。がんばってもしょうがないから、飛び降りる。

 少しはスムーズに出来たのだが、やっぱり疲れてしまう。もう大分チンタラではあるが遊んだからなぁ。

 最後の足を上げてリップの奥のガバを取るところだけをやってみる。

 左足を決め、右足を上げようとしていたのだが、それがだめだったようだ。左足はスメアで右足を上げてみたら、結構楽に足が上がった。その右足にきっちりと乗り込み、体を上げて、左手を左奥のガバに飛ばす。届いた。そのホールド、すごいガバだ。

 また少し休んで、最初からやってみる。

 スムースに手を運び、足を運んで、一瞬両手にぶら下がって、左足をスメアし、右足を上げる。まだ余裕がある。しっかりと乗り込み、体を上げて、左奥のガバを取る。やったー。最初は無理かと思ったトラバースだったが、出来てみれば、やっぱり、易しい。でも、易しいのになぜ出来なかったのだろう。

 別口の仲間にそのことを聞いてみたら、それがトラバースなのだとの返答である。やっぱり手数なのかと一応は納得する。でも、ガバなんだけどなぁ。

 そのトラバースのロングバージョンも完成したので、次は、そのトラバースのスタート地点の岩の下の穴に注目する。そこは、洞穴のような被った面が続いているのである。

 倒木が詰まっていたから、その倒木を引っ張り出し、その穴に潜り込む。

 適当な大きなポケット状のスタートホールドを見つけ出し、少しバランスの悪いスタンスでスタートする。次もポケットかと、その上のポケットを探ったが、そのポケットの淵が鋭く、持つと指が切れそうということで、いかにも次はそのポケットというそのホールドは使わずに、その横のスローパーにマッチして上のガバを取るというムーブが確定する。

 その課題は、そのまま直上してカンテを回り込み、まっすぐ上に抜ける。グレードは忘れたが、易しくは無いようだ。

 別口の仲間の仲間が帰り支度をしてやってくる。そろそろそんな時間の様だ。

 荷物のところに戻る途中の、先ほど別口の仲間の仲間が挑戦していたマントルが完成したということだったので、その課題を仲間が触る。

 5〜6級と言っていた仲間も、3級位かなといいながら登り、その右のカンテも悪いといいながら登っていた。

 荷物をまとめ、自動車のもとに戻る。

 帰りは、例の温泉により、7時過ぎまでゆっくりと温泉に漬かり、別口の仲間は須玉インター方面に行くということだったので、最初は一緒に夕食をと考えたのだが、それでは少し遠回りになるので、途中から方針を変更し、直接甲府に向かった。

 甲府市内のファミレスで少し遅めの夕食を取り、20号を相模湖まで走って中央道に乗り、そのまま首都高から千葉まで戻った。

 温泉でゆっくりし、下道を走ったので、千葉に着いたのは12時を回っていた。


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作成年月日 平成16年 5月20日
作 成 者 本庄 章