とあるボルダーその13

2003年12月18日記
 ジムの仲間4人と5人で、とあるボルダーに行ってきた。今回は都合で、土曜日の朝出である。

 小生の家で仲間2人と合流し、そこから小生の自動車で残りの仲間2人の待ついつものジムの最寄駅に向かう。待ち合わせは8時であったが、少々遅れてしまう。

 実は、今回は目的地を小川山、とあるボルダー方面としか決めていなかったので、走りながら、目的地を決める。

 天気予報では川上村では雪が降ったようだし、気温も日中でも2度位とのことだったので、小川山は諦め、行く先をとあるボルダーに決定する。

 土曜の朝だと言うのに首都高の環状線への合流で少し渋滞しただけで、ほぼ順調に中央道を走り、須玉インターから、何時ものコンビニに寄って目的地を目指す。

 とあるボルダーエリアと言っても、結構広いので、今度はその中のどのエリアかを決めなければならない。

 一人の仲間は「楽園」という課題をやりたいと言うし、別の仲間は「阿修羅」をやりたいと言う。また別の仲間は「二刀流」をやりたいと言う。「楽園」は「二刀流」に行く途中なので、「楽園」に寄ってから「二刀流」のあるエリア目指そうということになる。

 舗装路を外れてからの途中、道が物凄くぬかるんでいるところがあったり凍っている所があったりしたが、最低地上高20cmの4駆車の強みを発揮し、5人乗車ではあるが、それ程のストレスも無く先に進む。

 「楽園」という課題のあるエリアでそれを登る仲間を降ろす序に、皆でそのエリアの見学に行く。「黄金」という課題も見学する。下地に僅かな雪が残ってはいるものの、岩は乾いており、状態は良さそうであった。

 「二刀流」のエリアの手前の林道の真中に自動車が停まっている。で、なんだかその先工事中のような感じである。

 自動車を道の脇に停めて、その先それ程距離も無いから歩いて行くかと言うことになったのだが、そこから分岐する道が今まで工事中で通れなかったのが、今は通れそうだからと、一先ずはその道を偵察する事にする。

 その道の大半が舗装されている。途中分岐するところの先も舗装されているので、その先も進んで見ると、その道はほんの僅かで舗装は終わっていた。

 その舗装が終わったところからほんの僅か上が何時も凄くぬかるんでいて、傾斜もきつかったから、スタックを気にしながら通過していたのだが、その泥濘が凍っているのか、殆どぬかるんでおらず、すんなりと通過できた。

 あまり先に行ってもしょうがないからと、途中で引き返し、先ほど自動車の停まっていた分岐まで引き返すと、丁度その自動車の運転手が戻ってきた所だった。

 その運転手に、この辺の状態を聞くと、この先は工事中だから自動車は通れないと言う。序に工事のことを聞くと、その道の舗装工事は上のほうから行ってきて、下に下りてきているから、もう直ぐ工事は終わるだろうとの事であった。

 その自動車が移動していったので、その工事中の道を進んで見る。

 何時もの分岐付近には現場事務所用のプレハブが建てられ、自動車が2〜3台停まっている。どうやら、工事の人がまだいるようだ。

 なんかすっきりしないからと、そのエリアは諦め、その下の「嘆きの壁」という課題のある岩に行くことにする。

 このことを「楽園」に行った仲間に知らせないとと、林道から「楽園」の岩方向に声をかけてみたのだが返事が無いので、また皆で「楽園」まで行くことにする。

 仲間に移動することを告げ、そのまま暫く仲間のトライを見学する。

 その内仲間の2人がこの岩を登り始める。

 「楽園」の右には浅いクラックの課題、そのまた右にはちょっとした凹角の課題がある。

 この浅いクラックの課題を仲間の一人が登る。結構難しそうな課題である。

 「楽園」の仲間が本格トライは明日にすると言うことで、明日の為にホールドを柄の長いブラシで少し磨いたりした後、皆と一緒に「嘆きの壁」のあるエリアに移動する。

 ここには、「嘆きの壁」をはじめ、初段の課題、1級の課題などがある。その1級の課題は小生も何回かトライしており、まだ全く登れていない課題である。

 仲間が「嘆きの壁」とか初段の課題を触っている間に、その初段の課題の右の壁の確か6級くらいとか言われた僅かに寝た壁を触って見る。

 この課題は以前来たときも出来ずに、その少し右側の斜面を少し登った所からチョンボスタートして誤魔化した課題なのである。最近は少しは強くなったので、若しかして登れるかとやって見たのである。

 浅いポケットで離陸して体は上がるのだが、その先が動けない。少し上にフレークがあり、そこが持てそうなのだが、そこまで手が届かない。

 なんとか体を上げ、左手をそのフレークに飛ばして見る。届かない。下地が傾斜しているから、落ち葉がいっぱいあるから、足が滑る。靴が濡れる。

 チョークを付けて、それを拭きとって、濡れた所を乾かす。またやって見る。両足を決め、体を上げる。フレークは無理だ。といって、スタテイックには手が離せない。動けない。やっぱり駄目か。

 実はこの課題、後で調べて分かったのだが、2級だそうだ。どおりで悪いわけだ。今度はそのつもりでやって見よう。

 皆の所に戻って、1級の課題をもう一人の仲間と触りだす。

 右手ピンチチックなあまり良くないホールド、左手ちょっとした窪み、左足は直ぐ下のガバスタンス。離陸して、右足を斜めのカチスタンスに上げ、左足を左のほうのガバスタンスに移す。その先が分からない。

 他の仲間も参戦する。

 確か、次の右手はその辺の縦カチだったようなと、小生が思い出す。その辺のホールドになるのだかならないのだか分からないようなところを別の仲間が一応磨く。

 別の仲間が、その磨いた所の少し下の縦カチを使って、左足をスメアで少し高く上げ、右足を大きく開いてガバチックなスタンスに上げ、右手をそのスタンスの上の方の少し出っ張った所のサイドを使ってリップを取り、上に抜ける。マントルも悪いらしい。

 もう一人の仲間もその縦カチを使って登る。

 小生ともう一人の仲間もそれを真似て、右足を開くのだが、腰が出てしまって、後ろの木に体が触ってしまって、なかなかそのスタンスに足が上がらない。

 段々足が上がるようにはなってきたのだが、足をスタンスに置ききれずに落ちる。その時、下を見ると岩があったので、その岩を避けるように足を開き落ちる。

 何回かして、左足をインナーエッジでスメアする感じでやって見たら、足が何とか上がり、左手でリップが取れた。しかし、右足がしっかりとは乗れていなかったようで、落ちる。

 次の試技で何とか右足に乗れ、左手でリップを取ってから、右手も少し膨らんだリップをとれる。左手は少し左のほうに浅いポケットがあるので、そこを探ったり、右手の良い所を探したりして、マントルの体制になろうとしたのだが、右足が少し滑り、置き直してもうまく行かず、もたもたしているうちに、そのまま後ろの木の枝を少し抱えながら落ちる。そのため、着地のショックは余り無かったが、その代わりに左腕の内側を思い切り擦りむいてしまった。あまり小細工せずにすんなんり落ちたほうが良かったようだと反省する。

 もう一人の仲間もその後何回かでそこを登ったのだが、小生はその後、中々左手の少し遠いホールドが取れなくなってしまい、何回かやっては見たが、その後の進展は全く無かった。結局この課題を登れなかったのは小生だけだったようだ。

 もう日も蔭ってしまったから、相当に冷え込んでいたようだ。

 仲間が、その裏側の初段の課題を登るのを見学して、もう一回だけその1級の課題を触って、別のエリアに移動する。

 「阿修羅」の岩に行くと、暫くここに篭っていた仲間が一人だけで登っていた。

 丁度その岩の下に着いた時に、その仲間がリップを摂り損ね、上から、直ぐ後ろの太い木にぶつかりながら落ちてきて、地面に倒れこんでしまった所だった。

 暫く動かなかったから、どうしたのかと少し心配したのだが、ずっと打ち込んでいて、後少しと言う所で落ちてしまったので、それで、暫く動かなかったようだ。特に体に支障があったわけではなかったようだ。

 仲間は「阿修羅」を触り始めたので、小生はその岩の上のクラックのある岩に行き、クラックを触ることにする。

 右側のクラックはしみだしており、登れそうに無かったが、左側のクラックは乾いていたので、左のクラックを触って見る。

 こちらのクラックは少し広く、クラックの内側にガバホールドがあるので、それを使って離陸する。しかし、その後のホールドがクラックのリップになるから、縦方向の水平カンテという感じになるから、とっても持つことが出来ない。体を振ることを模索して見たが、突っ張る足も見つからず、ワイドクラックの技を繰り出さなければ無理なような感じがしたので、今の小生には無理だと諦め、何回かでやめてしまった。

 そのクラックの右にはポケットでスタートしてリップを取るという1級の課題があるので、それを触って見る。

 ポケットは辛うじて2本の指が入るのだが、その2本が完全に効く形で入るわけではないので、そのポケットをレイバック気味に持ってハイステップの足でリップを取りに行くということが出来ず、2〜3回で諦める。確か以前は離陸して体が少しは上がった気がしたのだが。

 その右側のカンテを回りこんだところに易しい、ガバポケットで離陸する課題があるので、一応それをやることにする。なにしろ、それまで、まともなものは何一つ登っていないのだから。

 右手でガバポケットを持ち、足を大きく上げて岩に乗り込み、カンテのカチというか、ガバというか、を適当に持ってマントルをする。しかし、この辺は殆ど登られていないようで、岩の上は苔に枯葉だらけ。傾斜はそんなに無いが、恐る恐る四つん這いで暫くのぼり、岩の上に立つ。

 ここも日が蔭って寒くなってしまったので、何時も使う天場に行き、テントを立てる。まだ明るいから、作業は楽であった。

 5人だから、テントは二張りの予定だったのだが、連絡が上手く行かなかったようで、4人用のテント一張りしかない。仕方が無いから、3人はテントで寝て、2人は自動車で寝ることにする。で、小生ともう一人が自動車で寝ることとなる。

 明るいうちにテントの外で夕食を済ませ、暗くなってからは、テントの中で何時もの宴会が始まる。といって、それぞれが缶ビール一本分くらいのアルコール量だから、飲むと言うよりはおしゃべりが中心となる。

 とはいっても、始まりが早いものだから、そう長くもやっていられないので、9時過ぎには皆で寝てしまった。

 朝4時頃に目を覚ます。自動車の外気温計をみるとマイナス4度である。思ったよりは寒くは無かったようだが、もう何十年も使っているシュラフだから、羽毛とはいえ、結構寒かった。

 羽毛のチョッキをさらに着込み、再度シュラフに潜り込む。

 足の保温をと、シュラフの足の部分をナップザック様の袋に突っ込んで寝ていたのだが、どうやら、その袋の内側が結露してしまったようで、シュラフの足が湿っている。前回に、テントでそれをやって濡れてしまったときはテントの布にその袋が当たっていたから、それで外気が直に来て結露したものと思い、自動車の中なら大丈夫だろうとやって見たのだが、その袋の内側がゴム張りだったので、見事に結露してしまったようだ。高々足2本、それも、膝よりは下の部分しか入っていないから、そんなに結露するとは思わなかったのだが、これからは決してそのようなことはしないことにしよう。

 途中また7時頃に一度目を覚ましたが、結局は9時頃まで寝てしまった。何時もなら7時前には起きだして近所を徘徊していたのに。やっぱり寒さの様だ。

 9時過ぎに皆で、テントの外で朝食を取っていたら、別口の仲間の自動車が横を通っていった。今回は2人の様だ。

 上で行われている工事の為か駐車場のトイレが使えるということだったので、恒例のトイレタイムを済ませ、昨日敗退した「二刀流」のエリアに行く。さすが、日曜日だから作業用の自動車は無かった。

 仲間が、12〜3mはあろうハイボールを登りだす。最初は怖いと言って途中から降りてきたのだが、結局は上まで抜けてしまう。途中、10mくらいのところにちょっとした出っ張りのテラス様のものがあるのだが、その出っ張りが完全に浮いていたらしい。ぽこぽこ言っていたらしい。次にそこまで行った仲間も、あれはその内落ちるだろうと言っていた。

 別の仲間が、その岩の左側のクラックを触りだす。

 そこにはクラックが二本走っているのだが、右は易しく、左は難しいらしい。

 仲間2人が右側のクラックを登り、苔が戻り始めていて、ホールドがジョリジョリするし、カンテは苔だらけで持てないから、凄く難しくなったという。

 左側のカンテを登る別の仲間を見物しながら、右側の方はそんなに易しくは無いのに、グレードは確かそんなに高くは無かったような気がするとか話していた。

 帰りの自動車の中で、今回の成果の話で、その仲間が初段を登ったと言う話になったときに、その仲間は、左側の初段のクラックをその右のクラックの話と聞き間違えて、3級かそこらにしては悪すぎると思いながら登っていたと言うことが判明した。

 その後、「楽園」を登りに行く仲間が一人歩いて「楽園」まで行き、他の仲間は「二刀流」を登り始めたので、小生はその近くの易しい課題のある岩にゆき、その岩を磨きながら登りはじめる。

 先ずは、左側の、垂直なスタンスやホールドに乏しい壁を、離陸以外にはカンテを使わないという、理不尽な限定をして上に抜ける。本当はカンテは使いたくは無かったのだが、離陸できないから仕方が無い。

 次は、その左側の凹角状のところを登って見る。多分10級くらいなのだろ。

 その左の上が僅かにハングしたところを直上して見たくなったので、そのムーブを探って見る。

 右手は凹角の中のガバカチ、左手は甘いカチで離陸、左手はハングの上のカチを磨いて使用する。次の左足は足を開いて結構かかる溝にスメアする。しかし、その磨いたカチが一回で欠けてしまう。しかし、まだ何とか持てるので、再度のトライで上に抜ける。

 しかし、そこから上のホールドは苔が付いたままだから、持ちやすそうなところを磨いてまたやって見る。今度は、スタートの足を入れ替えて、ハングの上の欠けたカチは使わずにやって見る。離陸ができる。そのムーブだとこの辺にホールドがほしいと、また岩の上に登ってリップやその下のスタンスを磨く。

 また登ってみる。磨いたホールドは場所を間違えたようだ。またまた磨きなおす。リップの上にカチを発見する。またそのカチを磨く。登ってみる。最初に磨いたカチの直ぐ上にそれより少し良さそうなカチを発見する。またそれを磨いて登り直す。一応これで完成だろう。上に抜けて、咥えていったブラシで最後のスタンスを磨く。登りかえす。スタンスの場所が悪かった。

 いつまでやっても切りが無さそうだ。適当に妥協する。まぁ、7級か8級、或いは9級かもしれないから、その辺はどうでも良いのだが。

 仲間2人が「阿修羅」に行くというので、小生もその2人を送りがてら、昨日の1級の課題をやりたくなったので、昨日の場所に行くことにする。集合は、「楽園」の彼が「二刀流」経由で戻るというので、「阿修羅」か何時もの駐車場集合と言うことにする。

 昨日のエリアに行く前に、前回遣り残した4級の課題も気になったし、多分そのエリアに忘れたと思われる足拭きマットの回収も兼ねて、先ずはそのエリアに行くことにする。

 林道から沢の渡渉点に降りる場所があやふやだったので、少し行ったり来たりして沢を渡り、大きな立派な木の脇を通って前回の岩の前に出る。

 そんなに高価なものではないから、見つからなくとも支障は無いのだが、なんとなく気にはなっていたものだから、置き忘れたと思しきマットを一応は探して見る。あるだろうと思った場所にマットは見当たらない。別の岩の周りにもマットは無い。別の所だったのだろうか。

 前回登らなかった、易しそうで少し難しいと言う、少し凹面状になったクラックのある面を登る課題を触って見る。

 左手クラックで、右足を適当に置いて、右上の少し遠い大きなポケットを取りに行ったら、足が滑ってまったく手が届かなかった。

 足を探して見たが、右足は適当なのが見当たらない。ならばと、左足を垂直のクラックに突っ張って離陸したら離陸できた。右足を適当において、伸びたら、カツカツで右手が届いた。あとは左足を斜めになったクラックに上げてリップを乗っ越して行く。その上が、傾斜は無いが苔だらけだから、慎重に這い上がって行く。

 いよいよ4級の課題である。

 地面に埋まっている小さな石の上から、右手でポケットを取り、左手をその直ぐ下のリップのカチに添えて、離陸する。そのまま左足をリップの下のガバスタンスにアウトエッジで置き、カンテの向こう側の少し遠いポケットを左手で取りに行く。

 このポケットは、下が浅いポケット、それより少し上にもう少しかかるらしいポケットがある。

 先ずは下のポケットを取りに行く。

 右手の2本指のポケットを横に引いて体を上げて行く。前回は見えなかったポケットが今回は見える。そのポケットを持ってもう少し体を上げ、上の良いと言うポケットを取りに行く。届かないからデッド気味に取りに行く。届かずに落ちる。

 足の置く場所を少し左上に移して見る。大分下のポケットを取るのに余裕が出てきた。体も前回よりは上がってきた。左手を飛ばす。外れる。落ちる。駄目か。

 少し休んでまたやって見る。下の浅いポケットが意外と持てている。もしかすると。正対して見たら、しっかり正対できた。右手は離せた。左手も上のポケットに持ち変えられた。体を上げ、左足をカンテの向こう側のスタンスに置き、右足もリップの上に置いてしっかりと立てた。ホールドとかスタンスを慎重に探す。そのままカンテの右側を上に抜ける。出来た。疲れもそれ程は無かったのだろう。それと、多分前回よりはポケットのフリクションが良くなっていたのだろう。いずれにしても、気になっていたものが登れた。

 帰りに大きな木の写真を撮って自動車に戻る。

 いよいよ嘆きの壁である。って、「嘆きの壁」をやるわけではない。その左の1級の課題である。

 今回は多分上から落ちるだろうからと、自分のパッドを担いで行く。

 パッドを敷いて、取り付いてみる。

 ホールドが持てない。なんとなく滑っている気がする。ホールドを歯ブラシで磨く。

 離陸を試みる。左手が外れ、指の爪側の第一関節辺りの皮を擦り剥く。血が滲む。舐めて誤魔化す。

 3回、4回と続けてトライする。寒いから、一人だから、どうしてもゆっくり出来ない。

 離陸が出来ない。足の置き方か。左足のインエッジで体を岩に押し付けて立ち込んでみる。離陸できた。右足をカチスタンスに乗せることが出来ない。昨日はこの辺は何も考えずに出来たのに。

 やっぱり足の置き方か。直ぐ下の左足を離陸した後に少しアウトエッジ気味に置きなおす。右足が上がった。そう言えば昔、散々やってこのスタイルに落ち着いたことを思い出す。と言うことは進歩は無いのか。と言うことか。

 左足を開いて、左手を遠い次のホールドに伸ばす。届かない。右手が開かない。体が左に行かない。飛ばし気味に行っても取れない。何回その辺のムーブをやったことだろう。なにしろ、休むか休まないうちにまた取り付くのだから。

 やっと遠い左手が取れた。右手を縦カチに寄せる。左足を上げる。が、左足に全く乗り込めない。力が入らない。そうか、足は相当に疲れていたのか。道理で昨夜足がやけに攣った訳だ。今後何やっても、こりゃ駄目だ。早々と諦める。

 時間はまだ3時大分前だ。一応の予定は3時半ここ出発である。

 裏の初段の課題の下にパッドを敷いてみる。

 右の石の上から、少し高い水平カチを持って、左足をガバスタンスに置いて離陸する。両足を小刻みに上げて手を縦リスのフレーク気味のところを持つ、のだろうか。最終的にはスタートホールドに立ち上がるのだが。

 2回か3回ほどやって見たが、手がスタートホールドから移動できない。初段だからやはりまだ早そうだ。

 仕度を整え、移動する。途中、自動車の外気温計は丁度零度を示している。やはり、昨日の夕方の症状だったのだろうか。寒すぎたようだ。またもこの課題は持ち越しか。

 「阿修羅」の下の駐車場に行くと、まだ日が当たっている。別口の仲間の自動車もある。そこに自動車を停め、まだ濡れていたので畳んでいなかったテントを、ほんの僅か乾かしてから、畳んでバッグに仕舞う。もう疲れてしまったし、時間も余り無いからと、帰りの服装に着替えてしまう。でも、一応はザックを背負って、「阿修羅」の岩に行って見る。

 仲間の一人と、別口の仲間の一人がいた。別口の仲間は昨日と同じ課題を登っているらしい。もう一人の仲間は見当たらない。「阿修羅」は登ったのだろうか。

 別口の仲間が、既に寒くなったし多分駄目だろうと言いながら、トライを始める。

 ポケットでスタートして、足を大きく開いて、尚且つ複雑に動かして、上に登って行く。昨日落ちたリップを取って、もう一方の手もリップを取って上に抜けた。やったぁー。2人で拍手をする。因みに、2年越しのプロジェクトだったらしい。

 見た目は凄く安定していた。降りてきた彼にそう言うと、最後のリップのホールドが最初は良い所が取れず、やっと登ったのだという。しかし、小生にはそうは見えなかった。まぁ、この人の登りは何時もそうだから、とは別の仲間の弁ではある。

 仲間も1回か2回「阿修羅」に挑戦し後、いつもの駐車場で4時待ち合わせと言うことだったので、既に4時であったから、自動車に戻ることにする。別便の仲間はまだ寄る所があるということだったので、2人で自動車に戻る。別便の仲間の自動車は無かった。

 駐車場に行くとまだ誰もいない。仲間がトイレに行くというので、「二刀流」のエリアまで見に行くことにする。

 「二刀流」の岩の前には誰もいない。引き換えしてきたら、駐車場の少し手前の道端に仲間の一人が立っている。自動車を停めると、もう一人の仲間はまだ「みんなの岩」とかいう岩を登っていると言う。でも直ぐ来るはずだと言うので、少し待っていた。

 駐車場に戻ると、仲間2人が待っていた。

 帰りは、韮崎の温泉が500円になったと別便の仲間から情報を得たのだが、武川の方が露天風呂が気持ちが良いということで、やっぱり武川の湯に行くということになる。

 相変わらず武川の湯は混んでいる。

 前回、この温泉にタオルを忘れたので、駄目元で、タオルの忘れ物などは捨ててしまうのかと聞いてみたら、一応2週間くらいは取っておくという。しかし、残念ながら小生の忘れ物は3週間前だった。

 久し振りにホウトウを食べようと言うことになったのだが、ホウトウは高いという反対意見がでて、決を取った所、賛成2、反対1、保留2で、結局ホウトウになる。

 国道20号線沿いのホウトウ屋に入る。駐車場が結構いっぱいである。こんな時期の日曜日の夜6時過ぎだから、観光客でも無いはずなのだが、沢山客がいる。やっぱり山梨県人はホウトウが好きなのだろう。

 だだっ広い畳敷きの大広間に大きなテーブルが並んでいる。ホウトウ屋のスタイルって皆同じようなものなのだろうか。それとも、同じチェーン店のホウトウ屋しか行っていないのだろうか。小生の乏しいホウトウ屋経験でははっきりとはわからないが。

 途中用事があるという仲間一人を甲府に残置し、4人で勝沼インターから中央高速に乗る。

 イラクで、サダム・フセインらしき男が捕まったと言うニュースが流れる。以後ずっとそのニュースが続いていた。

 空いている。途中、事故らしいもので少し渋滞しかけたが、殆ど渋滞無しに帰り着く。今回も11時前に最寄駅に着いた。

 仲間2人と別れ、2人で家まで帰り、そこで仲間と別れ、今回のボルダリング行を終わった。

 寒かった。ただ、寒かった。来週はもう駄目かも。やっぱり歳だなぁ。


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作成年月日 平成15年12月24日
作 成 者 本庄 章