楯ヶ崎のボルダーに行ってきました

2004年 1月 8日記
 暮れの金曜から日曜日の3日間、相棒と二人で三重県から京都府のボルダーエリア三箇所を巡ってきた。

 これは三重県熊野市の楯ヶ崎のボルダー編である。

 木曜日の夜7時頃に家を出発する。正月休みが始まる1日前だからか、道は空いている。

 首都高から東名を岡崎まで走り、そこから国道1号に降りる。途中安城でガソリンを入れ、伊勢湾岸道に乗る。四日市で東名阪道に合流し、亀山の先の関というところで伊勢自動車道に分かれて勢和多気迄行き、そこから国道42号を尾鷲まで行くというのが最初の行程である。

 岡崎から先は初めての道、三重県は初めて行く場所である。

 伊勢湾岸道は3車線の凄く広い道なのだが、時間が時間ということも有ってか交通量が殆ど無く、物凄く空いている道である。名前の通り名古屋港の真ん中を突っ切る道で、道の半分位が海の上の様だから、名古屋のバイパス兼産業道路といったところなのだろうが、まだ東名とは直接には繋がっていないので、空いているようだ。近く、豊田で東名と繋がるらしいので、そうなればもっと自動車が増えるのだろう。伊勢道も空いていた。

 勢和多気から少し行ったところで奥伊勢おおだいという道の駅の表示が現れる。既に3時を過ぎているし、先も見えてきたので、その道の駅に入る。

 自動車の後ろの座席を倒し、寝るスペースを作る。前の席の背もたれを後ろに倒すと前の席との境がなくなるので、前の席にも荷物を置くことが出来るから、寝る場所を広く確保できる。

 後ろの窓を銀マットで覆い、横の窓にも目隠しの布を張り付ける。前席との境はカーテンを下げる。薄いボルダリング用のパッドを広げると、完全に寝室が出来上がる。寝袋に包まり就寝する。

 目を覚ますと既に8時を廻っている。寝過ぎたか。

 荷物を片付け、既に営業を始めている道の駅の売店を覗く。

 食堂が9時から開くという。既に9時である。メニューを見ると大台茶漬けというのがあるので、それを食べることにする。

 券売機が動かない。営業はまだなのだろうか。聞くと大急ぎで券売機のスイッチを入れてくれる。

 大きく立派な木のテーブル席で食事をする。さすが大台ケ原を売り物にする町だ。

 紀勢町に入って直ぐの河原に被った面を持つ大きな岩が一つ見える。若しかして登れるかもと言いながら少し進む。しかし、なんとなく気になったので、引き返し、その岩の見える場所に自動車を停め、少しその河原の偵察をする。

 結構広い川の向こう岸にその岩はある。こちら側からはその岩には行けない。向こう岸に廻らなければ。

 地図で橋を確認し、対岸の道を探す。しかし、川が大きく蛇行している場所で、対岸には川沿いを走る道は無さそうだ。

 対岸に渡り、適当なところに自動車を停め、道を探るが、やはり歩く道も無さそうだ。河原もその先ちょっと崖になっているようで、河原を歩くのもきつそうである。歩いて行けたとしても時間が掛かりそうだ。先を急ぐことにする。

 尾鷲市街の少し先で海辺を走る311号に入る。少し長い目のトンネルを抜け、海沿いの曲がりくねった道を綺麗な入り江や小さな漁村の風景を見ながらしばらく走る。近いと思って入ったその道が意外と遠く、結構走ったところでやっと楯ヶ崎の看板が見える。

 その看板の所は一寸した岬状になっており、道の脇が展望台兼駐車場になっている。参照した案内書には国道に縦列駐車と書いてあったが、展望台スペースに自動車を停める。既に12時少し前である。

 道路の脇から楯ヶ崎への遊歩道に降りる。程なく歩きにくい石段の道になる。一段の幅が広いから、歩きにくいのなんの。どうしてこのような不自然な階段を作るのだろうか、こんな階段の道が歩きやすい人なんて居るのだろうか。わざわざ手を掛けて作ってあるこの様な階段道を歩くたびに思うことである。

 一度海岸まで降り、神社の脇から再び登る道をしばらく歩くと、道が分かれたりしているが、千畳敷だったかの海岸に出る。そこがハテナのボルダーやレリーフのボルダーのある磯である。

 風が少し強いが、日が当たっているのでそんなに寒くは無い。釣り人が1人突端で釣りをしている。沖を漁船が通って行く。

 大きな岩の広い広場に荷物を置き、辺りを偵察することにする。

 先ずは周りを歩いて見る。将に岩手の侍浜そっくりである。侍浜を小さくした、そんな磯である。磯全体が大きな岩盤であり、その岩盤の上に色々なボルダーが立ち上がっている。それらのうちの大きな岩の一つがハテナのボルダーであり、レリーフのボルダーである。

 続いてハテナのボルダーを偵察する。遊歩道の階段もあるから、ラインは直ぐに分かる。しかし、冷蔵庫の岩が分からない。

 階段の右の方に少し離れてあるらしいのだが、そのトポの形の岩が見つからない。どうも図と実際の岩とが大分に違うのである。もう少し右に回りこむと、それらしい岩が見える。多分これだろう。

 荷物を置いた場所は風が強い。少し波打ち際に降りると、レリーフのボルダーの風下になるので、風が来ない。荷物もそちらに移し、その近くの余り高くない岩を少し触る。ハテナのボルダーにしろ、レリーフのボルダーにしろ、何しろ高いのである。ウォームアップ向きではないのである。って、実際は小生が登れそうな所が無いのだが。

 易しいカンテを登ってみる。易しいから簡単に登る。次は下地が段差になっている丁度その段差に落ちそうなところに取り付いてみる。リップが少し遠いから、落ちると怖いから、途中で降りる。手を探り、足を探ってまた取り付く。やっとリップを掴む。出来た。

 その他にも何箇所か登る。それらは易しいから、直ぐに登れる。

 最初の広場に戻り、穴ぼこの中に荷物を置き、ウォームアップに適した課題だという冷蔵庫フェイスという5級とかの課題を触る。

 下地のテラスが少し狭いし、岩盤だから、パッドを敷く。

 離陸は出来るのだが、次のホールドが取れない。何回か触ったのだが、持てる気がしない。本当に5級なのだろうか。5級なら、ムーブが少し違っていても、何とか登れるはずなのだが。

 リップに飛びつくのだろうか。でも、テラスが狭いしスポッターもいないから、そこから外れると結構落ちるから、怖くて飛べない。スタティックにはとてもいけない。仕方がないから諦める。

 次はハテナのボルダーのフェイス〜クラックをやってみる。因みに5級らしい。

 しみだしがあって下地が濡れている。しみだしの流れの上にパッドを敷く。

 左手クラックなのだろうが、幅が狭いから、持てる場所が限定される。もう少し上を持ちたいのだが、そうすると持ちにくくなる。右手はやっぱり縦クラックの縦カチ。結構効くからなかなか離せないホールドである。

 次のホールドが分からない。右上にガバに見える大きなホールドが見えるのだが、遠いから届かない。真っ直ぐ上に指一本が掛かりそうな浅目のポケットが見える。ここも僅かに届かない。

 足を上げるスタンスを捜す。右足はそこそこ有るのだが、少し高い。左足は顕著なスタンスが一つだけしかない。

 左足の顕著なスタンスに乗ってしまうと動けなくなってしまうので、そのスタンスを使わずに、右足の高いスタンスに乗る算段をする。しかし、良い方法が見つからない。

 気分転換にその岩のほかの課題を触ってみる。

 先ずは一番左のランジである。

 ホールドが無い。スタンスが無い。飛べない。本当に3級なのかなぁ。

 次は凹角である。

 凹角をステミングだろう。はっきりしたスタンスが有るから、離陸は出来る。次に足を上げてみたが、手を突っ張りきれない。2級らしいから、無理はしない。

 次はカンテである。

 ホールド、スタンスともに適当にあるから、離陸は出来る。左手カンテを持って一歩上がるのだが、その次の右手ホールドが持てない。やっぱり難しい。3回か4回くらい挑戦してみたが、諦める。

 ハテナである。

 ハテナの部分まで行き、アンダーを触るも、保持できないから、飛び降りる。

 お遊びはお終いである。

 再びフェイス〜クラックに戻る。

 発想を転換して、右足で使っていたスタンスを左足で使い、右足を右の方のスタンスに上げて上の浅いポケットを取りに行くと、浅いポケットに手が届いた。しかし持ちきれない。でも一歩進んだ。やっぱりこのムーブだ。

 何回かそのポケットを触っているうちに親指でピンチ持ちが出来ることを発見する。このホールドが持てれば、右足を右にだし、上のガバに見える大きなホールドを取りに行ける。

 右の方の一寸した外傾テラス風の場所にスメアで立つ為のスタンスを確認する。候補を3箇所位マークアップする。

 左手のピンチで右足に立ちこんで行く。足が滑る。でも、何とかなりそうだ。

 右足に乗れた。しかし、右手が出ない。何とか狙いをつけて右手を出す。右手がホールドに掛かった。しっかりとその手を持ち直す。しかし、思ったより良くは無い。良い場所を探る。疲れてる。足が滑る。落ちる。疲れてさえ居なければ。惜しい。

 その後、なかなか右足が決まらず、右手が出ない。少し休みながらやってみたのだが、段々右足を出すのもきつくなってくる。

 もう直ぐに4時になる。そろそろ戻らなければ。

 最後に一回だけトライを繰り返し、帰り仕度をする。

 このハテナのボルダーの上は灯台になっている。そこまで登り返し、灯台を廻って遊歩道に戻る。

 遊歩道の脇に、来るときに確認してあった岩がある。まだ少し時間が有ったので、最後にその岩を触る。

 表面が大分風化しており、脆くなっている。多分誰も触っていない岩なのだろう。

 最初は離陸に失敗したが、二回目には、ホールドが欠けそうだし、抜け口が泥を被っているので怖かったが、何とか木を掴むことも無く上に抜ける。

 自動車に戻ると5時頃であった。

 尾鷲市内で夕食にするつもりだったのだが、適当な食べ物屋が見つからないうちに家の近くにもある大きなスーパーが現れたので、若しかすると食堂があるかも知れないと、そのスーパーに寄る。

 結局食堂は無かったが、半額になったパンなどの食料を仕入れる。

 街道沿いには食堂が無さそうなので、町の中に入って店を探すと、ちょっと高そうな感じはしたが、適当な店があったので、その店に入る。

 個室に通され、少し不安になったが、メニューを見て安心する。

 今夜の宿泊地は尾鷲市の隣の海山町の海山道の駅である。

 昨夜と同様の準備をして就寝する。


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作成年月日 平成16年 1月 9日
作 成 者 本庄 章