丹沢水無川流域のシンビジュームボルダーに行ってきました

2004年11月23日記
 日曜日の日にジムの仲間二人と三人で丹沢水無川流域のボルダーに行って来た。シンビジュームボルダーというらしい。土曜日の予定が、天気の都合で日曜日に延びたものである。

 何時もの待ち合わせ場所に7時半に集合し、コンビニで買出しの後出発する。

 土曜日と違って日曜日は道は比較的空いている。湾岸から首都高、東名で秦野を目指す。途中、厚木辺りで事故が有ったらしく、横浜から厚木間が渋滞したが、それほどのロスも無く秦野中井で高速を降りる。

 インターから戸台への林道は道が少し入り組んでいるので、カーナビをセットする。

 途中のコンビニで昼飯の買出しを済ませ、カーナビに従って走っていたら、直進すればよい道を迂回させられてしまう。このカーナビ、よくそういうナビが行われるのだが、理由がわからないからいつも騙されてしまう。今回も立派な道を外れ、わざわざ市街地の細い道を走らされてしまった。

 林道に入り、少し走ると秦野戸川公園の入り口が現れ、道路わきに自動車が何台も停められている。その先で舗装は切れ、ダートの渓谷沿いの道になる。久しぶりのダートと言う気がして、少し嬉しくなる。

 細い道の脇に7〜8台の自動車が一列で停められている。何があるのだろうか。

 途中所々にある水溜りや、水抜きの明渠を超えながら、快調に進む。

 そろそろカーナビの目的地に設定している新茅荘に近づいてきた。新茅の沢ってどこなのだろう。トポでは橋の手前のコーナーに駐車スペースがあるように書かれているのだが。

 何となくクライマーみたいな一団に、懸垂岩はどこかと聞くと、その集団のリーダーと思しき人がもう少し先だと教えてくれる。

 そこからほんの少し先に新茅荘らしき茶店のような建物が現れ、その手前に大き目の駐車スペースが現れる。

 自動車が10数台停められ、ほぼ満杯状態ではある。道端にスペースを見つけて自動車を停め、傍らで身支度を整えていた集団に、再び懸垂岩を聞くと、知らないらしい。モミソ沢と聞いたら、ここから200mくらい先の橋のところに降りる道がると教えてくた。また、この先駐車スペースは無いから、自動車はここに停めるのが良いとも教えてくれた。

 トポには駐車スペースがあると書いてあるので、一応小生だけで偵察に行って見る。

 水でぐちゃぐちゃになった道をしばらく行くと、左側に少し膨らんだ場所があり、自動車が一台停められている。その自動車は、少し真中よりに停められていたが、無理すれば、その脇にもう一台何とか停められそうだ。

 その先には橋が見える。ここに間違い無さそうだ。待たせてもいけないと、少し走り気味に自動車まで戻る。

 自動車が置けそうなスペースはあるが、自動車はここに置いて行こうということにして、支度を整え、歩き出す。

 仲間が「歩いてみると意外と遠いね」とかいいながら、橋の手前の駐車スペースまで歩き、その駐車スペースの脇の踏み跡を沢に降りる。

 その踏み跡の沢側の脇にボルダーが二つあることになっているのだが、踏み跡は沢沿いに降りているから、本当にボルダーなんかあるのだろうか。少し疑いつつ踏み跡を降りると、何人かの人達が身支度をしている本流の脇の広いスペースに出てしまい、最初に見ようとしたその枝沢沿いのボルダーが見つからない。沢の対岸にはロープが何本か垂らされた大きな岩が見える。その岩の前には何人かのヘルメットを被ったクライマーも見える。懸垂岩の様だ。

 場所的には間違いが無さそうだ。荷物を置いて辺りを散策してみることにする。

 降りてきた枝沢の向かい側に登れそうなボルダーが見える。その少し下にももう一つボルダーが見える。あれが、トポに枝沢と踏み跡の間にあるように書かれているボルダーだろうか。でも、枝沢の向こう側だしなぁ。

 仲間が本流の左岸の上流に向かって登ってゆくから、付いてゆくと、ほんの少し先にもう一本少し太めの枝沢が降りてきている。そうか、我々が降りてきた枝沢は途中で二つに分かれており、枝沢の枝沢沿いに降りてきたのか。

 本流は少し水量が多く、靴のまま渡渉するには少し難しい感じである。懸垂岩側の右岸に渡りたかったのだが、靴を脱いでまでは渡渉するつもりも無いので、諦めて引き返してくる。

 実は小生、靴を履いたままの渡渉はあんまり経験が無いのである。若い頃の沢では、地下足袋で水の中をジャブジャブ行っていたから、殆ど石伝いの渡渉はしたことが無かったのである。おまけに最近は跳躍力が極端に落ち込んでいる事を自覚している。そして、自分がどれくらい飛べるのかの見極めが殆どついていない状態でもある。そんな状態で、岩を飛んで渡渉はしたくないのである。

 一応このシンビジュームボルダーエリアの最上流部であろう石の写真を撮り、引き返す。

 枝沢のボルダーがほぼ確定できたので、その下側の岩を触ってみることにする。

 仲間は、トポの「全体的に足場が不安定」との記述にボルダーマットを背負って来たのだが、この岩の下地はそれほど悪くは無いので、何時もの足拭きマットのみで挑戦する。

 この岩はセンセーション・ストーンと命名されているらしい。そして、2m程の高さの本流面の左側の方にこのエリア最難の課題「ドリーム・ファンタジー」が設定されているらしい。ちなみにグレードは 5.12 らしい。5.11で1級位いらしいから、間違いなく段物であろう。岩の上のごく小さな二つの窪みで身体を上げる課題らしいから、御岳の「マルガリ」チックな課題の様だ。現在は苔が少し戻っているようだから、トライするには少し掃除をした方が良さそうだが。

 我々は、先ず、課題の設定の無い、易しそうな面を登る。とはいっても、苔が少し残っているし、バランスがほんの少し悪いから、極易しいというわけでもない。

 次は、その易しい面の左の沢側の面の右端のカンテである。一応イエロー・マジックというらしい。因みに10+。多分3級くらいなのだろう。

 岩の上に顕著なホールドが無いから、結構難しい。この岩を割る為に空けられたと思しきドリルの穴がリップの端に残っているので、使いたくは無いが、結局それを使ってしまった。

 仲間の一人がこの課題で落ちた時に、右手の指の皮を傷つけてしまったようだ。結構出血してしまった。幸いカットバンを持参していたようで、大事には至らなかったようだ。

 最近は、薬品類を持参していない。以前沢に行っていたときは薬品類を持参していたのだが、いつのまにか持参しなくなってしまっていた。ボルダリングには、今後、少なくとも外科用の消毒薬と患部の保護材位は持参することにしようか。

 仲間と二人で上のルナグラード・ストーンという岩に移動する。ここにはエターナル・グリーンという課題があるらしい。3mほどの少し傾斜の強いスラブチックな課題だ。丁度その面には苔は生えてはいない。

 仲間がスタンスにチョークでマークをし、取り付く。

 離陸はするが、2手目だったか3手目だったかのデッドが留らない。

 小生は、その仲間のスメアのスタンスでは立てそうになかったので、別のカチスタンスを見つけ、それを使って離陸する。3手か4手目でリップに手を伸ばす。しかし、リップは苔で覆われている。どうしよう。苔の上を何箇所か叩く。

 意外とその手が留っている。何とか行けそうだ。そのまま苔を押さえ込み、足を上げて上に抜ける。

 続いて仲間も小生のスタンスで上に抜ける。

 その左側の壁も登れそうである。スタートの手及び足が少し悪かったが、先に登った仲間の真似をして、少しレイバック気味に地面を蹴って離陸し、左斜め上のガバチックなホールドを取ったら後は楽に上に抜けることが出来た。

 ここには対岸にも幾つか課題があるようだったが、渡渉する気が無かったので、下流方面に移動する。

 グリーン・サワー・ストーンらしい岩が水流に張り出すように存在している。近寄って見ると、結構苔が生えている。登れば登れそうだったが、仲間が先に下っているので、岩の写真だけ撮り、そのまま下流に進む。

 この辺は左岸が少し開けていて、少し広くなっている。流れから少し離れて歩きやすいところを歩く。

 沢沿いに戻ると、ルミエール・ストーンらしい岩がある。

 その岩の上流面が僅かに被った壁になっている。途中ホールドも見える。

 支度を整えて仲間がその面にトライする。因みにトポでは 5.9+ となっている。

 離陸し、次のホールドを探るが、無いらしい。それらしい面をはたいて落ちてくる。

 「5.9だから、そんなに難しくは無いはずだから、もう少し右のガチャガチャした面を登ればいいんじゃないの」と小生が言う。

 仲間は、再度少し右側の壁を上に抜ける。

 小生も真似をしてみたら、意外と離陸がいやらしい。5.9 だから、多分ここでよいのだろう。(実際は5.9+となっていたのだが)

 その裏側に9と10の課題があるようになっている。見ると、スラブである。傾斜はそれほどは無い。課題の解説を見ると、ノー・ハンド・スラブとなっている。それでそのグレードなのか。しかし、ノーハンドは怖いらしく仲間は途中で手を使ってしまったようだ。

 先程指を怪我した仲間も、この課題ならと、登ってみる。スラブって、慣れないと難しいものの様だ。

 その岩の脇に小さな岩がる。沢側が面白そうだと仲間が取り付く。しかし、カンテは甘く、足は高く、なかなか登れないらしい。結局諦めたようだ。

 その先には幾つかの課題を持つ側壁があるらしい。少し先まで歩いてその側壁らしいところを見ると、取り付きが水没している。駄目だ。

 一応このシンビジュームエリアはここでお仕舞いの様だ。丁度そこに入ってきている枝沢が登れそうだったので、その枝沢に入って林道に出ることにした。

 枝沢を僅かに登ると、正面に林道の側壁が見えた。林道は意外と近かった。

 水溜りの多い林道を歩き、自動車まで戻る。

 次は林道終点のボルダーである。

 先程降った沢を渡り、林道を更に進むと道路地図にもあるだろう小屋が出てくる。その小屋の前の大きなカーブを廻ると、開けた川原が見えてくる。川原には何台もの自動車が停められている。

 道が二股に分かれ、川原に降りる道には関係者以外侵入禁止の様な文字が書かれた看板が立っている。なんだか漁協だか組合だかの管理地とも書かれている。そっちの方に少し入って、看板を良く見たら、協力費として300円を収めろ見たいなことが書かれている。そんな長い時間自動車を停める訳でもないからと、バックで引き返し、もう一方の細い荒れた道を進んで見る。

 結構荒れた道である。小屋の横を通り、沢を渡ると少し広い場所に出て、人が歩く為の細い橋で終わっている。その少し広い場所には2台の自動車が停っている。その場所の上のほうにはバンガロー風の小屋が何軒か建てられている。

 そこで行き止まりのようなので、そこに自動車を停め、昔は自動車の通れる橋があったらしい場所を細い橋で越えて先に進んでみる。

 大きく回り込んだら、昔の山小屋風の建物で林道が終わっている。その脇には堰堤があるようだ。トポの林道終点は多分ここだろう。

 この水無川の本谷は昔、何回と無く上り下りをした谷である。従って、この場所は何回と無く通っている筈である。しかし、記憶が全く無い。なんかもっと広い谷だったような気がするのだが。

 堰堤の上に出ると、堰堤の下に大きな岩が見える。多分トライアラー・ストーンであろう。それにしても、それほど傾斜がないように見える。高さはあるのだが、果たしてこの岩に課題があるのだろうか。「北面はハイグレードがつきそうだ」というトポの記述とは何となく違う気がする。

 堰堤の下に降りて、その岩の南面に行ってみると、丁度真中辺にハングがある。トポには「南面左は被っていて」とあるが、ハングの部分以外は被ってはいない。まぁ、ハングが被っているわけではあるが。

 仲間がハングの右端に取り付く。

 ハングのリップを使って離陸し、ハングの上のホールドを探る。意外と良いホールドは無いらしい。左手を進めた後、右手がなかなか決まらない。結構粘った後、左手を返し気味にしながら右手を取りに行く。何となく怖そうである。

 無事右手が取れ、身体を上げてからは、寝ているから、高さはあるが、ホールド、スタンスは豊富なようで、難なく上に抜ける。あぁ、登れた。

 なんか難しそうだったから、小生はその右のハングを逃げるラインを登ってみる。こっちは傾斜が無いから難しくは無い。

 続いて、仲間の登ったラインを触ってみたが、ハングの上の右手が取れない。3回ほどトライしてみたが、諦めることにした。

 その岩の下で三人で昼食を取り戻ってきた。

 戻る途中に、登ってきたときに見えた川原の岩を探してみたが、林道からではわからなかった。

 橋まで戻って、橋からその岩を眺めたら、中州の中の岩のようで、渡渉が大変そうだったので、諦めた。

 その橋の直ぐ下の水際に、結構高い、下部が少し被っていて、上部に垂壁と直角のカンテを持った様に見える岩がある。少し気を引かれたが、難しそうだし、水際に落ちると悪そうだったので、こちらも諦めた。

 自動車の脇のどちらかと言うとチンケな岩を仲間が登っている。面白そうだったか写真を撮る。面白いと言うのは課題がと言うわけではないから、小生は登らなかった。

 その岩の裏の沢の側面を偵察に行ってみる。

 大きな岩があることはあり、その下部が被ってはいたが、何となくそそられなかった。

 上の小屋の方から鈴をつけた猟犬のような犬が降りてくる。人が住んでいるのだろうか。

 その犬はやけに濡れていて、余り綺麗ではない。仲間は痩せていたとも言う。濡れているのに、道を横切る沢の水を飲んでいる。猟師に捨てられてしまった犬なのだろうか。

 支度をして降っていったら、その犬が降っていた。やっぱり捨て犬かなぁ。

 まだ1時頃である。帰るのも早いからと、広沢寺の岩場に寄ることにする。

 カーナビをセットし、246号から広沢寺温泉に行く。途中、カーナビの指示に従って、近道の新道ではなく遠回りの旧道に入ったりしたが、ほぼ順調に広沢寺温泉の駐車場に到着する。

 駐車場の入り口にテントが建てられており、おじさんが二人いる。有料なのだろうか。仲間は昔は無料だったはずなのだがと言う。ゆっくり近づいて料金を調べようとしたら、そのおじさんが上の駐車場の方が良いと教えてくれる。そのおじさんの前の机にはアンケートへのご協力のお願いとか書いた紙が張られている。やっぱり無料の様だ。一段上の駐車場に自動車を停める。

 歩き出すと、傍らにいたボーイスカウトの一団が、なにやら団員の作った作品の優劣を拍手で決めるらしく、団員に拍手を要求していたから、我々も後ろから拍手をしながら通り過ぎた。

 釣堀みたいなところの脇を通り、クライマーの自動車通行禁止と書かれた看板のある道に分岐し、その道をしばらく登ってゆく。

 途中、クライマーらしき人と出会う。その人は、なにやら怪訝そうな感じでこちらを眺めていった。仲間がクライミングパンツを穿いていたからなのだろうか。それにしても変な顔をしていた気がするのだが。

 しばらく少し急な道を登ってゆくと、右側の沢の対岸に大きな岩壁が見えてくる。それが、弁天岩らしい。

 途中の左側の山の斜面の繁みの中にも岩が所々見える。やっぱりここも岩がいっぱいあるようだ。

 道路から降りて沢を渡り、弁天岩の基部に行ってみる。

 ヘルメットを被った人達がいっぱいいる。登山靴の人達もいる。昔の自分を見ているような感じだ。何となく懐かしい。

 仲間は、基部を横切り、一番右の奥のくじら岩という岩を見に行くらしい。行ってみたら、少し高いし、難しそうだから、見ただけで戻ってきた。

 道路まで戻り、なおも上に行ってみる。路側が少し広くなっていて、自動車が数台停められている場所まで行く。その辺に何とか岩があるらしいのだが、良くはわからないらしい。探し出して登ろうと言う意欲も特には無いしということで、そこから引き返す。

 途中、沢の辺に石の鳥居のある場所が有り、ハイカーと思しき男女が沢沿いの方から戻ってきたので、我々も行ってみた。

 大きな岩と岩の間の洞窟の流れの中になんかの神様が祭られていた。一応手を合わせて戻ってきた。

 弁天岩への入り口の道路の淵に岩壁がある。対岸の岩というらしい。

 一人のおじさんがロープを引いて、その半分濡れた壁を登りだす。ビレイヤーはいないから、ソロである。見ていたら、途中ビレーを取ることなく、結局はホールドの枯葉を払いつつ、フリーソロで登りきる。どうやらアプザイレン用のロープを引いていったようだ。降りてくるところを見ることなく戻ってきたので、実際のところはわからなかったが。

 戻る途中で、仲間が、アルパインの人には負けると言う。小生も、易しそうな気はするが、周りの壁が濡れているから、若しかするとスタンスも濡れているかも分からない場所をフリーソロする気にはならないと答える。

 帰りは、厚木インターを目指したのだが、厚木有料道路の厚木西インターに誘導されてしまう。厚木インターに直接出る道を探して走ったのだが、その間に、どうやら東名が渋滞しているらしいことがわかる。どうせまだ時間が早いからと、急遽、横浜新道とかいう道で帰る事に変更する。

 途中、少し渋滞したり、間違えて細い道に入ったりしてしまったが、403号とか402号とかを走って、国道1号に入り、横浜新道に乗り、首都高を乗り継いで7時前には出発点に帰り着いた。

 実は、途中、着替えておらず、財布をみにつけていなかったので、道を間違えた序に荷物から財布を引っ張り出したのだが、その時、ズボンのポケットに入れていた小銭入れが見当たらなかったのだ。ズボンを入れていた袋や、もって歩いていたリュックの中、上着のポケットなど、色々探してみたのだが、やはり見つからない。

 小銭入れだし、入れていた額も大したことは無いから、無くなっても良かったのだが、小銭入れの方が誰かに頂いたものだったし、小銭入れが無いと結構不便をしてしまうので、不味いことをしたとは思ったが、仕方がないから諦めて走り出した。

 紙幣入れは見つかったから、支障は無かったのだが、走っている途中に、着替えたときの経緯を考えてみた。

 ズボンを脱いで、ポケットの物が落ちるかもと、ポケットの付いた部分を包み込むように畳んだはずだから、落としたわけではないだろう。その後、着物を着る順番から、袋に詰めた衣類を自動車の後ろの荷物置き場に置くときに、詰め替え直したので、その時に荷物置き場に落ちたのだろう。一応そういう結論を導き出す。

 仲間を降ろしてから、荷物置き場を探してみたが、やはり見つからない。おかしい。でも、仕方がない。諦めて走り出したが、なんか引っかかるから、なおも走りながら経過を考え直してみた。

 支度でズボンを穿き替えた時、脱いだズボンを一旦ボンネットにおき、それから袋に詰めたことを思い出す。走りながら、もしやと思って、ボンネットとフロントガラスの間にある隙間と言うか溝を街頭の明かりが当たる場所で覗いてみる。

 中は黒く塗られており、小銭入れも暗い色だから、おまけにフロントガラスが寝ていて邪魔だから、なにやら凸凹がありそうだ位しか確認できない。信号で停まっているときにも覗いてみたが、やっぱりはっきりとはわからない。しかし、何となく財布がありそうな感じもある。

 信号を抜け、空いた道に入ったので、自動車を端っこに寄せ、その溝を探ってみたら、小銭入れがあった。わぁ、あった。丹沢の林道のがたがた道を走り、一時駐車場に放置した後、高速道路を走ってきた自動車のボンネットの上に小銭入れがあったのだ。誰かからもらった小銭入れではあったが、その為に再び丹沢に戻るのも大変だしと考えていたから、非常にうれしかった。これで、気分が一変に明るくなってしまった。ゲンキンな者だ。

 これで、本当に楽しいボルダリング行とはなった。目出度し目出度しである。


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作成年月日 平成16年11月23日
作 成 者 本庄 章