種差海岸のボルダーに行ってきました

2006年 6月 3日記

 「はしだて」道の駅で、自動車の屋根を叩く雨音で目をさました。時間を見ると4時だった。

 雨か。結構降っている。まずいな。今回の遠征のメインはここなのに。でも降出したばっかりの様だった。それに昨夜の天気予報でも、所により朝のうち雨がぱらつくという様な予報だったし。

 昨夜は早めに寝てしまったから、もう一度寝ようとしても目が冴えてしまって、もう寝ることができない。仕方がないから、一人もそもそと、昨日撮った写真を確認して見たり、この先行くであろうエリアの情報を読み直したり、昨日の行動を持参していたポケコンにメモしたりしていた。

 雨は、その後も降ったり止んだりを繰り返していたが、明るくなるに従い、小降りになってきた。

 本日の種差海岸は、まるまる1日の予定である。天気予報でも、雨は朝のうちとしか言っていないから、昼前には上がるだろう。そうなれば昼からでも登れるだろうから、朝のうちはゆっくりしようか。

 8時15分からは、道の駅のすごく大きなテレビで朝の連続ドラマを見て、その後ゆっくりと出発した。雨は既に上がっていた。

 道の駅から種差海岸までは30分もかからない。間もなく種差海岸に着いた。しかし、種差海岸は数kmに渡って広がっている。果たして登られている場所はどこなのだろう。一応来る前に大雑把な場所は聞いてきたのだが。それより、自動車を停める場所を探さねば。

 海岸は縁まで家が立ち並んでいるから、自動車を置く空き地が見当たらない。キョロキョロしながら自動車を運転していたら、無料のバス用の駐車場が出てきた。しかし、一般車の駐車場は出てこない。なおもゆっくり走っていたら浜辺側に空き地が出てきたので入って見た。脇にトイレがあるが、そこは何軒かの民宿の共同駐車場のようだ。まだ観光シーズンは早いから、大分空いてはいるが、自動車を停めるのははばかられる。その場所の脇も有料駐車場ではあるのだが、まだ営業はしていなかった。仕方なく、先に進んで見た。

 芝生広場の横を通り、キャンプ場の脇を通ったが、やっぱり適当な場所が見当たらなかった。

 そのまま先に進むと、道は踏み切りを渡り、海岸から離れ出した。不安になりながらも、進んで行ったら、海岸方向に曲がる道が出てきたので、その道に入ってみた。すると、ちょっと走った先で海水浴場脇に出た。そこには、やはり、営業をやっていない有料駐車場しかなかった。ここも駄目かと思いながらも進んでみたら、やはり営業していない広い有料駐車場の砂浜側に空き地が現れた。やれやれやっと見つかったか。

 既に2、3台自動車の停められていたそのスペースに自動車を停め、砂浜に出て見た。その砂浜は、白浜海水浴場というらしい。ここから先程通った種差海岸のメインの場所らしい芝生海岸までは2km位らしい。時間にして30分位だろうか。十分歩ける距離だから、ここに自動車を停め、芝生海岸までの遊歩道を歩くことにするか。教えて頂いた場所も多分その辺のどこかだろうし。

 荷物を背負い、海水浴場のコンクリの道を歩いて行くと、その先に小さな漁港が現れた。漁港の中に入って行くと、漁港の途中から上を走る道路迄、手摺りなどが付けられ、きれいに整備された遊歩道が伸びていたので、その道だろうと思い、登って行ったら、その先駅までの案内が出てきた。どうやら道を間違ったようだ。

 引き返して、なおも漁港の奥まで行ったら、芝生海岸への案内が出てきた。

 その遊歩道からお婆さんが歩いてきたので、すれ違う時に挨拶をし、少しだけ言葉を交わした。

 海岸沿いの、きれいに整備された遊歩道を進むと、再び漁港が現れた。今度は迷う事なく、再び遊歩道に入ることができた。

 その漁港を過ぎると、海の少し沖に、「白岩」という大きな岩が現れた。見ると、確かに真っ白い岩だ。説明文によると、ウミネコの糞で岩が白くなっているらしい。確かに先程の漁港には人懐っこいウミネコが沢山いたっけ。

 淀の松原というところ辺りから、海岸にボルダーが現れ出した。なおも進むと、結構立派なボルダーが現れた。よし、ここで少し遊んで見るか。

 遊歩道から玉砂利を敷き詰めたような浜に降り、その立派なボルダーに近づいて見た。確かに高さはあるし、そこそこ登れそうなところもある。小生にはとっては無理そうだが、上手な人には多分登れるだろうところもある。しかし浜辺にボコンと立ち上がっているから、簡単に降りられそうな場所は見当たらない。

 その岩の横の、あまり高くない、如何にも易しそうな岩を触って見た。濡れていた。やっぱりな。

 実は、この種差海岸、青森県内でボルダリングをやろうと、岩のありそうな場所を探した時に見つけだした場所である。その後、この種差についての資料を探していたら、盛岡の人がボルダー課題を設定した岩があることが分かったのである。そこで、くる前に、ある方からその大雑把な場所だけは教えていただいたのだが、トポがある訳でもないからその詳細はほとんど分からないまま来てしまった場所なのである。

 要は、どんな岩でもあれば登ろう。まぁ、そういうスタンスでやって来た場所なのである。濡れていようが、ボロボロであろうが、って、先人が既に登っている場所だから、岩はまともではあったのだが、何しろどこかを登ればよいのである。

 その易しそうな岩は、濡れていても登れそうだったので、早速支度をして登って見た。

 靴は濡れるは、手は滑るはではあったが、何とか岩の上に立つことができた。

 やったー。青森県でボルダリングしたぞー。

 人間、あることができてしまうと、他にもだんだん欲が出てくるものである。その横の少しはボルダーに見えそうな、少しは難しそうに見える岩を触って見た。こちらは下がほんのわずか被り気味で、リップも少しまるっこかったので、上に抜けることは諦めた。何しろ、岩はびしょびしょだったのだから。

 最初に見た大きな岩を偵察して見たら、御岳のとけたソフトクリーム岩の凹角の様な感じの所があり、ガバホールドもそこそこ有りそうに見えたので、リップの手前まで登って見た。

 足を上げればリップの上に乗り込める所までは行けたのだが、そのままマントルをしてしまうと降りるのに苦労しそうな気がしたし、その先に続く、傾斜は無いが、濡れた、天辺までは5〜6mは有りそうなスラブが怖かったので、登攀を諦め、降りてきた。

 その、高さが5〜6mは有りそうな立派な岩の上に立つことが出来ず、残念では有ったが、岩が濡れていたので仕方が無い。後ろ髪を引かれながら、次の岩を求め、移動した。因に、その岩の横では老夫婦が何やら海藻のようなものを一生懸命採っていた。

 ここにくる前に、有る方から教わった場所であろうと見当をつけた辺りに行って見たら、そこには、確かにすごく大きな岩があった。余りに大きすぎるから、果たしてこんな所でボルダリングなんて出来るのだろうかと思わせるくらいに大きな岩であった。

 果たしてこの岩でよいのだろうか。なんだか違う気もする。

 場所を移動し、もう一つ教わった場所らしい所にも行ってみた。

 そこにも岩はあった。しかし、さっきよりはだいぶん小振りな岩だが、なんだかガチガチしていて、誰も登った様子がない。これもなんだか違う気がする。

 その近くに見えるもう一つの岩に行ってみた。さっきよりは少し大きめだが、こちらの岩の方が滑らかな感じだ。岩の回りの下地も少しは踏まれている気がする。

 その岩の裏に回り込んだら、そこは少し広い目の広場になっていて、チョーク跡が残っている被った壁があった。間違い無さそうだ。やっぱりここで良さそうだ。

 壁は被っているし、高い木に囲まれてもいるから、岩はそんなに濡れてはいない。そこそこ登れそうだった。

 最初ははっきりとチョーク跡の残った、結構被った壁を触って見た。

 傾斜は120度は有りそうな壁で、高さも高い所だと4mは有るだろう右下がりの三角形をした壁であった。岩質は何だろう。花崗岩では無さそうだ。

 チョークはSDスタートらしいホールドから付いていたが、先ずは易しそうな場所をスタンドアップで登って見た。2手か3手でリップに届いたが、やはりリップは濡れており、ガバも見つからなかったので、そのまま飛び降りた。

 その奥の高い所にもチョークが有ったので触って見た。こちらはホールドが悪く、離陸がやっとだった。

 その岩の左側、即ち被った壁の向かい側の岩の、高さが7〜8mはある、高い壁の基部をトラバースしてみた。ホールド、スタンスともに豊富だったので、難しくはなかった。

 その壁の左側は高さも低くなり、少しは被った、結構大きなポケットのちりばめられた壁になっていた。こっちなら上まで登れるかもしれない。

 リップの直下に大きな穴があるところを登って見た。傾斜はあるが、ホールド、スタンスは豊富である。体を振ったりして、その穴まではなんとか行く事ができたのだが、その先には行けなかった。

 次に、また別な所を触って見た。今度はやはりリップの下の穴までが遠かったが、飛びつけそうに見えたので、飛びついて見た。こちらも落ちてしまった。

 少し休み、おんなじところをやって見た。遠かったリップ下の穴に思い切り飛びついて見たら、穴に手がかかった。しかし、かかった指の腹が少し切れてしまった。

 登れると思った所が、2カ所共登れなかったので、もっと易しそうなところを探して見た。縦のガチャガチャしたフレーク状のところが使えそうなところがあったので、そこを登って見た。さすが、ホールドが続いていたので、リップまで行くことができたが、リップの上にはぼさぼさの枯れ草が積もっていたから、そこから降りてきた。

 この岩は大体そんなところだろうと、最初に見た、すごく大きな岩に戻って見た。

 先程は、岩の裏には回らなかったので、今度は岩の裏に回り込んで見た。

 まず、5m位の僅かに被った、結構すっきりした壁が現れた。そんなに大きなホールドは見えないが、よく見るとなんとか使えそうなホールドがあることはあった。1級から段クラスの課題がありそうな壁であった。

 登りたいと思ったが、現在の小生の力ではいかんともし難い様に思えたので、触ることはしなかった。

 なおも回り込むと、先程触ってきた壁と同じような、それよりは少しは低い、僅かに被った、ポケットのある、凸凹の壁が現れた。

 その壁は、ちょうど真ん中辺で染み出しがあったが、その染み出しの右側がおもしろそうに見えたので、そこを触って見た。

 カチ、ポケットと繋ぎ、リップを伺う所まで行ったのだが、リップ直下のポケットが遠かった。

 結局、未だまともに登った所がない。この辺で岩の上に立たなければ。易しい所を探して奥に進んだら、薮の中に、高くもなく、そこそこ低くもなく、適当にカンテも使えそうな、見るからにチンケで易しそうな岩が現れた。これだこれだ。ここでも10級ハンティングをしてしまった。

 戻る時に、先程のすっきりした壁の前を通ったので、一応記念撮影をしてしまった。

 もしやと思い、最初に寄った浜に行って見ると、岩は完全に乾いていた。これはさっきは諦めた登攀を行わなければ。

 とけたソフトクリーム岩の凹角の様な所からスラブに移り、一応両手を使って一番てっぺんまで登ることができた。岩が乾いていたから、簡単だった。

 調子に乗って、その凹角の右側の壁も登って見た。乾いていたから、こちらもそんなには難しくはなかった。

 これで、完全に種差海岸での目的は達成できたのだが、まだお昼だし、折角の種差海岸だからと、芝生広場まで行って見ることにした。

 芝生広場の手前のキャンプ場の脇に、真ん中に縦に真っすぐクラックの走った岩が現れた。これは登らなければ。

 支度をして、登って見た。クラックの中には結構ホールドもあったので、途中までは難しくはなかったのだが、傾斜が寝だした辺りから這松が出てきて、おまけに寝ているとは言っても、それでも傾斜は70度はありそうな傾斜だから、おまけにその傾斜が2mは続きそうだったから、無理はせず、そこから降りてきた。

 この芝生広場とは、海岸の天然の芝生広場としては日本で唯一とか言うらしいのだが、秋田の男鹿半島の入道崎の芝生広場と非常に良く似ている。昨年の秋に入道崎に行って、同じような広場を見てきたから、二番煎じという感じで、そんなに感動することはなかった。でも相棒は、芝生の坂をゴロゴロ転がったりして、しばらく遊んでいた。

 道路の脇の食堂の方に行って見たら、結構大きな駐車場があった。噴水公園だかなんだかの駐車場らしく、無料の様だった。確かこの道路はさっき通ったはずなのだが、こんな駐車場、あったっけ。

 芝生の広場で少しボケッとしてから、自動車をこの駐車場に回送すべく、海水浴場の駐車場まで戻ることにした。

 途中キャンプ場の入り口辺りに喫茶店みたいな店があって、ソフトクリームを売っていたので、その店に寄って見た。店の中は、なんだか東洋の神秘を思わせる香の煙が立込でいる雰囲気で、ほんの少し異様ではあったが、ソフトクリームはシャーベットチックな舌触りの結構おいしいものだった。

 自動車を置いた海水浴場まで戻ると、その海水浴場の先の砂浜にボルダーが見えた。なんか良さそうなボルダーにも見えたので、行って見ることにした。

 いつもの事だが、やっぱり小さかった。

 そのずっと先には岩頭群が見える。地図によると、一つ海水浴場を置いて、再度岩礁帯があることになっているから、多分あそこが次の岩場地帯なのだろう。

 そこからは、砂浜にちょっとした山が張り出している。もしかするとその山中にボルダアーがあるかもと、先に進んで見た。

 案の定、その尾根の先端辺りの浜に露岩があった。しかし、ちょっと高い岩で、ボルダリングには適さなかった。

 その岩を回り込んだら、適当な大きさのボルダーが現れた。

 表面は傾斜がなかったので裏面に回って見たら、そこそこ面白そうな面が現れた。ちょっと高さはないけど、わずかに被っているから、SDでもやって見るか。

 適当なホールドがあったので、そのホールドで離陸し、リップに手を出したら、面白くなかった。面白いと思ったのだが。

 昼をとっくに過ぎていたので、早々に切り上げ、自動車に戻り、芝生広場の駐車場に移動した。

 既に2時近くになっていたし、昼食がまだだったので、芝生広場の駐車場の脇の食堂を覗いて見た。相棒はウニ丼が食べたいと言っていたので、ウニ丼を探したらそんなに高くはなかった。

 隣にも食堂があったので、そっちの食堂も見に行ってみた。こっちは少し高かった。土産物屋を置いてその隣も少ししゃれた食堂だったので、そっちも見に行ったが、そっちには、一番お客さんが入ってはいたが、値段が表示されていなかった。で、結局最初の食堂に入ることにした。

 その食堂にはお客さんはいなかった。

 まず二人でウニ丼を注文し、生ホヤがあったので、それを一皿注文した。

 ウニ丼を食べながら、相棒が、ウニ丼て、生ウニが乗っているのだとばっかり思っていたと言った。我々のウニ丼は卵でとじられていた。別に違和感を感じずに食べていたのだが、やっぱりウニ丼は生ウニが乗っているのがウニ丼なのだろうか。はるか昔に、北海道の礼文島で、ウニがどっさり乗ったウニ丼を食べた記憶がるのだが、そんな遥かな昔の丼のウニの状態なんか覚えてはいない。小生にとっては、そんなことはどうでもよいことなのだが。

 小一時間ゆっくりして外に出ると、一面霧に包まれていた。ウニ丼を食べている時はこんなではなかったから、ほんの一瞬で霧に包まれたようだ。

 霧に包まれても、我々の観光ボルダリングにはたいして影響がないので、そのまま岩を探しに行った。

 芝生広場の海側に行って見ると、そこそこ大きな岩が沢山あった。そんな中から適当な岩を触り出した。最初はそんなに大きくはない岩や、そんなに難しくはない岩を戯れに触っていたから、裸足で取り付いたりしていたのだが、だんだん本格的な岩が出てき出したので、靴を履いてトライを始めだしてしまった。

 ここは結構有名な観光地である。季節がまだ早いとは言っても、そこそこ観光客は集まっている。この岩のゴロゴロした場所にも何人かの、いや何組かの観光客はいる。しかし、幸いなことに霧で遠くからは見えない。従って、本気でトライを始めてしまった。

 少し南側の方に外れると結構大きなボルダーチックな岩が集まっている場所が現れた。そんな中に、真ん中に少し細目のクラックが縦に走る岩があった。まずはそれから登ることにした。

 この種差海岸の岩だが、場所的には岩手の侍浜の延長だから、花崗岩だと思っていたのだが、昼前まで遊んでいた岩は、花崗岩では無さそうだった。なんだか不思議に思っていたのだが、ここ芝生広場の岩はどうやら花崗岩の様だ。ここは侍浜寄りだから花崗岩で、午前中に遊んだところは、また別の岩だったのだろうか。そんな感じだから、ここ芝生広場周辺にはクラックを持った岩がいくつかあった。

 その少し細目のクラックは一応登ることができた。本当はジャミングで登りたかったのだが。

 その岩の向かいには、垂壁の四角張った岩があった。2.5m位のところにちょっとしたテラスがある。カンテは真っすぐの直線である。

 そのカンテで離陸し、テラスのリップに飛びついて見た。届かなかった。2回、3回、やって見た。もう少しやって見た。やっとリップが取れた。ほんの少しうれしかった。

 小学生低学年位の子供を連れたお年寄りが現れた。特に会話を交わすこともなかったが、二人の会話を聞くともなく聞いて見たら、子供が岩に登りたいと言っていた。気がした。

 その二人ずれがいなくなったので、また別の岩を登って見た。

 縦に二本クラックが走り、上の方がほんのちょっと出っ張ってハングになった岩があったので、そこを触って見た。

 まずは左のクラックで離陸を試みて見た。フィンガーサイズであった。

 人差し指はしっかりと掛かるのだが、それで離陸するには少々不安があったので、フィンガージャムは止め、カチ持ちで離陸した。その後、なんとか上のちょっとした出っ張りまでは行けたのだが、その先は高さも増すし、しっかりしたホールドも見つからなかったので降りてきた。

 なんだか少し悔しかったので、今度は、右側のクラックも使って登って見た。少しは上まで行けたが、結局は上のちょっとしたハングを乗っ越すことは諦めた。

 そろそろ4時近くになったので、次の目的地に移動することにした。

 途中、海水浴場の駐車場の脇にボルダーがあったことを思い出したので、再び海水浴場の駐車場に寄ってみた。

 そのボルダーは、今は営業をしていない駐車場の中に有った。

 自動車を先程と同じ場所に停め、失礼して、駐車場の中に入り、ボルダーに近付いて見たら、やっぱりあった。チョーク跡が。やっぱり、皆さん考えることは同じようだ。

 チョークはSDのスタートホールドらしいところ辺りから付いていたが、その辺は無視して、一番易しそうなところを登って見た。

 一応登れたから、今度は右下からSDで出て見た。しかし、ホールドが悪かったので、その先には行けなかった。と思うのだが。

 既に4時を回ってしまった。本日は、9時過ぎから4時まで、途中歩く時間があったとは言え、いつになく岩で遊んでしまった。そろそろ引き上げることにしよう。

 一旦海沿いを離れ、八戸方面に走ると、再び海岸沿いを走りだした。そして、大山崎だかなんだかという岬のちょっとした駐車スペースが出てきたので、寄ってみた。ボルダーによさそうな岩は無かった。

 続いて、葦毛崎という看板が現れた。ここはトイレのある結構広い駐車場になっていて、レストラン様のものも併設されていた。

 その駐車場の脇の展望台に登って見たら、結構霧が濃くて、良くは見えなかったが、岩はいっぱい見えた。

 まだ5時ちょっと前なので、「蕪島」というところに寄ってみた。

 ここも駐車場がはっきりしなかったので、海浜公園の前の道路脇のバス専用駐車場に自動車を停め、海浜公園の中の案内図をもとに蕪島まで歩いて行った。

 海浜公園から蕪島はすぐだった。蕪島の前には駐車場があり、土産物屋やトイレがあった。しかし、ウミネコの数がすごい。道路や土産物屋の屋根が真っ白だった。ウミネコの糞である。土産物屋の脇に停めてあった自動車にはカバーがかけられていた。自動車を少し遠くに停めてしまったと歩きながら後悔していたが、この情景を目にすると、歩いてきて正解だったようだ。

 蕪島はウミネコの繁殖地らしい。直径が200mかせいぜい300mの小さな島になんと四万羽のウミネコが渡ってくるらしい。四万羽とは半端ではない数だ。

 島の神社に昇る階段の両脇には石の灯籠が建てられている。その灯籠の頭にはすべてウミネコが止っていた。階段の幅は3mかそこらしかない。階段の端から灯籠までは50cm位だろうか。階段の端を歩くと、目の前にウミネコが止っているという感じだった。

 それだけではない。なんとなんと、灯籠の根元には巣まで作られており、卵を抱いているだろうウミネコが何匹もいたのだ。こんな不特定多数の人間が行き交う場所で営巣してしまってもよいのだろうか。よそ事とながら心配してしまった。

 神社の境内はもっとすごかった。そこら中ウミネコだった。神社の境内は一応ネットフェンスで囲われていたのだが、そのネットフェンスの上にもウミネコがズラッと並んでいた。霧が出ていたからあまり遠くまでは見えなかったが、フェンスの外の草原には無数のミネコが真っ白と言っても言い過ぎでないほどに休んでいた。そんな光景は初めてだった。

 このウミネコ、2月か3月ころ飛来し、子育てが終わる6月から7月には飛び去るらしい。ちょうどウミネコがいっぱいいる時期に行き会わせたようだ。予備知識なしに行ったのだが、運がよかったようだ。

 カーナビがまたも調子が悪くなり、訳も分からず、八戸の町の旧道の様なところを走ってしまったのだが、その通りの脇になんとか食堂の看板が現れ、その店の前には駐車スペースもあったので、その食堂に入ることにした。

 ごく普通の食堂で、定食があり、ラーメンもあった。コーヒーもあった。チキンカツ定食を食べた後、割り引き価格でコーヒーが頼めたので、コーヒーを追加してしまった。

 八戸を抜け、隣の町を走っていると、全国区のスーパーの看板が現れた。それほど寄り道にもならないようなので寄って見ることにした。

 結構大きな店舗であった。最初に入った衣料品売り場から食料品売り場まで、数百m程もあっただろうか。そう思わせるくらい遠かった。

 レジでガソリンの割引券を呉れた。平常の3円引きの券であった。このスーパーにもガソリンスタンドがあったんだ。帰りにも寄る可能性があると、ガソリンスタンドを探して見たら、結構ぐるぐる走り回ってしまった。駐車場もものすごく広かったのだ。

 このスーパーの駐車場に入った入り口が分からなくなってしまった。適当に出たら、全く別な国道に出てしまった。

 少し迷いながら、少し遠回りしながら、やっと下北半島の付け根に入ることができた。

 最初の予定はかわうち湖の道の駅まで行く予定であったが、既に9時近くになっていた。この先まだまだ遠い。丸一日、目一杯遊んでしまってもいた。眠くなってもいた。手前の横浜町に道の駅があるから、そこで泊まることにしてしまった。

 雨の降り出した真っ暗な夜道をトコトコと走り、9時半頃に道の駅に着いた。

 相変わらず、ワンボックスやワゴンタイプの自動車ばっかりが停まっていた。


戻る

作成年月日 平成18年 6月 3日
作 成 者 本庄 章