鷹取山にいってきました

2004年 2月13日記
 湘南の鷹取山にボルダリングに行ってきた。相棒と2人である。

 娘が横浜に住んでいるので、土曜日に娘の所に泊めてもらい、日曜日の朝9時過ぎに出発した。

 根岸線で大船まで行き、横須賀線で東逗子まで行く。そこから神武寺を経由して鷹取山迄行くハイキングコースを歩こうと言う算段である。

 昼飯を買うために駅前のスーパーに入ると、物凄い人である。レジは長蛇の列である。そんな所に並んで迄買い物をする気は無いので即店外に出る。

 近くにコンビには見当たらない。ホカ弁屋があったので、ホカ弁屋に入る。昼飯に弁当を持参するのは久し振りである。それも相棒の作ってくれたおにぎりなどだから、出来合いの弁当を購入するのは多分初めてであろう。あまりまとまった昼食の時間を取ることは無いから、箸で食べる弁当は持ってきたことが無いのである。

 民家の脇の舗装された坂道を登る。程なく道は狭くない、間延びのした階段道となる。それが終わると、山道である。

 神武寺の先で、中高年集団らしきハイキングの団体に追いつく。おそらく30人くらいはいるであろう団体である。しょうがないゆっくり行くか。

 それにしてもゆっくりである。といって、狭い山道の途中で追い越すのも面倒くさい。岩場に差し掛かったり、道が僅かに二股になったりした、複数経路を選べる所を狙って、少しずつ集団を追い越す。

 クライマーらしき人が追いついてくる。聞くと、やはりクライマーらしい。鬼岩はどこかと聞くと、鬼瓦かと聞かれる。そうか鬼瓦だったんだ。その鬼瓦とは、公園の入り口の近くだと教えてくれる。

 その人が集団を追い越して行くから、少し付いて行ったが、相棒がまだ後ろだったので、途中で集団を追い越すのを止めた。

 少しゆっくり歩いていたら、相棒が追いついてきたので、再び、適当に集団を追い越し、遂に全員を追い越すことが出来た。

 集団を追い越して間もなく、鷹取山の岩場のはずれに到着する。

 垂直に切り取られた岩の壁に、ロープが5〜6本掛かっている。或いはそれ以上だったかも知れない。何しろ沢山のロープが掛かっている。岩の前には大勢のクライマーがいる。

 案内書からコピーしてきたトポと見比べると、どうやら親不知の南面フランケらしい。念のため近くにいた人に確認すると、分からないらしい。でも、トポの写真のとおりだから間違いは無い。

 最初に広場のボルダーを探す。岩を回り込んだ裏側にあるらしい。

 3mくらいの壁があった。これだこれだ。しかし、もう直ぐお昼という時間だから、岩の上には沢山のハイカーがいる。良い匂いがしてくるから、もしかすると、上でバーベキューでもやっているのかも知れない。

 この壁は日が当たらないから寒そうだ。それに、最近触られた気配はあまり無い。

 この壁の前の大きな広場の右奥にチョーク跡が点々としている壁が見える。行って見ると、3〜4人の人達がボルダリングをしている。手前に鉄製の柵があるから、その柵越しに、そこは親不知奥という壁かと聞いてみる。やはり、その人たちもその壁の名前は知らなかった。

 二の字ボルダーを探しに行く。

 岩壁の間を縫うような遊歩道を行くと、やはり3mくらいの壁が向かい合った所があった。二の字ボルダーは多分ここだろう。ここの上にもハイカーが沢山いる。

 ここと言い、広場のボルダーといい、今まで見た壁は皆日陰にある。ロープが掛かった壁は皆日当たりが良いと言うのに、どうしてボルダー壁は皆日当たりが悪いのだろう。おまけに、壁の上には人がいっぱいる。もっと静かな所は無いのだろうか。

 管理事務所の前を通り、その先に進んで見る。

 日当たりの凄く悪そうなマジックマッシュルームという課題のある壁の前に行くと、その壁の基部をトラバースしている人がいる。

 見ていたら降りてきたので、話し掛けたら、我々を追い越していった先ほどのクライマーらしい。親切に鬼瓦の場所を再度教えてくれる。西友の手前の貯水タンクのそばらしい。

 緩やかに下っている遊歩道を少し歩いたら、磨崖仏が現れる。手前の広場には日が当たっているから、相棒も休みたいと言っていたから、ほんの少し休む。

 この辺まで来ると、人の数がぐっと減っている。この磨崖仏の前には人はいないし、歩いている人も余りいない。たまに人とすれ違うくらいである。

 コの字裏トラバースらしい壁の前に出る。その壁の裏にコの字ボルダーがあるはずだ。

 そのコの字裏トラバースらしい壁の奥の岩と岩の間を一段上がった所にも人の影が見えるので、行って見ると、その奥に3〜4mくらいのやや寝た壁があり、そこを登っている何人かの人がいる。コの字ボルダーってここなのだろうか。地図上の場所とは違う。なんだか様子も違う。もしここだとしても、これではボルダリングの対象にはならない。

 トポではここで岩はおしまいなのだが、道はまだ先まで続いているので、その先まで行って見る。

 殆ど掃除がされていないと思しき岩壁を過ぎて、大きく回りこんだ先にまた岩の壁が見えてくる。岩と岩の間を抜けると、金網の塀が見える。その金網の中には貯水槽のような丸いタンクが見える。その先には住宅が広がっている。右手にはなにやら見たことのある岩壁があり、その壁にはチョークが付いた穴が点在している。これが鬼瓦だ。

 岩の前に荷物を置いて、近くを散策する。

 鬼瓦の向かい側は綺麗に切り取られた岩壁と岩壁が狭い隙間を作っており、その奥には尚も複雑に岩壁が続いている。しかし、日は当たらず、寒い。

 金網を回り込んで、テラスのように張り出して作られた道の先に歩いて行ってみると、その先は長い階段で、下の広い舗装の道に下りるようになっている。

 その階段の手前で手摺に寄り添って下を眺めると、前方に大きなスーパーらしいものが見える。あれが西友なんだ。まっ四角な2階か3階建ての殺風景な建物を創造していたが、広い敷地にゆったりと建つ平屋の結構洒落た建物である。その左の方は小学校のようだ。どおりでさっきから放送の声が聞こえていた訳だ。

 支度をして、岩を触ってみる。

 少し被っているし、ポケットの淵が丸くなっているから、一見ガバホールドなのだが、簡単には登れない。足も滑る。

 相棒に写真撮影を頼んだのだが、中々シャッターを切ってくれない。どうしたのかと聞くと、上に行くまで待っているという。ここは上までは行かないからと、適当な所でシャッターを切るように頼む。しかし、既にエネルギー不足を起こしていて2手か3手しか登れずにシャッターを切る前に落ちてしまい、結局写真は殆ど撮れなかった。

 もう12時も廻っているし、そこまでほぼ1時間位は歩いて来たから、相棒がここでそろそろお昼にしようと、弁当をくれる。

 金網の方は日が当たっているから、その日があったっているところに荷物を移し、持参した半幅の薄いパッドを畳んだまま敷いてお弁当を食べる。

 その前を何組かの人達が通って行く。人が少ないといっても、結構人は入っているようだ。クライマーらしき人も登っていった。

 相棒がリスだと言うので、振り返って岩の横の木立の中を見ると、木の枝で遊ぶリスが見える。ヘェー。

 今度は大きな鳥がいるというので見ると、結構綺麗な鳥がいる。ここって、そういうところなんだ。

 再び壁に取り付く。

 この岩のトポが公表されていたのだが、今回はそのトポは持っては来なかったので、適当にガバを拾って登って見る。しかし、ガバだといってもそう簡単には持たせてくれないし、結構高い岩壁の下部を登る場所だから、適当な所で飛び降りなければならない。おまけに日陰で寒い。適当に触って、公園の方に引き返す。

 コの字裏トラバースまで戻ると、正面の壁でボルダリングをしている一団がいる。

 コの字ボルダーはどこかと聞いてみると、この岩の上だという。柵を乗り越えて岩を登っていった裏側だと教えてくれる。

 その岩の右端のカンテを見たら足場が刻まれていたので、そこを登って見る。

 上のテラスに出て、右奥に進むと、右側はスパっと7〜8m切れ落ちている。で、そこから2m位が人が一人通れる位の狭い岩棚になっている。手前の足場が坂になっているし、岩棚の部分は歩く所が細い溝のようになっているから、結構怖い。

 先に行って見たら、その先はコの字に切り込まれた結構広い棚になっていた。

 相棒が少し送れているので迎えに行くと、小生とは別の道で登ってきている。この先が細くなっていると話すと、行けるだけ行くとのことだったので、細い岩棚の所を少しサポートしながら通過させる。

 ここも岩壁の途中で降りてくるタイプのボルダーである。相棒に写真に夢中になっていると下に落ちてしまうから気を付けろと注意をし、その3面の壁をそれぞれ登って見る。広いとは言っても、岩の途中の棚だから、奥行きがそれ程は無い。おまけに背も高い。相棒は写真を撮るのに結構苦労していたようだ。

 コの字裏トラバースに戻り、日当たりも良かったので、先客の方々の仲間に入れていただく。

 早速、先客がやっていた課題を真似て見る。

 スローパーチックなホールドでスタートしたら、甘いカチを繋いで上に行く課題である。

 右手のカチは持てるのだが、左のカチに届かない。色々と足を探しながら、何回かやって見る。

 最初は右足を上げていたのだが、それでは駄目だと気付き、左足を少し上げてから右足を上げて見たら、左手が届いた。しかし、その左手は凄く悪い。

 先客が、我々と同じ足ですねと話し掛けてくれる。そして、その先は目の前のガバを取っているが、本来はもう少し上のガバを取りたいのだと教えてくれる。

 程なく、仮の終了点は取れたのだが、最終目標の終了点がなかなか取れない。体を上げて行くと左手が効かなくなるのだ。

 この左手は、カチというよりはスローパーチックなカチとでも言うのだろうか、何しろ掛かる所が小さな石の粒なのだ。

 何回かやって、完全に指を立ててカチ持ちして見たらいくらか持てた。それでやって見たら、最終目標のホールドが取れた。

 次は、二つのスローパーを両手を開いて持ち、少し遠いカチを取ってガバ終了点に行くという課題を教えてくれる。

 二手目は左手バージョンと右手バージョンがあるらしい。

 これも二手目が遠い。やはり足を探して、何回かの試技の末にやっと左手バージョンを完成する。キーは左足のスタンスだった。

 次は右手バージョンである。先客は右手バージョンのほうがやさしいというが、小生には中々出来ない。

 キョン足を試したり、ハイステップのスタンスを探したり、いろいろやったが、結局オーソドックスな正対ムーブだった。

 先客の山のお仲間らしい方がやってくる。その方、もしかすると小生よりもお年を召している感じである。相当昔にここで岩登りをやったことがあるらしいことをお話している。日向ぼっこをしながら、聞くとはなしに聞いてしまう。

 その方が、先客のご指導でトラバースをやったので、見学させていただく。

 そのときに、先客がまた課題を教えてくれる。両手カチスタートからカチ、カチ、でガバという課題である。

 スタートの右手のカチが少し悪かったが、その後のカチは結構持てたので、直ぐに登れた。

 その課題のバリエーションで、左手を直接2手目の右手のカチに持ってゆきたいと色々と試して見る。

 右手が悪いのに加えて、次のホールドが遠くなるので、中々出来ない。

 左のほうにガバホールドがある。ここにヒールをかけてみるか。やって見たら、ヒールが少しだけかけにくかったが、掛かったら凄く安定し、簡単に左手が取れた。距離も余裕で届いている。そのヒールに乗って体を上げるには大分にきついので、そのヒールを外し、次に取るのに良さそうなホールドを探したが見つからなかった。

 それを見ていた別の方が、そのヒールを真似る。結構良さそうらしい。ヒールをかけると言う発想は無かったらしい。その方はその後その方がやっていた課題をそのヒールで、一手飛ばして終了点が取れないかとやっている。しかし、僅かに届かない。

 小生が、ヒールではなくて、トウでやってみてはと話しながら、やって見る。ヒールよりは距離が少し伸びるのだが、基本的にリーチが足らないようで、届かなかった。

 3時近くなって、日が傾き出したので、少し寒くなり出す。

 そろそろハイカーも減っただろうからと、ニの字ボルダーの方に戻ることにする。先客は一日コの字裏にいるようだ。

 管理事務所の前に戻ると、ハイカーの影は殆ど無い。それに日も当たっている。早速壁に取り付く。

 大きなポケットがいっぱいあって易しそうに見えたのだが、ポケットの淵が丸いから、意外と悪く、上に抜けられない。気合を入れなおして、足を選んで取り付いたら、奥がえぐられたホールドも幾つかあったので、何とか上に抜けられた。

 今回上に抜けたボルダーはここが初めてである。これで飛び降りなくても済む。

 ところが、場所を変えてやってみたら、再び登れない。仕方が無い。飛び降りる。

 一応、何とか、真中、両端を上ったので、広場のボルダーに移動する。

 広場のボルダーは、相変わらず日陰である。しかし、上には誰もいない。気兼ねなく登れそうだ。

 左端に取り付く。ガバに見えたポケットのリップが外傾している。この壁は比較的ピトンスカーが少ないようだ。と言うよりは、ポケットになりきっていない細い縦リスが多いのだ。大きなポケットが少なく、それも余りよくないし、疲れていることもあるのか、今までのようには登れない。それでも、右、中央、左と登る。

 登って降りてくるときに、横から降りるのではなく、奥に廻って降りきたら、その降り口に犬が繋がれており、その犬にシャツの袖口を噛まれてしまって、中々外れない。犬はじゃれていたつもりなのだろうが。それにしても、この公園は結構犬の散歩も多いようだ。

 この広場のボルダーの横には子不知という岩峰があり、その竹本フェイスという壁でトップロープのソロクライミングをしている人がいる。夕日を浴びているから、凄く目立つ。で、ずっと壁の中にいて中々降りてこない。あれくらいやらないとうまくならないのかなぁ。

 最初に見た親不知奥の壁に行って見る。

 ここは僅かに被っている。ホールドもそれ用に加工されたホールドの様だ。従って、結構難しい。

 ここの岩は、小さな磨かれた礫が混じった砂岩なので、その礫が結構滑るようだ。垂壁までなら良いのだが、被ってくるとこれが結構辛いのである。そんなこんなで、この壁は一番上のホールドまで行くことが出来なかった。今度元気なときに一番上まで行くことにしよう。

 4時ほんのちょっと前である。最初は帰りは追浜から帰るつもりであったのだが、追浜からでは途中京浜急行から国鉄に乗り換えなければならず、その乗り換えを考えると、東逗子までハイキングコースを戻っても、歩く距離は殆ど変わらないということになり、帰りも神武寺経由で帰ることになった。

 追浜までなら住宅地の中を歩くので、少々暗くなっても大丈夫なのだが、ハイキングコースで暗くなっては大変だからと、最初の予定よりも少し早めに帰ることにし、折角だからと、最後に展望台に登ってみた。

 親不知奥の横の階段を上って行くと、親不知の岩峰の上に三段になった展望塔がある。その二段目が展望台になっていて、横須賀港から遠く房総の山まで、あるいは、鷹取山の全景が一望に見渡せる。

 そこから、竹本フェイスを見ると、先ほどの人がまだ壁の中にいた。

 未だ何人かのクライマーが取り付いていた親不知南面フランケの前をとおり、朝来た山道を引き返す。

 途中、神武寺で遊歩道脇にトイレがあったので、そこでチョークの残った手を洗う。

 神武寺の先で、途中住宅街を通る道が階段で別れる所があるので、その階段を登り、住宅街の中をのんびりと歩きながら駅まで行った。その道は駅の近くの踏み切りの直ぐそばに出る道だった。途中、外車が沢山いた。

 横浜っていいところなんだなぁ。コの字裏で出会った方は横須賀の方で何時も鷹取にいらっしゃるようだし、ほんのちょっと電車に乗れば鷹取のようなところにも行くことができるし。

 最後に、鷹取山の岩と千葉の鋸山の岩はほぼ同じ砂岩らしい。しかし、何か感じが少し違うように感じた。

 鷹取の方がクラックが少ないように感じたのだ。ピトンスカーも鋸山では殆ど見られない。これは、使用の頻度の違いと言うこともあるのだろうが、それ以外でも、なんだか雰囲気も大分に違うような気がする。

 序に、岩場に集まる人たちもルートの岩場とボルダーの岩場では相当に違う気がする。特に鷹取に集うクライマーは最近の小生が通う岩場での人たちとは一番遠い所にいる人達のような気がする。

 おまけに、鷹取ではクラッシュパッドは一枚も見ることは無かった。ボルダリングをしにきている人達がほんの数名、多くともそれプラス2〜3名という規模だから、当然と言われればそうなのだが。

 追って、久し振りにクラッシュパッドを気にせずにボルダリングが出来たことは気持ちよく登れた要素の1つだったかも知れない。終了点から飛び降りさえしなければ。


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作成年月日 平成16年 2月13日
作 成 者 本庄 章