ソウルでボルダリングその1
 水落山(スラクサン)のボルダーに行ってみました

2012年12月 2日記

事前準備からソウル第1日目

 相棒と2人で、韓国のソウルに行く機会があったので、序に仁寿峰(インスボン)のボルダーに行ってみることにした。というか、相棒が物凄く安い全日フリー3泊4日のツアーを見つけて来て、それに行こうと誘ってくれたので、これ幸いとそれを一方的に乗っ取ったというのが本当のところだから、仁寿峰を中心にという事ではあったのだが。

 先ず出発前の下準備だが、以前、いつかは行きたいと手に入れていたトポを基本に、インターネットを使って仁寿峰へのアクセスに関する資料を集めてみたが、殆どが仁川空港からタクシーに乗れとなっており、あまり細かい資料はなかった。

 そうだ2日目もある。ということで、その他にボルダリングが出来そうな場所は無いかググッてみた。水落山に岩が有るとの資料が見つかった。また、水落山は、ソウル市民のまぁ言えば東京の高尾山的存在? ハイキングの結構細かい資料が見つかった。それに、ソウルの中心地から地下鉄だけで行けることも分かった。

 ということで、ジムでご一緒させていただいている方の仁寿峰の資料を中心に、幾つかの資料をダウンロードさせて頂いたが、何せ、準備期間がほんの数日。資料は集まれど、なかなか頭には入ってこなかった。

 いざ出発の前日になり、仁寿峰や水落山の資料しか手元にない事に気が付いた。仁寿峰、水落山への経路なりその交通手段に関しては資料が集まったが、その交通手段であるソウルの地下鉄、バス、タクシーの乗り方等が全く分からない事に気が付いた。で慌てて、書店にてソウルの一般的な観光案内書を買ってきた。が、その本の大半は見所、食べ所、買い物所の案内だ。地下鉄のTマネーカードが便利とかの情報は有っても、その詳しい解説が見つからなかった。そうこうする内に夜中になってしまった。寝なければ。

 そんなこんなでアタフタと成田を出発。そして、仁川空港に着いた。このツアーは、そこからホテル、そして、ホテルから仁川空港だけはガイドが付く。案内板を持ったガイドさんを見つけ、このツアーの一団と合流した。

 その内、3組のみが同じホテルで、他はホテルが違うらしい。で、その3組のみがホテルにチェックインし、再びそのグループに合流した。

 次は市内の免税店に案内された。これはこのツアーの義務なのだ。何せ凄く安いツアーだから仕方がない。

 免税店などどうでもよい、ということで、そのビルの一番下の階まで降り、7階だか8階の免税店で我ホテル組は解散した。つまりは、その免税店で追っ放されたということだ。要は食事、帰ホテルは自前でやれという事だ。因みに他の組はその後またホテルまで送ってもらうらしかった。

 この免税店は明洞という所らしい。多分ソウル1の繁華街らしい。で、先ずは食事をしなければ。

 寒いからと地下街を歩いていたら無料の案内マップが置かれていた。勿論何種類かゲットした。

 それをもとに歩いたのだが、周りはハングルばっかり。夜だし、おまけに地下だから方角も分からない。地図は有れど現在地が分からなかった。

 適当に人の流れに乗って、また地図を適当に類推し、それを勘案しながら歩いていたら、段々寂しくなってきた。そんな中、お粥屋が現れた。お粥を食べようか、ということで、そこでマグロお粥を食べた。

 すると、小皿がいっぱい出てきた。水キムチだ、何とかキムチだとか、いろいろと説明をしてくれたが、基本は直ぐに忘れてしまった。自家製だというイカキムチを食べたら、またそのキムチを持ってきてくれた。また食べたら、またまたそのキムチを持ってきてくれた。最後はヤクルトまでくれた。感激!

 地下道を少し戻り、人の流れのある分岐に入り、進むと、別の地下道に出た。で、やっと地下鉄の駅らしい所に出た。

 が、そこがどこの駅かが分からない。色んな表示があるが、どれが駅名かが分からない。

 地下鉄の切符の販売機があったので、一先ずは切符を買うことにした。

 券売機のディスプレー画面に日本語との表示があったので、そこを押すとディスプレーの表示が日本語になった。行く先の駅名は直接入力しなくとも駅の番号で探せるので、その機能を使って切符を買った。って、財布は相棒が握っているので、操作は全て相棒だが。

 この切符、先によくわからなかったTマネーカードだ。その1回券だ。なるほど。

 Tマネーって、日本のスイカみたいなものだと思っていたのだが、後で分かったのだが、スイカみたいなTマネーもあるのだが、1回用のTマネーもあったのだ。つまり、カード代金を加えたカードを買い、使用後にそのカード代を返金してもらえるというカードだったのだ。紙の切符にとって代わったのがこのリサイクル方式の1回券だったのだ。

 改札は、日本の自動改札とは少し違って、遊園地や一部のスーパー等に有る回転式のバーの付いたものなのだ。カードをタッチし、自力でバーを押して無理やりという感じでバーを回転させながらゲートを通過するのだ。

 ソウルの地下鉄は色で区別されている。案内の路線番号もその路線の色で表示されている。その色の→等に従って歩いてゆけばホームに行く事が出来る。

 が、上り下りが違うホームの場合、間違えて反対のホームに入ってしまうと、本来のホームに行くには改札を出て、もう一度切符を買わないと行けない所もあるので、気をつけなければならないのだ。まぁ、乗り換えられる駅まで行って折り返してくるという方法もあるが、それも結構面倒臭い方法だ。

 幸いこの駅は乗り換え駅になっていたので、駅の中は自由に歩くことが出来、何とかホテルまで帰りつくことが出来た。

 第2日目

 雨が降っていた。この日は仁寿峰を予定していたのだが、第二目的の水落山に行くことにした。水落山は地下鉄だけで行けるのだが、地下鉄は昨夜乗り方を学習したし、もともと水落山は登るというよりは見に行くことが主目的だったのだから、1日雨でも、まぁ、よかったのだ。

 水落山はホテルの最寄駅からは2回地下鉄を乗り換える。先ずはソウル駅だ。1号線から水色の4号線に乗り換えなければならない。水色の案内を追って行くと、階段を上り、改札口に行き着いた。仕方がないから一応近くにいた小母さんに聞いてみたら、出てあっちに行けという手ぶりをしてくれた。

 次の4号線の改札まで行き、改札口で切符を翳すとエラーになった。別の改札機でもエラーになった。やっぱり使えないのか、どして。仕方がないから、新しく切符を買い直し、改札を入った。

 東京の地下鉄の乗り継ぎ切符みたいに改札を出ても乗り継げるのかと思ったのだが、一度改札を出てしまうともう使え無かったらしい。それにしても矢印に従って歩いたのに。

 ホームで行く先を確認し電車を待っていたら、反対方向から電車が来た。へっ。電車の進行方向が反対じゃん。そうか、ここは右側通行だったか。

 その後は、4番線から7番線に乗り換え、水落山駅に行くことが出来た。

 この山は、写真付きの案内記事をネットからダウンロードしていたので、1番出口を出て、国道沿いに点滅の信号を含めて3つ目の交差点を右に入るとあとは1本道だ。

 右側に車のゲートのある団地みたいな高層ビルの並んだ所を見ながら進むと、車道側にテントの露天らしい列が現れる。尚も進むと、左側に北韓山なんとかと掘られた石碑が現れる。で、その直ぐ先で道が少し細くなって左に少し曲がり、公園の遊歩道みたいな感じになってくる。

 途中、右側に東屋みたいな所で水を汲んでいる人がいたので寄ってみたら、左の端っこに柄杓が2つ吊るされていた。多分飲めるだろうと、最初の水分補給をした。

 段々坂道になり、道路の真ん中に左に曲がる矢印が書いてあるところで左に下る細い道に入ると直ぐ右に水落山の大きな案内看板がる。

 先ずは、そこで登山道を確認した。多分その先の沢沿いの登山道は3号だか3番だか登山道というらしい。帰りの案内票の為に覚えておかなければ。

 石畳の遊歩道を進むと、またまたテントというかビニールシートというか張りの露店が現れた。この国はこういう露店が好きなのだろうか。

 その後も、幾つもそういう露店が現れた。それらが商売になっているということは物凄い人がハイキングに来るのだろう。その日は平日だったし、同じホテルの日本人のお祖父さんと朝食を摂ったホテルの隣の食堂で少し長話しをしてしまったので、出発が遅くなり、登山開始は多分1時を過ぎていたから、それらの露店に客の姿は見ることが出来なかったが。

 橋を渡り、いよいよ登山道らしくなってきた。沢の中、沢の側壁、至る所に岩がゴロゴロしている。適当な石に近寄って見た。でかい。4m位は有るだろう。登れば登れるだろうが、登山道のすぐ脇だ。平日なのに、ハイカーは結構いる。登るには少し恥ずかしかったので、先に進んだ。

 本当にハイカーが多い。さすがに行列はないが、5分も歩くと必ず人とすれ違ったり追い抜かれたりするくらいだ。それと、トイレもいっぱいある。既に3か所はあった。その後も、10分毎に有る感じだった。

 橋を渡った右岸の沢沿いの登山道を沢側にちょっと逸れると、沢側に少し被った面を持った3m弱の岩があった。先ずは記念にと触ってみた。

 右上する数センチ幅程のバンドで離陸しそのまま右上して上に抜けた。僅かに被ってはいたが、難しくはなかった。韓国で最初に登った記念すべきボルダーだ。が、この岩を過去に登った人がいるのかどうかは全く分からない。というより、この水落山の渓谷でボルダリングなど本気でやっている人がいるのかどうかも分からない。多分そんな物好きな人はいないだろう。多分。

 既に水落山でボルダリングという目的は果たしたので、幾人ものハイカーに追い抜かれながら、周りの岩を見ながらゆっくり登って行くと、登山道の傾斜が増し、周りの岩のサイズも小さくなってきた。そろそろ沢の源頭に近づいたようだ。

 上を見ると、稜線が間近の様だった。時間は3時だった。よし、あそこで引き返そう、そう決めて登って行った。

 そういえば、そんな時間なのに追い抜いて行くハイカーが何人もいる。この山は標高が637mだし、多分この山には山小屋は無いだろう。なのにそんな時間でもまだハイカーが登ってくるのだ。日の入りは多分5時頃だが、それにしても3時過ぎにまだ登ってくる人たちがいるなんて、そう思ってしまった。

 稜線に出ると、水落山の岩峰の一つが目の前に聳え立っていた。その奥にも、又その奥にも岩峰らしきものが見えた。向の山にもより大きな岩峰が連なって見える。その岩峰の下には結構な大きさの岸壁も見える。地下鉄で来れるような場所にこんなに花崗岩が有るなんて、物凄く羨ましい環境だ。多分、神戸と六甲山との関係位いなのだろうか。芦屋のロックガーデン、保塁岩といった感じなのだろうか。共に行ったことはないが。

 そのコルで休んでいたら、やっぱり何人かの人が降りてきたり登って行った。

 見ていたら、目の前の岩峰を目がけ、柵に張ったロープを頼りにスラブを登る一人の女性がいた。途中、ロープにぶら下がってスラブを登る場面も見られたが、意外と早く正面の岩峰に近づいて行った。

 最初は、既に3時を回っているし、ここで降りるつもりでいたが、日本ではあまり経験したことのない登山道で岩峰を登るという経験も良いかということで、目の前の岩峰だけでも、と思い相棒に登ってみるかと聞いてみた。それまで、疲れたと言っていた相棒だが、景色に圧倒されたのか、登ってみるといったので、登ってみることにした。

 下から見ていた時は楽そうに見えたのだが、結構傾斜が急で、ロープに頼って登るため、手のパンプが気になりだした。登るのは良いが、またこの道を下らなければならないのだ。相棒が下れるかどうか心配になってきた。時間もあまりないし。まだスラブ面を2ヶ所しか登っていなかったが、そこから引き返してきた。

 帰国してから、ネットから落とした資料を見ていたら、ロープを張った岩場には巻き道が有るとのことだった。実際に上り時、下り時に巻き道を確認したのだが、地形的には巻き道として使えそうな地形は有ったが、落葉が積っており、使われてはいないように見えたので、巻き道は期待できないと思ってしまったのだ。。

 コルから下り始めたら、先に下っていた若者集団がこっちに来いと手招きをしていた。行ってみたら、水が湧いていた。柄杓もあったので、おいしく頂いた。何となく生ぬるくは感じたが。

 途中、登山道から少し離れた所に、小振りのずんぐりしたボルダーが目に付いた。近づいて見ると、ちょっと寝た三角お結び型のスラブで、登れそうに見えた。時間は既に4時を回ったが、後は来た道を下るだけだったので、登って見ることにした。

 最初右側の左上するクラックを使ってその面の真ん中を登ろうとしたのだが、クラックが終わった先でホールドが見つからなかったので、確実に登れるだろう左のカンテを使って登ってみた。カンテは少しざらついていたが、難しくはなかった。

 次は最初に目を付けたクラックだ。手はクラックだが左足がなかった。右足でクラックを使ってみたが、うまく使えなかった。左手オポジションを使ってみたが上手くゆかなかった。

 登山道を下ってきたカップルがちょっと立ち止まってこちらを見ていた。やはりボルダリングは韓国では珍しいのだろうか。

 どうしてもクラックを使って登りたかったので、そのクラックの右側を登ってみた。左下側にしっかりした斜めに走る狭いバンドがあったので、その足でクラックをアンダーでしっかり持て何とかクラック沿いに岩の天辺に登ることが出来た。

 序だからと、その岩の右側の少し傾斜の弱い面を登ってみた。左のカンテも使えたし、傾斜も緩かったので上に抜けることが出来た。

 この岩、やはり表面は少し風化が進んでいる感じで、細かい結晶は力を加えると崩れる感じだった。

 登る途中に見ていたのだが、傾斜が少し緩めだったので、パスしていた、登山道の沢の対岸の4m弱のスラブ面を登ってみた。そこそこ高さは有るが、途中僅かなダイク状のホールドがあったりフットホールドもあったので、怖くはなかった。

 登る時に目を付けたのだが、登山道のすぐ脇だったのでスルーした岩の脇に来た。その岩、登山道から離陸する位に登山道の脇だ。多分登山者が居たら登れないだろう。幸い、既に5時だ。じゃぁー登ってみるか。

 支度をし、登山道に面した所を触ってみた。

 丁度少し背伸びをすると、カチっとしたホールドに手が届いた。足は有った。離陸が出来、身体が上がればリップは取れた。リップの奥にもホールドは有った。

 その面の左側には結構大きな縦フレークのホールドがリップからほぼ垂直に下がっていた。そこを使えば背伸びをしなくとも離陸が出来る。そう考え、左縦ホールド両手、右足少し高めに突っ張って離陸したら離陸が出来た。次は先のスタートホールド。左足左縦ホールドで先よりも少し楽に上に抜けた。

 まだ暗くはなかったが、時間は5時を回っていた。

 トイレにより、先の水道で手を洗い、歩きだしたら、街灯が点き始めた。

 帰りは、たしか東大門には登山用品屋が有るとのことだったので、東大門で途中下車をした。

 階段を上がり、道路に出ると、カメラを構えた集団が見えた。そのカメラの方向を見ると、照明に浮き上がった東大門の上にほぼ満月が輝いていた。

 その通りを歩いて見たが、灯の消えたビルが並んでおり、登山用品屋がどこか全く分からなかったので、タダタダ適当に進んでみた。(注:帰国後案内書を調べ直したら、9番出口を出て東大門を背中に暫く直進するか、鍾路5街駅の5番出口を東大門方向に少し歩けば良いらしいことが分かった。)

 大きな交差点があったので、その交差点で反対側に渡ることにした。しかし横断歩道が見つからなかった。探すと地下通路の入り口があったので、そこに入ったら、同じ側の歩道に上がってきた。? きょろきょろしていたら、ほんの少し先に横断歩道があると教えてくれた。で、やっと道の反対側に渡ることが出来た。

 後日談だが、帰国後に調べ直したところ、どうやら登山用品屋街の近くで引き返してきたようだ。でも、何となく暗かったし、そんな気配は感じなかったのだが。

 次の交差点辺りが少し賑やかだったので、左に曲がってみたら、食堂が幾つかあった。食事がまだだったので、食事にしようと、食堂を見ながら歩いていたら、少し明るい店があった。結構若い女性で混んでいたので、混んでいるからここにしようと、その店に入ることにした。

 入ってみたら、やっぱい満席だったのか、店員にテイクアウトかと聞かれたので、ここで食べたいといって、待たせてもらった。

 程なく座ることが出来、写真を見ながら石焼ビビンバを注文した。相棒はトンカツ定食も頼んでいた。そのお店、おでんもあった。

 東大門からホテルまでは地下鉄1号線で1本だ。その後は、地下鉄で真直ぐにホテルに戻った。


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作成年月日 平成24年12月 2日
作 成 者 本庄 章