陶ヶ岳のボルダーに行ってきました

   山陽道ボルダリングの旅山口編その4
2006年 1月16日記
 陶ヶ岳のボルダーに行ってきた。山口ツアーの中の長門峡に続けての相棒とのボルダリング行である。

 8時前にキララあじす道の駅で目を覚ます。昨夜買った大福の残りを食べたら、やはり少し硬くなっていた。

 少し小雨がぱらついてきたが、9時過ぎに出発する。外気温は3度しかない。

 中学校の裏の広場に自動車を停め、受付に寄って、自動車を置かせてもらう許可を頂いてくる。その時、この中学校の卒業生かと聞かれてしまった。

 支度をして歩き出すと、相棒が既に疲れたという。今回は山が多かったからなぁ。

 10分も歩いただろうか。大きな岩が道を塞ぐ。これが鯨岩だろうか。そう言われれば鯨に見えないことも無い。

 トポを見ながら、その岩の裏に廻ろうと、左の方に行ってみたのだが、どこにも裏に廻る踏み跡が見当たらない。岩の前の広場の回りは濃い藪に包まれているから、その藪をこいで裏に廻る気も起こらない。

 ならばと、右側の岩の高い方に廻ってみたが、事態はまったく同じである。なんだかおかしい。トポにはその岩を左に回りこむ踏み跡があるように書いてあるし、その裏には課題もあることになっているから、岩の際までびっしりと藪が迫っていることなどありえない筈である。

 少し引き返して脇道を探したら、右側に道が伸びていた。

 その脇道にも赤布が見えたので、その道を進んでみる。この道は入り口からずっと赤いビニールテープの赤布が付けられていたのだ。

 少し山肌を巻くような感じで進み、やがて斜面を登りだす。多分登山道に間違いないだろう。

 昨日偵察に行った、岩屋山というお宮さんからだろう登山道と合流する。そして、その合流点には指導標も設置されている。もう間違いない。

 暫く歩くと、鯨岩の立て札が現れる。見上げると、今度は確かに鯨に見える大きな岩が見える。ここだ。

 鯨岩を左に回りこむ登山道を登っていったら、その先には沢山岩が散らばっていた。

 適当なところに荷物を置き、トポと共に周りの岩を観察する。

 なんだか判らない。判りにくいとはこのことなのだろうか。参照させてもらったHPには、このエリア自体に辿り着けなかったとあったのだが。

 ここのトポはフレンチグレードが使用されている。従って、5クラスが小生の対象である。しかし、トポには5クラスの課題は殆ど無い。そんななかに5とグレーディングされた課題のある石の図に松ノ木のマークが書かれている。先ずはその松ノ木を探そう。

 登山道を登ったり降りたり、行ったり来たりしながら、その松ノ木らしいものを探してみる。しかし、登山道の近くに書かれた、その松ノ木がなかなか見つからない。松ノ木自体がこの場所には殆ど無いのである。であるから、有れば判るはずなのだが。

 だんだん松ノ木らしい木が見つかりだす。その都度、その松ノ木に近付いて見るのだが、藪は濃いし、傾斜はあるし、おまけに石も多いから、なかなかその木に近づけない。ということは、そこには課題は無いのかも。或いはアプローチが間違っているのかも。そう考えて、別の松ノ木を探しに行く。そんなことを繰り返す。しかし、結局松ノ木の岩は見つからなかった。

 諦めて、登山道から道が入っているように書かれた大きな岩を探すことにする。

 確かに、ここには、何本かの踏み跡が登山道から分かれているところがある。そのうちのそれらしい踏み跡に入ってみる。

 チョークの付いた岩が見つかる。しかし、それがトポのどの岩かはわからない。も少し先に進むと、少し大きな岩が現れる。トポにある6mの横に長い岩だろうか。どうも横に長くは見えない。しかし、その岩の前まで踏み跡が入っているようにトポに有るし、確かにその少し大きな岩の前にも踏み跡が入っている。やっぱりこの岩かなぁ。その踏み跡を進み、更に奥まで行って見たら、真中辺にちょっとしたテラスのようなバンドが走っている岩が見えてくる。高さは3mくらいだろうか。あのバンドに乗れれば登れるかも。トポと照合すると、もしかしたら、3級とか4級となっているフェイスかもしれない。横に長い岩の奥にあることになっているし。そう考えて、先ずはその岩に取り付いてみる。

 3級だから易しいはずだと、3級になっている真中辺を登ってみる。

 バンドまでは行けるのだが、リップが悪く、マントルが出来ない。

 右側の方は4級となっている。なんだか真中よりもそっちの方が易しく見える。なのに4級なんだろうか。

 少しもがいてしまったし、2回もかかってしまったが、何とか登ることが出来た。

 下に戻って、冷静に考えてみたら、もしかしてこの3級、4級は段級グレードか。となれば4級よりも3級が難しいのは当たり前だ。なんてことは無い、段級グレードとルートのUIAAグレードと混同してしまっていたのだ。そうと気が付けば、小生の実力では4級が易しくなかったのも納得できた。

 多分、この岩がトポの段級グレードの付された課題だろう。となれば、多分ここはやっぱり横長の大きな岩だろう。そして、この水平クラックから左端のクラック沿いに行くのが「後姿の時雨れて行くか」だろう。何となく判りだす。

 まてよ、この課題名、なんか聞いたことがあるなぁ。何となく山頭火チックだなぁ。

 岩の上にチョコっと帽子を被ったような岩がある。カンテが登れそうだったので、登って見る。多分トポには無い場所だ。

 その裏側は高さが低くなる。帽子の下のラインになる水平クラックを使って離陸し、リップに手を飛ばせば登れそうに見える。もしかするとトポにある、はいあがりのカンテの課題かも知れない。とすれば難度は6bである。

 水平クラックのカンテ部分に左手の指を掛け、左足で突っ張ってリップを取りに行って見た。しかし、リップに手が届かない。クラックの持ち方とか足の置き方とかいろいろ試すがうまく行かない。

 突っ張る足を左足に変えてみる。すると、リップに手が届く。でもやっぱり、リップはもてない。左手のクラックが少し高めだから、離陸だけで結構力が要るから、既にお疲れ気味である。あのリップじゃ頑張っても駄目だ。

 その岩の下の方だったと思うのだが、そこには垂壁がある。左のほうの高さのそれほど高くないクラックというか、縦フレークというか、そんな所を登って見る。最後のマントルが出来ない。もしかするとメグmilkという課題かも知れない。6aかも知れない。吉田さんのグレード、辛いからなぁ。何年か前だけど、北海道では5aまでしか登れなかったからなぁ。

 その壁の右奥に行って見る。

 上には大きな岩が乗っかった、狸のお腹みたいな丸っこいスラブが出てくる。これがふくらんだスラブだろうか。ここのトポは上から見ただろう岩の形とその凡その位置しか出ていないから、傾斜地の藪の中の岩を探すにはあまり向いていない。その為か、まぁ、分かりにくいのである。

 もしふくらんだスラブだとすると6a+である。

 下のほうにちょっとしたクラック状のバンドが横に走っているから、そこに立ち、その上の丸く膨らんだ所に何本か走る縦皺で登るのだと思われる。

 やって見たら、縦皺が意外と利かない。ああだこうだ、大分粘っていたら、足が疲れてしまった。

 あっちだこっちだ、ああだこうだの末、一番左の方をやっと這い上がった。

 トポではその左奥に「分け入っても青い山」がある。やっぱり山頭火さんで良さそうだ。

 登山道に戻る。

 そのクジラ岩の上の登山道の脇の大きな岩の垂直な壁に「ヒットマン」という三ツ星の課題があることになっている。序に探して見たら、僅かなカチで登ってゆくだろうラインが見つかった。多分それが「ヒットマン」だろう。一応記念写真を撮る。

 その登山道を少し登ってゆくと、登山道のすぐ脇に5m位の石が立っている。結構目立つ岩なのだが、その岩には課題は無いらしい。

 その岩のちょっと手前に踏み跡が入っていることになっている。その入り口には、2m程の「だっこちゃん」という課題があるらしい。

 行って見たら、それらしい岩が見つかる。抱きついて見たが、這い上がれなかった。

 その下の岩には「マントル」「スローパーピンチ」という課題があるらしい。なんだか違う気もするが、それらしい、手前の丸っこいカンテを登って見る。やっぱりリップが持てなかった。

 その左のやはりカンテを登って見る。こっちがスローパーピンチか。でも、カンテは立っていたし、スタンスも拾えたから、こちらは登ることが出来た。でも、スローパーピンチは6c+だから、なんだか違うのかも知れない。

 その奥には120度の壁があることになっている。しかし、その先は岩で大きく段差が出来ており、進むことが出来ない。あちこち道を探して見たが見つからなかった。

 また少し登山道を登り、トポの踏み跡らしい所に入る。

 綺麗なまっすぐのクラックを持った壁が現れる。これは登らなければ。トポと見比べたが、どの岩だか分からない。こんなにはっきりした岩なのに。まぁいいや。

 折角のクラックを、結局はジャムすることも無く、上に抜ける。易しいからトポにないのかなぁ。

 少し大きめの岩のテラスが現れる。既に1時を回っている。ここで昼食にしよう。

 岩の上に寝っ転がって、その場で作ったサンドイッチを食べた。

 その少し下にはハングという岩とタコ岩があることになっている。ハングはすぐに分かったが、タコ岩はなんだか分からなかった。

 ハングを直上する課題が「ムササビ」らしい。一応触って見た。

 位置的にはタコ岩の垂直な壁の左のほうの左上するフレークを登って見る。リップまで行ったが、これまたリップが持てなかった。

 登山道に出る手前に少しでこぼこした面の高い目の岩がある。その右側のカンテは6a+となっているカンテのようだ。登って見たら、なんとか登れた。

 次から次えと岩に噛り付いてしまったから少し疲れたし、このエリアは大体こんなものだろうと、陶ヶ岳エリアに移動することにする。

 一旦岩谷山を下り、陶ヶ岳への登山道に入る。途中、下のお宮さんから登ってくるだろう登山道と合流する。

 鳥居が現れる。なんの鳥居だろう。

 急登を抜け、見晴らしの良い岩が散らばる場所を通る。ここが展望台エリアだろうか。特に展望台とかの看板は無い。はっきりしないので、そのまま先に進む。

 やがて道は山腹を巻く水平の道になり、小さな小屋の立つちょっとした広場に出る。その小屋には陶ヶ岳小屋と書かれている。しかし、入り口は塞がれていた。

 そこから折り返しで、階段を登る。その先には、大きく張り出した岩が見える。あれが赤い屋根ハングだろうか。とすると、先ほどの水平の道の脇も陶ヶ岳エリアの一部だったのか。そう言えば岩があったような気もする。

 一先ず陶ヶ岳の頂上まで行って見よう。

 ロープの張られた、急な岩の道を登ると、岩だらけの陶ヶ岳の頂上に着いた。既に3時に近かった。

 あちこちに降る道のある、なんだか迷いやすそうな山頂から、なんとか登ってきた道に戻り、赤い屋根ハングまで戻る。ルーフ部分には沢山のピンが打ち込まれていた。鐙の練習でもしていたのだろうか。

 そのハングの前から奥に伸びる踏み跡で少し先まで行って見た。しかし、傾斜が急だし、なんだか道もはっきりしない。くろい岩も見つからない。その辺りにも幾つか岩があるらしいが、そのまま引き返してきた。

 一応下の小屋の周りを一回りして、水平の道を歩く。

 最初に現れるだろう、7mの岩を探す。確かに岩はあるのだが、課題なんかあるのだろうか。なんだかすっきりしない壁の岩ばかりだ。

 トポを見たら、黒いフェイスの7aのトップロープ課題が乗っている。なんとなく黒いガチャガチャした岩があったっけ。とすると、あの岩が「木村三郎」だろうか。トップロープ課題なら多分そうだろう。なんとなく見当が付いてきた。

 黒いフェイスの岩まで戻り、記念撮影をする。撮れた写真を確認すると、なんだかぶれている。ピンぼけになっているのである。2回か3回撮りなおしてみたが、やっぱりぶれている。木立の中だから光量が足りなかったようだ。そんなに撮りたい写真でもなから、それで諦める。それにしても、この岩の写真だけがどうしてこんなにもぶれるのだろうか。

 その黒い岩の先にある4mの5+SD課題を見つけ、早速登って見た。左レイバックということだったので、一応レイバックチックに登た。なんだかここのグレードは甘いような気もするなぁ。というか、北海道が辛いのだと思うが。

 その後、「十五の春」の右の右カチフェイスなどを触って見た。

 先ほどは通り越した、展望台エリアの岩を探して見たが、全く分からない。岩はあるが、皆低いのである。

 相棒が、帽子を無くしたと言い出す。ずっと被っていなかったから、多分昼食の場所で尻に敷いたまま忘れたのだろうと言う。一応戻る道を注意しながら歩き、昼食をした場所に行って見たら、帽子はあった。良かった良かった。

 鯨岩まで戻り、来るときには撮れなかった鯨岩の上からの写真を撮って4時半頃、自動車まで戻った。

 相棒は、慣れない長靴で足に豆を作ってしまったらしい。ここは運動靴でも良かったかもと、少し反省する。

 学校の受付に下山の報告に行く。その途中で昨日とは違うおじさんに出会ったので、挨拶をしたら、ロッククライミングかと聞かれた。結構クライミングは認知されているようだ。でも、一応石ころを登ってきたとボルダリングの説明をしてしまった。

 今朝出てきた道の駅に向かう途中の町に全国区のスーパーがあることを昨日確認していたので、そこに寄って見た。結構広い。

 お弁当が結構安い。今日はお弁当で夕食とすることにする。

 エンジンをかけたまま、テレビを見つつお弁当を食べる。

 今夜も10時過ぎまでテレビを見てしまった。


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作成年月日 平成18年 1月16日
作 成 者 本庄 章