上信越のマイナーなボルダーを巡る旅その2

 白馬松川ボルダー、物見の岩のボルダー、金井山公園ボルダー、おまけに坊抱岩のボルダー敗退です
2006年10月 6日記

 昨夜から泊まっていた白馬道の駅で、朝7時前に起きだし、前の石のベンチで湯を沸かしインスタントコーヒーを飲んだ。周りはもやが立ち込めていた。

 コーヒーを飲みながら、ビンに入ったコーヒーの粉を見ていたら、なんだか点々と白いものが目に付いた。そういえば、このコーヒーの粉って固まっていたような。それをビンを叩いてさらさらにしたんだっけ。と言うことは、やっぱりカビていたのか。

 7時頃、道の駅を出発し、オリンピック道路を使って、白馬大橋まで行った。

 白馬大橋の白馬側の袂の道を上流方向に入り、河川敷に降りていった。しかし、河川敷に降りる直前に鎖が張られ、河川敷の広場に入ることが出来ない。仕方がないから土手の上まで戻り、その土手の道を少し先まで行って見た。しかし、その道は暫く先で行き止まりになってしまったので、橋の袂近くまで戻り、少し道が広くなった場所に自動車を停め河川敷に降りていった。

 河川敷は公園状になっており、上流方面に道が付けられていたので、その道を使い上流方面に歩いていった。その道は暫く先でコンクリートの護岸の中段の平らな場所に繋がっていたので、そのままコンクリの上を歩いていった。

 暫く歩いてゆくと、対岸に大きな岩が見えてきた。多分四角岩だろう。尚も進むと、低めの砂防堰堤の少し先の川原の真ん中辺に大きな岩が見えてきた。多分あれが三角岩だろう。しかし、護岸の下の川原は藪になっていたので、藪の薄そうな場所を選んで藪を抜け、岩に近づいていった。

 岩には沢山のチョークが付いていたから、間違いなさそうに思えた。トポを出し、写真と見比べて見ると、間違いが無かった。

 岩の写真を撮り、トポを見ながら岩を一回りして見た。土手側の面は凸凹していて易しそうだったが、上流面と下流面は少し被っており、川の面はのっぺりとしており、高さもあるし、ホールドも少なそうだった。

 支度を整え、土手側の面の一番易しい課題を登って見た。下半分くらいが大きく被ってはいるが、リップの上のガバから離陸が出来るので、難しくは無い。ことになっているのだが、ホールドが意外と持ち辛く、そんなに易しくは無かった。

 登ったはよいが、独立した大き目の岩だし、下降ルートも下が被っているから、降りるのに少してこずってしまった。マットがあれば飛び降りられたのだろうが。

 続いて、降りてきた場所を登って見た。なんだか順番が反対だが。

 そこから時計周りに、易しめの課題を登っていった。被っていたり、ホールドが乏しそうに見えたが、グレードは4級までの課題を登ったから、意外と登りやすく、予想以上に登ることが出来た。当然SD課題はやらなかった。

 30分位で一通りの課題を登ったので、たまには少しむつかし目の課題をと、3級という課題を触ってみた。登れる感触は得られなかった。それでも、何回かやってみた。結局展望は開かれず、諦めた。

 昨日買ったお弁当を食べ、少しゆっくりした。

 ここに来るときに、この岩の少し下流に幾つかの小さめのボルダーが見えたので、そっちに行って見た。

 ちょっとした段差の上に乗っている丸っこい岩の川側にチョークが付いており、見るからに難しそうなラインが目に付いた。スタートホールドを触ってみたが、少し被っており、ホールドも滑々のスローパーや甘いカチホールドだったから、離陸が出来なかった。

 その岩の下流面が登れそうに見えたが、降り口が見つからなかったので、登ることはしなかった。

 その岩の川側に易しめの小さな岩があったので、2箇所ほど登って見た。共に10級だった。

 もう少し川側に被った面を持つ黒い石が有ったので、そこも登って見た。10級よりは難しかった。

 次は四角岩だ。

 四角岩は対岸だから、自動車で対岸に移動するか、川を渡渉するか迷ったが、距離的には渡渉したほうが近いし、渡渉も出来そうだったので、渡渉することにした。

 浅そうな場所を探し、靴を脱いで流れに入っていった。

 水は冷たかった。流れも意外ときつかった。それより、裸足での渡渉だったから、足が滑り、対岸に近づいた所が少し深くなっていたので、転びそうになってしまったり、ズボンの裾を少し濡らしてしまった。帰りは渡渉せずに橋をわたることにしよう。

 四角岩まではまた少し渡渉をしなければならなかった。

 四角岩は、対岸から見たよりは遥かに高い岩だった。高いところは10mはあっただろうか。岩の基部を一通りぐるっと回って見た。

 四角岩の上流にも岩があったので、先ずはその岩を登って見た。スラブチックな岩で3mくらいの高さがあったから、易しくはあったが、少し怖かった。

 四角岩の下流面の川側のカンテが登れそうだったので、登って見た。ここは3mくらいのところから上は緩傾斜になっているので、難しくは無かった。

 天辺まで行くと、やっぱり高かった。

 次は、上流面の川側の方の、降りるときに使ったルートの隣の、縦にリップ付近までフレークが伸びている場所を、そのフレークを使って登って見た。これは10級だったかもしれない。

 土手側の一番高いカンテの下が、逆三角形をしたスラブ面になっている。そのスラブを登ると、斜めに走るバンドがリップまで伸びている所に出られるので、それを使って上に行けるかもしれない。そう思って、そのスラブ面を登って見た。しかし、意外とスタンスが滑り、ホールドも乏しかったので、途中までしか行くことが出来なかった。しかし、多分仲間と一緒であれば、登れるかもと思ってしまった。

 そのスラブの横に少し被ったカンテを持った岩があったので、登って見た。意外とホールドが甘かったが、上に抜けることが出来た。

 まだ9時半であったが、そろそろ帰る事にした。

 対岸の土手の道を歩き、キャンプ場の脇を通って橋を渡り、自動車まで帰った。

 手がチョークで汚れていたので、川原まで手を洗いに行った。その時、橋の下の川原にボルダーがあったので、登って見た。2m半くらいの少し反り返った面を持っている面白そうな岩だった。まずは易しそうな所を登り、続いて真中の一番高いところに取り付いてみた。リップが意外と悪く、少し右のほうに逃げてしまった。

 まだ10時を少し回った所であった。次は長野市内の岩だ。

 オリンピック道路を使うか、鬼無里を抜けてゆく道を使うか少し迷ったが、カーナビが鬼無里を抜ける406号を示したので、406号を走ることにした。

 町外れからいきなり曲がりくねった道で坂を登ってゆく。続いて、なんだか通行止めの看板が目に入った。間違ったかな。でも、そのまま進んでゆくと、大きな崖崩れがあったらしく、仮橋が掛けられ、片側一方通行になっている所が出てきた。9月上旬だったかまで通行止めだったらしい。危ない所だった。

 最初は金井山を先に行くつもりだったが、善光寺のほうが手前だと言うことに気付き、物見の岩に先に行くことにした。物見の岩は善光寺の裏山なのだ。

 カーナビに従って、善光寺の裏の坂道に入ると、物凄く細い、擦違いの出来そうに無い道に入ってしまった。しかし、幸いにも対向車は無く、無事お寺の前に行くことが出来た。

 以前、仲間と自動車で来たとき、お寺の脇の霊園の駐車場に自動車を停めた記憶があったので、霊園の駐車場に上がっていったのだが、その霊園は隣のお寺とは別みたいな感じがあったし、案内には、お寺の駐車場をお借りするとあったので、隣のお寺の駐車場に自動車を移動した。

 お寺の方に一声掛けようと、お寺を訪ねてみたのだが、誰もいらっしゃらないらしく、呼び鈴にも返事が無かったので、そのまま物見の岩に登っていった。

 この物見の岩だが、30年ほど前になるか、千葉からわざわざ土曜日の夜行に乗って何回も尋ねたことのある、懐かしい岩場なのだ。

 物見の岩の下から、物見の岩の上に出る道が、あまりはっきりとは覚えていなかったし、岩場をうろちょろしていた記憶がごっちゃになってしまって、少し迷ってしまったが、たいした時間のロスも無く物見の岩の上に登って行った。

 上に上がってゆくと、松ノ木の下のベンチで老夫婦がお弁当を食べていた。そうか、既にお昼だったんだ。

 老夫婦にご挨拶をし、少しお話をしてしまった。その旦那さんは若い頃、穂高や剣に良く行っていたとのことだった。そのほかにも、物見の岩を登ったことがあるとか、今は奥様に岩登りは止められているとか、カナダでカヌーに乗ったら、カヌーが転覆したとか、少し話し込んでしまった。

 老夫婦が帰られたので、物見の岩の上にポツンとそびえているボルダーを登って見た。

 意外と高い岩だった。こんなに高い岩だったっけ。よくこの岩の上でお弁当を食べたっけ。

 一番高い壁を登って見た。意外と難しかった。確か昔、登山靴でここを登った人がいたような。だとすれば、その人はすごい人だったのだろうか。

 易しそうなところ3箇所くらいを登ってしまった。

 帰りに、下のお堂から、お寺に戻る道を間違えてしまった。こんな道あったっけ。

 お寺に戻りお寺の方を窺ったが、人がいる気配が無かったので、申し訳なかったが、そのまま帰る事にした。

 自動車を出そうとしていたら、人が歩いてきたので、お寺の方か伺って見たら、お寺の方ではなかったようだ。

 善光寺の前の道を走っていた時に、交差点の名前を確認しようとしたのだが、名前を書いた看板が見当たらなかった。尚もよく探して見たら、右側の信号の所にローマ字の看板があった。いくら観光地だからと言っても、ローマ字表記は行き過ぎではないか。そう思いながら次の交差点でも看板を確認したら、左の信号には日本語の表記があった。左側の表記は、前のトラックの陰になって見えなかったようだ。

 それにしても、日本は外人に気を使いすぎる気がする。日本ほどどこに行ってもローマ字表記や英語表記の看板のあふれた国は無いのではないかと思ってしまう。ローマに行ったとき、イタリア語以外の表記の看板なんて殆ど無かった。タイでも空港以外では、偶に中国語を見るくらいで、殆どはタイ文字の全く読めない看板だらけだった。

 次は金井山公園ボルダーだ。

 金井山公園は松代の近くにある小さな池のそばの公園だ。

 行ってみたら、駐車場に自動車が1台停められていた。その自動車の隣に小生の自動車を停め、支度をしていたら、物凄い蚊が集まってきた。その内の何匹かは自動車の中にまで入ってしまった。これはまずいかも。

 遊歩道を登ってゆくと、岩が現れた。これかなと調べて見たが、なんだかガチガチした岩だし、岩と岩の間には小さな社が祭られていた。どうも違うようだ。

 先に進むと、展望台が現れ、東屋なども出てきた。しかしボルダーらしいものは現れない。駐車場から2〜3分登ると道の両脇にボルダーが点在していると案内文には書かれているのだが、既に5分を過ぎているはずなのに最初のボルダー以外は現れない。さっきのボルダーだったのだろうか。どうもそのようには見えなかったが。

 尚も進むと、観音像が現れ、尾根が平らになってきた。そして、やっと尾根の両脇にボルダーが現れた。ここかぁー。

 少し大きめのボルダーに近寄り、写真と見比べて見たが、写真のボルダーには見えなかった。そのボルダーの脇に回って見ると、岩肌にチョーク跡が見つかった。やっぱりここを触っていることは間違いが無さそうだ。しかし、その面は結構高く、ホールドも持てるものではなかった。

 仕方がないから、遊歩道脇の、ガビガビの面を登って見た。苔が生えていたので、登りにくかったが、何とか上に抜けた。

 立ち止まると蚊が襲ってくる。他にそそられるボルダーも無さそうだ。登れそうなところも見当たらない。最初の岩を再度調べて見るか。

 途中、展望台から長野市内の写真を撮り、最初の岩を調べなおして見た。やっぱり登れる岩ではなかった。

 何とか自動車の中の蚊を追い出しつつ、自動車に乗り込み、駐車場を脱出した。

 まだ2時半だ。若しかすると、坊抱岩に寄れるかも。カーナビを上山田温泉にセットし、走り出した。

 青少年山の家の看板を探したが見つからなかった。その代わりに、いこいの森と冠着山登山口への看板があったので、多分そこだろうと、その道を登っていった。

 りんご畑の中をくねくねと走る擦違いの出来ない細い道はどんどん山の中に登っていった。間違い無さそうだと、どんどん登っていったら、坊城平の駐車場に出た。その看板には青年の家が描かれていた。

 既に4時に近かった。そこからボルダーまで30分ほどかかるとすると、ボルダーでは30分くらいしか時間は無い。慌てて登山道を登って行った。

 案内書の地図では登山道から尾根に登っていって、尾根筋を登ると坊抱岩とある。その積りで登っていったら、登山道から分かれる直接尾根上を登るはっきりとした踏み跡が現れた。それを登れば直接坊抱岩に行けると考え、その踏み跡を登って行った。

 暫くすると大きな岩が現れた。地図からすると、尾根筋を行くと先ず涼み岩が現れるように見える。その岩は多分涼み岩だろうと考え、どんどん上に登っていったら、どんどん傾斜が増してきて、ついに踏み跡が無くなってしまった。岩の真中を横切って岩の裏に出るようにも地図が読めたので、途中まで戻り、脇に入る踏み跡を登って見たが、どれも先に踏み跡は無かった。

 時間を大分ロスしたので、少し焦りながら、登ってきた崖を下りざるを得なかった。戻りながら、若しかするとその岩が坊抱岩かと考え、岩を眺め直して見たら、坊抱岩のように見えてきた。ならば、今まで登ってきた踏み跡の脇にボルダーがある筈だと、両脇を探しながら下っていったのだが、結局ボルダーは見つからなかった。

 既に5時を回っていたので、ボルダーを探すことを諦め下ることにした。

 駐車場の脇はキャンプ場になっている。キャンプ場には水場があったので、ポリタンに水を汲み足した。

 戻る途中、東屋の脇に大きな岩が見えたので、行って見た。高さは2.5mほどの垂直に近い壁を持っていた。ここまでくればもう時間の心配はない。しかたがないから、これでも登って帰るか。

 左端の易しそうなところを登って見た。ホールドなどは全く磨いていないから、ガバのホールドには苔が乗っていたので、慎重にホールド、スタンスを選び、上に抜けた。

 次は右端だ。こちらもほぼ同じ、上に抜けた。

 見栄えからすると、やはり真中を登らなければ。

 真中のホールドを探ったが、こちらは苔の無いホールドが見つからない。色々探し、やっとホールドを見つけ、一歩踏み出してみた。次のホールドも苔だらけだ。ホールドを探っていたら、落ちてしまった。

 下からホールドを探し、新しいホールドに目星をつけ、登って見た。さっきよりは先に進んだが、リップ直下でまた行き詰まった。

 今度は足を探って見た。新しい足を見つけ、登って見たら、何とかリップ下のホールドが持て、リップを掴むことが出来た。登れた。やはり見栄えの良さそうな場所が登れると気持ちが良いものだ。

 気をよくして、既に暗くなった林道をゆっくりと下って行った。

 明日は金原ダム下ボルダーの積りだから、東御市の雷電クルミの里道の駅で泊まる予定だ。

 国道18号を、適当な食堂を探しながら走っていたら、上田市内で全国チェーンの牛丼屋がでてきた。こんな所にも牛丼屋があったのかと、即その牛丼屋に入った。

 豚丼のサラダセットを頼んだ。

 道の駅には相変わらず自動車が沢山停まっていた。


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作成年月日 平成18年10月 6日
作 成 者 本庄 章