白妙その6そして御岳その26

2001年7月17日記
 日曜日にジムの仲間と相棒と3人で白妙から御岳に行くことにした。暑いから、白妙で少しゆっくりしてから御岳に転戦するという予定である。

 少し遅刻をしてしまったので、9時10分頃出発。道は空いている。

 中央道の石川パーキングで休息。かき氷を食べる。

 発砲スチロールの容器に入っていて、少し太目のストローの先が小さなしゃもじ状になったやつで食べる、そんなかき氷である。いつのころからこのようなスタイルが現れたのだろうか。このようなスタイルのかき氷はほとんど食べた事がなかったので、というより、最近は外でかき氷を食べることがなかったので、少し新鮮である。

 このかき氷であるが、いつも食べるソフトクリームに比べると、非常に長持ちがする。小さなしゃもじでチビチビと食べるから、なかなか減らない。それでいて、ソフトクリームより冷たく感じるから、この小さなしゃもじの量でちょうどよいのであろう。このストローはけっこう考えられて作られたもののようだ。

 それに、このかき氷が解けないのだ。容器も冷たくないし、結露もほとんどしていない。

 昔のかき氷というと、ガラスの器に入っていて、かき氷が山盛りになっているのはよいのだが、その氷の山にスプーンがしっかり埋まっていて、そのスプーンを取り出すには必ずといって良いほど氷をこぼすのであった。これがなんとももったいなくて、氷を押さえつけて少し固めてからその手の指の間からスプーンをそおっと引き抜いたりしたものである。

 そして、氷の山がなくなって来ると、解けた氷が器の底にたまり出してきて、シャーベット状の氷が味わえるようになってくる。が、それも束の間、その氷水はたちまちに暖かい色水になってしまうのである。硝子容器はビチャビチャになるし、テーブルは濡れるしで、昔のかき氷は、けっこうその辺が欠点であった訳である。

 ところが、このかき氷は解けないのである。氷水が底にたまらないのである。従って、僅かの楽しみであった、シャーベット状の氷を楽しむことはできなくなってしまったのだが、最後まで冷たいかき氷が楽しめるようになったのである。さすが、発泡スチロールの威力である。

 この容器には「氷」という赤い字が大きく書かれてもいたので、家でかき氷を作る時のためにと、思わず持ち帰ってきてしまった。実は小生の家には専用の電動かき氷製造機があるのである。

 途中、クーラーが効かず車内が暑い。外気温は36度もあるらしい。クーラーも効かないはずだ。丁度峠道に差掛かっている。思い切ってクーラーを切り、窓を開ける。かえってこちらの方が風が入って気分的に涼しい。所が、峠を越え、町場に入ると信号で止ってしまう。そうすると、風が無くなる。猛烈に暑い。再びクーラーを入れる。

 やっぱり、今回も2時間くらいで御岳についた。しかし、寒山寺の駐車場は超満員。玉堂の上の駐車場も満員。やっぱり涼を求める人達が押し寄せているようだ。心成しか自動車も多いようである。

 氷川から日原街道に入り白妙へ。再び窓を開ける。少し涼しい。

 この道も、前後に車が見える。いつも殆ど人のいない国際鱒釣り場も今日は結構人がいる。やっぱり相当の人出のようだ。

 いつもの所に車を止める。しかし、ここには他には車はいない。

 昼飯の用意も持って歩き出す。日が照ってるから暑い。

 途中、仲間がまだ見たことがないというので、「にら」に寄る。

 相変わらず降り口が悪い。案の定相棒が足を滑らせ、少しずり落ちる。しかし、特に問題はない。

 日が陰ったのか沢床に降りたせいか、日はささず、少し涼しい。

 にらの下地は最近は下がっているようだ。従って、ビンビンはまた3級にもどったようだ。

 下手に上に抜けるとその後の石の上での藪漕ぎがひどそうなので、ここは見学だけにする。

 吊り橋を渡り、いつもの河原に降りる。ここはもろに日が照るから暑い。河原のルートの前に移動。こちらは日陰で涼しい。

 なにはともあれ昼食にする。

 ちんたら食事の後も、ぐうたら河原で寝転がる。暑くてクライミングなどする気がしない。まして、ここは疲れる課題ばかりだ。尚更である。

 ここからは対岸のルーフの課題のある岩が良く見える。本日も相変わらずルーフの下に水が流れ込んでいる。あの課題は何時なら触れるのだろうか。やっぱり冬季限定なのだろうか。

 対岸に男女10名のバーベキュアーが降りてくる。こんな所でもバーベキューをする人達がいるのか。かなり特殊な人達のような気がする。一見はごく普通の若者達なのだが。因みに男6人、女4人であった。

 そろそろ動かなければ。今日のメインエベント、Bクラブ探索を開始することにする。

 自動車に戻り、サンダルから運動靴に履き替え、鱒釣り場方向に戻る。橋を渡って民家の3軒位先の左側に、家のコンクリの基礎の残る空き地の脇を入る細い道がある。トポ集の地図によると、どうもその道が河原に降りる道のようだ。

 多分これだろうと適当に見当を付け、その道を降りる。はたして、民家の玄関のすぐ前を通って河原に降りる道であった。

 途中、この道は開拓中であるらしい岩場を右に見て河原に降りる。

 この河原は、結構大きな岩があり、決して歩き易い道ではないが、そのまま道を選びながら右岸を少し下る。すると、少し大きな、なんとなくそんな感じの岩が前方に見える。そこまで5分位か。時間は定かではないが。けっこう下ると聞いてきたが、それほど下るという感じでもない。

 相変わらず釣り師の物であろうゴミが目につく。このゴミ、どんな山奥に行っても目につくようだ。でも、これらの釣り師の付けた踏み跡を利用させてもらっていることも確かだから、そう悪くも言えないのだが。とはいえ、なんとなく山奥で、釣りの餌の包装紙などを見ると興ざめである事も確かではある。

 この岩に設定されたBクラブという初段の課題は、アンダーからマントルらしいのだが、そのアンダーがすごく高い。そこまでのホールドも乏しい。現在は下地が1m近く下がっているらしいので、難しくはなっているらしいのだが、仲間も出来る気がしないという。アンダーといっても、アンダーのスローパーだ。身体が上がっていなければとっても持てる物ではないように見える。

 トポ集の著者はこの状態で登ったらしい。まぁ、それを聞いても、我々の世界ではないから、登る人には登れるのか、位で、あまりに想像を放れるから、驚きもしないのだが。

 Bクラブの右側の凹角状の所を運動靴で登る。上に上がって、降りる所が無い。しまった。このBクラブの面しか見ていなかったが、この岩は全面が傾斜のある壁になっている結構高い岩だったのだ。仕方が無い、意を決して登った所を降りる。

 この岩の左側にある岩を登る。当然運動靴である。

 結構バランスが悪いがフリクションは効く。なんとなく三峰の岩に似ている。

 Bクラブの岩の下流側に少し低いが大きな岩が見える。良さそうなマントルの課題が出来そうだ。近付くと低すぎる。残念。

 戻ると、相棒が、小生が登った岩を登っている。しかし、相棒には少し難しすぎるようだ。

 少し上流に少し大きな岩がある。ホールドを探る。出られない。離陸ができない。運動靴じゃだめか。

 ここには、5〜6級までの課題なら設定できそうな岩が結構ある。でも、わざわざ5〜6級の課題を登るためにここまでは来ないだろう。やっぱり1級、初段の課題はそう簡単にはできないのだろう。

 車に戻る途中にすごく涼しい風が上から吹いて来る場所があった。若しかして、その脇の斜面の上の方に洞窟の出口穴でも有るのだろうか。ここら辺は鍾乳洞が多いらしいから。

 御岳まで戻る。結構車は走っている。

 玉堂の上の駐車場が満杯なので、寒山寺の駐車場まで行く。入口で出る車とすれ違うために止っている車がいる。その後ろに付く。所が、駐車場の中は車でいっぱい。身動きが取れない状態である。空くのを待っている車が中にも何台かいいるようだ。

 仕方が無いからそのままUターンして玉堂の上の駐車場に戻る。満杯ではあるが、出そうな車もいる。中に入って出そうな車を待つ事にする。と、幸運にも程なく場所が空いた。

 3時半頃だろうか。忍者返しの岩へ。

 以前よくここで会った犬を連れた2人組がいる。久し振りである。

 日が照っている。それにしても暑い。荷物を置いてしばし休息。イヌ連れの人達はガバハングの水辺のトラバースをやっている。そして、途中で川の中におちる。夏しか出来ない課題か。

 前の川では学生さんが相変わらずカヌーの練習をしている。今日みたいな日のカヌーは楽しいだろう。盛んにロールをやっている。因みにロールとはひっくり返ってそのまままた水面に起き上がる技術である。そこそこ難しい技術である。まぁ、11aクラスの技術というところか。初級者の目標である。

 その練習を見ていたら、余りにも出来ないので、つい口を出してしまった。

 やっと日が陰り出したので、白狐岩の一番右の難しい4級の課題を久し振りに触って見る。

 所が、アップの積もりで取り付いたのだが、これが出来ない。足を忘れている。左手のカチが取れない。いつもの事だから別に驚きもしないが。しかし、悔しい。

 仲間も難しそうに登る。

 やっと左手のカチを取って、右足を上げたら、上がらない。左手が厳しい。

 仲間は右足のヒールで身体を支え、右手を取りに行くのだという。そんなムーブだったっけ。

 しばらく前にやっと登った課題だから、ムーブなどはすっかり忘れている。足とかムーブとか結構色々試した末に登った課題だと思う。多分最適の足やムーブを見つけてやっと登ったのだと思う。しかし、そんなことはもう覚えてはいない。だから登れないのだろう。

 左足をインエッジで乗って、右足のヒールを右カンテにフックすると、左手がスタテイックに取れるようになった。そのままその右足に乗ろうとするのだが、左足が奥に入り過ぎていて、体重が右足に移らない。何回か同じ事をやっていると右足のくるぶしの皮が石に擦れて擦りむけて来る。少し血も滲み出す。

 少し前に一人でここに来た人が、小生のこの課題を見て一緒に登り出す。

 彼は小生のムーブでは登れないと、少し上の掛かりの悪い縦カチでレイバック気味に身体を上げ、その上のホールドを取って登る。小生にはその縦カチではとっても耐えられずそんなムーブではこの課題は登れない。しつこくフックのムーブを追求する。

 仲間がフックの場所を上げた方が良いとアドバイスをくれる。

 その場所でフックをすると、確かに身体が上がる。左足は適当な所にスメアというか、岩を適当に蹴る。途中甘い縦ホールドに中継して、上のホールドを捕らえる。できた。そんなに力を使わずに登れた。右足に乗り込むと言うより右足のヒールで身体を上げるという感じだ。乗り込むのでは無かったようだ。

 それを見ていた一人で来た人が、そのムーブで登ろうと、再度挑戦を始める。しかし、なかなか身体が上がらない。難しいという。

 一人で来た人が仲間にしきりに忍者返しを登れと勧めている。しかし、仲間は肱を傷めているらしく、登りたくないらしい。でも、結局仲間が忍者返しを登る。

 するするすると、いつのまにか上に抜ける。一人で来た彼は早すぎて参考にならないという。まぁ、小生は、自分が登れない課題を人が登るのを見てもあまり参考にはならないと思っているから、ゆっくり登っても結果は同じだろうとは思うのだが。

 小生も少しきつすぎたアップを終えて、忍者返しに取り付いて見る。

 1回目、スローパーに止らず。やっぱりアップのし過ぎか。

 2回目、足を少し考えて、第1手目を取る。さっきよりもその左手がしっかり持てている。よし、右手がスローパーにしっかりと止まる。次はその手の飛ばしだ。少し勢いを付けて手を飛ばす。指先が目的のホールドの左の面をしっかりと触る。しかし、そこはホールドする所ではない。落ちる。

 いままで、これほど完璧にスローパーの次のホールドを触った事はない。間違いなく今までの最高到達点だ。持てなかったとはいえ、この暑い中よくもそこまでいったものだ。感激する。

 3回目、スローパーで止らず。やっぱり。今日はこの辺が限界か。

 そろそろ6時を廻っている。7時まで明るいとはいっても、今日はそこまで頑張る気もない。半になったら帰るか。

 一人で来た人にそう伝えると、彼は、今日中に落とさなければと、張り切り出す。

 相棒が先程の仲間の登りをビデオに納めたので、それを仲間と独りで来た人が一生懸命に見る。そして、一人で来た人がまたトライする。

 充分力はあると思うのだが、その力がなかなかスローパーの先に行かない。小生と同じような所で落ちる。5回いや6回。もっといっぱいか。なにしろ何回も何回も繰り返す。で、遂に我々の帰る時間となり、彼も諦める。もしかすると、まだその後もトライを続けたのかもしれないが。

 我々は先に引き上げる。

 帰りの渋滞を心配したのだが、渋滞はない。やっぱり本当の行楽シーズンではないからだろう。とはいえ、甲州街道はやっぱり混んでいた。

 例によって、府中のびっくりドンキーに寄る。すでに8時である。

 駐車場がほぼいっぱいだ。混んでいるようだ。しかし、4組位の待合わせで席につけた。

 水だけを持ったお兄さんが、水の御代わりのサービスに歩いている。こんなの初めてだ。喉が乾いて乾いて仕方が無かったので非常に嬉しいサービスであった。

 実は、今回はジュースとミルクコーヒーしか持って来なかった。さっぱりしたお茶類は持ってこなかったのである。途中からジュースを飲んでも喉の渇きがなかなか癒されなかったのである。だから、ここでは最初の水は一気に飲み干してしまったのである。で、なんだかんだ、合計6杯から7杯くらいの水を飲んでしまったのだった。

 びっくりドンキーにはびっくりなんとかというメニューがいくつかある。その中の一つにびっくりコーラというのがある。このびっくりコーラが、実は全然びっくりしないという噂を聞いていたので、びっくりコーラを飲みたかったのだが、だれもそれを言い出さないから、びっくりコーラは頼まなかった。で、よそさんのびっくりコーラらしい物を観察すると、少し大きめのコップにコーラが入れられているようだ。多分このびっくりはびっくりするびっくりではなく、びっくりドンキーのサービスメニューという意味のびっくりなのであろう。

 早く席にはつけたのだが、その後、注文の品が来るのが少し遅かったので、結局1時間近くも居座ってしまった。

 先週は、夏の定番小川山でも、石の魂の前に20人もの人がいたので恐ろしくてクジラ岩には行けなかったという人がいたし、やっぱり、暑い時期にはクーラーの効いたジムでのんびりとクライミングをするのが一番良いような気がする。

 それにしても、暑かった。


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作成年月日 平成13年 7月17日
作 成 者 本庄 章