白妙その5そしてむかし道ボルダーその2

2001年6月26日記
 梅雨の晴れ間の日曜日にジムの仲間と白妙、そしてむかし道ボルダーに行って来た。総勢6名である。因みに相棒は今回はお休み。

 土曜日にジムの仲間3人とまだ1回しか行った事のないジムに行って、少し遅く帰って来ると、いつもの仲間から電話が有った。明日、白妙に行かないかとの事である。相棒は他にする事が有るらしく、日曜日は出かけないとのことだし、ここの所まともに外の岩に行っていないので、ジムでの疲れも気になったが、行く事にする。

 朝の8時に待合わせだから家を7時前に出発する。天気は晴れてはいないが、降ってもいない。なんとなくはっきりしない天気ではあるが、天気予報では1日もつとの予報である。

 思いのほか電車の接続が良く、凡そ30分前に待合わせ場所への駅に着いてしまった。

 駅を出ると雨が降っている。道も濡れている。傘が無くとも歩ける雨では有るが、傘が欲しいと思う雨でもある。

 駅前のコンビニで朝食のパンを買って待合わせ場所迄歩く。待合わせ場所はそこから少し放れた私鉄の駅前である。

 国鉄の駅からこの私鉄の駅までは地下道が繋がっているのだが、いつも地上を歩いて、信号を渡って行っている。今回も雨に濡れながら歩いた。何故かって。まぁ、地下道なんて滅多に歩かないから。

 雨に濡れる事をそれ程苦にはしない小生ではあるが、濡れるのはやっぱりいやだから駅舎の中に入ったり、地下道に降りたりしながら、さっき買ったパンを食べながら、時間を潰す。

 待合わせ5分程前に地上に上がると、仲間の自動車が止っており、昨日一緒に行く予定で急遽仕事が入ってしまった仲間もいる。あとは昨日電話をくれた仲間だけだ。小生が合流すると程なくその仲間も現れる。

 聞くと、全員昨日はジムで遊んでいたらしい。

 雨は相変わらず降っている。小生は家を出る時には雨は降ってはいなかったのだが、他の仲間は家を出る直前に雨が降り出したらしい。

 ここは千葉県である。海洋性の天気だ。奥多摩は山である。今日は南から暖かい空気が流れ込んでいる。天気予報では日本海側は雨だが太平洋側は雨は降らないといっている。だから今この辺で雨が降っているのは千葉だけだ。と、勝手な理屈を付けて、白妙行を決行する事にする。途中車の中で、もし八王子で雨が降っていれば八王子のジムに行く事に決まる。こういう事を走り出してから決める所もすごい。

 首都高のランプを入った所で、現地で落ち合う約束の、別の仲間から電話が入る。どうしようかとの相談のようだ。遅すぎる。もう高速に入ってしまっている。東京も雨が降っていると言う。でも、もう引っ返せない。もう高速代金を払ってしまったのだから。

 確かに、都内も雨が降っている。しかし、その量は僅かの様だ。

 中央道に入る。いつしか雨は止んでいる。道も乾いている。

 八王子からいつも小生が利用する裏道は使わず、滝山街道を進む。まだ早いから道も空いている。

 寒山寺の駐車場前を通過。車がいっぱいだ。トンネルの手前の忍者返しに行く人がたまに車を止めている場所にも車が2台ほどいる。もう忍者返しに人がいるのか。

 吉野街道が奥多摩街道に合流する所でコンビニに寄る。寒山寺の駐車場の混み具合の割には道は空いている。

 我々の前にGTOみたいな車がいる。車高が異様に低い。何か挙動が少し変だ。なんかピョンピョン跳ねるみたいだ。どうやらロータスの車らしい。ロータスといえばヨーロッパかと言うと、仲間も意外に知っていた。結構古い話しなのに。

 白妙到着。バス停の所にパトカーがいる。その少し先には椅子に座ったおじさんがいる。工事のおじさんでも無さそうだし。Uターンしていつもの場所に車を止める。

 白妙の岩場を見に行く。ビショビショである。左側のスラブ壁も濡れている。当然クライマーはいない。

 河原に降りる。対岸のルーフは相変わらず水が流れ込んでいる。

 いつもの大きい一番目立つ岩に触る。この岩は沢に面した部分は垂直のつるつるの壁で、下流側は被った壁になっている3m位の高さの大きな石だ。垂壁の上流側1/3位は水の中だ。

 下流側のハング状の左側は比較的易しいが下地が悪い。右側のハングは下地は良いが難しい。このハングのマントルは3級位になるらしい。

 このマントルは以前は左に走っていたリスに指がかかったのだが、現在はそのリスに草が生えていて、指がかけられない。従ってその少し上の方向の悪い縦カチしか使えない。そうすると難しくなる。

 去年、皆が登って、小生が登れなかった所なのだが、今回もここは登れなかった。

 その右のカンテを右に廻った所にもう一つマントルの課題が有る。少し甘いリップでつるつるの壁のつるつるのスタンスに足を上げて右手を飛ばし、マントルするという課題だ。

 この垂壁には、流れの中の石から壁に取り付いて、リップにマントルする課題や、そのままリップをトラバースする課題等がある。いずれもそんなに難しくはない。

 先ずは垂壁のリップトラバースから。

 スタートは流れの中の岩から垂壁に取り付かなければならない。リップを持って、壁の中央を走る幅が1cmかそこらの外傾バンドに立つのだが、なんとなく恐い。易しいのだが、なんかいやだ。

 バンドが切れる辺りでマントルを返す。手は適当なカチを使ってるから、掌を返すマントルではないので、難しくはない。

 仲間は小生の上がった所をもう少し先までトラバースし、上に上がる。真似をしてみたが、出来るまでに3回もかかってしまった。

 仲間が、垂壁の左端のマントルを、左のカンテを左に廻りこんだハング壁の下からつなげる課題に挑戦している。小生には出来ない課題だから、小生はマントルの部分だけに挑戦する。一応それでも2級は有るらしい。

 やっぱり足が最初のスタンスまで上がらない。

 先の電話の仲間2人が合流する。みんなでしばし休息、少し遅い昼食にする。

 後から来た仲間はこの岩のスケッチを始める。ここのトポでも何処かに発表するのだろうか。彼の絵の旨さにはいつも感心する。

 また、皆が下からのさっきの課題に挑戦している。相次いで2人が成功する。実はそのうちの1人は去年この課題を登ってはいるのだが。

 誰かが、この課題のマントル部分を右手を掛かりの良いホールドに飛ばす事無く、左足をリップまで上げて、手の返しでマントルを返す。そっちのほうがやさしいらしい。みんなそれに挑戦するので、小生も挑戦して見る。しかし最初の右足は上がったが、左足が上げられない。

 この課題は今まで右足が上がらず出来ないでいたのだが、皆の足ブラで足を上げるムーブを見て、小生も真似をして見たら右足が上がったのだ。左足が上がらなければ右手を飛ばそうと、やって見たら、できた。初めてできた。2級らしい。やっぱり進歩はしているようだ。

 ここにはもう一つこの岩のほんの数メートル下流に被ったガチガチの岩が有る。そこにもクラック等を使った課題があるのだが、今回はクラックが湿っていて登れないようだった。

 ここで落ち合ったうちの一人が、実は女性なのだが、ここは登れる課題が少ないから面白くないと言う。小生も登れないからそう思う。課題数が少ないこともあるが、概して力が必要な課題が多く、小生のように非力だったりリーチが無いボルダラーには厳しい課題が多いのだ。

 しかし、御岳よりも標高が高く、沢を流れる水も冷たいので、非常に気持ちの良い所である。ここに来て、岩を見ながら唯昼寝をしていても充分に楽しめる所である。

 仲間も充分に登ったらしく、むかし道ボルダーに行く事にする。

 日原川を氷川迄戻って多摩川の上流を目指す。むかし道ボルダーとは別名秘密の花園・裏街道ボルダーと言われる所である。丁度小河内ダムの下という感じの所で、旧奥多摩街道沿いである。それで、むかし道と言うらしい。

 トンネルのすぐ先を旧道に降り、吊り橋の少し先に車を止める。今回は既にその場所に2台も車が止めて有る。

 そうか、今日は鮎が解禁されたばっかりだったのだ。それで白妙でも釣り師がいたし、監視のおじさんが椅子に座っていたのだ。忍者返しの上の車も寒山寺の駐車場の車も釣り師の車だったのだ。道が空いているのにどうして駐車場の車が多いのかと不思議に思っていたが、そういう事だったのだ。

 吊り橋を渡って河原まで降り、空沢の日陰の所に荷物を置き、その前の岩から取り付く。

 ここの岩は結構フリクシャンは効く三峰みたいな岩である。それと、コンクリートが何相にも挟まったゼブラみたいな岩もある。こちらはその挟まった岩の層が適当なホールドやスタンスとなり、易し目の課題を提供してくれている。

 目の前の岩は高さは2mちょっとで、リップを掴んでマントルする課題が有るのだが、その課題は前回に来た時の宿題となっている課題である。

 仲間は皆登る。でも、やっぱり小生には出来ない。両足が途中のスタンスに上がるのだが、そこからのマントルが返せない。仲間はその右のカンテをSDでやっている。

 その岩の沢側にゼブラ岩がある。下がえぐれていて、被っている。まさにSDをやれと言わんばかりのホールドが有る。そこを掴んで上のガバッチぃホールドを捕らえる。あとはスタートホールドに乗れば終わる。が、次のホールドが見つからずスタートホールドに立てない。ホールドを探す。あれに飛びつこう。やっと立てる。

 仲間がやっているカンテをスタンドアップでやってみる。それでも3級位はあるらしい。ここも左手スリッピーなリップ、右手リップから少し奥の1〜2mmの指の腹が僅かにかかるホールドを持って、少し大きめのスローパーチックなポケットに足をかけ、右手奥の、このために今回磨いた、何にも無い様に見える水平な面のホールドを取ってマントルを返すという課題である。足は上がるが、左手が外れてきて、右手がデッド気味になり止らない。それでも3回くらいトライを重ねる。

 最初のマントルの課題が気になっていたので再度挑戦する。リップのホールドを慎重に選んで、右足から左足を上げて、とここまでは出来ているのだがそこからが動けなかった。今回はその状態で耐えていられる。皆はここで左手首を返してマントルするのだが、小生はそのリップから7〜80cm奥のカチホールドを見つけて、そのホールドで這い上がる。一応できた。マントルじゃないけど。

 仲間はその岩から5〜6m上流の下流面が3m位いドッ被りといった感じで被った岩に移動する。小生もくっついて見に行く。ホールドはそこそこ有るのだが、この傾斜では小生には持てない。従って見物のみ。

 一人が、その山側の岩のカンテに取り付いている。この人はどうやら一人黙々と登るタイプのようだ。というか、やはり小生と同じで、力のいる課題が苦手の様なので、この仲間だと自然とそうなるのかも知れないが。であるからか、結局小生もいつのまにか気が付くとその人の真似をしている。結局その人の見つけた課題を小生が真似て触って見る。で、大半は登れない。最近はその人と一緒の時はどうもそのパターンのようだ。

 その人が、その課題を登って、その岩のすぐ上流側の、やはり上流面の下半分がドッ被りの岩に移動したようなので、小生もその課題を触って見る。確か前回も登れなかった課題だと思う。

 将にSDでやって下さいと言わんばかりのガバのポケットホールドがある。それを右手で持って、左手をリップに飛ばして両手リップで立ち上がり、その上の傾斜の殆ど無いカンテを使って抜けるという課題だ。

 早速SDで取り付く。しかし適当な足が見つからないし疲れている事も有るのか、左手がリップに届かない。仕方が無いから、リップからスタートする。そうするとやさしい。そうすると出来る。やっぱり易しいのしか出来ないんだ。

 先にやっていたSDのカンテの課題を一人残ってやっていた仲間ができたらしい。それを聞いて、小生もその課題をやりに行く。

 この課題の下地には結構大きめの石が有って少し恐い。幸い仲間のマットが敷きっぱなしで有る。

 両手を決めスタートする。ポケットの右足にしっかりと立ちこんで行けば右手は出せるとの仲間からのアドバイスをもらってはいたが、立ちこむと言うよりは、左手にしっかりと体重をかけ、右足をかき込むという感じでやった様な気がする。それで、今回はスタティックに右手が取れた。このホールドは、取れたというよりは、完全に指先のオポジションによるフリクションだから、効いたという感じだ。

 その前のマントルでも、白妙のマントルでもそうだったのだが、登るぞとか、登れると思って、或は思い込んで登ると不思議に登れる気がする。よし、これで絶対に登る、という感じに自然となった時には間違いなく登れている。苦手系のデッドっぽいやつとか、一撃出来なかった課題で、その後駄目だろうなと思いつつ取り付いて、それで登れてしまった試しはない。やっぱり厳しい課題は気合が非常に大切な様だ。

 忍者返しのスローパーの次のホールドも絶対に取ると心に念じてやらないから、どうせ届かないと思ってやっているから、何時まで経っても取れないのかも知れない。といって、それをこなす能力が完全に不足しているムーブが気合だけで出来る訳はないから、結局は、登れる様になって来て、それで、自然と気合が入って来て、それで登れる、そんな感じなんだろうとは思うけど。

 その岩のすぐ上の上流面が被っている岩にゆく。仲間が一人何回もムーブを探っている。ホールドを探している。

 この課題も被った壁からSDでスタートすると難しい課題になるが、スタンドアップでスタートすると小生でもスタートは出来る。

 少し悪いカチホールドを右手クロスで取って、左上気味に行くが、リップにホールドが無い。諦めて降りる。

 先にやっていた人が右上気味にやるがやっぱりホールドがわからない様だ。その人が岩の上に乗ってリップのホールドを探る。そして右上のリップにホールドを発見する。そのホールドは下からでは見えない。

 そのホールドの場所を教わってスタート。さっきはクロスで取ったホールドを左手で取り、右足に乗り込んでそのリップのホールドを取る。結構ガバだ。ホールドがわかればそんなに難しくはない。少し遠いかもしれないけれど。

 まだ日は落ちてはいないが、土日連荘だし、被り系、パワー系が多かったから皆既に満足したようなので、帰る事にする。

 今回は約1年振り位のこの地域だったが、昨年の宿題課題が幾つか登れた。一応2級も一つ有る。大変な成果である。満足満足。

 自動車に戻ると、先に止めてあった2台の車は既に無い。やっぱり、こんな所に4台も車が止まるなんて普通は無いのだろう。やっぱり鮎の解禁なんだろうと思う。

 現地落合い組とはここで別れて帰葉する。

 途中吉野街道から滝山街道、中央高速、首都高と、夕方から夜にかけての時間帯にも関らず殆ど渋滞はなかった。と思う。と言うのも、車の後ろの席で気持ちよく寝かせてもらってしまったものだから。

 やっぱり、疲れた。


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作成年月日 平成13年 6月26日
作 成 者 本庄 章