四国第5日目 脇町散策から立川渓谷へ

2004年 5月21日記
 7時頃起床し、食事をする。

 相棒が、トイレで会った派手なおばさんにもらったとティッシュペーパーを持ってくる。名刺代わりのティッシュだとか。面白い人もいるものだ。

 道の駅から、脇町の旧町並みまではすぐらしい。自動車はそのままに、今まで観光をしていなかったからと、脇町のその町並みの「うだつ」を見物に行く。

 昔の大きな藍商の敷地の一部がこの道の駅になったらしいので、道の駅からちょっとした堀を渡ったところに売店やインフォメーションセンターがあるという、面白い配置の道の駅なので、堀を渡るとすぐに旧藍商の屋敷の裏にでる。この藍商の館は見学が有料らしい。

 藍商の屋敷の横を通って旧町並みにでる。

 丁度出たところが旧町並みの真中辺らしい。どっちに行こうか。

 右側の道の奥に井戸が見え、そこで町並みが終わっているように見えたので、右側に行ってみる。

 両側には古い家が並び、それぞれが商売をしているようだが、まだ時間が早いので、店は閉まっている。

 ある店の前に古びた板に読みにくい字で「うだつ」の説明が書かれていたので読んでみる。

 「うだつ」って、鬼瓦ではなくて、一階の屋根と二階の軒下の間に作られた防火用の壁のことらしい。その壁の造りがすごく凝っていて、ちゃんと瓦も載っている。この余計な壁はお金持ちでないと作れなかったから、お金が無い人はうだつが上がらないと言ったらしい。やっと「うだつ」がわかった。そういえば、昔テレビで「うだつ」を見たときに、なんだかよくわからない壁を映していたような気がしてきた。あれが、これだったんだ。

 井戸のところまで来ると、道が少しクランク状に曲がり、その先も続いている。その先に行くと、町の図書館が現れる。図書館の建物も古い感じの白壁が使われた建物である。

 なおも進むと、川にぶつかる。その川沿いの道は、昨夜、道に迷って入り込んだ道だったようだ。

 その道の角で掃除をしていたおじいさんに挨拶をすると、川向こうの斜め向かいがオデオン座ですよと教えてくれる。別に聞きもしなかったのだが、わざわざ教えてくれるなんて親切な方だ。

 折角教わったからと、橋を渡って行って見た。

 実は、オデオン座が何なのか全く知らなかったのだが、昔の古い映画館らしいと相棒が教えてくれる。で、そこで、虹を掴む男だったかなんだったかという映画が撮られたらしいとも教えてくれる。へぇー。そんな映画、全く知らない。と、口に出しては言わなかったが。

 行ってみると、その映画のポスターが張ってあり、そのロケが行われたことが説明されている。そうだったのか。

 おばさんが一人、その映画館の前の掃除をしている。映画館の受付には入場料200円と書いてある。内部を有料で公開しているらしい。

 相棒がそのおばさんに、見学できるのかと聞くと、9時からだと言う。時間を見ると、9時ちょっと前である。相棒の顔を見ると見学したそうな顔をしているから、少し待って見学することにする。

 中は、最近改修されて、綺麗な内装になっていたが、仕掛けや形は昔のままらしく、今でも時々イベントで使われているらしい。

 花道があり、桟敷席があって、舞台は廻り舞台になっている。舞台の前の席は、映画館になったときは椅子席だったらしいのだが、今は板敷きになっている。

 舞台から、楽屋、舞台の上等を見学し、反対の部隊の袖に行くと、奈落への入り口が有った。階段がつけられ、照明も点けられていたので、奈落の中に入ってみる。

 オデオン座を出て、もと来た道を引き返す。途中、図書館への入り口に営業中の看板が出されている。図書館の建物の見学ついでに、その店に寄ってみる。すると、相棒が、あらっと声を上げる。派手なおばさんが振り返って、同じくあらっという。相棒が朝道の駅で会ったおばさんらしい。

 すでに、四国に何しに来たのか、そのおばさんは知っていて、そのことをその店のオーナーにも話していたらしい。オーナーも交えて、少しお話をする。なんだか面白いおばさんだった。

 道の駅に戻ると、土産物屋が開いていたので、そこで少しお土産などを買い込み、あまり遅くなってもと、10時半頃に立川渓谷に向けて出発する。

 徳島まで行くと渋滞があるかもしれないと、193号から438号に入り、徳島の手前で県道18号、同33号、同16号で勝浦町まで行く。

 途中、温泉という感じの全く無い、温泉の里神山道の駅に寄ると、アメゴ寿司があったので、それを買い込む。押し寿司である。

 勝浦町に入る手前の横瀬橋の手前を左折し、立川渓谷を目指す。

 細い。またしても道が細い。まぁ、一般道だから当然なんだろうが。

 エリア付近に到着し、電話ボックスを発見する。上流エリアはもうすぐだ。

 しかし、またここでエリアへの降り口がわからない。右手前に川原に降りる道があるはずなのだが、見当たらない。行ったり来たりしていたら、電話ボックスのことをすっかり忘れてしまい、ますますわからなくなってしまう。

 少し余計に戻ったら、電話ボックスが現れ、再度そこを起点に探したら、降り口と駐車スペースがわかった。

 道の脇のはっきりした駐車スペースに自動車を停め、ガードレール脇から川原に降りる、確かに大変に幅の広い、しかし路面が全く踏まれていない道を降りると川原に、岩がいっぱい見える。

 川原に降りたのだが、対岸に渡れない。水が多いのだ。靴を脱いでジャブジャブ行こうにも、結構深そうなのである。

 このエリアの課題は、川の中か対岸に設定されているのである。というより、こちら岸には登れそうな岩は無いのである。どうしようか。

 案内文には、下流のエリアには対岸に渡って行くように書いてある。ここに来る途中の民家の前を通って下流のエリアに行けるらしいのだが、その民家の前は緊急時以外はなるべく通らないようにと書かれているのだ。下流のエリアなら川を渡らなくとも幾つかの課題があるらしいから、そこに行きたいのだが、どうしたらよいだろう。

 色々考えてみたが、やはり渡渉は無理である。民家の前のアプローチを使わせてもらうしかないか。

 民家の前のアプローチを過ぎ、もう少し戻って、民家から少し離れた場所に自動車を停め、トポにある民家の前の道を川原方面にだらだらと下って行くと、民家の裏の納屋の前みたいなところを通って、川原までしっかりした道が付けられていた。

 川原に降りるところに大きな岩が有って、そこを降りるのに少し苦労したが、何とか川原まで降りられる。

 そこには大きな岩がゴロゴロしている。ここのエリアもメインは向こう岸なのだが、こちら岸にも幾つか課題が設定されている。こちら岸の岩とトポとを見比べてみたが、やっぱりなんだかはっきりはしない。まぁいいや。

 降りてきた所の下流側に少し大きな岩が有り、その上流面が川側のカンテが登れそうだったから登ってみる。足が少し滑ったけれど、ホールドが適当にあるから、難しくは無い。

 続いて、降りてきた岩の上流側の隣の岩にここをマントルしてくれといわんばかりの適当なガバホールドがある。ここはぜひともマントルしなければ。

 足もそこそこ有ったが、意外と悪く、やっと右手を返して、その手に乗り込み、右足の膝で岩の上に這い登る。難しくは無いが少し悪い。

 富士山みたいなカンテを持った岩を見つけたので、そのカンテを登る。でも、なるべくカンテを使わずに登ってみたら、そこそこ面白かった。

 そこから少し下流や上流を偵察し、面白そうな格好をした岩を中心に写真を撮る。

 2mくらいのところの悪いリップからその上の40度くらいのつるんとしたテラスにマントルみたいなところを触ってみる。多分1級か初段くらいの課題が設定されているのだと思うが、はっきりとはわからない。

 リップの持てるところを探し離陸する。左足を上げて左手を出してみる。手が止まりそうなところは無い。

 そのリップは左側が低くなっており、テラス奥のカンテも近くなっている。SDで離陸すればカンテが持てそうだ。少し狭いSDだが、やってみたら、カンテが取れた。

 時間を見ると既に2時を廻っている。道の駅で買ってきたアメゴ寿司を食べる。

 先にマントルをした場所の左側も登れそうだ。リップ付近のホールドを捜し、左縦ガバと右カチで離陸する。足を上げて奥のカンテを押さえれば登れるはずだが、体が上がらず、奥のカンテに手が届かない。

 足は幾つか有るのだが、なんだかバランスが悪くて、体が上がらない。また足を探しなおす。

 それらの足を右で使ったり左で使ったり、いろいろ試しながら、結構嵌ってしまう。

 何回やっただろう。そのうち、右足を置きやすいスタンスから置き難いがバランスが良い場所に移し、左足も良いスタンスを諦めて、少し手前のスタンスに移すと、体が上がってきた。やっぱりバランスか。

 尚も幾つかのスタンスを組み合わせ、幾つか目のスタンスの組み合わせでやっと奥のカンテに手が出せた。

 カンテは指がかかると思っていたのだが、実際は指はかからず、スローパーチックにペタンと押さえ込むホールドだったが、意外と効き、足が上がる。やった。出来た。

 やっと出来た。途中で出来ないから諦めようかと思ったのだが、結局は登ることが出来た。なんとなくうれしい。

 序に、その右隣の岩の易しいところも登る。

 こちら岸の岩のめぼしいものは一応触った。登れそうなところも一応登った。時間を見るとそろそろ5時になる。日が長いからまだ登れば登れるのだが、切りの良い時間でもあるからと、引き上げることにする。

 案内文には近くに500円で入れる月ヶ谷温泉があると書いてある。この温泉に行こう。

 県道まで戻り、温泉に向かう。

 途中、この温泉の温泉祭りの幟がたくさん目に付く。

 県道から橋を渡り、またまたすごく細い、臨時の一方通行の看板の出た道を走って温泉の前に出る。

 運動会用のテントが何張りか建てられているのだが、駐車中は空いている。もうお祭りも終わってしまった感じである。

 脱衣場に行くと、何とも書かれていない入り口が両側に2つある。どっちが風呂なのだろう。片方を開けると風呂場である。では反対側はと開けてみたらやっぱり風呂場である。あれぇー。風呂場が二つある。その風呂場が繋がっている気配は無い。どっちも同じような造りに見えたので、空いているように見えた方に入る。

 川原に面して大きなガラス窓があり、結構綺麗な温泉である。しかし、お湯自体は温泉という感じは薄い、さらさらとした透明泉である。

 別部屋にうたせ湯があったので行ってみる。サウナにも行ってみる。相棒とは小一時間との約束だったから、一生懸命時間をつぶす。

 45分くらい経ったから、上がる支度をする。

 脱衣所を出たら1時間以上経っていた。

 一応そろそろ四国でのボルダリングも終わりである。まぁ、明日の昼頃までは四国にいられるだろうが、既に9箇所も廻ってしまったし、まだ廻っていない場所は高知県や愛媛県だから、明日半日では無理な場所である。明日は帰る事にしよう。

 温泉にも入ったから、今夜は徳島辺りで、脇町の面白いおばさんのいた土産物屋のご主人から教わってた徳島ラーメンで、夕食にでもするか。

 小松島市で国道55号に合流し、徳島市内に入る。

 さすが徳島だ。道が広くなる。なんだか橋をいっぱい渡る。橋の多い町だ。

 この先高速に乗るだろうからと、ガソリンに寄る。ついでに徳島ラーメンの店を聞いてみる。すると、まだ8時前だというのに、徳島ラーメンの店はもう閉まっているだろうという。仕方がないから、その店員のお兄さんのお勧めのラーメン屋を2箇所教わる。

 最初に教わったラーメン屋は国道沿いの店なのだが、駐車場が狭いらしい。目印の外車のディーラーの看板を探しながら走ると、少し先に行ったところでそのラーメン屋を見つける。幸い駐車スペースが1台分開いていたので、その店に入る。

 客も店員も皆若い。教えてくれた店員さんが若かったから、若者向けの店を教えてくれたのだろう。でも、最近はハンバーガー屋にも結構行っているから、若者向けの店でも抵抗は無い。他の客は皆カウンターに座っているのだが、我々は、勧められるままに椅子席に座る。

 メニューを見ると、店員さんお勧めの角煮ラーメンのほかにプチ角煮ラーメンもある。プチとは何かと聞くと、角煮が少ないという。我々は年寄りだからとプチの角煮ラーメンを頼む。

 プチでも、結構大きな角煮が4つ5つ入っている。プチじゃなければ角煮がもっと一杯入っているのか。値段から計算するとおそらく倍の角煮だろうか。プチを頼んでよかったようだ。

 国道はいつのまにか11号に変わっている。その11号をそのまま鳴門まで進み、神戸淡路鳴門自動車道に乗る。いよいよ四国ともお別れである。

 淡路島に入り、最初のパーキングエリアに寄る。レストハウス大鳴門橋とかいうらしい店の屋上が展望台になっていたようなので、登ってみようと思いながらトイレから戻ると、丁度展望台への入り口のシャッターが下ろされている所だった。トイレに行く前に登って置くのだった。

 すだちジュースを売っている。高知の美の里道の駅でも売っていたやつである。値段を見ると120円だか125円である。美の里道の駅では確か80円くらいだったはずだ。高い。といいながら、結局はそこで買って飲んでしまった。

 来たときと同じく淡路島南インターから一般道に下りる。

 一般道との合流部分がT字路になっている。案内板に示されている地名は聞いたことが無い地名だ。さぁ左右どっちに行けばよいのだろう。ままよと、右に曲がる。

 なんだか山の見え方がおかしいような気がする。でも反対車線を大型自動車が走ってくる。自動車を道端に停め地図を見ると、その先で山の中を通って洲本方面に行く道が分かれている様だ。まぁいいや、その道を行こう。

 今夜のあては特には無い。でももう9時を過ぎているし、この先本州に渡っても適当な泊まり場所も思いつかないし、淡路島にも道の駅が2つほどあるから、そのうちの1つに行こう。

 国道28号線に合流する。この道は、四国街道と言うらしいのだが、結構大型のトラックも走っている。洲本市無いでは自動車の交通量も多い。

 そろそろ10時を過ぎる。なんとなく眠い。手前の東浦ターミナルパークの道の駅に入ろう。

 行ってみると、なんだか広い駐車場があって、なんとなく道の駅の感じがしない。バスターミナルの感じである。駐車場内宿泊も禁じるとかの看板もある。結構な数の自動車も停まっているし、中には寝ている自動車も有るようだが、なんだか気が進まない。

 ターミナル内を少し走ってみると、そのはずれのほうに道の駅らしい建物があり、その脇に駐車場も有ったのだが、そこには自動車が停まっていなかったので、眠かったけれども、その先のあわじ道の駅に行くことにする。

 高速の淡路インターの乗り口を過ぎ、その先の県道31号に入る。そして、丘を越えた辺りのところに道の駅の看板を発見する。

 この道の駅は明石海峡大橋の真下にある。そして、海峡を挟んで向かい側はもう神戸市である。その夜景が綺麗なのか、そっち方面が見える方向に自動車が何台か停まっている。 しかし、幹線道路から外れているせいか、自動車の数は少ない。

 あまり自動車のいない、それでいてトイレに近い場所に自動車を停め、寝る支度を整えて、海峡の夜景を見物に出かける。

 広い芝生の広場を横切り、岩壁まで行く。

 あそこはもう神戸なんだ。四国も、こうしてみると結構近いんだ。高速にそのまま乗っていれば2時間ちょっとで神戸から四国に行けるのだから。そんなことを考えながら相棒と一緒に岩壁を歩いていた。


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作成年月日 平成16年 5月21日
作 成 者 本庄 章