四国第4日目 雨の中、大山岬から奥吉野、西之川へ

2004年 5月21日記
 7時前に起床、小雨が僅かにちらつく中、辺りをふらつく。

 トイレの前で結構お歳を召されたお遍路さんがザックをおろし、カッパを着たまま立っている。おはようございますと声を掛ける。すると、そのお遍路さん、独り言のように、いやな天気だなぁとつぶやく。こんな朝早くから道の駅にいるということは、もっと早くから歩いていたのだろう。大変なことだ。

 7時過ぎ、既に雨も上がったようなので、外に椅子を持ち出し、朝ご飯の支度をする。すると、そこに一台の自動車が入ってくる。駐車場の隣の空きスペースを使っていたものだから、慌てて荷物をずらす。

 先ずは大山岬に行くことにする。

 道の駅から5分ほど来た道を戻ると、大山岬の看板を見つける。しかし、どこから海岸沿いを走る旧道に入るのだろうか。少し迷いながら走ると、程なく右手前に入るわき道が出てきたので、その道に入る。

 細い旧道を僅かに戻ると、右側に岩壁が現れる。あれだ。もう少し進むと、綺麗なピンク色のトイレが現れ、その横には、岩穴の中にすっぽりと収まった喫茶店のような2階建ての建物が建てられている。

 自動車を停める場所がトイレと喫茶店の間に2台分ほどあるのだが、なんか喫茶店の駐車場と紛らわしいし、もっと良いところが無いかと先に行ってみる。

 その岩壁はなおも先に続き、大きなケーブがあったりして終わっている。案内文の地図を見ると、トイレの喫茶店とは反対の側に駐車スペースが書かれている。そこに停めよう。

 結構雨が降っている。傘を差して自動車を降りる。

 喫茶店の横の坂道を登って、トポにある岩らしい岩の前に行ってみる。

 この岩にも小さなケーブが有って、入り口が木柵で塞がれている。写真で見たとおりだ。

 岩も濡れているし、岩の途中から降りてくる課題のようだし、写真を撮って引き返す。

 喫茶店の脇を通って、大きなケーブの奥に入ってみる。

 そのケーブの奥にはお堂の様な建物があり、明かりが燈されている。ケーブの中だから雨に濡れるということは無いのだが、岩全体が、結露なのか、濡れているようだ。岩に触ることもなく、写真だけを撮る。

 ケーブを出て、海岸の岩を見に行ってみる。

 道から海岸へな高い護岸壁が築かれているので、簡単には降りられない。おまけに雨だけでなく風も強い。護岸壁に繋がった大きな岩の横にロープが下げられていたので、海岸に下りようと思えば降りられたのかも知れないが、結構急だし、高さも有ったので、海岸に降りることなく、写真だけを撮る。

 雨は降るし、風は有るし、岩も殆ど見たしで、引き上げることにする。

 次は奥吉野だ。雨の中、55号線を高知に向けて出発する。因みにまだ8時半を少し過ぎた頃だ。

 高知に近づくと、自動車の数が増えだし、道も片側2車線になる。高知の市街地に入ると、なんと片側4車線くらいになってくる。おまけに真中を路面電車が走っている。

 高知市街の中心部辺りを走っていると、「はりまやばし」交差点との看板が現れる。この辺にはりまや橋があるのだろうか。相棒によると、はりまやばし交差点を通過中に右奥にはりまや橋が見えたらしい。まっすぐを向いていた小生には見えなかったのだが。

 高知市街を過ぎて、194号に入って少し行った所の仁淀川沿いに土佐和紙工芸村道の駅が現れる。交通整理の人の指示で駐車場に入る。ここも駐車場がほぼ満員であった。

 ここの道の駅では前の仁淀川でカヌー体験をさせてくれるらしい。あいにくの天気だったのでカヌーに乗ることは無かったが、晴れていれば乗ってみたい衝動に駆られてしまった。オープンデッキに二人で乗って、ゆっくりとした川面をゆっくりと進むのも結構良いものである。

 ほんの少し走ったところの道端に、高さ3m位の花崗岩らしい岩が立っているのが見える。おぅ、あれを登らなければ。Uターンして、びしょぬれの岩を運動靴で登ってみる。ちっちゃなたった一つの岩峰の様な格好をした岩だから、上まで登ってしまうと降りるのが大変である。天辺を掴んで、上まで登れることを確認し、そこからクライムダウンする。運動靴だからスタンスが滑るので、クライムダウンも結構厳しかった。

 道が山道になりだした辺りでまた道の駅に出会う。美の里道の駅というらしい。此処にも交通整理のおじさんがいたようだが、雨が降っていたからテントの中で休んでいたようだった。

 ここで、高知の「アイスクリン」を食べる。何の事は無い、ただのアイスクリームなのだが。因みにまだ昼前である。

 寒風山トンネルを過ぎ、奥吉野への県道17号線に入る。ここからは3kmほどらしい。

 走行メーターを見ながら、トポに書かれたガードレールの切れ目の駐車スペースと放流注意の看板を探す。

 すでに4kmを過ぎている。吉野川を渡る橋まで出現してくる。なんかおかしい。引き返しながら、辺りをキョロキョロしながら場所を探す。

 ガードレールの切れ目に放流注意の看板があり、そこから川原に道が下りているところがある。駐車スペースは道の反対側のほんの少し先にある。此処なのだろうか。駐車スペースに自動車を停め、雨は既に上がっていたのだが、一応傘を持って、その道を川原まで降りてみる。

 コンクリートで作られたその道は、吉野川にかかるコンクリートの沈下橋に続く道のようだ。すごく立派な道である。しかし、川原に出ても、岩が見えない。下流の方に2つくらい岩らしいものが見えるが、それ以外は何も無い川原である。此処なのだろうか。岩に近づいてみたが、課題が設定されそうな岩ではない。出来てもせいぜい9級止まりだろう。どうやら違うようだ。

 またその辺をうろちょろしてみる。

 どうもそれらしいところが見当たらない。距離計を見間違ったのだろうか。国道の分岐まで戻り、再び距離計を確認して走り出す。

 やっぱり4kmを過ぎてしまう。しょうがない。橋を渡って先に行ってみるか。

 吉野川にかかる橋を渡って先に進むと、程なく再び赤い橋が現れる。その橋も渡って少し行くと、ガードレールの切れ目に2台ほどの駐車スペースがあり、放流注意の看板のある場所が現れる。ここかぁ。そのスペースに自動車を停め、ロープが付けられた踏み跡を降りると、岩だらけの川原に降り立つ。

 ここだ。しかし、雨がやんではいるのだが、岩はずぶぬれ、川は増水。全く登れる状況には無い。おまけに大きな岩が折り重なっており、どれがどの岩かすらわからない。こんなところでボルダリングをするのだろうか。一瞬疑ってしまう。多分、マットの無い時代では考えられなかったエリアだろう。

 気を取り直し、一応岩の写真だけは撮って自動車に戻る。

 来る途中に渡ってきた赤い橋の上で自動車を停め、その上流の渓谷と、その下流のボルダ−エリアの写真を再び撮影して引き返した。

 既に1時を過ぎている。まだ昼食を取っていない。先ほどの川原が気持ちが良かったので、あの川原で昼食にでもするか。

 先ほどの場所に再び自動車を止め、敷物を持って川原に下りる。そして、誰もいない川原で、沈下橋を見ながら、道の駅で買った来た田舎寿司を食べる。なかなかの雰囲気である。

 折角だからと、運動靴のまま、近くに見えるガバガバの岩を登りに行く。

 ガバガバとはいえ運動靴だからスタンスが滑る。何とか天辺まで行き、同じ所を降りる。序にと、もう1つの低い寝ている岩も登ってみる。

 久しぶりにのんびりしたが、2時半を回ったので次の場所である西之川を目指すことにする。

 国道に戻り、少し行くと木の香道の駅である。また道の駅に寄ってみるか。

 道の駅の手前に臨時駐車場が現れる。木の香道の駅はそんなに混んでいるのだろうか。よく見ると、アメゴ釣り大会参加者専用とか書いてある。国道の脇を流れる川でアメゴという魚を釣る大会が開かれているのだろうか。

 道の駅に入ると、駐車場が満杯である。此処には交通整理の人はいないようだ。トイレに寄りたかったのだが、仕方がないから戻りかけると、入り口の橋の脇に停められる場所を発見する。

 ここは温泉施設もあるらしいので混んでいるようだ。

 フリーマーケットも開かれているらしい。相棒はそれを目当てに寄りたかったようだ。しかし、実際のフリーマーケットは中国産品を売る中国人の店しかなかった。売店も高いみたいだし。

 西条市から国道194号を石鎚ロープウェイの乗り場を目指して進む。相変わらず道が細いところがいっぱいある。

 ロープウェイ乗り場の下の旅館の有料駐車場に自動車を停め、少し迷いながら、その駐車場から川原に降りる。時間が既に4時近かったので、自動車を駐車場に入れるかどうか迷ったのだが、折角だからと遊ぶことにしたのだ。

 ここもどうやら増水気味らしいが、岩はそんなに多くは無いので、トポとの照合は容易である。

 先ずは旅館下の大岩を見てみる。高さは3mくらいだろうか。もう少し有るかも知れない。結構大きな岩だ。

 真中に易しい課題があるらしい。触ってみると、岩は乾いている。登れそうだ。支度をして登ってみる。トポの初級の課題なのだろうか、4級の課題なのだろうか判らないが、欲しいところにはちゃんとホールドがあったから、そんなに難しくは無かったような。

 周りの岩を偵察に行く。アブアブの岩、多分これだろう。小さな岩が向き合っている岩、ん?わからない。その先の小さな岩、それもわからない。もしかすると水の中なのだろうか。そんなに増水しているわけでも無いとは思うのだが。

 脇の石材置き場から泥が押し寄せてきている。なんだかあまり綺麗ではない。その先に行くには増水気味だから川原は行けない。どうしようか。少しその泥の斜面を登ってみる。そのまま登ってゆけば石材置き場の重機が置かれた場所に出てしまう。

 案内文には石材置き場には立ち入るな。そこには放し飼いの番犬が数匹うろついていると書かれている。現に犬の鳴き声が聞こえてきている。靴が泥で汚れてしまいそうだし。

 また途中から川原に降り、岩を超えてゆく。しかし、アケボノツツジの岩が見え出す辺りで、その先に進めなくなってしまう。多分水量が少なければ川原を歩けるのだろうし、相棒がいなければ無利すれば行けるかもしれないのだが。

 戻って、辺りの適当な岩の適当な場所を登ってみる。

 側壁の石を積み上げて作られた壁の前に面白そうな凹面を持った小さな岩を見つける。小生の持っていったトポにはトポにはその岩は載っていなさそうだ。

 左手立てガバで離陸し、少し遠目のリップを取る。何回かの試技末にやっとムーブを発見する。リップがもてればあとは登るだけだ。

 その右横の壁も探ってみたが、こちらはホールド、スタンスが見つからなかった。

 アブアブの岩のアブアブを触ってみる。両手スローパースタートの一手物的な課題らしい。しかし、離陸がやっと。次に手が出なかった。

 またトポに無い適当な大きさの岩を見つけ、丸っこいカンテを登ってみる。下が少し被っていたが、何とか登ることが出来た。

 沢を渡渉できないから、小生が触れそうな岩はもうそんなに無い。引き上げるか。しかし、フジツボツツジの岩を見てみたい。トポによると上流に橋があるから、もしかすると上流でも川原に降りられるところがあるかもしれない。一先ず車道を歩いて上流に行ってみるか。

 駐車場まで戻り、そこから階段を使って道路まで上がって、より上流まで歩いてみる。

 足下に石材置き場の広場と重機が見える。道は川原からは大分高いところに付けられている。

 なおも進むと、橋の袂の石鎚山登山口のバスの折り返し点に到着する。みやげ物やらしい建物はあるが、人はいない。橋を渡って川原に降りられそうな場所を偵察する。

 橋を渡った対岸は西条少年自然の家らしいのだが、そこからは降りられそうにはない。橋のこちら側も高い壁が築かれていて降りられそうな場所は無い。諦めて戻りかけると、無人のみやげ物や見たいな建物の脇に踏み後が下りている。そこを覗くと、下の傾斜はそんなに無さそうで、もしかすると降りられるかもしれないように見える。なんとなく人の家の敷地みたいな感じもしたが、杉林のような中を降りてゆくごみ捨て場的な感じの斜面だから、そのまま降りてみる。

 川原の手前が一段、段になっているが、何とか川原に降りられる。下流に行こうとすると、岩が邪魔をして下流に進めない。また段の上に戻って、その段を少し下流まで歩いて川原に下りる。

 川原を少し歩くと、フジツボツツジの岩の上流面に出る。ここにも裏アケボノツツジという課題があるらしいのだが、1級とある。見た目にも下地はあまりよくないし、高いから小生の課題ではない。

 脇の岩に攀じ登って見ると、アメボノツツジの岩の下流面に行くには流木を伝って少し降りなければならない。果たして相棒に降りられるだろうか。試しに降りてみる。降りられそうな気もするが。

 下に降りて、写真を撮って、追いついてきた岩の上にいた相棒に降りられるか聞いてみると、降りられそうだという。

 また登り返してから、相棒を下ろし、小生も再びそこを降りる。

 やっとアケボノツツジの岩の下流面の前に二人で立つことが出来た。早速、この面の真中のモミジという課題を登ってみる。

 高さは5mちょっとか。下地は平らで大きな障害物は無い。僅かなクラックやバンドがあり、ホールドスタンスはありそうだ。

 離陸し、上に登りだす。

 既に2/3は登ってしまった。もう落ちるわけには行かない。行くしかない。しかし、そろそろ手がパンプし始める。しかし、上部は難しくは無かったし、マントルも殆ど無かったから上に抜けることが出来た。うーん、これも怖いグレードだろう。ムーブ的には4級ではないだろう。

 ホールドスタンスは有るのだが、それを探りながら行くから、登るスピードは遅い。従って手の負担が大きかったようだ。ハイボールを登るときは何時もこのことが頭を過ぎる。まぁ、今回の高さ位までが小生の限界かも知れない。

 雨で今回はだめかと思っていたところを、一応ここに来た1つの目的の岩を登ることが出来た。そろそろ帰るか。時間も丁度よさそうだし。

 相棒を先に登らせたら、流木の前で足を滑らせ、転んでしまう。メガネと顔を少し打ったらしいが、靴が濡れてしまった以外は、大したことは無さそうだ。

 ぶらぶらと自動車まで戻り、駐車場のトイレに寄る。

 トイレの前に湧き水らしい水が引かれている。相棒がその水がおいしいというから、その水をポリタンクに汲んでくる。

 自動車で持ってきた資料を眺めながら翌日の行く場所を探していたら、吉野からここに来る途中に加茂川谷川エリアのボルダ−があったことを発見する。丁度そのエリアの真横を走ってきたらしい。しまった。

 で、明日はまた徳島まで戻って、立川渓谷でも行くか。であれば、脇町の藍ランドうだつ道の駅に行くか。ということになる。というよりは、ということにする。

 11号を高松に向かって走っているとセルフのうどん屋が現れる。すでに7時半である。よし、今夜の飯は此処にしよう。

 またまたうどんを食べて、11号から既に何回か走っている192号に入り、ひたすら脇町を目指す。

 そろそろ11時に近い。眠い。漫然と192号を走っていると、何とか町というところを通っている。こんなところ走ったっけ。自動車を停め、地図を見ると、脇町は既に通り越している。というよりも、脇町はこの192号沿いではなく、吉野川の川向こうの町だったのだ。どおりで脇町の名が出てこなかったわけだ。

 慌てて引き返し、少し手前で吉野川を渡り、対岸の県道を脇町まで戻る。

 12号だったかの県道を走っていたら、すごく細い街中の道を抜け、そろそろ町を通り抜ける気配である。道の駅はどこだ。看板が無い。仕方がないから、県道に交差する少し太い道にそれ、その道を町まで引き返す。すると、道の駅への案内板が現れる。良かった。

 道の駅に着くと、大型バスがエンジンをかけたまま停まっている。が、しばらくすると出て行った。夜行バスの発着場になっていたようだ。

 この道の駅の証明は、低い位置に白熱灯の明かりが点いている、なんとなく和風のつくりである。従って、一般の道の駅のように、高いところの水銀灯がまぶしいということは無い。駐車場所もネットが敷かれた透水性の下地になっている。おまけに、国道などのメインの通りからは奥まっているから、今までの道の駅のように混んでもいない。すごく落ち着いた雰囲気の良いところである。

 就寝は既に11時を廻っていた。


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作成年月日 平成16年 5月21日
作 成 者 本庄 章