四国その2の2 室戸岬から土佐湾のエリアへ

2008年 1月26日記

 12月31日、四国に入って2日目である。

 少し寝過ごし、大分明るくなってから目が覚めた。昨夜買ったのり巻きなどで朝食を済ませ、7時半頃、田野駅屋道の駅を室戸岬方面に向って出発した。

 昨夜偵察した羽根岬を過ぎ、室戸の町に入って行った。その日の前半は、ボルダリングは置いといて、前回迂回してしまった室戸岬を観光しようとの魂胆だった。

 途中、室戸岬スカイラインという道が別れていた。相棒に帰りに通ろうかと言って海沿いの道を先に進んだのだが、よく考えれば、海から山に登るより山から海に降りる道の方が景色がよいということに気付き、Uターンして、そのスカイラインに入って行った。

 その道は、途中から尾根筋を走る感じになってはきたが、樹木が邪魔をして、あまり展望はなかった。

 途中、トイレのある駐車場があり、展望がありそうだったので、入って見た。すると、そこからもっと高いところの展望台に行くという階段があった。

 案内板では結構距離が有りそうに書いてあったが、登って行くと、すぐだった。しかし、やっぱり風は強かった。階段の入り口の脇に停まっていたキャンピングカーの人だろう人達がいたので、いちおう挨拶をした。風も強く、寒かったので、早々に自動車に戻った。

 その先に灯台があったので、その灯台に行くべく移動した。

 スカイラインということで、海の展望を期待したが、その先も道からの展望は殆どと言ってよいほど無かった、と思う。展望台から先の道も樹林帯の中だった。

 札所になっているお寺さんの脇の公衆トイレの駐車場に自動車を停め、樹林帯の中を灯台に向かって歩き始めたのだが、灯台まで500mとの案内を見つけ、そんなに有るのかと、相棒と二人で即自動車に戻ってしまった。まぁ、それだけ風が強く寒くもあったということだった。

 灯台で写真を撮れば良いと思っていたのだが、灯台には行かないことになったので、室戸岬の写真を撮らなければと、再び先ほどの展望台の駐車場に戻った。キャンピングカーはまだ停まっていた。

 再び小生だけがデジカメを持って展望台に登って行った。風は強かったが、雲もなく日差しも強かったので、写真を撮る方向を大分に制限されはしたが、室戸岬の写真を何枚か撮った。

 曲がりくねった道を海岸道路まで降り、国道を室戸岬の方面に向かうとすぐの路肩に駐車スペースが現れたので、またまたそこに自動車を停めた。既に9時半になっていた。

 そこから海岸に遊歩道が降りていたので、遊歩道を歩いて見た。もちろん、靴にチョークなど、用意は万端での逍遥であった。というのも、ボルダリングは目的ではなかったが、登れる岩があれば登る積りだったのだ。

 海岸には沢山の岩が転がっていた。大きさは大体2m前後までだが、中には3mを越える物も交じっていた。殆どはガチガチした、ホールドの多い石だが、中にはマントルが難しそうな丸っこい岩もあった。結構ボルダリングの出来そうな場所だった。

 コンクリで作られた幅1m前後の遊歩道を歩いて行くと、岩のゴロゴロした場所から広葉樹の茂みの中に入って行った。茂みの中にも岩はあり、そういう岩は大体草や苔が生えていた。そして、浜の岩とは違い、何となくガチガチしていた。

 再び、海辺に出ると、より波打際方向に伸びている道が分岐していたので、その道に入って行ったら、波打ち際でその道は終わっていた。引き返して、反対の道に入って見たら、ほどなく国道に出てしまった。

 その道が分岐していた所の先は、浜が結構広く、大きめの岩もあったのだが、岩が折り重なっており、遊歩道もなかったので、分岐付近の岩の、少し大きめの岩を触って見た。

 その岩は、遊歩道に面した面がほぼ垂直の壁になっていた。高さは4mくらいか。意外と大き目の岩だった。岩質は花崗岩なのだろうか。何となくそんな感じの岩だ。フリクションは効いた。寒いから、靴を履き、チョークバックを腰につけただけだ。上着を脱ぐことはしなかった。

 その横のそれよりは少し低い岩を登って見た。少し凹角状の岩だ。一目で登れそうに見える岩だから難しくは無い。

 そんなのばっかりでも面白くないと、少し被った、頭の少し丸っこい岩をカンテ絡みで触ってみた。左手カンテで離陸し、右手を伸ばして丸っこい頭の右側のリップを押さえる。そんなムーブを想定して触ってみた。

 右手リップに伸ばすのだが、右手が止まらなかった。右手が止まるようになっても、足がしっかりせず、右足が外れてしまった。足を見直し、着ていたフリースの上着を脱いで、少し本気モードでやってみた。足がしっかり決まり、右手が止まり、上に抜けた。なんだか意外と簡単だった。やっぱり足だった。

 もと来た道を引き返して行くと、先の茂みの中の遊歩道脇の岩が目についた。丁度お腹辺から下が被っており、そのリップにはホールドが結構豊富にある岩だった。早速、SDでそこを触って見た。

 リップ直下のガバホールドにぶら下がり、リップ上のガバホールドを取りに行った。わずかに届かなかった。だけでなく、手の平にわずかな傷までつくってしまった。でも、そんなの関係ねぇっと、もう一度やって見たら、ねらっていたガバホールドが取れた。あとはホールド、スタンスがつながっており、リップに足を上げることができた。しかし、その上はツタだらけだった。仕方がないから、そのリップにマントル気味に立ち上がり、そのツタのような植物に覆われた岩の上に立った。

 やはりくる時に目を付けていた、マントルに良さそうな丸っこい石を触って見た。思ったよりも高さは無かったのだが、下に岩があり、リップが少し高かったので、離陸が難しかった。しかし、左手オポジションで離陸が出来ると、上には思ったよりもホールドがあったので、すぐに登ることができた。

 ここは、コンクリの遊歩道のすぐ脇に岩がゴロゴロしており、遊歩道から外れて岩の中に分け入れば、それこそ無尽蔵に岩が存在している。登って面白いかどうかは人それぞれだろうが、小生には結構面白かった。

 自動車に戻り、岬まで行ってみた。岬と言っても、普通の海岸なのだが、旅館や民宿、食堂などが増えて来るのだ。そんな中に駐車場無料と書かれた観光案内所が出て来たので、そこに自動車を停め、一応室戸岬のメインの浜と思しき場所を歩いて見た。勿論靴持参でだ。

 こちらの海岸の岩は大きく、ガチガチデコボコしていて、先ほどの浜の岩に比べると、ボルダリングには多分不向きな岩が多く見えた。

 そんな中に、砂利交じりの少し広い場所の波打ち際に、花崗岩の様な岩を見つけた。近付いて、裏に回り込んだら、結構きれいなうす被りの面がでてきた。高さは多分3m弱位だろうか。まぁまぁ良しとされる範疇だった。

 左のカンテからわずかに右によった所から離陸して見た。リップにホールドが乏しく、次のホールドは少し右よりの遠めの所にしか見つからなかった。そこを取ろうと、何回か挑戦したが、取ることができなかった。やはり遠かったのだ。

 そこは諦め、もう少し左に寄って、いくらかホールドの増えるカンテ絡みで登って見た。そっちはホールドがあったのでなんとか登ることができた。本当はカンテは使いたくはなかったのだが。

 最初に見た表側は、2m位の所から傾斜が寝ていて、マントルの感じだったので、一応そこも登って見た。リップが充分に持て、リップ上にはホールドもあったので、思ったよりは易しかった。

 その後は面白そうな岩も見つからなかったので、素直に自動車に戻った。

 途中、その先に夫婦岩という岩があるような案内があったので、岬を回った先の方に行ってみた。しかし、道は浜から離れ、岩がありそうな感じの所も出てこなかった。しばらく走ると、深層水研究所だかなんだかの看板が出て来て、その脇に駐車スペースがあったので、そこに自動車を停め、そこから見える海岸線を眺めて見たが、磯ではあったが、ボルダーは見えなかった。

 その先多分だめだろうと、そこから引き返し、途中から分岐する山越えの道で室戸の町まで戻った。

 その山越えの道だが、入ってすぐに、若しかして凄く細い道になるのではと、一瞬その道に入った事を後悔したが、全て2車線で、峠はトンネルで越えていたので、凄く快適だった。

 室戸には、キャラメッセ室戸という道の駅がある。そこに寄る予定だったのだが、山越えの道を使ったため、その道の駅を通り越してしまったかと心配したが、その道の駅は室戸の大分手前だったらしく、町を外れ、少し走った後に現れた。

 その道の駅にはクジラ館だかという建物があったのだが、その日は閉まっていた。相棒が集めていたスタンプはその建物の中にあったので、折角寄ったのだが、スタンプは押せなかった。やっぱり正月前後はこういうことが多いようだ。特に道の駅では。

 そろそろ昼前だということで、さんま寿司を買った。次の目的地は羽根岬だ。

 前夜確認し、今朝も前を通ったトイレのある駐車場に入った。

 前の日に、室戸岬の初日の出を見るために高知から歩いているという団体の一部の人達が休んだり、石造りのベンチでお弁当を食べていた。この団体のことは前日のラジオで聞いて知ったのだが、皆小さな集団に別れて、バラバラに歩いていた。小学生のような子供たちだけの集団や、たった一人で歩いている少年などもいた。先頭の人と最後の人の間は相当に離れてしまっているようだった。人事ながら、一泊二日を歩くというのに、救護やサポートはどうなっているのかと心配してしまった。

 駐車場のトイレの前から急な崖に付けられた踏み跡を下り、浜に降りると、写真で見たような、薄いフィンの様な岩が幾つか並んでいた。その高さが2m前後のフィンの様な岩は、斜めに立っているから、被った面をトラバースする課題が設定されているらしいのだ。最初に目に入った大きめの岩を見て見たのだが、形状は似ているものの、フレークの形状やリップの形状が写真の岩とはちょっと違うのだ。その後ろの少し低い岩もやはり、なんだか違っていた。

 その浜の西側の方の岬状の所にも岩が見えたし、そっちの方にももう一つの駐車場があるので、そっちの方まで浜伝いに行ってみた。

 浜は磯状で、小さな石がゴロゴロしており、所々大きな岩が行く手を遮るので歩きにくい。相棒を待ちつつ、寒風の強く吹すさぶ中、歩いて行った。

 日差しは強かった。しかし、風は半端ではなかった。何しろ、高知地方には昨日から強風波浪注意報が出ていたのだ。多分。

 やっと岬状の所にたどり着くと、上に社が祭られた大きめの岩があった。その岩の下に、半分海に浸かった、写真の岩があった。幸い、岩の下には、海からわずかに頭を出した、同じような形状の岩が横たわっていたので、多分、ハネトラという課題は触ることができそうだった。

 相棒の到着を待ち、取り付いて見た。スタートの最初のフレークは掛りが良いのだが、その先のホールドはあまり良くはなかった。スタンスはそのフレークやリップへのヒールなのだが、身体が真横になるから、落ちるのが怖かった。ということで、2〜3手で止めてしまった。

 それではあまりにも不甲斐ないからと、手前の下地が海ではない、ガバガバの場所を真直ぐ登ってしまった。どっちにしても不甲斐ない事は変わらなかったのだが。

 その岬状の岩の向こう側からは、道路に出られる階段が途中から出来ていたので、その階段で道路に出た。歩道には室戸の初日の出を見に行くのだろう人達の歩く姿があった。

 自動車に戻ったが、最初の岩の写真を撮っていなかったので、今度はトイレと反対の駐車場の横に見つけた浜に降りる踏み跡で浜に降りて行った。こちらはちょっとした茂みの中に付けられていたが、傾斜は緩く、殆ど苦労なく浜まで降りることが出来た。

 最初の大きめの岩を登って自動車に戻った。

 駐車場には新たにバンタイプの自動車が停まっており、そこからジャージ姿の若い男女が2、3人降りて、室戸方面に歩いて行った。若しかすると、室戸まで歩く人達のサポート隊だったのかも知れない。

 次の目的地は名村だ。名村は以前から名前だけは承知していたエリアだったので、是非に行きたいと思っていた場所だった。

 室戸に向かう途中に、一応の見当をつけていた、黒潮鉄道の高架部分に向かった。その高架下の小さな店が目印ということだったのだ。

 高架に沿って走る部分まで戻り、少しゆっくり目に走りながら注意をしていたら、小さな売店のようなところが現れたので、その横の路地を入って見た。しかし、その路地は行き止まりだった。その店のすぐ先に同じような果物を売る店があり、路地が入っていたので、その路地を入って行って見た。

 その道は、両脇が田圃で、舗装はされていたが、両脇が垂直に切れている細い道だった。特に柵などはないから、注意しながら進むと、防波堤に近づき、防波堤沿いの道に出た。

 防波堤沿いの道を室戸方面に戻って行ったのだが、どうも自動車を停められそうな場所は見つからなかった。田圃に入る道がT字に別れるところがあったので、そこからUターンして戻り、反対方向に行ってみた。

 その道は、すぐに分岐し、右側はすぐに人の家の玄関の前を通るようになるのだが、そのまま直進すると防波堤の脇のその家の裏の広場様のところに出て行き止まりとなっていた。その広場に自動車を停め回りを偵察して見たら、防波堤の途中に棚のような感じで細い道ができており、自動車の走った形跡があた。しかし、その幅はあまりにも狭く、すれ違いもできそうになかった。

 その広場の脇の家を偵察して見ると、どうやら地域の集会所のようだった。ということは、そこに自動車を停めても大丈夫かも。そう考えて、そこに自動車を停めることにした。

 自動車をその広場の一番防波堤寄りに寄せ、自動車を降りると、草の中に白いテープ様のものが落ちていた。見ると、我々がよく使う、テーピング用の布テープだった。やっぱりここにクライマーは来ていたようだった。

 防波堤に上がると、浜に降りる階段が作られていた。浜を見回すと、結構大きめの岩がいくつか目に入って来た。でも、相も変わらず風は強かった。

 階段の近くの少し高めの岩を偵察して見た。しかし、写真にあったような、上に木の生えた岩は見つからなかった。岩の回りにあるらしい草むらも見当たらなかった。もう少し高知寄りに見える岩群なのだろうか。しかし、そこまでは結構な距離がある。

 防波堤の上まで戻り、そこから浜の岩を偵察して見た。しかし、上に木が生えたような岩は見つからなかった。一度、自動車に戻り、集会所の前を通って、その先に行って見た。やっぱり、小川があり、その先に見える岩までは近づけなかった。

 先ほどの広場に戻り、先ほどの階段より少し高知よりの階段で再び浜に戻った。

 近くに見える大きそうな岩を見に行って見た。

 まあるくボコンと出っ張った感じの大きな岩があった。周りには大きな穴がいくつか開いており、真ん中から上は傾斜がゆるくなっていた。そして、亀甲のような溝というか、そんなふうに見える溝が幾つも走っていた。下は垂壁だから、易しくておもしろそうだった。

 既に何カ所か回って来ていたから、アップという訳ではなかったが、まぁ、そんな感覚で登って見た。体感10級だった。面白かったので、2箇所も登ってしまった。

 先に見た岩の方に戻ると、その最初に見た大きめの岩が、写真の岩のように見えて来た。

 今は冬だ。緑いものはほとんどない。しかし、小生の参照した写真の撮られた時期はそうではないかもしれない。となれば、その場所でも緑になる可能性は否定できない。そんな目で岩を見て見たら、写真の岩に見えて来た。細かい形、岩の凸凹、クラック、フレーク、それらを見比べると、どうも写真の岩のように思えてきた。

 場所を変え、岩の形が写真の岩に似てくる辺で、もう一度岩の形を見直して見た。やっぱり写真の岩に見えた。やっぱりその岩が写真の岩だったのだ。と言う事にした。実際、確信は最後まで持てなかったが。

 その岩の回りを回って見たら、チョークの付いたカンテがあった。試しに、その辺を触って見た。あまりよいホールドではなかった。そして、そのうえは高かった。

 その横の、それほど高くはない岩を登ったり、少し遊んで、そこは終わりにした。

 まだ2時過ぎだ。時間はあったので、次の目的地を踊り狂い岩に定めた。

 途中、大山岬道の駅に寄ってみた。スタンプを押すためだ。しかし、道の駅は休みだった。

 踊り狂い岩は高知を抜けた桂浜の少し先だ。調子の悪いカーナビを宥め賺しながら、黒潮ラインに入って行った。しかし、その黒潮ラインへの入り口を間違え、少し遠回りをしてしまった。

 桂浜の手前の種崎千松公園には無料のキャンプ場があったのだが、相棒はテント泊はいやだというので、せっかくテントを持参していたのだが、そのサイトを見に行くことはしなかった。

 なんとか宥め賺したカーナビに導かれ、踊り狂い岩の近くの神社まで行った。神社の前に駐車スペースがあるとの情報だったのだが、神社の前には駐車スペースはなかった。そのまま神社の脇を先に進むと、神社の反対側の入り口の道路脇に細長い駐車スペースが現れた。

 踊り狂い岩は神社の中かと思って、神社の中を少し探って見たが、その神社は道路と山の斜面との間の細長い場所にあり、広場などは無く、境内にボルダーがあるようには見えなかった。

 人に聞こうにも人影がなかった。案内を引っ張り出して見直すと、岩の手前の神社とあった。神社の中かと思っていたのだが、神社の先のようだったので、その道を先の方に歩いて行くと、その道の川側の崩れかけた民家の手前に大きな岩が見えてきた。

 高さは10mはあろうかという大きな岩塔のような岩だった。

 近づいて見ると、根元が少し細くなっていて、下部は僅かに被っていた。しかし、結構大きなお椀型というか、リップが十分に持てる穴が沢山開いており、登ることは可能そうに見えた。でも、上部は草が生えているようで、ホールドもあるのか無いのかが分からず、高さもあるので、結構難しそうに見えた。

 降り口を探して見たのだが、独立した岩峰のような形なので、降り口が見つからなかった。マットを持たないから、適当なところから飛び降りるのも難しかったから、登ることは諦めた。

 なおも岩を観察すると、川側の面は右側が少し低くなっており、そこを目がけて登れば登れないこともないと思われたが、降りることを考え、その途中まで登って降りてきた。結構脆そうなところのある岩だった。

 その川沿いの道を戻り、大通りに出て、そのまま大通りを突っ切って春野漁港に入って行った。

 春野漁港は、最近整備されたような感じの、広い空き地に囲まれたきれいな漁港だった。しかし、回りの防波堤は高く、周りの浜の様子は全く見えなかった。

 最初は岸壁の一番奥の空き地に自動車を停めたのだが、そこからは防波堤に登るすべはなかったので、その岸壁の反対側の手前の方に移動した。

 建物の裏の空き地に自動車を停め、防波堤とその建物の間から防波堤に登って行くと、その防波堤の向こう側の砂浜に大きな岩が見えた。しかし、そこまでは結構距離があった。多分、この漁港の入り口付近からなら大分近くなりそうだ。そう考えて、その漁港への入り口付近の空き地に移動した。そこからは、簡単に防波堤を越えて砂浜に出ることができた。

 大きく波を打った砂浜を斜めに降りる感じでその岩に近づいて行くと、やはり結構大きな高い岩だった。

 裏に回ると、焚き火をしている小父さんがいた。そこに行く途中の砂浜にも焚き火をしている場所があったので、浜の掃除をしているのだと思った。

 そこからは大通りまでは直ぐだった。ここを紹介してくれているページには、漁港の入り口に2、3台の駐車スペースがあると書かれていた。我々の自動車を置いた場所は広い空き地だったから、2、3台どころのスペースではなかった。もしかすると、大通りからの漁港への入り口付近がなんだか広いような狭いような変てこな交差点だったので、一番近い防波堤まで偵察に行ってみた。

 防波堤には立派な階段が造られていた。その階段を登ると、大通りの漁港への入り口の交差点だった。その交差点の脇は、漁港への道が曲がっていて、その脇が少し広く空いていた。そこが紹介してくれていたページの駐車スペースだったようだ。

 荷物を置いた場所に戻り、支度を始めたのだが、デジカメが見つからなかった。どうやら自動車に忘れたようだった。仕方がないから、相棒はそこに残し、デジカメを取りに戻った。

 帰りは、自動車に乗り、大通りの交差点の駐車スペースまで戻った。

 いざ自動車を停めようとしたのだが、よく見ると、道路の中央分離帯が広く取られていて、駐車スペースだと思った場所は、実際は大きく曲げられた道路だったようだ。しかし、ほとんどの自動車は中央分離帯として斜線の引かれた、道路の真ん中付近を通っているらしく、その斜線は消えかかって見え憎かったのだ。

 よく見ると、交差点の角の、防波堤に階段のある場所には、自動車が入れる、縁石で囲まれたちょっとしたスペースがあったので、そこに入って自動車を停めた。多分2、3台の駐車スペースとはそこのことだったのかも知れない。

 まずは荷物を置いた、漁港側の、高いことは高いが、易しそうに見える場所を登って見た。ホールドスタンスが豊富だったので、難しくはなかった。

 この岩は海に面した面の傾斜が緩くなっており、そこが降り口になっている。そこを降りてくると、最後の2m位がほぼ垂直になっている壁が現れた。降りる分にはその壁は使わなくとも済むので、別のところから砂浜に降り、その壁を見て見た。

 その壁には、下1/3位のところに斜めのリップをもつ顕著なフレークがあった。そういえばたしかそんな感じのところにバランシーな課題があったはずと思い出し、そこをSDで登って見た。すぐに上のリップが取れたから、もしかしたらラインが外れていたのかも知れない。

 荷物に戻り、岩を眺めると、やはり一番高いところを登りたくなった。高さはどれくらいだろう。7、8mもあるのだろうか。

 クラックの右側の一番高いフェースを登って行った。こちらも、それほど難しくはなかった。

 裏に回り、小父さんと少しお話をした。というか、小父さんがクライミングかと聞いてきた。やっぱりそこでクライミングをする人は結構いるのだ、とその時は思った。

 そっちの面の一番高いところの直下まで左から登っている顕著な、クラックというか、狭いバンドというかがある。そのバンドのリップをトラバースして行けば上に抜けられる。そう思えたので、そのリップをトラバースしていった。大分高く迄登り、バンドの切れた辺りまで登ると、ホールドが少し少なくなってきた。一手延ばせば上のリップが取れるのだが、高いから、その一手が延ばせなかった。右側の松ノ木も邪魔だった。

 松ノ木。そうだ、それを使ってしまおう。ここまできてケガでもしようものなら目もあてられない。自動車の回送費だけでもばかにならない。相棒の旅費も必要だし。まぁ、そんなところまでは考えなかったが、ほとんど躊躇なくその松ノ木を掴んだ。その松ノ木は小さく細かったが、十分に太く思えた。

 既に夕方になっていたので、引き上げることにした。その時、小父さんの横を通ると、小父さんはフライパンで炊事をしていた。そういえば、そこの紹介記事に、いつも炊事をしている小父さんがいると書かれていたのを思い出した。それでクライミングの事を知っていたのかとも思った。

 翌日は、色々と迷ったのだが、海岸は風も強いしということで、仁淀川の河原のボルダーに行くことにして、土佐和紙工芸村道の駅に行くことにした。前回の四国でも寄った道の駅だ。

 珍しく機嫌の直ったカーナビに導かれ、ほぼ裏道のような細い道を走って行った。そのため、スーパーは愚か、食堂もコンビニも見つからず、寂しい山の中の道の駅に着いてしまった。

 道の駅の建物に入って行くと、レストランがあった。営業は9時だったかまでだった。まだ7時にはなってはいなかった。

 食事をすると、お風呂が500円で入れるとの張り紙があった。おまけにタオル付きとあった。メニューを調べると、本格的なフレンチだった。そんな中に鮎御膳があった。1500円だった。

 相棒と相談し、たまには豪華にと、鮎御膳を食べることにした。当然食後の風呂付きでだ。

 レストランの入り口のフロントに、食事ができるか聞いて見たら、出来るが、ちょうど宿泊客の食事の時間だから少し時間がかかると言われた。どうせ翌朝までそこにいるのだからと、鮎御膳をお願いしますと言ったら、中で注文してくれと言われてしまった。考えて見れば確かにそうだった。

 中に入ると、大半の席には予約の札が立てられており、札の立っていなかったのは入り口の何席かだったので、一番入り口に近い列の一番奥のピアノの前のテーブルに座った。

 ウエイトレスに鮎御膳を注文すると、鮎を焼くのに少し時間がかかるが良いかと、また聞かれてしまった。

 パソコンとデジカメを持参していたので、パソコンをインターネットに繋いで見た。やはり、圏外だった。仕方がないから、それまで撮り貯めた写真を眺め、相棒と話をしながら食事を待っていた。

 20分も30分も待たされるのかと思ったのだが、それほど待たされる事なく食事はやってきた。

 風呂は、フロントの脇の階段を上り、上の棟の奥のエレベーターで更に上の棟に行った所だった。何となく3階という感じなのだが、実際は斜面に3つの建物が建てられており、それらが階段とエレベーターで繋がれていると言う構造だったのだ。

 フロントでもらった回数券の一枚を風呂のフロントの小母さんに渡し、タオルをもらって風呂に入った。

 客は何人かいた。風呂にはサウナ風呂があったので、サウナ風呂に入った。サウナには、テレビが置いてあったのだが、故障しているとの張り紙があった。時計は動いていなかった。その代わりということか、小さな砂時計が一つ置かれていた。

 風呂を上がり、身体を拭いていたら、若者の集団が入ってきた。どうも泊り客では無さそうだった。既に7時半頃だったし、初めて来たようだったので、どういう集団だったのだろうか。カヌーでは遅すぎるし。因みに、この道の駅の向かいの仁淀川ではカヌースクールが行われているのだ。大晦日までやっていたかどうかはわからないが。クライマーと言う感じは全く無かったし。

 フロントの前で相棒を待っていると、地元の人のような感じの小父さんとそのフロントの小母さんの話が聞こえてきた。テレビと時計のことを話していた。小母さんは、言っても言っても、なかなか直してくれないと言っていた。やっぱり、町が経営していたようだった。

 少し道の駅の建物でみやげ物やパンフレット等を眺めた後、自動車に戻った。少し雨が降り出したようだった。

 最初に停めた場所がレストランの前辺りだったので、トイレに少し近くなる、直売所のような建物の前に移動し、寝袋に包まりながら、既に始まっていた紅白歌合戦を聞き難いラジオで聞きいていたら、何時の間にか寝てしまっていた。


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作成年月日 平成20年 1月26日
作 成 者 本庄 章