南東北ボルダー巡り第二弾 その2

 仙台郊外 大倉のボルダーに行ってきました

2003年11月 7日記
 昨夜の安達太良に比べると標高が低いせいか、夜中に熱くて何回か目を覚ます。

 実は今回、途中で腕時計の電池が切れてしまい、時間がわからないのだ。何回か寝返りを打っている間に薄明るく成り出す。

 今回泊ったこの大倉ダム近くの公園の駐車場はトイレに寄る自動車が結構あるようで、夜に何台か、夜中にも1台、明るくなってからは何台もの自動車が寄ってゆくのである。といっても、そんなに頻繁にくるわけではないから、五月蝿いわけではない。

 8時を過ぎて、大分暖かくなってきたので、テントの外で朝ご飯の用意をする。

 仲間から仲間に電話が入る。駅からダムに向かって歩いている最中らしい。テントは畳んでいたから、用意が出来次第迎えに行くことにする。

 用意をしている最中に一台のジープタイプの自動車が入ってくる。ところが、その自動車の行動が普通の自動車と違うのである。普通の自動車は我々の場所を避けるように自動車を停めるのだが、その自動車は我々の所に寄って来るのである。仲間が、仙台の知り合いが乗っているという。そして、やはり昨夜別れた仲間がその自動車から降りてくる。仲間が歩いている所を偶然に同じく大倉に行くという仲間の知り合いに拾われたらしい。我々も丁度出る所だったので、一緒にくっついてゆく。

 道のドン詰りの通行止めの所まで行き、2台の自動車をその道の真中に停める。

 通行止めの柵を越えて、昔は車道だったらしいアスファルト舗装の道をマットを担いで歩き出す。途中道が崩れており狭くなったりしている所も有るが、もと車道だから道は歩きやすい。暫く行った道が崩れた所の河原に大きな岩が見える。しかし、大倉川と言うだけで、案内なしにここに来るのは結構大変な場所だ。

 崖を降りると、先ず大きな岩が目に入る。それが「汁」という課題のある岩らしい。その岩の沢側にはまた大きな岩がくっついて並んでいる。その岩と岩の間はルーフ状になっている。

 黒いすべすべした岩で、硬い砂岩系の日本には珍しい岩らしい。仲間を拾ってくれた仙台の2人組はストレッチを始める。小生はあっちこっちの岩の写真を撮りまわる。

 岩は、やはり濡れている。沢の中に出ている小さな岩などはぬるぬるで、乗って歩くのも怖いくらいである。

 もう一人後からやってくる。仙台の2人組の仲間らしい。

 「汁」の岩のほんの少し上流の側壁の近くに小さな顕著なカンテを持った岩がある。その岩は乾いているらしい。

 仙台の3人組がマットを敷いて、その岩のSDスタートの限定課題らしいのをやりだす。我々は、岩を色々眺めて廻る。

 「汁」の岩の下流側の一段高いところには小さなルーフを持った小さな岩がある。リップのホールドが少し悪そうだが、ルーフの奥から出てくる課題があるらしい。

 「汁」の岩の少し上流の、沢に張り出した岩の上には下が少し被った、上がスラブになった大きな岩がある。そこにも課題があるらしい。

 大体主な所はそんな所らしい。でも、殆どの岩が濡れているから、仙台の人たちは乾いた岩を探しに行ったようだ。そして、その下流側の道路の脇に乾いた岩が有ると教えてくれた。しかし、余り面白くは無いらしいので、我々は行かなかった。

 先ずは顕著なカンテを持った小さな岩の下流面の凄くやさしそうな所を登ってみる。易しすぎてアップにもならないくらいに易しい。片手でやると面白いらしい。

 カンテを立ったまま登ってみる。カンテが凄く効くから、そこからリップを取ったら終わりである。

 カンテを使わずに、壁の少し高いところのカチでリップに手を出してみる。正対ではカチを持ちきれなかったので、少し横を向いて、カチを両手で持ったら離陸が出来、リップが取れた。

 もう登る所はなさそうなので、またあっちこっちの岩の写真を撮る。

 顕著なカンテの岩のもう少し上流に小さな丸い岩があり、仙台の人たちがその岩を廻るようにトラバースをしている。あそこにもあんな岩が有るのか。

 仲間が、沢に張り出した岩盤の上に乗った、大きな上のほうがスラブになった岩を触っている。

 SDで、斜めに走るクラックを使って下のハングを越え、スラブに入ってゆくという課題の様だ。仲間の一人がそこを登る。見ていると難しそうである。

 昨夜仙台の街中で泊まったらしい仲間はマットの上で寝ている。

 もう一人の仲間は、その沢に張り出した岩の下部が出来ないようで、何回も取り付いている。

 小生は相変わらず写真に専念する。

 なんとなく寒くなってきたから、仲間の一人を誘って、上流のトラバースの岩に行ってみる。

 2mくらいの高さの岩で、その周りを廻る課題らしい。仲間が先に挑戦する。山側の面に廻り込むところで足がなくなるので落ちる。

 続いて小生の番である。チョーク痕があるので適当にホールドを決め、発進する。

 足を拾って、手を送って、少し高いところのガバを一応使って、仲間が進んだ所まで行く。ホールドを持ち替えたり、足を入れ替えてみたり、ごちょごちょやって、一手進む。しかし、足が分からずに落ちる。

 その先がなかなか進まない。少し高い所のガバは出来れば限定したいのだが、出来ないから仕方なく使ってしまう。

 何回かやっていたら仲間がその先に進む。小生も、何とかその先に進む。

 3/4周くらいして、上が少しハングしている所まで来る。ホールドが乏しくなる。おまけに足が無い。ハング下のトラバースは無理なのだろうか。途中でレストしながらやってはいたのだが、もう相当疲れているから、あっさり落ちる。

 適当に疲れたから、皆の所に戻る。

 仲間の2人は、先ほど触っていた沢に張り出した岩の左側の方や、真中辺りのSDの課題を触っている。小生は、仙台の人たちが最初に乾いている岩があるといっていたのが気になっていたので、その岩を探しに行く。

 下流方面に歩きやすい所を拾い、ガレた所の横の道路への緩い斜面を少しガサゴソと藪を漕いで道路まで上がると、ほんの少し戻った所に少し大きい4m位の白い岩が見える。あれだな。

 僅かに寝たガチガチしたフェースである。チョークも残っているし、適当にガバも有りそうだし、多分登れるだろうとの感触を得て、靴を取りに戻る。

 そのまま道路を最初に沢に降りた方向に歩くと、道が物凄くぬかるんでいる所がある。気をつけないと靴が潜ってしまいそうな位である。

 靴と、足拭きマットとデジカメを持って、沢沿を岩まで戻る。

 岩の下にはビニールシートが敷かれていたが、その横に足拭きマットを敷く。一番易しそうなところの取り付きである。

 靴を履いて取り付いてみる。靴を履くときに、残置されたビニールシートに座ったら、お尻が濡れてしまった。

 ガバがあるといっても適当な距離を置いてであるし、出だしのバランスが少し悪かったから、少し体を振ったり、足を突っ張ったりしてホールドを取りに行く。

 リップ直下まで行くと、ホールドが分からない。直上すると木にぶつかってしまう。右は少しハングしているから、右に行くには少し大きく右に行かなければならない。左はホールド、スタンスが乏しそうである。

 結局、直上し、マントルの最後の最後の所で木を掴んで立ち上がる。ここで頑張って落ちてもしょうがないし。

 今度はその右の所をやってみる。出だしが少し被ったところである。

 ホールドを選び、足を決めて、離陸すると、足が滑る。見ると、ソールが相当濡れている。こりゃだめだ。即諦めて皆のもとに帰る。今度は沢沿いを帰る。

 仲間は、「汁」の岩が乾いてきたらしく、仙台の人たちと一緒に、「汁」の左の方の課題に触っている。もう一人の仲間は、相変わらず沢に張り出した岩のSDの課題をやっている。

 小生は、マットを広げ、その上で寝転がりながら仲間の試技を眺めたり、写真を撮ったりする。

 沢に張り出した岩の課題に挑戦していた仲間が、遂にその高い、下地の悪い、少し怖い課題を登りきる。そして、「汁」の岩の人たちに合流する。

 暫くぼけっとしていたら少し寒くなってきたので、沢に張り出した岩のSDの課題を触ることにする。

 この課題は、被ったところの右斜め上方向に走るクラックを両手でスタートし、その上のクラックのホールドをクロスで取り、少し遠いリップのガバを取りに行くというようなムーブである。あとはリップに足を上げ、そのままスラブを登ってゆくという課題なのだが、リップに立つまでが核心のようで、その上のスラブも高いから、怖いらしい。小生にとっては、どうせ、離陸できるかどうかの課題だ。

 下は岩盤だし、クラックの淵を持ってレイバック気味にスタートするから、落ちると嫌なので、お尻の下にマットを敷く。

 スタートホールドに両手を添え、左の壁の凹角状のスタンスを左足で蹴ってみる。とっても体が上がらない。じゃぁこれかと、そのスタンスに右足を突っ張り離陸する。

 離陸できた。次は左手のクロスだ。左足を凹角の左のフェースのスタンスに置き突っ張る。しかし、体が上がらない。右足を踏み変え、置く方向を換えて両足で突っ張る。左手が出て、クッラクの淵が少しフレーク状になったホールドに手が届く。

 手が出た。次はリップのガバか。少し遠いな。ごそごそしていたら落ちた。

 マットを持って、荷物の所まで戻り、仲間の試技を見学する。

 寝ていた仲間がいつのまにか起き出し、沢に突き出した岩の左のカンテを登りだす。2回目か3回目にリップのホールドに手が止まり上に抜けてゆく。

 大分休んだな。またやるか。マットを持ってまたSD課題の所に行く。

 離陸して、左手を出す。少しきついけど、ホールドに手が届く。しっかりと持ち替え、両手を添えて右足を凹角の少し高い所に移し、デッド気味にリップのガバを取りに行く。

 届いた。左足をクラックにねじこみ、右足のスタンスを探る。しかし、それまでに相当に疲れているから、右手が保たない。左手が出ない。落ちる。それでも、一手進んだよ。

 またマットを持って戻る。

 寝ていた仲間も「汁」の岩の仲間に合流している。別の仲間は「汁」の右の課題を上に抜ける。

 相当に休んだな。またやろう。

 リップを取って、しっかりと持ち直して、左手を添えて、右手を飛ばす。というつもりだったのだが、右手が出ない。足が悪い。でもまた一手進んだ。マットを持って戻る。

 仲間達は「汁」を触りだした様だ。仲間の一人は「汁」マスターなのだが。

 たっぷりと休んで、まだまだ出来そうだな。

 その間に仲間にスタートからの次のクロスは右足は切ったほうが楽だと教えられたので、それを試してみる。

 実は、2回目、3回目ともスタートからスムースにムーブが進んだわけではない。このクロスの手が中々出ず、毎回足をゴチョゴチョしながらであったから、一手目で相当に消耗していたのである。

 なるほど。楽といえば楽だな。もう4回目だから、ムーブはスムースに出るようになっていた。お陰で、今回はリップの最後のホールドを持ち、次の足を探ることが出来る。ここか、足を飛ばす。次のホールドはどれだ。

 クラックの延長上のポケット気味のホールドは使わないほうがいいらしい。直ぐ上のスラブ面の斜めのカチか。さぁどうしよう。わからない。落ちる。

 そろそろ4時に近くなった。あんなボルダームーブを4回もやってしまった。小生の今回の試技もここまでか。

 これで今回の試技は終わりにするか。荷物を纏め、帰り支度をする。

 そろそろ帰るかと言っていた仲間もまだ「汁」の岩を触っている。まだもう少し時間がありそうだ。4回はあまり切りが良くないし、折角だからもう一回やってみるか。また荷物を解き、マットを担いでSDの課題の前に行く。

 一手目をもたもたしながらやっと取って、足はクラックには入れずに、ガバから次のホールドを取る。しかし、足を探る余裕も無く落ちる。やっぱり何時ものパターンの力切れだ。

 再び荷物を纏め、帰り支度をする。程なく皆も帰り支度を始める。

 今回はのんびりとしすぎて、殆ど登らなかったような気もする。しかし、今は上腕が完全によれている。やっぱり最後の課題が結構効いたようだ。これで思い残すこともない。気持ちよく帰れる。

 帰り道の途中に、厚揚げが美味しいところがあるというので、そこに寄る。

 店の前には行列が出来ている。普段行列に並ぶことなど滅多に無いのに、今回はこれで二度目である。

 おばさんが、田楽に味噌を付けながら、「田楽も美味しいよ」といい、それにつられて仲間が田楽も注文したので、結局皆で田楽も買ってしまった。

 田楽と厚揚げを食べながら、近くに如来様があるというので、それを見学することにする。実は、ここはその如来様の門前町だったようだ。旅館や土産物屋が道の両脇に並び、人も沢山いた。

 お参りを済ませ、戻ると、殆どの店が店仕舞いをしている。確かに既に5時であり、薄暗くなりかけている。厚揚げを買った豆腐屋も店をしまいかけていた。それにしても少し早い気はするが。

 どこかの温泉に寄ろうということになり、以前一回寄ったことのある秋保温泉に行くことになる。

 前回は時間も無かったので、タクシーの溜まり場のようなところで聞いた近くの旅館の風呂に入ったのだが、今回は共同浴場に行くことにする。

 コンビニで聞いたら教えてくれるらしいとのことで、川を渡った反対側にあるコンビニに寄り、共同浴場の場所を聞くと、その浴場はそのコンビニのほんの何軒か先であった。6時である。

 適当な所に自動車を停め、風呂に入る。因みに一人300円である。

 熱い。前回はこんなには熱くはなかった筈だ。前回も一緒に来た仲間に聞くと、やはりこんなに熱くは無かったという。どうしてこんなに温度が違うのだろう。

 共同浴場だから石鹸もシャンプーも無いし、おまけに熱いしで、普段なら30分から小一時間は風呂に入っているのが、全員が15分程で出てきてしまった。それでも、十分に満足できる位に熱い温泉であった。

 高速の途中で雨が降り出す。

 確か国見サービスエリアで夕食にする。レストランが遠かったことも有って、近くの売店の横の食堂に入る。

 豚汁定食を頼んだら、納豆に半熟ゆで卵まで付いてくる。仲間はそれを目当てに頼んだとか。知らなかった。嬉しい誤算だから、まぁいいや。

 途中、運転手交代のため2回ほどの休息を取り、11時には出発駅近くまで戻る。

 最後は小生が運転していたのだが、右折して線路脇の道に入ろうとすると、その交差点は右折禁止だそうだ。えっ、確かここは何回か右折したことがある筈なのだが。仕方が無いから先まで行ってUターンしてくる。

 折角順調に行っていたのに、そんなことがあったがため、到着は11時を僅かに超えてしまった。残念。


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作成年月日 平成15年11月 7日
作 成 者 本庄 章