古いボルダーエリアの情報を探し求めて

2006年10月 5日記

 最近昔のジムの仲間から「関西の岩場」という本を借りることが出来た。

 実はこの本、大分以前から見たい見たいと思っていた本なのだが、既に絶版となって久しい本だったので、おまけに、対象が関西だったものだから、なかなか見る機会が無かったのだ。最近は歳のせいか、昔のように古本屋を何軒も梯子するという元気も無く、積極的に探すと言うこともしなかったから、半分諦めかかっていたのだった。それが、最近お邪魔した昔のジムの仲間の家で目にすることが出来たのだ。そして、運よくお借りすることが出来たのだ。

 暫く前までは、北山公園、荒地山などの六甲山系、千光寺の行場などの生駒山系、或いは、京都の笠置、大阪の摂津峡、などなど、関西地域で昔から登られていたボルダーエリアの情報は、ここ関東では殆ど手に入れることが出来なかった。古い「岩と雪」、「クライミングジャーナル」、「フリーファン」などに断片的に発表されたものを探し出すしかなかったのだ。

 その後、日本100岩場が出版され、ようやく「北山公園」「笠置」など、メジャーなエリアについては関東でも目にすることが出来るようになった。そして、インターネットの普及に因って新しい岩場の情報もいくらか我々の前に現れだした。しかし、相変わらず以前の古い岩場の情報は出ないままであり、今まで通り古い雑誌を引っ張り出すしかなかったのだ。その古い雑誌にして、既に我々のような新参者にはなかなか手に入るものではなくなっており、入手困難なままであった。そんな折の「関西の岩場」だったのだ。

 「関西の岩場」の目次はどこかで見た記憶はあるが、現物を手にとって見たのは初めてだった。

 まず「荒地山」があった。「芦屋のロックガーデン」があった。「摂津峡」もあった。「交野山」もあった。「千光寺 鼓岩」まであった。いずれも未だその資料を手にしていない岩場だった。早速我家に持ち帰り、それらを必死で眺めまわした。

 昔、ボルダーと言われた岩は、今よりは大きな岩まで言っていたようだ。例えば、10m、15mのハイボルダーも単にボルダーと言っていたようだ。従って、表題や配置図にはボルダー、或いはボルダー群と書かれていても、詳しいトポを見ると、ピンが打たれていて、リードルートが描かれていたりする。或いは、下降路が無いから、ロープで登らなければ降りられない課題だったりしていた。このことは、薄々分かってはいたが、一冊の本に纏められて見ると、その辺のことがはっきり分かってきた。

 知りたかったところを一応目を通したのち、今まであまり目にしなかった名前の岩場も見てみた。そんな中の一つ、「大峰 地ノ峰東面の岸壁群」を見ていたら「御手洗峡」の文字が目に入った。よく見ると、その地図の川の部分に「ボルダーがいっぱい」と書いてあった。これって、もしかして「御手洗峡」のことなのだろうか。

 早速、インターネットで「御手洗峡」の情報を探ると、位置的にはほぼ間違いないことが分かった。この「大峰 地ノ峰東面の岸壁群」、奈良国体の登攀競技の会場になったところらしい。ということは、以前から相当数の人たちがこの川原や付近に点在するボルダーで遊んできたのではないだろうか。解説文にも「なかなかのボルダリングが楽しめる」とあった。

 なんだ、結構以前から知られていたボルダーだったのか。まぁ、狭い日本、大体そんなものだろう。現に、新しく開拓されたとして最近発表されたエリアで、少し大きめのボルダーの上に朽ち果てたハーケンやボルト目にすることが結構あるし。

 最近、インターネット上で、関西方面の古い岩場の案内や歴史を紹介してくれているHPを発見した。そこには、1970年代から80年代にかけて、日本各地で岩場探しが行われた時代があったと書かれていた。そうか、多分、その頃に大勢の人達が日本国中の岩を探し回った結果だったのか。その当時は、ルートの岩場探しが主であり、今の様に最初からボルダリングというか、ボルダーを対象として岩を探した人は殆どいなかったはずだから、小さな岩は殆ど発表されることは無かったのだろう。しかし、確実にその頃に確認され、人知れず触られたボルダーは多かったと想像できる。その当時の岩登りをやっていた人達は、その殆どが所謂山屋さんだったろうから、その行動範囲は今の比ではなかっただろうし。

 実は、今時の課題は小生にははっきり言って手が出ない課題が多い。昔の、そんなエリアのそんな時代の課題の方が小生には適しているかもしれない。そんなエリアのそんな時代の課題を訪ね歩いてみたい。なんだか、ものすごくそういう気にさせてくれる本ではあった。

 で、関東でも、そんなところがあるだろうか探してみた。「関東の岩場」に載っていた場所は殆ど尋ねていっていた。手に入った雑誌のバックナンバーにあったエリアも、その大半を尋ねていた。古いエリアで、最近再び注目されだしたエリアの古い課題を触ると言う、そんなエリアは、関東では、笠間以外ではなさそうな感じだし。

 そういえば、茨城で最近登られだしたあるエリアはなんとなくそんな感じのエリアな気がする。でも、以前どこかに発表されたと言うことは聞いていないな。ということは、文字情報からではなかなか見つけることはむつかしいのかなぁ。

 とはいってもまぁ、これからも、こつこつと、みんなに忘れられた古いボルダーエリアを探し続けることにするか、相変わらず雑誌のバックナンバーを探し回って。

 どなたか「岩雪」「クライミングジャーナル」譲ってくれないかなぁ。1970年代以降で良いのだけどなぁ。


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作成年月日 平成18年10月 5日
作 成 者 本庄 章