小川山その9

2001年11月19日記
 日曜日に、久し振りに相棒と日帰りで小川山に行って来た。今回は外に行く事自体が久し振りである。

 午前0時30分頃家を出発。途中スタンドに寄ってガソリンを満タンにする。さすが、土曜日の夜中だから道は空いている。

 相模湖ICから国道20号に降りて一般道を進む予定であったが、その後の行動を考え、少し物要りだが、韮崎迄高速を利用することにする。

 韮崎から茅が岳広域農道を使って信州峠方面へ。既に3時近いというのに対向車と結構すれ違う。その度にヘッドライトをロービームに切り替えなければならない。なんでこんなに自動車が走っているのだろうか。

 3時過ぎに増富温泉近くの塩川ダムのビジターセンターという所の広い駐車場で、しばしの仮眠のため、テントを張る。風が少し有って少し寒い。気温は0度位らしい。

 朝8時半頃に目覚める。寝過ぎた。実は、今日は廻目平の駐車場で9時から9時半頃に人と待合わせているのだ。朝は暖かいコーヒーなんぞを飲んでと、ガスコンロまで用意して来たのに、その暇が無い。慌ててテントを畳み、出発する。

 9時過ぎに廻目平に到着。既に昨日から来ている人と落ち合う。

 用意を整え、しばし待つも、肝心の本日の主役が来ない。何人かの知り合いと話しをしたりしていると、彼の君がやっと来た。道を間違えたらしい。彼も2年か3年振りの小川山だったらしい。

 かねてからの予定がマラ岩方面だったので、駐車場からそちら方向を眺めると、真っ白だ。雪でも降ったのだろうか。

 総勢は5人に後から来るという2人を加えて7人である。実はこの集団は、とある目的のためのビデオ撮影隊なのである。小生の役割は主役を登らせるためのビレイヤーだったのである。

 林道から別れ、堰堤の上で沢を徒渉するのだが、余り良い場所が見つからない。まぁ、なんとか渡れそうな所をチーフカメラマンが渡る。続いて主役が渡る。次は相棒、そしてヒロイン役なのだが、このヒロイン役が渡れるかどうか心配だったのか、主役がルート工作をする。そして、徒渉中もヒロインを手取り足取りでサポートする。本当はうちの相棒もサポートが必要だったのかもしれないが。

 5人とも無事徒渉終了。

 例の急登が暫く続く。最近は殆ど歩かないから結構辛い。昔はこんなことばっかりやっていた時代が有ったのだなぁと、妙に懐かしくなる。

 こんな寒い時期に人はいないだろうと思っていたら、何と先客がいた。イレギュラーを登っていた。

 主役がレギュラーでアップの後、撮影を開始する。ルートは何とかというところ。名前は忘れた。レギュラーのもっと左のスパーと切れ落ちた所の石の上から取り付くのだが、その石とルートの取り付き点との間が1m近く空いていて、その下は10m位い切れ落ちている。取り付きからしてヤバイのである。当然ビレイヤーもセルフビレイを取る。

 それをチーフカメラマンと、俄仕立てで勝手にサブカメラマンとなった相棒がビデオカメラを廻す。

 まぁ、ルートのことはどおでも良いからこの辺にしておくとして、晴れていて日が当たっているというのに、何しろ風が通って寒かった。それなりの格好をしていたのだが寒かった。主役も登っていても寒くて震えたという。本当に寒かった。

 2時過ぎにこの場所での撮影を終了。人との待合わせが有るとのことで先に降りたチーフカメラマンを除き、後から合流した2人を加えて、6人で、日に照らされたマラ岩の雄姿を堪能しつつ、14bだかcだかのものすごいルートを見学して、チーフカメラマンが行くといっていたビクターに向かう。

 ビクターにはチーフカメラマンの他に関西からの2人組がいた。

 ビデオの撮影の続きを少しやったようだが、その詳細は良くはわからない。なにしろ、ヒーローとヒロインを別々に密かに撮影していたようだから。

 適当にアップの後、サブウェイに取り付く。

 いきなり足が滑る。あれぇー、という感じだ。どうしたんだろう。

 裏では、先程のチーフカメラマンが主役に変身し、ここで落ち合ったカメラマンがビデオを廻している。ビクターの左のカンテから、逆モファットトラバース、そしてツーモンクスへ。壮大なトラバースである。

 再びサブウェーへ。今度はいつもの所まで行く。本日の主役はこれを一撃する。当然と言えば当然である。

 この時主役は、途中の遠いホールドを取るのに、右足をヒールフックから乗り込んで取っていた。このムーブは初めて見た。早速真似をしようとしたが、無理だった。

 その後何回か落ちた後、この遠いホールドが取れた。このホールドが取れたのは2回目である。でも、取ったのち2手位で足が滑り、落ちた。

 今迄このホールドを取るのに、右足への乗り込みばかり意識していたのだが、取れた時の意識は左手であった。

 すなわち、今迄は首は次のホールドの方向の右を向いていたのを左に向け、左手にしっかり荷重しながら左足を送ってから、徐々に右足に乗り込んで行ったのである。多分このムーブでより身体が石についていったのであろう。身体をなるべく岩に付けるようにという基本がやっぱり体重の移動のやりやすさに現れたものと思う。頭では理解している積もりでも、実際の場面への応用となると、本当は理解していないということを思い知らされた思いである。

 といっても、ストレートにこの理解に達した訳ではなく、その後の何回かの仕儀の試行錯誤の後に、都合3回ほどそのホールドを取る事ができたという経験を元に後に至った結論である。ために、この理解が正しいかどうかは保証の限りではないが。

 何回か今迄の壁を突破しながら、その先のムーブで全て足を滑らせ、落ちてしまって、成功はならなかった。それが、仲間も先に帰り、先客も去った後、寒さに震えながら、薄暗くなるまで粘っての結果である。多分、寒くて、手のフリクションは良好で有ったのだが、靴のソールが硬くなり、足のフリクションが落ちてしまっていたためと思う。何しろ、足の指が冷たくてジンジンしていた位だったのだから。

 帰りは例によりナナーズで買い物をし、6時過ぎに信州峠を越えた。すでに真っ暗である。

 茅が岳広域農道から、その続きの広域農道を使ってそのまま甲府市内に入り、安いガソリンスタンドを見つけて給油した後、石和で20号に合流して相模湖まで一般道を進む。

 このコースを通るたびに思うのだが、笹子トンネル付近は年がら年中工事で片側通行の場所が存在する。しかし、それによる渋滞が無い。あってもほんの僅かである。甲府盆地と大月との間には一般的な行き来が無いのだろうか。甲府盆地ではあれだけ混雑していた20号も勝沼を過ぎるとがらがらになってしまうのである。そして、大月が近付くとまた少し自動車が増えるのである。そして、それが相模湖まで続くのである。そして、八王子から先は渋滞。だから相模湖で高速に乗るのだが。

 これで11時過ぎには家に着いた。時間的には行きと実質1時間位しか違わない。お金を払って高速道路の真ん中で駐車することも無い。金銭的には片道2千円位しか安くはならないが、なんか大分得した気分になれる。誰彼に勧める気はないが、一度試して見る価値はあろう。但し、相模湖の手前で渋滞に巻き込まれるとさらにプラス1時間は覚悟しなければならないのが難点と言えば難点では有るが。


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作成年月日 平成13年11月19日
作 成 者 本庄 章