小川山その8

2001年 8月22日記
 土日にクラブの合宿が小川山であり、月曜日も多分残っている人がいるであろうとの予測の基に、日曜日の晩から月曜日にかけて、1泊で相棒と一緒に小川山に行った。

 日曜日の夜9時過ぎに廻り目平に到着。クラブの合宿のいつもの場所付近を探すがテントはない。皆帰ったのかと適当にテントを張って寝る。

 朝、トイレに行くとトイレの前にクラブのメンバーがいる。今回はいつもの場所ではなかったらしい。結構何人もが残ったようだ。場所を聞いて挨拶に行く。兄岩にいって昼過ぎに帰るとか。

 戻って朝食の用意をする。といっても、ラーメンを作るだけだ。

 テントのファスナーが壊れてしまったようだ。1ヶ所が引っ張った状態で締めると空いてしまってそこから先が閉まらなくなってしまった。テンションをかけなければちゃんと閉まってくれるのだが。このテントも20年近く使っているから仕方が無いのだが。

 9時過ぎにクジラ岩に行く。先客は2名。潮吹き穴の辺りに座っている。

 スパイヤーの岩の前にクラッシュパッドを置いてその上に荷物を置く。

 ストレッチの後、スパイヤーの岩に触る。なんか湿っている。

 左の6級の課題に触る。なんか出られない。ホールドも無いしスタンスも見つからない。こんなに難しかったかなぁ。

 少し左に寄って、木の切り株辺りからスタートする。少し上のダイク状のちょっとした出っ張りを頼りにトラバースして、最初の穴に到着する。その上の穴が取れないから、仕方なくそこから直上する。しかし最後のリップがとれない。しょうがないから飛び降りる。パッドは荷物置きのままだから、結構恐い。

 相棒は一番右の9級の課題をやっている。この課題は、もう2年越しの相棒のプロジェクトである。リーチの無い相棒にはリップに手が届かず、きつい課題になっている。相棒はもう一つの薄いパッドを使っている。

 このパッド、相棒にとっては、衝撃吸収用というよりは、休息用、お昼寝用である。トライの間に寝転んで休んでいる。

 先客が穴社員を始める。小生も交ぜてもらう。

 今日は岩、人間ともに状態が良くないから、なにしろ、土、日、月のボルダリング3連荘だから、出だしのクロスで最初の穴を取る所から出来ない。

 ここの所だが、先客は右手で穴を取って、左手をカンテのカチに寄せて、右手を斜め穴に送るというムーブでこなしている。そういう人が多いみたいだ。しかし、小生にはそのムーブでは斜め穴まで手が届かない。最初の穴は左手でなければ次の斜め穴まで届かないのだ。

 先客の一人が穴社員を登る。2登目だとか。岩の上で煙草を吸っている。

 その先客と一緒にミダラを見に行く。

 前に人がやっているのを見ていた時となんか感じが違う。その時は使うホールドとか覚えていた積もりだったのだが、今回はどれがどのホールドだかよくわからなくなっている。スタートもどうだったか忘れてしまっている。歳は取りたくはないものだ。

 クジラ岩に戻って、穴社員を何回かやっていたらやっとクロスで穴が取れるようになってきた。

 どうして、疲れ出した頃に練習しているムーブが出来るようになるのだろう。いつも不思議に思う。ムーブというより、持てなかったホールドが持てるようになってくるのだ。

 だから、やっとホールドが持てるようになっても、疲れかかっているから、まともなムーブがその後1回か2回くらいしか出来ない。あれさえ、あのホールドさえ持てれば、この課題は出来るのにという、そのホールドが持てるようになったのに、それまで出来ていたその先のムーブが出来ない。いつもそうだ。やっとホールドが持てるようになったから、次回は疲れていないうちにやっつけようと、元気なうちにその課題を始めても、やっぱり疲れてくるまでそのホールドが持てない。そんなことを繰り返している。なんだか不思議だ。

 エイハブ船長を触る。ここは人がいない時しか触れない。恥ずかしくて触れないのだ。だって、ガバ穴の次の縦カチが持てないのだから。

 先客の一人も触り出す。先客も同じようなもので、縦カチから先に行かない。今日は似た者同士、心置きなく挑戦することにする。

 出だしがどうもしっくりこない。ガバ穴までは簡単に行けたはずなのだが。あちこち足を置きながらムーブを探る。正対で出ると身体が上がらないから、少し身体を振って見る。なんか飛びつく感じだなぁ。左足スメア気味のスタンスで左手縦カチを取りに行く。届かない。足が滑る。おかしいなぁ。

 諦めずに何回かやっていたら、正対でガバ穴が取れるようになり、縦カチに十分手が届くようになった。

 なんでだろう。アップ不足だったのか、そんなことはない筈だが。でも、やっぱり3連荘だから、疲れてるから、疲れが抜けていないから、身体が馴れるまで時間がかかったのだろうか。

 縦カチを親指を添えて持って見る。少し持てる。左足を上げねば。手が外れるぅ。落ちる。まだ低いから、パッドは相変わらず荷物置きのままだ。

 右足を少し左にずらせば少しは左手縦カチが持てるかもと、足を探す。おあつらえ向きの丁度足を置く方向に傾いているスタンスを見つける。チョークで印をつける。

 縦カチを持って足を探す。わからない。みんな白く見える。探しているうちに落ちる。

 縦カチを持って足を探す。はっきり見える。何とかクロス気味に右足を置いて、体重をかけて、左足を何とかスメア出来る場所まで上げた途端に右に飛ぶ。将に落ちないうちに飛んでしまった感じである。でも、右手が次のホールドを叩く。触った。やったー。触っちゃったぁー。

 それは1回だけ、次からはまた左足がなかなか上がらなくなった。

 先客の仲間の人がくる。エイハブ船長に触り出す。左足が上がって、右手、次のパーミング的なホールドを取りに行く。が止らない。

 やっぱり、少なくもここまで出来なければこの課題には触れないのかも。小生とは格が違うから、一緒にトライはし難い。フィンダイレクトに移る。

 アンダーで身体を上げて、上のスローパーチックなホールドでマントルを返すらしいのだが、どうやれば良いかわからない。色々やっていたら、先客の一人が右手の奥のホールドを教えてくれる。

 それを使って、左足を寄せるのだが、見えないから、左足が置けない。

 これを見かねたのか、先客の一人がスポットに入ってくれる。なんか申し訳が無い。でも、パッドは物置のまま。

 左足がやっと置けると、次に動けない。左手フィンのアンダーが放せない。右手は次のホールドがない。

 同じことを2〜3回繰り返す。どうもこのムーブは駄目そうだ。

 右奥のホールドを使わず、左手と右手のスローパーチックなホールドでマントルを返すムーブを探る。

 足を色々工夫して、もう少しでマントルが返りそうな所まで行く。もう少しだ。しかし、そこから無理すると変な体勢で落ちそうだから、この課題の下地は木の根っこが出ているから、恐くて出来ない。もう少し力を付けてからでないと無理なようだ。

 相棒は相変わらずプロジェクトに挑んでいる。

 田島ハングを触って、ドンキーに行く。この課題は6級なのだが、未だに出来ていない。出だしが出来ないのだ。

 左手と右手のスタートホールドを触って見る。どうも持てる気がしない。離陸出来ない。

 少し左に寄って見たり、別のホールドを探して見たり、少しやって見る。

 右手のホールドを別の少し上のホールドに移す。で、右足に乗り込む。離陸出来る。やったーぁ。が、左上のガバが取れない。左手が放せない。右手を上げられない。飛び降りる。

 右手の次のホールドを探す。カチはない。右上にポケットがある。あれを使って見るか。離陸し、その穴を目指すが、遠い。飛びつくには、多分、悪い。

 その少し手前の上にフレークっぽいホルードになりそうなところがある。あれを使って見るか。

 離陸し、右手でそのフレークの淵を摘まむ。といっても、岩にへばりついているので、指が入る訳ではない。僅かに指先を引っ掛けているだけだ。それでも、左足が良いし、被ってはいないから、十分に持てる。余裕で左足が次のガバスタンスに上がる。そこに上がれば左手のガバホールドが持てる。あとはガバガバで途中のバンドに抜ける。

 その上は傾斜の緩いスラブだが、苔苔で恐い。バンドで休みつつ思案をするが、結局バンドを右に逃げる。まぁ、バンドに立てれば終了で良いことにしよう。どうせ逃げても岩の上までは行くのだから。6級だし。

 やっとできた。なんとなく嬉しい。

 序にその左の7級のカンテを登る。7級だから一応一撃する。当然か。

 7級クラスだと、例えホールドが見えなくても、欲しい所にちゃんと持てるホールドがある。この辺に欲しいなという岩影に手を伸ばすと、ちゃんとその影にホールドがある。小生にとっては、やっぱり、これくらいのグレードの課題の初見が一番楽しいのかもしれない。

 クジラ岩に戻ると、さっきの人がエイハブ船長を登る。5便目位らしい。岩の上で叫んでから、岩を駆け降りて来た。やっぱり嬉しいらしい。

 その彼、緑のマントとか穴社長の出だしのホールドを触り出す。

 穴社長は次の穴を取る。その時、右足をエイハブ船長のスタンスに懸けている。実はこの課題は密かにスタートホールドだけは触っていたのだが、離陸の見込みが無かったのである。それを見て真似して見たら離陸出来る。次の穴まで届きそうだ。でも、その足っていいのかなとふと疑問に思ってしまった。

 相棒は、お昼寝マットで寝ている。本当に寝てしまったらしい。さっきのエイハブ船長を登る人をビデオで撮っていたのに。

 そろそろ2時半になる。この辺が潮時か。挨拶をして、最後までパッドとして使わなかったマットを背負って天場に戻る。

 トイレまで行くと、クラブの仲間も帰り支度をしている。一応挨拶をして、我々も帰り支度をする。

 例によって、ナナーズで、別にこれといって目的もないのだが、買い物をしていると、またクラブの仲間に会う。することはみな同じようだ。

 また一足先に店を出る。我々は信州峠越えで帰る予定だが、多分彼らは清里経由であろうと勝手に決め付ける。

 明野村で、行きに寄って買ったリンゴが美味しかったのでまた、帰りも、行きに買った店ではなかったが、リンゴを買う。

 道端に車を駐めて待っていると、相棒が来いと呼ぶ。なにかと行って見ると、お茶を呼ばれるという。折角だからと店のおじいさんとおばあさんにお茶を呼ばれる。やはり、子供さん達は既に家を放れ、老夫婦だけで林檎園をやっていて、直売もやっているらしい。おまけまでしてもらったようだ。今度きたらまた寄ることにしよう。

 韮崎から、国道20号が甲府の手前で混むので、地図を忘れて来てしまったのだが、高速でもらった大まかな地図を頼りに思い切って、まだ通ったことのない茅ケ岳広域農道で甲府を目指すことにする。

 で、やっぱり、途中から道がはっきりしなくなり、良くわからない道で甲府の市街に突入する。幸い市内はそれ程渋滞はしていなかった。

 途中、358号線だかを走っていたらセルフのガソリンスタンドを見つけたので即入る。周りより10円以上も安い。とってもラッキー。

 別に急ぐ訳ではないから、高速を使う必要も無いので、その先も20号を走る。とはいっても、相模湖付近が混むし、八王子から先もまた混むから、上野原から中央道に乗る。

 20号からすぐに中央道に乗れるのかと思ったが、20号から上野原インターまでは結構距離が有り、一瞬間違ったかと思ってしまった。しかし、その先渋滞も無く順調に帰りついた。相模湖からよりは上野原から高速に乗る方がよさそうだ。

 これでまた、小川山からの帰り道のバリエーションが一つ増えてしまった。


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作成年月日 平成13年 8月22日
作 成 者 本庄 章