小川山その14

2001年12月25日記
 昨日に続き、日帰りで小川山に行った。一緒に行く予定だったジムの仲間が風邪をひいたとのことなので、一人で行った。

 朝5時過ぎに家を出る。さすが空いている。前回食べたとろろ飯をまた食べようとしたが、そのパーキングの名前を忘れてしまった。多分初狩だろうと、そのパーキングに入ると食堂はまだやっていない。仕方なく素通りする。

 大月を過ぎた辺りから切り通しの側壁に雪が見え出す。昨日の御岳では全く雪が無かったので安心していたが、山梨は雪が残っているようだ。

 甲府を過ぎると残っている雪が多くなって来る。進行方向右の秩父側の山にはあまり雪が残っていないのだが、その反対側とか日陰には結構雪が残っている。

 勝沼から一般道に降り信州峠を越える予定であったが、信州峠はどうも駄目そうだ。峠の山梨側は雪が無くとも長野側は確実に雪が有りそうだ。途中朝食もしなければならないしと、相当悩んだあげくにそのまま須玉を目指すことにする。

 途中お腹が空いたので、境川のパーキングに入り食堂を覗く。とろろ丼というのがあったが340円である。仕方が無いからそれを食べる事にするが、今回は生卵はない。

 ここのとろろ丼はたれが少々辛くてあまり美味しくない。やっぱり初狩のとろろ飯の方がお勧めだ。

 須玉からは141号で川上村を目指す。さすが国道だから道に雪はないが、回りは真っ白である。途中川上村に入る道などは日陰には道路上にも雪が残っている。恐いから後ろに付いていた自動車を、脇に避けて、先に行かせる。

 廻り目平への取り付け道路は真っ白である。しかし、自動車の轍が有り、そんなに積もっている訳ではないし、今回も仲間が昨夜から廻り目平に泊まっている予定なので、こんな状態では仲間も帰ったかもしれないと思いつつ、ノーマルタイヤのままキャンプ場の下の金峰山荘の駐車場まで行く。そこには車が一台停まっていた。

 辺り一面真っ白だから、サンダルから運動靴に履き替えてキャンプ場の方に上がって行くと、仲間の自動車がある。やっぱりいたんだ。駐車場には他にも2〜3台の自動車が停まっている。

 仲間のテントを尋ねると、3人いた。お邪魔してお茶をごちそうになる。丁度朝食の準備中だったようだ。

 当然帰ると思っていたら、登と言うので、慌てて自動車に戻って支度をする。

 駐車場まで登って行く途中に自動車が一台駐車場に登って行く。この自動車を見て仲間が御岳でいつも会う人だと言う。そんな馬鹿なと思いつつ駐車場まで登る。

 なんとなんと、駐車場の上にはこんな中他にも2張りのテントで5人の人達がいた。そのうち女性二人を含む4人の人達はキャンプをしていたらしい。で、一人は知り会いだった。某山岳会の人達らしい。また、今日来たという一人の人は、前にここで2人だけでテントを張ったもう一人の人だった。

 さっきの自動車は、やっぱり昨日御岳でお会いした2人組であった。内一人は前回、虹の入江でスポットをしていただいた人だ。結局、11人位いいたのだが、某山岳会の3人以外は皆知っている人や以前に会った事のある人達ばかりだ。まぁ、この時期のこんな状態の小川山だから、こんなもんだろう。こういうのを類は友を呼ぶというのだろうか。

 先ずはクジラ岩の前に行く。クジラ岩の上も真っ白である。緑のマントが白のマントになっている。そんな中、昨日から泊まっていた人達は昨日もこのクジラ岩で遊んでいたらしい。その時の手の跡がエイハブ船長のリップのホールドの所の雪に残っている。そのホールドを持ったらツルンと滑って落ちたとか。

 仲間は自動車までデッキブラシを取りに戻り、岩の上の雪を払いのけ始める。雪はさらさらである。しかし、上は高いし傾斜があるから、あまり掃除が出来ない。結局完全に登れるようになった課題はない。

 枯れ葉の上は雪は無いが、地面は凍っていて、その上に雪が残っている。その上を歩くと靴が濡れてしまう。それを防止するためにマットを敷く。

 今回の人達のマットはほとんどがスポットという薄いマットだ。小生もそれを半分にしたようなゾーンというやつだ。衝撃吸収能力は最近のマットに比べれば格段に低い。でも、衝撃吸収マットである事には間違いはないが。

 皆が、エイハブ船長を触り出す。リップを取って、やっぱり滑るといって飛び降りて来る。小生も登る。リップの一手手前まで行くが、その先は止めた方が良いとの皆さんのアドバイスを受け、飛び降りる。

 無茶苦茶指先が痛い。手が冷たいからだろうか。なにしろ痛い。暫く指先を押さえてしまった。

 穴社長のスタートホールドを触って見る。その時、なんかのはずみで、某山岳会の女性の方と三味線の話になる。その方は義太夫の三味線を習っていたらしい。長唄や民謡の三味線を習う人は良く聞くが素人が義太夫の三味線とはめずらしいとかなんとか話しながらホールドを触っていたら、ボルダーのホールドを触りながら交わす会話ではないと言われてしまう。たしかにそうだ。

 穴社長のスタートのホールドは、なんか止りそうな気がする。靴を履いてやって見る。離陸はできるが、次のホールドまでは届かない。他の人達も穴社長を登る。エイハブのスタンスを使う人もいれば使わない人もいる。

 小生はエイハブのスタンスを使ってしか離陸が出来ない。でも、その所だけを繰り返す。仲間が、ピンチホールドまで行っている人にスタンスなどを教わりながら、3手4手と手を伸ばして行く。

 小生も、その仲間の助言やムーブを参考に、遂に次のポケットが取れた。ある程度スタティックにとれた。嬉しい。

 この時の感じだが、それまでは右足を少し突っ張って、身体を少し左に振る感じでポケットを持っていたために左手のポケットが十分に引付けられなかったのが、右足を少し曲げて掻き込むようにして、身体を真下に落として、ポケットを真下に引いたためにポケットを引き付ける事が出来たようだ。どうも、この辺のムーブの理解が足りないようだ。これは人工壁でも感じていた事ではあるが。

 別の仲間2人が石南花エリアに行くといって降りていった。我々二人が残って他の人達と少し遊ぶ。

 ミダラをやっている人を見学に行く。ここは被っていて小生には持てそうに無いホールドを使う課題だが、同じラインにスタンドアップとシットダウンと2通りの課題が設定されている。当然SD課題を登っている。ムーブは全て出来ているのだが、下からつなげるとルーフから上の壁に出る遠い一手が出来ないらしい。

 ここは日が当たらないから寒い。でも被っているから下に雪はない。今回向きと言えば今回向きだ。

 穴社長に戻ってまた穴社長をやる。一手なのだが、これが疲れる。さっき次の一手を取った時、嬉しくなってまたすぐにやって見たら全く身体が上がらなかった。仲間もタンデュで引き付けるのは力がいると言っていた。

 その仲間が遂にピンチを取れるようになった。その先は雪が付いているから、今回は出来ないが、これで展望が開けたと言う。その後何回かそのピンチまで行っていた。

 まだ1時だというのに日が陰り出す。既に寒い。皆さんと別れて我々も石南花エリアに移動する。

 仲間は流れ岩にいた。我々は一筆岩に行く。

 この岩は日が当たるせいか雪が付いていない。上のリップの奥にはしっかり雪が有るが、リップには雪は無い。従ってそこに設定されている3つの課題は登れる。

 一番左のカンテに一つ課題がある。前に来た時に苦労して登った課題だ。さすが、仲間は、幾つかのホールドを探りはするが、すんなりと登る。小生も今回も何とか登る。

 その右は一手物的な課題である。木の切り株に乗って、上のカチから右のカチを取ってマントルである。しかし、足が無い。仲間はそんな中から足を探して登る。その足を使って小生もやって見る。最初は次のホールドに少し届かなかったが、出来ると確信する。

 二回目はカチホールドの一番掛かる所を選んで次のカチを取る。で、マントルの所で足がわからない。足ブラチックにマントルをかえそうとしていたら、足を教えてくれる。ガバだから、そこに足を乗せるとマントルがかえった。

 どうも、小生は使ったホールドでもすぐに忘れてしまうようだ。いつも難しい課題を最初に出来かかった時は、夢中で足が見えなくなってしまうようだ。虹の入江の時もそうだし、昨日の忍者返しでもそうだった。それだけ余裕が無いと言う事なのだろうか。それだけ、所謂オンサイト能力が低いということなのだろう。だから、小生の動きはきれいだと言われるのかもしれない。なにしろ、知っている足しか使えないのだから。じたばたと登るだけの力が無いのだから。

 仲間はその右横のこの岩のメインの課題「一筆」に取付き出す。左上に細いクラックが一筋斜めに入っているきれいな課題なのだが、その掛かりの悪いクラックしかホールドは見出せない。スタンスもそこにしかないようだ。

 しばし悩んでトライを繰り返すが離陸すらできないようだ。そこに先にここに来ていた仲間が来る。その仲間にムーブを聞くと、彼が試みていたムーブと同じらしい。ムーブは合っていたようだ。ということは相当に難しい課題のようだ。

 先程ミダラに挑戦していた人達が来る。遂にミダラを登ったようだ。血だらけになりながら。もっともこの人最初から指に出血をしていてタオルを血に染めながら登っていたのだが。

 その人が少し違うムーブで離陸する。しかし、次のホールドが取れない。次のホールドまで手は届いているのだが取れない。

 また、先程ムーブを教わった仲間が来たので登ってもらう。その彼が、ムーブは忘れてしまったといいながら、で、やっぱり2回くらい失敗して登る。

 彼のスタートの足は一歩高い所に架けている。それを真似すると仲間もスタートが出来るようになった。大いなる川の流れをやっと登ったという仲間も加わり、その彼が、先に登った人の使ったホールドを一つ飛ばして登ってしまう。他の人もその彼のムーブを真似る。

 我々はまた流れ岩に戻る。後から来た二人はまだ一筆を登っている。

 仲間はもぐり岩のルーフの中で「幻の光」という課題と格闘している。ホールドが殆ど無くてムーブがわからないらしい。ドッ被りの穴蔵から這い出して来る感じの課題だから、仲間が登っていたのを見ていても、ルーフの中ではどうやっていたかは見えなくて、小生にもわからない。

 もう一人の仲間が玄関岩に行くといっていたとのことだったので、我々も荷物をまとめに一筆岩に戻る。すると、先程の人が「一筆」を丁度登っている所で、核心のホールドが取れた所だった。勿論そのまま上に抜ける。やっぱりこの課題は難しそうだ。

 玄関岩の前で、先に来ていた仲間の内2人がまたこの日も泊まるということだったので、帰りは今日帰らなければならないもう一人の仲間と二人で帰る事となった。

 来る時は上りだからノーマルタイヤのまま登って来たが、帰りは下りだし、既に日も陰っていて凍っているので、ほんの数百メートルなのだが、安全を期してチェーンを巻く事にした。

 例によって、灯明の湯で少しのんびりして、また恒例となった佐久に寄って、今回は吉井という所まで254号を使い、後は高速を使って帰って来た。途中の渋滞は無かった。

 結局、それでも、11時を回ってしまった。今日も疲れた。


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作成年月日 平成13年12月25日
作 成 者 本庄 章