小川山その13

2001年12月16日記
 またまた小川山に行った。今回はジムの仲間と3人である。

 土曜日朝7時に西船橋に集合し出発する。今回は韮崎まで高速を使う。道は途中事故渋滞が有った物の、殆ど混む事は無かった。

 初狩パーキングで朝食。210円のとろろ飯を頼む。しかし、なんとなくさびしいので生卵40円を追加する。これで250円。朝飯としては結構いける。

 で、デザートはアイス。栗のクレープとかいうやつを始めて食べる。やっぱり最中にしとくんだった。

 信州峠は先週と殆ど同じ、川上村に入った所の路上に僅かに雪が残っている。もしかすると、先週より僅かに多いかもしれない、でも、廻り目平は大丈夫だろう。そんな感じだ。

 信州峠を下った所で先着している仲間から電話が入る。寒くて死にそうだとの事。それを聞いた仲間が窓を開ける。確かに風が冷たく寒そうだ。

 ナナーズに寄って、11時ちょっと過ぎに廻り目平の駐車場に到着。数台の自動車が停まっていた。

 風が強い。そして冷たい。着替えるのが嫌になるが、仕方が無い。思い切って着替える。テントは帰ってから建てればということで建てないことにする。

 先着組は水晶スラブ下にいるとの事だったので、我々もそこに行く。

 水晶スラブ下には先着組4人の他にも5〜6人の先客がいる。少々びっくり。でも、ほとんどの人は顔見知りである。

 仲間はアップを始める。しかし、小生はアップすらする気がしない。それだけ寒いのだ。羽毛服を脱ぐ気がしないのだ。

 そんな中、某クライミング雑誌の取材と言う事で、某有名カメラマンが五段だかのグレードのボルダー課題を登る某有名ボルダラーを写真撮影している。

 頭痛の左と言うか、静かの海の右のカンテの右をカンテを使って登るスラブというか、そんな感じの課題だ。またと無いチャンスだからと勝手に撮影させて頂く。

 何時までうだうだしていてても仕方が無いから支度を始める。そうすると、仲間が、今日は虹の入江かと聞く。まぁ、と曖昧な返事をするが、その課題は勢いに乗って先週、半分冗談で取付いた課題だ。

 スローパーからスローパーを取って、左足に乗り込みながら少し遠いホールドを取る所が核心なのだが、そのスローパーで身体なんか全く上がらない、そんなことが出来るとも思えない、そんな印象の課題だ。

 先週の教訓から、高難度課題でのアップを始める。なんとなんと三段の課題でだ。

 先客が静かの海に取付いていたので、その人のマットをお借りして、いきなり静かの海に取付く。

 カンテと結構掛かるカチで取付き、左手でリップを取る。そしたら今度は右手をその上の縦カチに移す。その体勢で足を上げて行き左手をもっと奥に送るという感じのムーブなのだが、そこまで位は何とか行きたいと言うのが小生の目標である。核心はその後のマントルなのだが、それはずっと後の目標だ。

 右手を次の縦カチに移せず落ちる。

 先客のムーブを観察すると、左足は切ったまま右手を上げている。そうか。

 今度は左足を切って右手を上げたら、縦カチが取れた。次は足を上げてと、少しもがくがそこで落ちる。アップだからこんなものか。

 涙岩の涙涙をやっている人がいるので、それを見に行く。ちょっとしたカンテを登るのだが、難しいらしい。小生もやらせてもらったが、右手のスローパーに止まる気がしない。

 持参のゾーンを広げ、虹の入江を登る準備をする。小生以外は廻りに人はいない。

 右手アンダー、左足スメアで立ち上がり、左手でカチを取る。右足を一寸したバンド状の所に上げ、右手で上のスローパーを取る。そこまでは簡単に行く。次は右足を戻し、左足を左のガバまで上げ、それに乗り込むようにして左手のスローパーを取る。前回はこのスローパーが一回しか取れなかった。

 左足のガバスタンスは左の方の大きくえぐれたところで、前回は足が滑って乗り辛かったのだが、今回は滑らずに乗れる。そして左手のスローパーが持てる。次は遠い結構かかるらしいホールドだ。

 足は左に出した左足だけだ。その左足を掻き込むように乗って行かなければ身体は上がらない。右足は少しハング状になっていてスタンスはない。今回もだめかと思ったが、左手のスローパーの結晶が指の腹に食い込んでいる感じがする。持てているのだ。右手も親指はすでに開いてしまっており岩肌には触ってはいない。しかし、外れる感じは無い。まさにフリクションバリバリだ。

 右足で空を切りながら、必死で両手を引き付ける。すると、身体が上がって行くではないか。次のホールドが迫ってくるではないか。左手を出すと、ホールドのリップに指が掛かる。もう少し。しっかり掛かる。取れた。目標のホールドが取れた。いきなり、やちゃった。

 右足を結構掛かる所に上げると、すぐ目の前にポケットがある。

 これは右手なんだろうか、左手なんだろうか。右手のほうが取りやすいから、一先ず右手で取ってみるが、次は右に行くはずだからと下のホールドを持ち替えて左手に持ち替える。結構力を使ってしまう。

 左足がまだ決まっていない。スメアのままだ。次のホールドを探さなければ。誰もいない。傾斜は無いのだが、高さは2m半位い上がっている。出来れば飛び降りたくはない。もたもたしていると腕もパンプしてくる。

 ポケットを持って必死でホールドを探す。しかし、ホールドは見つからない。掛かるところが無い。あせる。

 目の前にちょっとした親指がアンダーで掛かりそうな場所がある。一先ずそれを触る。左足はどうしよう。足が見えない。

 それを見つけた人が2名くらいスポットに入ってくれ、ガンバの声を掛けてくれる。だが、すでに腕はパンプしている。この上まだ3m以上ある。この上はやさしくて6級くらいしかないらしい事は聞いていたが、今のこの部分がまさにやさしい部分なのだ。それがこのざまだ。とても行ける気はしない。手ももう限界である。

 降りる準備を始める。両手を下のガバに移す。足を捜すが、この課題の核心部だから、簡単に降りられるわけは無い。

 後ろに細い白樺らしき木が生えている。それを何とか使いたい。しかし、細いし、少し離れているから、思い切って体重を預けられない。こんな寒い中、飛び降りたらと考えると、思い切って飛び降りられない。下地もそんなに良いわけではない。もう手がもたない。

 思い切って後ろの木に飛びつく。なんとか木を掴む。助かった。

 どうも安易に取り付きすぎたようだ。まさかあそこまで第一回目に行ってしまうとは思わなかった。心の準備が無かったから、人がいなかったから、なんかすごく怖かった。

 でも、核心は越えた。それを仲間に報告すると、あそこまで行って落ちた人を見たことが無いという。あそこまで行ったら登ったも同然だから登れたことにしてしまおうとも言う。まさか、そういうわけには行かないだろうが。

 寒いし、もう怖いのはいやだから、明日に再度トライしようということで、仲間のいる雨月岩に行く。雨月岩は小生の課題ではないから、ひたすら観客に徹する。

 別の仲間が、石楠花エリアに行くということなので、小生もついてゆくことにすると、その仲間が虹の入り江を落とすのではないかというから、今日は止めると話す。もったいないと言うから、明日があるという。

 不可能スラブの岩の前に戻ると、さっきの仲間が静かの海を登っている。よし、まださっきのマットが敷いてあるから、小生も虹の入り江をまたやってみるか。

 今度は仲間が虹の入り江までついて来てくれる。おまけにホールドまで磨いてくれる。やっぱり仲間がいると心強い。

 今度は、ラインを確認して、スタンスを確認してから取り付く。

 スローパーからスローパーを取って両スローパーで身体を上げて行くと、前回よりもスムースに身体が上がり、次のホールドが取れる。よし、また核心を越えた。左手でポケットを取って、右手を親指アンダーのホールドにもっていってバランスをとり、右足を右上に上げて、左足を決めて、右手を伸ばしてホールドを探ったらホールドがあった。助かった。慎重に足を上げて、これ使ってよいのかなとか言いつつ、少し右よりのホールドを取って、上に回ってくれていた仲間のアドバイスで最後のリップのガバを取って上に抜けた。

 やったー、やったよー。仲間が握手をしてくれる。写真撮影をしていた某有名カメラマンも握手をしてくれる。5〜6人の人と握手を交わす。おまけに仲間がこの課題の前で記念撮影までしてくれる。やっぱり挑戦してよかった。

 マットを畳んで、石楠花に行く仲間について行く。結局一人の仲間を残してカメラマン共々皆で石楠花エリアに移動する。

 忘却岩の前に荷物を置き、流れ岩に行く。

 沢の中の石の上には厚い氷が乗っている。河原岩の上も青氷が張っている。さっきから時折雪が舞っている。上流の堰堤を見ると両脇が氷瀑と化している。なんか既にマイナス6度近くになっているらしい。既に日は射さなくなっている。曇りっぱなしだ。

 仲間が大いなる河の流れという課題に挑戦する。ルーフの奥から途中足ブラになりながらトラバースしてゆく課題である。それをビデオに収める。しかし、寒すぎて体が動かないという。別の仲間はその課題のトラバースの部分を直上するプロジェクト課題に取り付く。別の仲間は忘却岩の忘却の河をやっている。もう一人は流れ岩の側面の流れの中にをやっている。それらをカメラマンが撮影する。

 小生は、寒さに震えつつまたまた観客を決め込む。あんまり寒いからパンを食べる。水晶スラブ下にいた先客が合流する。忘却岩で遊んでいるようだ。

 雪が降り始める。岩の上や落ち葉が白くなり始める。もう怖くてスラブは登れない。被った課題に集中するしかない。

 あんまり寒いから忘却岩の忘れん坊という課題を触る。前回も触ったのだが、できる気がしない課題である。もう少しリーチがあれば、という気もする。

 雨月に残っていた仲間が合流す。忘却の果てをやり始める。

 小生は、忘却の河の上部のマントルをやってみる。相変わらずできない。

 こういう寒いときに被った疲れる課題をやると、疲れが取れないうちにまた取り付いてしまうから、すぐに疲れてしまう。やっぱり、寒いときは疲れる課題は向いていないようだ。

 3時を回った辺りで、前日から泊まっていた仲間が、テントを撤収すると先に引き上げる。カメラマンも先に引き上げる。ほかの仲間はまだ頑張っている。

 仲間は4時を回ってもまだ頑張っている。仕方が無いから付き合う。5時に近くなっても頑張っている。ようやるよ。寒いから身体が動かないといいながらも。

 さすが、5時近くなって切り上げた。

 今晩、皆で鍋を囲むことになっていた。しかし、全国的に大雪注意報が出ている。寒い。鍋ところではない。で、結局幕営を諦め、日帰りとすることにする。良かった。

 仲間は甲府の仲間の家に集まって鍋をするとのことだったのだが、小生は佐久で用事があったので、小生だけ分かれることとなる。

 5時ちょっと過ぎに仲間と別れ、ひたすら佐久を目指す。まだ僅かだが雪が舞っている。

 今回も一人だから、途中佐久で1時間くらい休み、東松山まで254号線行くことにする。

 途中富岡のガストに寄ったが駐車場がいっぱいだったので先に進む。が、245号線沿いにはファミレスは少ない。前々回入った道の駅みたいなところの食堂も閉まっている。結局、児玉市内のガストに入る。既に9時だ。

 今回は、ささやかなお祝いだということで、料理をワンランク上げ、ドリンクバーをつける。本当はもっと豪華に行きたかったのだが、一人で盛り上がってみても、何か虚しい気がして踏み切れなかった。せめてもと、眠気予防をかねてコーヒーを3杯も飲んでしまった。

 順調に東松山に到着するが、何時の間にかインターを見過ごしてしまっている。仕方が無い、鶴ヶ島まで行こう。

 が、地図を持って来なかったから、道がわからない。夜だから案内板も見えにくい。えい、川越まで行ってしまおう。川越まで行けばもう関越に乗る必要も無いか。まぁいいや。明日は日曜日だ。

 この先富士見有料道路と出てくる。ここ迄一般道を走って有料道路は無い。一先ず左折して道を考える。

 確かこの道の右側を平行して一般道が走っているはずだと、左折した交差点を右折する方向に直進する。

 再び254号線に合流する。でも、さっきまでのバイパスに比べると細くて混んでいる。まぁ、所沢までの辛抱だ。明日は休みだし。

 所沢から和光、高島平で首都高に乗る。やっと専用道路に乗れた。やっぱり専用道路は楽だ。すでに12時に近い。

 結局1時ほんの前に家に到着する。

 今回も長かった。


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作成年月日 平成13年12月16日
作 成 者 本庄 章