小川山その11

2001年12月 3日記
 土日で小川山に行って来た。今回は一人である。

 佐久に用事があったので、それを済ませて小川山に入る積もりで、少しゆっくり午前11時前に家を出発する。

 今回は一人だから、関越道の花園インターまで下の道を行く事にする。

 16号から4号のバイパスを通り、栗橋、加須、熊谷を通って花園まで行く。熊谷市内を除いて、特別混んでいた訳ではないが、結局高速に乗るまで4時間程かかってしまった。

 最近佐久にクライミングジムができたという事は知っていたのだが、その場所まではわからなかった。所が、たまたま用事先でその場所を教えてくれる人がいたので、6時頃から約2時間ほどお邪魔する。

 明日は小川山だから、こんな所で遊んでいる場合ではないとは思いながら、結局そこそこ遊んでしまう。広くて立派なジムであった。

 8時前にそのジムを後にし、コンビニで食料を調達して小川山に向かう。

 9時頃には小川山の駐車場に着いただろうか。満月なのだろうか、駐車場はすごく明るい。明日も天気は良さそうだ。

 先客は一人のみである。他には多分誰もいない。風が少し有って寒い。車の中で寝ようか少し迷ったが、テントを建てる事にする。

 先客と少しだけお話しをしてからテントに入り、ペットボトルの麦茶を暖めて、コンビニで買ってきたお弁当を食べる。余りにもさみしいからラジオを付ける。

 起きていても何もする事がないし、寒いので早々に寝袋に入る。寝袋は例によって夏用と冬用を二重にする。従って寒くはない。

 夜中に顔がスウスウして目が覚める。ベンチレーション用の窓の真下に顔が有り、そこにベンチからの風が当たっていたのだ。普段なら2人だからそこに顔を持って来る事はないのだが、今回は一人だから真ん中に寝ており、丁度ベンチの下に顔が来てしまったのだ。荷物を片して少し端にずれる。

 朝の8時。まだ日は照ってはいない。曇っているのかと心配になってしまったが、曇ってはいなかった。車の温度計を見るとマイナス3度である。そんなに寒くは無かった様だ。

 テントの中で朝食の用意をしていると日が照り始める。今日も暖かくなってくれることを祈る。

 9時過ぎにテントを畳んで朱雀岩方面に偵察に出かける。

 途中先客と少しお話しをする。先客は山梨の人らしく、普段はルートをやっている人の様だ。今回はここに泊まりに来たらしい。

 ビクターの上のただの大岩を探しに行く。

 ただの大岩は少し上の方の堰堤のすぐ上に有った。なんとなくまん丸い少し大きな岩だ。

 ハンガーが付けられた所が有り、終了点らしい所も作られている。今回は一人だし、少し高いから岩を触るだけに留める。

 今度は朱雀岩だ。トポのコピーを調べるが、朱雀岩がない。確か今回の改訂版の黒本には載っていた筈だがと探すが、ない。

 小生は外に行く時は黒本のそのエリアの部分をコピーしそのコピーを持参する。そうすれば、トポを半分に折ってポケットに入れる事が出来るし、色々な書き込みも気軽に出来る。そのことを黒本の著者に言うと、もう一冊買ったらと進言され、そうも思ったが、半分に折れないのがやっぱり不便かなと思い、未だに2冊目は買ってはいない。

 朱雀岩の入り口はフェニックスの大岩の手前で赤布が有るとの記憶を頼りに赤布のある枯れ沢を入る。その赤布に導かれ登って行くが、どうもその赤布はその奥の壁にでも行く物らしくずっと続いている。

 確かこんなに登らない筈だと思い出した辺りの沢の分岐点に大ハングをもった岩が現れる。これかと思い色々偵察するが、チョーク後は見当たらない。掃除した形跡も無い。登れば登れるかも知れないが、余り面白そうにも見えない。多分違うのだろうなと思いつつ、引き返す。

 戻りつつ脇の斜面をキョロキョロ探したが、残念ながらそれらしい岩は見当たらない。大分降りてから、踏み跡らしい所に入って見たりしたがやっぱり見つからなかった。

 家にかえって荷物を整理していたら、その荷物の中から黒本が見つかった。現地に持参していたのに。知らなかった。

 ビクターに戻って用意をしアップを始める。当然他には誰もいない。

 先ずは9級の課題から。という、訳ではなかったのだが沢側の7級の課題を登ろうとしたのだが、途中恐くなってしまい、隣の9級のクラックに逃げる。

 今回は、一人だし、人も殆どいないということあるのか、どうも最初から弱気の様だ。

 続いて裏の右の方の8級の課題を登る。最後は側壁の10級の課題で締める。

 沢側に戻って少し休み、サブウェイに触る。

 横カチから取り付いて縦カチを取る所が、取れない。やっと取るが、やっぱり昨日の影響だろうか。これでは今回もサブウェイは駄目なのかもしれないと考えてしまう。

 やっぱり遠いホールドを取る体勢になれず落ちる。あぁあ、である。

 休んで再度挑戦。今度は出だしは巧く行き、遠いカチを取りに行く体勢にもなれたが、届かない。遠い右手のホールドを探っている内に落ちる。

 一人だし、少し寒いしで、どうしても続けてやりたいのを我慢して、充分休んでから取り付くように心掛け、しばしボケッとする。

 少しスタンスを確認して、またやって見る。なんだか身体が重いが、なんとか遠いホールドを取りに行く所まで行く。右足に十分に乗り込めれば取れるのだろうが、なかなか乗り込めない。でも、何とか遠いホールドを取り、体勢を整えて、その取ったホールドを持ち直す。が、その持ち直しがきつくて余り巧くゆかない。だめだ。

 気分転換にと、コンパウンドというとても4級には思えない側壁の課題を触る事にする。

 この課題は、僅かに掛かるミリカチと殆どかからないホールドでスタートし、リップにマントルという課題なのだが、どう登るのかわからない。足は無いし、ホールドも右上に僅かなポケットがあるだけで他には見当たらない。

 実は、前回、この課題は、僅かに掛かるミリカチを両手でスタートしリップを取るのだと仲間に教えてもらったので、それをやって見る。3回目位にやっと立つ足を探して離陸しリップを掴む。

 この課題は斜めのリップを掴む課題のために、少しスタートの位置がずれると、リップまでの距離が変わって来て、右よりからスタートすると、もう一歩上がらないとリップが取れないのが、このミリカチスタートだと左に寄るため、スタート出来ればリップが取れてしまう。

 そんな訳だから、このミリカチ両手スタートだとトポのラインからすると少し左にずれている感じがするし、なんか少しチョンボ臭い感じはする。でも、名前からするとどうもフリクション勝負という感じがするのだが、スタンスが百万人スタンス化しているし、グレードを考えると、それでも良いのかなとも思えて来る。

 でもやっぱり、トポのラインで登りたいとは思い、その後何回か以前からやっていたミリカチを左手だけで持つムーブを試したが、右手のポケットを取る所までしか行けず、全く出来る気配は無かった。

 また、サブウェイに戻ってやって見たが、こちらも出来そうな気配が無いので諦める事にする。

 先週行った石南花エリアの内、ゲートに近い幾つかの石は見ただけだったので、その石を触りに行く事にする。

 途中、駐車場を見に行って見ると、車が7〜8台増えていた。

 駐車場を見に行ったついでに、きたない大岩の左側壁のカンテが気になっていたので、そこに寄って見る。

 取付こうと傍に寄ると、下は霜柱が立っている。踏み潰すと少し溶けていて、ぐちゃぐちゃになる。これでは靴が汚れると諦め石南花エリアを目指す。

 まだゲート下岩を見た事が無かったので、それを見に行く。

 その石は小沢の中に有り、その小沢には僅かに水が流れている。そこに枯れ葉が積もり、下手をすると足を濡らしてしまう。注意して石に近付く。

 そんなに大きくはないが、まぁ小さくはない。沢の中だから下には石が出ており、下地は良くはない。

 7級の課題が2本あるが、落ちるとヤバイから見るだけにする。仲間と来ていれば登るのだが。

 遊歩道に戻って、石南花岩に行く。6級と7級があるが、なんだかあまりすっきりしないからパス。

 つぎは扇岩。遊歩道から一段下がった所にある将に扇型の石である。藪を少しこいで降りる。

 周りを一周しながら降り口を探す。しかし、どれも簡単に降りる訳には行かないようだ。少し傾斜の弱いスラブも苔苔だから恐いしで、結局は木を使って降りるしかないようだ。

 先ずは河原側のコーナー8級を触る。 まぁなんとか登る。

 次はその左のウェーブ5級。

 ここにまた戻るのに、藪をこいで大回りしなければならないのだが、そのすぐ左下の小さな石との間にトンネルが有り、そこを潜ると簡単に下降点から戻れる事を発見し、そのトンネルを潜る。

 1回位落ちたかもしれないが、これも確か登れたように思うのだが。

 今度は正面だ。正面は将に扇を広げたようなスラブである。左から5級、2級、4級の課題がある。

 まずは左の左うちわから。

 顕著なホールドはない。石も少し脆そうである。傾斜も緩くはない。

 リップのカチホールドを両手で持ち、左足でスタートして右足を穴スタンスに置いて右上のリップを持つ。そこまでは出来る。そして、次のリップのホールドを取るために持ち変えなければならないのだが、そのホールドも良い訳ではないから、それが出来ない。

 何回かそのムーブを繰り返すが、やっぱり出来ない。身体を剥がされてしまうのだ。

 一時諦め、一番右の蛇腹4級を触る。

 この課題は斜めに走る短い凹角が4本位走っており、それを使って登る課題なのだろうが、その凹角が持てない。ホールドにならないのだ。斜めに引いて見たり、凹角の切れ目の角の凹みを触って見たりしたが持てない。諦める。

 また左うちわに戻って来て、色々考えて、色々調べて、右足でスタートし、穴スタンスは使わずにもっと左に左足を上げていったら、身体が上がり、その上のリップのホールドが取れた。で、やっとできた。

 5級だと言うのに結構てこずってしまった。なにしろ、あちこちにチョークがついており、あちこちに余り効かないホールドやスタンスがある物だから。

 次はさっきの蛇腹だ。凹角を色々と調べると、一番上の凹角の上にカチがある。これを使うのか。でも身体は上がらない。スタンスが良くないのだ。

 上から2本目の凹角の下にフレーク状の一寸した引っ掛かりがある。これか。使って見るが役に立ちそうに無い。やっぱり凹角か。

 いろいろと触ったり撫でたり引っ張ったりしたが駄目だ。若しかして、その凹角をガストン気味に持って行くしかないのかと思い、やって見たら身体が上がった。右足を一番下の凹角に踏ん張ったら足が滑った。

 その凹角のスタンスを調べ、そこに踏ん張ったらリップが取れた。やっとできた。4級か。もしかすると、左うちわとそんなに変わらないかも。先週のスパイヤーでもそうだったのだが、どうも、スラブの課題のグレードは良くはわからない。

 でも、嬉しくなって、真ん中の2級に挑戦する。

 この課題は誰かがやったらしく、あちこちにチョークがついており、スタンスの目印のラインまで引かれている。

 どこのホールドを使いどこを取るのか最初はわからない。探していたら、丁度胸の当りに結構持てるホールドがある。スタンスもそこそこある。一先ず離陸は出来る。だが、次のホールドがわからない。

 次のホールドらしい浅い窪み的な穴がある。あれか。クロスで右手を出し触る。指の腹が掛かるくらいで、とてもクロスで持てるホールドではない。左手で持てば少しは効くかも知れないが、左手で持つ方策がわからない。

 そんなこんなで、幾つかのスタンスやムーブを探るが、とても使えそうに無い。やっぱり2級だと諦める。

 次は隠れ岩だ。これはすぐにわかった。が、ここは1級とプロジェクトしかないから見学のみでパス。

 次の瞳岩が見つからない。すぐ隣の筈なのだが。

 枯れ葉の一杯積もった藪を行ったり来たりでやっと見つける。そしてら、最初にそうではないかと見に来た石だった。大体そんなものだ。

 ここも一回りする。そして降り口を探す。あまり良い降り口は無さそうだ。でも何とか降りられそうな所は確認する。

 最初は10級の谷川岳から。

 顕著なフレークと言うのかガバでスタート。そこに足を上げてリップ直下のガバを取るという課題なのだが、2手目のホールドが遠い。

 一回目はあえなく敗退。10級ですぞ。嫌になってしまう。というより、これで10級か。

 気を取り直し、足を上げる場所を選び、その足に十分立って手を伸ばす。辛うじてガバを掴む。登れた事は登れたのだが、リーチが無いと相当に辛い課題だろうと想像する。

 次は目薬7級だ。河原側のカンテのマントルだが、これがまた悪い。手は有るのだが、足を少し高い位置に上げてから別の足を丸っこいスラブに置き、それに乗り込まなければならない。そして次のポケットを取る。まぁ、7級と言われればそうかとも思うが。

 少し離れて、次は第二河原岩である。下流の沢側から廻りこむと課題があった。上は木が生えており、降り口には困らない。

 先ずは8級の河原道を触る。斜めに走るガバガバの浅い凹角というかコーナーと言うか。8級だからやさしいだろうと取り付くと足が滑る。ヒールフックとか、トーフックとかやって見るが次の少し遠い目のホールドが取れず落ちる。

 こりゃ本気を出さなければと、スタンスを探し、なんとか上に。しかし抜け口が苔苔のスラブに廻りこむのだが、そこが悪い。なんか危なっかしかったがなんとか抜ける。結構面白い。そして、少し難しい。

 これで、一応石南花エリアの石は殆ど見て触った事になる。時間は既に2時である。

 藪の中で身仕度を整え、おなかも減っていたので昼食にする事にしたが、折角沢のほとりで食事をするのだからと、支度をし直して河原に降りる。

 手を洗って、流れを眺めながら、沢音を聴きながら、買って来たパンを食べる。たまにはこういう昼食も良い物だ。

 どうしてもサブウェイをもう一度触りたかったので、ビクターに戻り、サブウェイを触る。ところが、ビクターの石には既に日は当たってはおらず、出だしで足が滑ってしまったので、即刻挑戦を中止し、若しかして人がいるかもしれないクジラ岩に向かう。

 クジラ岩の前には誰もいない。

 まずドンキーの右の田島ハングのある石の10級のスラブを偵察する。良く見ると、一番下が5cm位のテラス状の出っ張りになっているようだ。そのことを確認する。

 早速エイハブ船長を触る。

 縦カチから次のスローパーを伺うが、届かない。

 少し休んでまたやって見る。今度は縦カチを持っただけで身体が上がらない。少し休む。

 水晶スラブの方から叫ぶ声が聞こえて来る。あっちには人がいるようだ。

 今度は縦カチから上げる左足をスメアではなく、その少し上のスタンスまで上げて見る事にする。縦カチを少し指を立てて持って、足をそこまで上げるとなんとかそのスタンスに乗れる。右足はカウンター気味に左に流して右手を出したら、初めて次のホールドの面を触る事ができた。とはいってもとても持てる場所まではいってはいないが。でも、まずはやったーである。

 その後2回位はそのスタンスに足が上がらず落ちたが、3時5分位前に、最後の仕儀としてやった時には、再度触る事ができた、それも少し奥まで。

 もしかすると、第一関門突破も近いかも知れない。多分来年以降ではあろうが。

 既に日も陰り寒くなりかかって来たので、引き上げる事にする。

 今回は結局岩場ではだれにも会わなかったことになる。たまにはこんなのもよいものだ。

 久し振りの明るいうちに帰ったので、気になっていた、川上駅より手前を右に入って、大蔵峠を越えて海ノ口に出る道を行って見る。

 この道は多分上下がいつもの道よりも少ないだろうと想像していたのだが、結構アップダウンがあり、道も曲がりくねっているし、細いので、あまり得な道ではなさそうだ。残念。

 帰りも再び佐久で用事を済ませ、来た時の経験から、首都圏はなるべく高速を使った方が良いと判断し、藤岡までコスモス街道と呼ばれる国道254線を行く事にする。

 佐久の市街を外れると急に寂しくなり、ガソリンも減っていたので、市内に引き返しガソリンを入れてもらう。

 コスモス街道は、佐久市街を外れると下仁田迄殆ど信号が無く、本当に空いている。さすが、下仁田から先は信号も増え、自動車も増えるが、混みはしない。

 藤岡に近付くと、寄居と言う地名が現れる。そうか、ここから寄居は国道17号を使わずに行ける事を思い出し、そのまま花園まで254号線を走る事にする。

 途中神川町の道の駅の様な所で食事をして、花園から関越道にのる。

 そこから先は外環道から首都高と乗り継ぎ順調に走る。

 所が、葛西のジャンクションで分岐を間違え、そのまま直進して羽田方面の湾岸道路に入ってしまう。それに気付いたのが既に新木場を過ぎてしまってからだったので仕方なく有り明まで行きそこから下の道を引き返す。その後は順調に帰りつく事ができた。

 それでも11時過ぎには家についた。行きよりは1時間近くは短縮出来たようだ。それだけ余計にお金もかかっているのだが。


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作成年月日 平成13年12月 3日
作 成 者 本庄 章