小川山その10

2001年11月30日記
 先週に引き続いて相棒と小川山に行った。今回は3連休なので、金曜日の昼頃から行く予定であったのだが、結局金曜の夕方4時頃千葉を出発する。

 千葉は休みの日の夕方は上りの道路が渋滞する。今回も御多分に漏れず、湾岸が渋滞。首都高も渋滞。新宿を抜けてようやく走り出す。

 どうせ遅れついでと、相模湖東だかで国道20号に降りる。すでに7時近い。

 ほぼ順調に石和近くまで進み、茅が岳広域農道に入るべく、中央線を越え、昔の有料トンネルを抜けて甲府駅の裏側を通る道に入る。混んではいない。

 中央道を越えて広域農道に入り、韮崎を経由して、そのまま増富温泉近くの塩川ダムのビジターセンターの駐車場に到着する。すでに10時近い。

 いつもテントを張る場所に先客がいる。仕方が無いからそこから少し離れた所にテントを張る。

 準備をしていると、もう1台車が来る。結構人気が有るのだなぁと思っていると、なんとおまわりさんが来た。その車はパトカーだったのだ。

 どこに行くのかと聞くから、明日川上村の廻り目平らに行くというと、寝袋は持っているかと聞くから持っていると答える。すると、この辺は氷点下まで下がるから気お付けて下さいと親切に教えてくれる。単なるパトロールの様だ。

 先客も小川山に行くと答えていた。

 確かに風が有り、外は結構寒い。

 明朝、既に日が照っているのに、テントの中でも吐く息が白い。車の温度計を点けると、1度を示している。日が当たっていたから少しは高い目に出たかもしれないから、本当はまだ氷点下だったのだろうか。

 見るともう1張りテントがあり、中高年らしい人達が4人ほど支度をしていた。

 軽い朝食の後、小川山に向けて出発する。

 出発時に、相棒がこの駐車場は夜間は鉄柱で閉鎖すると書いてあったというので、その看板を確認すると、11月28日だかから4月の25日だかまで夜間は閉鎖すると書いてあった。もうこの時期この駐車場を夜間利用しようと考える人もいないだろうが、もし利用する積もりだった方はお気をつけください。

 途中何ヶ所か外気温を表示している所が有り、そのうちの一つは0度を示していた。

 廻り目平の駐車場に着くと結構車がある。結構混んでいるという感じだ。一応ここで落ち合う事になっている人達を探すと、前回とは少し違う場所に車が有り、その近くにテントを張っていた。我々もその近くにテントを張り用意をする。

 先ずは林のボルダーへ。既に先客がいる。

 先ずはアップ。といっても、この辺は小生のアップに都合の良いガバガバのハングはない。やさしい所は殆どスラブだ。仕方が無いからスパイヤーの7級の課題にさわる。1歩がでない。足が滑る。

 先にも書いたが、寒いと手は良いのだが、靴が滑る。スメアがやり難い。ましてやカチ靴。スラブは歯が立たない。

 隣の6級も同じ。出来ない。またその隣の4級へ。

 この課題、実はスタンスがミリカチなのである。そこに立ちこめば終わるのである。そのミリカチにインナーエッジを置く。そして、静かに立ち込む。立てた。上の大穴を取って抜ける。やっぱりネックはスメアか。足を選ばなければ。

 途中別の仲間が合流する。この人は何と半袖だ。やっぱり山梨の人はこの気候に慣れているのだろうか。

 仲間がクジラ岩のダイレクトフィンをやっていたので小生もやってみる。

 以前、右奥の結構掛かるホールドを教えてもらったのだが、どうもそのホールドは使わないらしい。左のスローパーチックでガバチックなホールドでマントルを返すらしい。

 まぁ、それがスマートだという事はわかってはいたのだが、それが出来なかったから色々と他のごまかしムーブを探っていたのだ。

 そのスローパーチックでガバチックなホールを両手で持ち、右足を大きな突起状のスタンスに乗せてマントルを返したら、なんとこれが返った。あっけなく返った。上で見ていてくれた仲間が右足を踏み変えてと教えてくれるので、慎重に足をずらしながら踏み変え、スタートの棚状のホールドに右足を上げ、マントルを返したホールドに左足を上げる。

 この左足を上げる所が実はなかなか上がらなかったが、それをなんとか上げて安定したスタンスに立つ。いちおう核心は越えた事になるのだが、この上のスラブが曲者だという事を以前から聞いていたので、まだ少し不安を覚える。

 両手ペタシ手で何とか足を上げようとすると、仲間が右手のホールドを教えてくれる。なるほど、で、何とか抜ける。登れた。何本目の小川山の3級だろうか。嬉しい。

 やっぱりフリクションの違いだろうか、今迄あんなに苦労していたのに。

 調子に乗って穴社員をやって見る。

 スタートの後、右手タテカチから左手クロスでポケットを取り、右足を上げて次のポケットを取る所までは行った。結局はそのポケットは取れなかったが、次か次の次位には出来そうな感じがした。やっぱりフリクションの様だ。

 ついでにエイハブ船長を触る。

 マットをお借りしてスタート。右手ガバから、左足を凹角のカンテ状の部分に上げて乗り込もうとしたら足が滑って落ちる。恥ずかしい。すぐに気を取り直して、今度は慎重に足を置いて、その上の縦カチというか、余り掛かりの良くないホールドで足を上げ、次の右手のホールドを狙うが、身体が十分に上がりきらず、諦めて降りる。

 ここで言い訳を一つ。この所で、多分若い人なら飛ぶのだろうが、飛んで落ちたくないから、何とかデッド位で取れる所までは身体を上げたい。が、それが出来ない。ということだ。もっともこの時は飛んで次のホールドが取れたとも思えないが。

 仲間がウイスキーボトルの方に行ったので小生もついて行く。どうやら、「冬の日」を登るビデオを撮影するらしい。後から合流した人がその準備を始める。

 一度クジラ岩の前に戻り、靴を普通の靴に履き替える。そうこうするうちに仲間全員が集まる。総勢7名。だったかな。

 準備中にこの岩の左端の3級と2級の課題を偵察する。ちょっとした凹角が走り、その左が3級、その右が2級となっている。

 右の上にホールドが有るので、それを使って離陸し、凹角を使ってその左に抜け、最後はもう少し左に行けば登れそうだったので、そのラインで登って見る。

 最初は抜け口直下のリップが取れず降りる。

 上の抜け口付近が良くわからなかったし、下地が良いとは言えないので、上を偵察する事にする。

 抜け口直下のリップはガバだ。それを使ってもう少し左に行けばマントルも返せそうだ。

 今度は少し思い切ってリップのガバを取りに行く。そして、少し左に抜ける。

 降りて来て、トポのラインを確認すると、ラインは凹角の左だ。スタートも凹角の左からか。気持ちが悪いから、再度さっきのホールドではない左のホールドでスタート。上は同じで抜ける。あんまり変わらない。多分これで3級は間違いないだろう。この3級は恐さグレードの加わった3級だと思うが。

 最初のホールドでスタートし2級バージョンを探る。が、次のホールドが無い。有っても持てない。仕方が無いから諦める。

 仲間が冬の日を登り始める。最初は左足のヒールフックで次の右手を取りに行き、左手を上の指がもぎれるというホールドを取る。そして、左手を次のホールドに飛ばす。次は少し足を上げて右手を指のもぎれるホールドに持って行き、あとはランジである。

 飛んだ。蛙みたいな変な体勢だ。そしてリップを捕らえる。足が切れるから身体が揺れる。後は見た目には簡単なマントルだ。が、それも当然返す。成功だ。

 これを相棒もビデオに納めている。小生もデジカメで幾つかの場面を撮影する。こんな場面は滅多に見られない。何しろこの課題はまだ他の人には登れないのだから。

 これで午前中のイベントはお終い。昼からは石南花エリアに行く。

 石南花エリアとはキャンプ状の取り付き道路の脇の西股沢に沿って付けられた石南花遊歩道沿いに点在するボルダー群で、つい先日発表されたばかりの、小川山でのニューエリアである。

 ゲートの先を赤布に導かれて遊歩道へ。遊歩道といっても、この辺はほんの踏み跡程度にしか見えないが。

 ゲート下岩の脇を通って結構急な斜面を下って行くと先ずは石南花岩。二段の課題がある。次は扇岩。本当に扇の形をしている。続いて遊歩道から少し下ると隠れ岩と瞳岩。ここには初段とプロジェクトがある。続いて第二河原岩を過ぎると忘却岩が現れる。ここには二段と初段の課題がある。

 忘却岩の前は少し広くなっているので、そこに荷物を置き、その先に進む。

 忘却岩の隣はもぐり岩。ここには三段の課題がある。その名は「幻の光」。その先は流れ岩。ここにも二段の課題がある。

 そこから河原に出ると河原岩。遊歩道の方に登った少し先が眠り岩に一筆岩。一筆岩は中央を斜めにきれいな浅いクラックが走っており、そこに初段の課題がある。

 全体的にはそんな感じのエリアである。

 仲間は二段とか初段をやるが、小生と相棒、そしてもう一人の女性で眠り岩に行く。岩の高さはせいぜい2m。ここは10級の課題が2本である。右が熟睡で左が眠り穴である。

 熟睡は顕著なガバがあり、そこからスタートしてリップを取れば終わりという感じの課題なのだが、一撃ならず。2回目にそのガバを無視してやっと登る。例によってこれで10級かである。仲間の女性も同じ意見である。だから、当然相棒には登れない。

 相棒は左の眠り穴を登る。

 この課題も、最初小生が登った時は結構きつそうに感じたが、相棒はなんとか登った。やっぱり相棒も少しは巧くなっていたのだ。

 戻って一筆岩に触る。

 仲間の女性には側壁の4級の課題が面白そうだと言っておきながら、自分は正面左の5級の課題に取り付く。

 カンテを廻りこんでスラブを登る課題だが、そのカンテに立ち込めない。側壁の課題を諦めたという女性が一緒にその課題を登る。そして、女性は2回か3回目に登る。しかし小生は5回か6回やっても登れない。諦めてさっき女性に勧めた側壁の課題を見に行く。

 この側壁の課題は将にルナ級である。スタートホールドからギャストンでトラバース気味にカンテに廻りこまなければならないのだが、足が殆ど無い。何しろパワーが相当いりそうな課題である。当然登れない。

 仲間が見に来てくれたので、ムーブを教わったが出来そうに無いので諦める。

 再度先の課題に戻り、少し気合を入れ直して何とか登る。よかった。

 戻り際に河原岩に寄って見る。ここには7級の木を大切にという課題があったので、それをやって見る。この課題は少し被ったガバ系の課題だが、なんとか登る。川のほとりだから、取り付きが少し濡れている感じで氷にでも乗った感じで滑ったが、実際は濡れてはいない。多分石が相当に冷たかったのだろう。何しろ川の真ん中の石の上には数センチの氷が乗っていたから。

 もう一人の女性と相棒も来て、凹角の10級を登る。この課題も力がいるし、出口がペタシホールドだから結構悪い。従って相棒には登れなかった。

 その岩の山側の隣に流れ岩がある。そこに3級の課題があるのでやって見たが、全く歯が立たない。そのうち仲間がくる。初二段の仲間と冬の日の仲間である。

 仲間に3級の課題の登り方を教わると、小生のやろうとしていた方法と殆ど変わらない。そこを仲間は運動靴で登る、しかしその上がスラブだったからそこから結構苦労して降りる。

 その課題はハングした凹角の出口の少し上の両手のスローパーとハング下の結構ガバなスタンスで身体を上げ、リップに乗り込めば終わる課題なのだが、リップに足が上がらない。上げようとすると手が効かなくなる。膝でごまかそうとしたが駄目だった。

 そんな課題が、最初は5級か6級だったらしい。そんな無茶な。で、3級に落ち着いたらしいのだが。

 仲間が河原岩の上から石を投げて川の真ん中の石の上に張った氷を割っている。結構厚い氷が張っていたのだ。

 仲間が流れ岩の下流側の側壁のプロジェクトを紹介してくれたので、早速やって見る。ガバでスタートして次のガバからこの石とそこに被さる太い根の間を潜ってテラスに立つという何とも言えない課題なのだ。

 まず頭を入れて見る。背中で根っ子に寄り掛かりつつ身体を入れて行く。胸が支える。幅が足りない。駄目だと降りる。

 そこにやって来たもう一人の仲間が挑戦する。無理矢理身体をねじ込んで、もがきながら、パンツが根っこの突起に引っ掛かって脱げると言いながら、なんとか抜ける。

 行けるんだと、紹介してくれた仲間が2登する。そして、根っこの突起を除去する。

 じゃぁと小生が3登する。

 初登者にグレードは都仲間が聞くと、頭を傾げる。ムーブ的には10級なんだけどと。

 忘却岩に戻る途中、流れ岩の側壁の6級のマントルをやって見る。例によって手もなきゃ足も無い。将に汚い大岩の上流側の側壁の右端のスラブの7級の課題と同じだ。多分丸っこいカンテでマントルを返すだけの課題なのだろうが、そこがどうにもならない。おまけに、例えマントルが返ってもその先のスラブが恐そうだ。本当に6級なんだろうか。課題設定者に言わせると、我々のマントルが寒すぎるというのだが、我々に言わせると、課題設定者のマントルがすごすぎるのだ。

 忘却岩では別の仲間が忘却の河という二段の課題を登っている。ビデオも廻っている。そんな中で仲間は登る。因みに初二段だとか。

 仲間がその横のもぐり岩の幻の光を始める。当然ビデオが廻る。

 この課題はルーフの奥からスタートしてリップをマントルする課題なのだが、ホールドなんか殆ど無い。そんなカンテが持てるのかという所を持ってルーフから出て来なければならない。そして、マントルをしなければならない。小生の埒外の課題である。

 そこを、2回位い失敗したとはいえ、仲間は登ってしまった。当然冬の日を登った仲間である。

 小生はそのルーフの横のスラブの10級と6級の課題を何とか登る。

 最初は10級と6級の真ん中辺りを登ったようなので、その少し左を再度登り返す。多分それで6級だろう。

 忘却岩の二段の上だけの2級のマントルをやってみる。さっきの仲間のムーブでマントルが返れば何とかなりそうと思ったが、ヒールで身体を上げることが出来ない。

 仕方が無いから、一人さびしくその左の端ッこの2級の課題に触る。

 ここは下が少し被ってて、ちょっと凹角状になっていて、そのカンテを持って上のホールドをトリに行く感じのスタートになる。のだと思う。しかし、疲れているのか次のホールドを取るのが精一杯。それも3回目か4回目にやっと取れた状態だ。従ってしばし諦める。

 その後マントルとその左を2回か3回ずつ挑戦するが出来なかった。ともに2級だから出来る訳もないのだが。

 日もとっくに陰り、寒くなっていたし、薄暗くなりかかってしまったので、本日はこれで終了とし、皆で天場に戻る。

 相棒が、電話をかけなければならないがここは相棒の携帯の圏外だというので、夕食を兼ねて下に降りる。

 ナナーズの駐車場が車を止めるのに都合が良さそうだったので、そこに車を止める。

 電話終了後、どうせだからここで買い物をして夕飯を自分達で作るかという事になり、結局天場に帰ってから夕食にした。

 その日は前日が少し寒かったので、相棒が余分に持っていった夏用の羽毛シュラフを、小生はシュラフカバーを、二重に使って寝る事にした。快適快適。

 夜中に集団が着きテントの設営を始める。その音で目が覚めるが、寒くはない。むしろ暖かい。

 朝は明るくなってから起きたが、これが意外と暖かい。

 この日は林のボルダーでアップの後、水晶スラブ下当りにでもという事で出発する。山梨の人は相変わらず半袖だ。

 スパイヤーでアップする。

 今日は意地でもここの6級と5級のスラブを登らなければとの意気込みで取り付いたら、両方とも登れた。まぁ、少しスタンスを選びはしたが。それにしても暖かい。多分10度を越えているだろう。

 次にスパイヤーの上のトリトンに行って見る。ここには5〜6級の適当な課題がある。右の課題が5級、左の課題が6級、その左は7級と5級である。

 まず右の5級をやって見る。少し悪いカチ的なホールドからリップを取る課題である。最初はリップに左手を出して見たが、止らない。もう少し奥か。

 左に行き、7級の課題をやる。なんかガバが一杯あるようで、実はそうでもない。そんな感じだが、何とか登る。

 右に戻って、もう少し右のリップを捕らえる。まぁ、何とか登る。

 また左に行ってSDの5級の課題を触る。まぁ、これもなんとか登る。

 若人の2人連れがくる。右をやるが出来ないようだ。離陸が難しいようだ。こうやれば離陸出来るよとやって見せる。そして、ここを取るのだよと手を出すが、止らない。気合が足りなかったようだ。

 その若人達と少しなんだかんだやって、下に戻る。

 と、相棒にすぐに戻らなければならない事態が発生していた。まだやっとアップがすんだところだというに、仕方が無い。帰るしかない。

 そして、クジラ岩周辺に居られた京都の方々、山梨の方々、そして、その他の幾人かの方々、ほぼ全ての方々に見送られて、相棒共々小川山を去った。

 突然私事で申し訳有りませんが、その当時、クジラ岩の周辺に居られた沢山の方々、特に京都から見えられた方々だと思いますが、その節は大変にお世話になりました。御礼申し上げます。

 そして、佐久経由で帰る事となった訳だが、途中佐久で、思いのほか時間がかかってしまい、そこを出発したのは10時を既に廻っていた。そのため、連休の最後だというのに渋滞も無く2時前には自宅に帰りついた。

 長い1日だった。

 皆さん本当にお世話になりました。本当にありがとうございました。


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作成年月日 平成13年11月30日
作 成 者 本庄 章