「てんのう」道の駅の駐車場で、6時頃に目を覚ます。雨は完全に上がっている。しかしまだ、外は薄暗い。男鹿半島の入道崎に行ってみました
東北気侭な一人旅その22005年12月 6日記
湯を沸かし、先ずコーヒーを飲む。続いてインスタントラーメンを作る。なんかマンネリだなぁ。
トイレに行ったら、観光バスのガイド風のお姉さんが歩いている。トイレの少し先にはなにやらすごく高い塔みたいな建物が聳えている。なんかの展望塔なのだろうか。ここは丁度男鹿半島の付け根辺りになるし、結構観光バスが寄って行くのだろうか。
明るい日の照る中、8時頃に出発し、男鹿市から「なまはげ街道」は通らずに、半島の北側の海岸沿いに走って、入道崎に行く。
灯台があり、その前は広々とした芝生の広場になっている。道路の手前には大きな駐車場があり、その脇にみやげ物屋が並んでいる。駐車場には何台かの自動車が停まっている。どこかのスピーカーから、なんだかもの悲しい音楽と共に呼び込みの声が聞こえてくる。しかし、何軒も並んだ土産物屋の殆どは店を開けてはいない。基本的には観光シーズンは終わっているのだろう。
岩は、その芝生の広場の先の崖の下の海岸にあるらしいのだが、観光客がちらほら居るので、クラッシュパッドを背負って歩いてゆくのも何となく恥ずかしいから、最初は、少し手前の漁港に行ってみることにする。
灯台の入り口の手前の十字路を海に向かって進むと、道は緩やかにカーブしながら海辺へと下って行く。
下り終えるとすぐに左側に防波堤が見え、右側は少し細長く広い舗装された広場の様になっている。その端から崖の下の間にはお墓が並んでいる。道はそのまま漁港に入って行く感じになっているから、一先ずその広場のお墓の前に自動車を停める。
一応、支度を整え、薄目のクラッシュパッドに包んだ荷物を背負って歩き出す。
防波堤の内側の遊歩道の様な所を灯台方面に歩くと、程なく防波堤は切れ、浜辺に大きな岩が見えてくる。
何となくボルダーは有りそうだと、期待を膨らませて、小さな岩が少しゴロゴロした浜辺を進み、中途半端な岩を乗り越えて、尚も進む。すると、目の前に適当な大きさの、適当な高さの、適当な壁を持った岩が現れる。先ずはあの辺から触ってみよう。
パッドを広げて、ストレッチをして、チョークバックもぶら提げて、大事な大事なデジカメを三脚に用意して、岩を触りに行く。
ん、待てよ、なんか脆くないか。少々不安を覚える。
恐る恐る、岩を叩いてみる。別に浮いた音はしない。カチっぽい岩を掴んで引っ張ってみる。
ポロッ。やったぁー。駄目ジャン。まぁ、一応の結論である。何百キロも走ってきて、結果はこれかよ。昨日の遊仙峡の沢沿いの道を歩いていた時よりも落胆は大きかったかも。って、実際はそれほどでもなかったのだが。
ガバを掴んで静かに引っ張ってみる。まぁ、真下の方向に力を加えているから、こいつは取れてはこない。別の出っ張りを触ってみる。それも意外としっかりしている、気がする。若しかしたら行けるかも。20年ほど前に、具体的な場所はどこだかわからないが、どなたかが、ここ入道崎で14本ものルートを登ったとの情報はある。登れないはずは無い。とその情報を信じ、高さ4mほどの、ほぼ垂直の壁を、ガバを頼りに登ることにした。
先ずは離陸のホールドとスタンスを確認し、2〜3歩登って手順を確かめる。これでよし。デジカメまで戻り、セルフタイマーをセットして、急いで登り始める。
一手一手確かめながら、一歩一歩確認しながら、上まで登る。やったー。これで秋田県でもボルダーを登ったー。
デジカメに戻り画像を確認すると、何時もの癖で、画面いっぱいに岩を写している。でも、こんなショボイ岩を画面いっぱいの大写しにしてみても面白くも何とも無い事に気付く。デジカメを引き、もう一度離陸のやり直しをする。
画像を確認したら、やっぱり画面を引いたほうが良さそうだと満足をする。
外にも登れそうな岩は探せば有るかも知れないが、どれも余り面白そうには見えない。それにこんなところで怪我をしても馬鹿らしい。そう考え、クラッシュパッドに座って、今朝、トイレの水で洗ってきた昨夜買ったリンゴを齧りながら、海を眺めつつ、ボーっとしてしまった。
戻るときに、少し面白そうに見えた岩があったのだが、波打ち際だったので、登ることはしなかったが、一応写真を撮ってしまった。
灯台の場所まで戻り、土産物屋の駐車場に自動車を停めて、少し付近を歩いてみた。すると、その駐車場の先に、トイレのある舗装はされていないが、駐車場らしいところが見えたので、何となく土産物屋の駐車場に見える駐車場を避け、そっちの駐車場に自動車を移動させた。
一応義務は果たしたという感じで気が楽になったので、今度はクラッシュパッドに包んだ荷物を担いで、モニュメントがポツンポツンと散らばった、芝草の原っぱを海に向かって歩きだす。とはいっても、灯台からは離れた、反対側の草原の端っこを目掛けてではあったが。
実は、ボルダーの情報なんか何も無い、以前どなたかがどこかを登られたと言う僅かな情報しか無いここへは、秋田県内の岩が登りたいがために、ただそれだけのために、わざわざ何百キロメートルもの道のりをたった一人で自動車を運転してやって来たわけである。何しろ、秋田県という県には公表された岩場は殆ど無いのである。三崎海岸も、実は岩がある場所は山形県なのである。だもんだから、登れさえすればどんな岩でも、一応岩でさえあればどんな岩でも良いわけである。いや、例え泥でも、岩に見えさえすれば良いわけである。質もグレードもそんなものはどうでも良いのである。まぁ、百名山登りと殆ど変わらないわけである。
そんなわけだから、ちょっぴりだが、義務を果たしたという気になった訳である。
草原の端っこに行くと、そこからはそのまま、草の中にボルダーらしきものがポツンポツンと見える、そんな状態の急傾面で海岸まで落ち込んでいる。そして、その草原の台地には、所々、大きなガリーのような水のない入江が入り込んでいる。丁度その入江の一つの淵まで行ってみる。すると、その入江の入り口辺りがちょっとした尾根状になっていて、その尾根上に踏み跡が降りている。その踏み跡を使って海岸まで降りていった。
浜辺には、大きな岩頭がニョキニョキと生えている。岩頭と岩頭との間は小砂利の浜になっている。そんな浜を、相変わらず灯台とは反対の方向に歩いてゆく。
海に張り出した半島状の部分のコルを乗っ越し、隣の浜にも行ってみたが、大きくても、傾斜の無い岩ばっかりだから、登れそうな岩はなかなか現れない。あんまり先に行ってもしょうがないからと、適当なところで引き返し、今度は灯台の下を目掛けて歩き出す。
斜面を見上げると、何となく良さそうな、僅かに被ったように見える平らな面の真中にクラックが走った岩が見える。よし、あれを登ろう。
パッドは置き、サブザックだけを背負って、ウイピングラブグラスで被覆された、傾斜のきつい、茨も生えている、滑って歩きにくい斜面を四つん這いになって登って行く。
指や掌にトゲを刺しつつ、何とか岩に近付くと、下から見たよりははるかに小さい岩である。スタートしたら次はリップが取れる、それくらいの高さの岩である。おまけに被っていると見えた壁も、実際は僅かに寝た感じである。でも、折角苦労して、登ってきたのだからと、わざわざしなくとも良いSDで一応登ってみた。
降りてきた場所を過ぎ、灯台の下に近付くと、ちらほら観光客の姿も見え始める。
丁度、踏み跡ではなく、コンクリートの舗装をされた感じの階段が降りてくる辺りに、3mくらいの平らな面の壁を持った岩が現れる。やっと登れそうな岩を見つけたか。今度はこれか。
ここの岩は、適当にクラックが走る岩である。だから、脆いわけでも有るのだろうが。
この岩も縦、横に適当にクラックが走っている。難しくは無さそうだ。下地も悪くはない。
パッドはそっちに置いておいて、足拭きマットを持って岩に近付いてみる。そこそこ登れそうである。デジカメをセットして登ってみたら、まぁ、何とか登ることが出来た。多分今までで一番ボルダーっぽい壁では有った。
裏に廻ってみたら、その面も登れそうである。左端のガチャガチャはしているが、ほぼ垂直の壁をガバガバで登る。
その右隣の面がそこそこホールドも遠そうな感じに見えたので、そこも登ってみる。しかし、ホールドを全面的に信用するわけには行かないから、上の方の、チョコッとした出っ張りを越える勇気が起こらず、途中で先に登った左の方に逃げてしまった。
尚も進むと、灯台の下辺りの岩壁が迫ってくる。
浜辺の真中辺りにニョキッと生えた感じの岩が現れる。高さは一番高いところで5〜6mも有ろうかという大きな岩である。この岩は、なんだか物凄く凸凹した平均すると垂直に近い角度の面を持っている。ホールドやスタンスはそこそこ有りそうに見える。しかし、所々被った感じになるから、少しは面白そうに見える。
途中まで登り、少し被った状態の面でガバホールドを掴んだら、その一辺が20cmはあろうかという大きさの岩のブロックが、カバッと剥がれてきた。そして、そのまま下に落ちていった。危ない危ない。その上も同じような壁だから、残念ではあるが、ここはもうやめることにしよう。
でも、ほんの少し諦めきれず、右の方のより被った部分に取り付いている所の写真を撮ってしまった。
そこから先は上の台地との壁がだんだん高さの高い岩壁状になってくる。浜も磯状になってきて、そこの岩も大きくなってくる。もう先に進んでも駄目だろうと、その辺から引き返してきた。
立派な階段が上のほうまで上がっているところがあったので、その階段で上に上がる。すると、丁度灯台の前に出た。そのまま舗装された遊歩道を灯台を巻くように歩いてゆくと、水中透視船だかの船着場に下りる階段が出てくる。その船着場の先に良さそうな岩が見える。
立派なコンクリートの手摺のある階段を下りてゆくと、3杯ほどの船が引き上げられている船着場の待合所の脇に出る。営業は10月いっぱいらしく、人はいない。しかし、防波堤の先には釣りのおじさんが一人いた。
引き上げた船を固定する何本ものロープの交錯するところを避け、待合所を大きく迂回してその船の前のコンクリートのスロープに出ると、右奥の方に良さそうな岩が見えてくる。
3〜4mの高さののっぺりとした、何となくボルダーっぽく見える、僅かに寝た壁になっている。降り口を探してみたら、何とか降りられそうな場所が見つかったので登ってみることにした。
触ってみたら、意外と岩はしっかりしている。まぁ、今までに比べればだが。
ほんの少し手ごわかったが、何とか登ることが出来た。
ここは、今までの岩とは何となく違う感じもする。何となく岩が黒っぽいのである。それに、今までの様にガチガチした感じが無くベロンとした壁で、何となく岩もしっかりしている感じなのである。と思って、カチスタンスに立ってみたら、やっぱり割れてしまったから、大筋では変わらないようだったが。
その少し奥の岩壁の基部にも良さそうな壁を見つける。高さは4mくらい、僅かに寝てはいるが、今までで一番ツルッとした壁である。下のほうに水平に走るクラック以外は顕著なクラックもない。取り付きが少し高いところだから、高度感もある。でも、カンテ絡みで行けば登れそうだ。
カンテ以外は細かいホールドしかなかったが、途中で上のほうでカンテを回り込むような感じで逃げてしまったので、何とか登ることが出来た。
上に抜けて見ると、その岩の裏にちょっとした浜が開けており、何となくボルダーが有りそうに見える。荷物を纏め、斜面を少し登って岩を回り込み、その浜に下りようとしたのだが、岩が立ちはだかって下に降りにくくなっている。仕方がないから、そこを空身で降りて、偵察に行ったら、波打ち際の方から簡単に巻く方法が見つかった。
荷物を取りに戻り、波打ち際を廻ってその浜に行く。
浜の奥の岩壁の際に、縦にクラックの走ったちょっとした岩を見つける。面白そうに見えたので、そのクラックを使って登ってみたら、意外と簡単に登れた。
その岩の浜側に、大きな薄っぺらい岩が45度くらいの傾斜の斜面に縦半分位掛かって、寝そべった感じで転がっている。残り半分はその斜面からはみ出しているから、ちょっとしたルーフ状になっている。そのリップに飛びついてマントルしてみたら、意外と簡単だった。
そろそろお昼近くになる時間である。9時頃から岩に触り始めたから、既に3時間くらい遊んだことになる。脆いだの、ショボイだの、色々なことを言った割には結構遊んでしまったようだ。それに、その先はやはり絶壁になって、多分最初に降りた浜に続いているのだろうからと、そろそろ引き上げる事にする。
丘の上に上がって、灯台の広場まで戻ると、5mくらいの薄っぺらい岩のモニュメントが建っている。ここに来る前にインターネットの写真でその存在を既に知っていたモニュメントであり、万が一登る岩が無ければそれでも登って帰ろうと考えていたモニュメントである。
実際に見てみると、以外に高い。それに、天辺まで登ってしまうと、下は、石のブロックが敷き詰められているから、途中からでも、飛び降りるに飛び降りられない状態である。一瞬迷ったが、ここはどうしても触っておかなければと、触ってみる事にした。
真っ直ぐ、べろんとした壁が立ち上がっているが、カンテを使えば登れそうである。触ってみたら、なんだかモルタルで被服がされている。従って、フリクションはばっちりである。といって、チョークを付けるわけには行かないから、登るとすればノーチョークであろう。
デジカメを用意し、わざわざ靴を履き替えて、途中までだったが、登ってしまった。幸い、遠くには観光客が何人かいたものの、近くには誰もいなかった。
降りてきて、写真を見たら、チョークバックをつけていなかった。しまった。チョークバックを付けるのを忘れていた。と思ったが、わざわざチョークバックを付け直して再度登るのも気が引けたから、それでお仕舞いにした。
灯台を回り込んで、舗装された遊歩道をあがって行くと、一番最初に漁港の方から行った浜の上の方だろう所に草原が広がっていたので、一応偵察に行ってみる。でも、その辺は完全に絶壁になっているようで、下の浜の様子はよくは見えなかった。
その広場の遊歩道の淵に、なんだか看板が立っていたので、見てみたら、この辺の地層のことが書いてあって、そこには、そこから南方約1kmの所の赤島というところに、花崗岩が露出していると書かれている。花崗岩と聞けば見に行かなければなるまい。
原っぱを抜けて自動車に戻る途中、この原っぱと、下の浜辺全体の写真を撮るのを忘れていたことを思い出し、全体の写真を撮ることにする。しかし、灯台を入れて写真を撮るには、この場所は逆光になってしまう。浜も、太陽がある方向に広がっているから、やっぱり逆光になる。仕方がないから、灯台の向こう側の最初に浜に下りた辺りまで、荷物を担いで歩いていった。
適当なところで写真を撮り、自動車に戻る途中、大きな望遠レンズのついた写真機を持っている人が自動車に乗り込もうとしていたので、その方に赤島の有りかを聞いてみた。しかし、地元の人ではなかったので、赤島というところは知らないがと、上に小さな鳥居の乗った島がその先にあることを教えてくれた。
自動車まで戻ると、そのカメラを持っていた方も近くに再び自動車を停めていた。
支度をしていたら、その方が近寄ってこられ、千葉からかと声をかけてくる。で、少しお話をしてしまった。
来たときとは反対側に少し進むと、道端に自動車が結構停められている。釣りにでも来ている人達なのだろうか。
少し先に海側に入る道があると聞いていたので、海側に入る道を見つけ、はいっていってみる。するとやっぱり、その先の少し広くなった場所には何台かの自動車が停められていた。
その自動車を停めた場所から下の浜を覗くと、浜で働いている感じの人が見える。早速降りていって、赤島のことを聞いてみたら、隣の浜だと教えてくれる。で、そこにはどうやって行くのかと聞いたら、歩いていけば隣だと教えてくれたから、早速歩いていってみた。
ちょっとした岬状の場所を巻くと隣の浜である。その岬状に張り出した尾根みたいな所を見上げると、確かに、見慣れた花崗岩のような岩石が顔を出している。でも、大きな岩ではない。
隣の浜は小さな漁港のようになっており、総じて平らな浜である。期待をしたボルダーのようなものは、その岬の先に伸びる、それほど大きくはない岩くらいしか見えない。
コンクリの船を出すスロープまで行って、振り返ってみたら、確かに、その岬の先から海に伸びている岩が花崗岩の様に見える。しかし、高さは無いし、海の中だし。ほんの少し失望して自動車に戻った。なんだかんだで、1時頃になっていた。
ここ男鹿半島は色々なところに岩がいっぱいあるようだったので、来るまでは、色々な場所を偵察して丸一日遊ぶ積りで来たのだが、これでは外の岩場も多分同じ状態であろう。それに、天気が悪いといわれていた明日も意外と天気は保ちそうな感じである。ここで一日遊んだ後は、夜中の内に高速に乗り、ゆっくりと帰るつもりでいたのだが、これなら最初の目的だった広田も回れそうだ。まだ1時だし、やっぱり明日は広田で遊ぶことにしよう。
そう決まれば、早速移動である。男鹿半島の海岸をぐるっと廻る予定も変更し、三陸海岸を目指すことにする。でも、田沢湖だけは廻っていこう。そう思って、田沢湖の近くを通る国道48号を通って盛岡を抜けて行くコースをカーナビにセットした。
帰りは「なまはげ街道」だか「ライン」だかを走ってみた。
少し走ったら、広い道が右の方から合流してきた。案内板には、その道でも入道崎に行けるように書かれている。そうか、半島を少し廻ってみても、こんなに近くでもとの道に戻るのだったら、もう少し海岸を走ってみるのだった。少し後悔する。
今回は前回の失敗を教訓にして、まだ半分位しか減っては居ないガソリンを秋田市内で1リットル当たり122円で補給し、国道13号線を淡々と走る。
結構走って、「かみおか」という道の駅による。しかし待てよ、そろそろ46号線に分岐するはずなのに。地図を確認したら、分岐は既に過ぎてしまっている。確かカーナビは46号経由で設定したはずなのに。
仕方がないから、ほんの少し戻って、県道を使って角館から国道105号に入り田沢湖に行くことにする。
既に4時を過ぎている。カーナビの到着予想時間は5時を過ぎている。5時を過ぎてしまうともう暗くなってしまう。少しだけアクセルを踏んで、殆ど自動車の居ない県道を走っていった。
その甲斐あってか、4時過ぎには湖畔の「たつこ」像の前の駐車場に到着することが出来た。
しかし、たつこ像がいただけない。金ピカなのである。金色のペンキを塗りたくった感じなのである。いかにもえげつない像に見えるのである。湖も普通の湖だし。一応たつこ像の近くの湖畔の小さな神社を見学して出発した。
途中「鏡石」という石があるらしい「御座ノ石神社」というところの前を通ったのだが、歩くだろう「鏡石」もあまり興味が湧かなかったので、そのまま素通りしてしまった。
国道46号線に合流し、なんという道の駅だったかわすれたが、雫石の近くの道の駅に寄ってみた。すると、ここにも温泉があった。見ると500円である。昨夜も入ったしと少し迷ったが、思い切って入る事にした。
新橋場温泉という温泉らしい。どうやら源泉架け流しのようだ。少し色の着いたぬるぬるしたお湯である。一応は露天風呂もあるし。
四方を壁に囲まれ、湯船の上には屋根の掛かった、なんともせせこましい、おまけに照明がないからなんと無く薄暗い露天風呂ではあったが、それがかえって落ち着いたのか、少しゆっくり過ぎるくらいゆっくりと湯に浸かってしまった。
余り湯に浸っていても仕方がないからと風呂場に戻ると、ないと思っていたサウナがあることに気付く。ということは、サウナにも入らなければ。サウナを見ればはいらずには居られない性質なのである。
何も考えずに、10分計の砂時計を倒す。先客は一人である。
暫くじっとしていたのだが、何しろ、何時に無く永く露天風呂に浸かっていたものだから、それでなくとものぼせ気味である。10分計など倒すのではなかった。と考えはしたが、倒してしまったのだから砂が落ちきるまでは入っていなければならない。既に先客も出て行ってしまったし、途中で出てしまったところでどうって事はないのだが、自分にとって、何となく気持ちが悪いのである。ただそれだけで10分間を頑張ってしまった。
少しふらふら気味でサウナを出て、水風呂に入る。なんだかすごく気持ちが良かった。
ここで夕食でもと考えたのだが、ここから少し行けば盛岡である。盛岡まで行けば、「〇まつ」とか食べ物やは有ろうと、そのまま先に進む。
盛岡の町に入ってくる。しかし、盛岡は横切るだけだからか、カーナビの示す道は郊外だろうさびしい道である。食べ物屋等殆ど出てこない。そうこうするうちに4号線に出てしまう。これを越えたらまたしてもさびしいところにはいってしまうのだろうと、カーナビに反し、4号線を盛岡の中心部方面に左折する。
暫く4号線を走ったが、目立つものは、カーディーラーしか出てこない。盛岡って、ファミレスもないのだろうか。仕方がないから、またしても中心街方向と思われる左折方向に曲がってみる。
そんなに狭い道ではないのに、やはり薄暗くて寂しい道である。と言って、駅前なんぞに行こうものなら、駐車場に困ってしまうだろうし。再び4号線に戻り、カーナビが示す396号に沿って暫く4号線も走るので、396が4号から離れる辺りまで4号を走ることにする。
北上川を渡り暫く走ると、右側に見慣れた赤い看板が見えてくる。やっぱり「〇まつ」が有ったのだ。即右折で入る。
鯖の塩焼き定食を頼む。
ここは割引券があるとドリンクバーが50円になるシステムである。しかし、今回は一人だから割引券を持ってこなかったものと思い、ドリンクバーは頼まなかった。
食事が来るまでの時間で、何となく気になったので、財布を調べてみたら、やっぱり割引券があるではないか。追加で頼もうとも思ったが、もうすぐ食事が来るだろうしということで、やっぱりドリンクバーは頼まなかった。
田沢湖、温泉浴、食事と結構ゆっくりしてしまったが、250kmを10時間足らずで、10時頃には2回目になる陸前高田の道の駅に到着した。