野立岩その2

2002年10月28日記
 日曜日にジムの仲間6人と7人で、小生にとっては2回目となる、栃木県塩原温泉の野立岩に行って来た。相棒は今回はお休みである。

 土曜日の夜8時にジムの近くの駅前に集合。途中ガソリンを入れて行くと5分程遅れてしまった。

 駅前のコンビニで買い物を済ませ小生の車ともう一台の二台の車で出発する。最初の集合場所は矢板北パーキングエリアである。

 途中、首都高で少し降り出した雨が、東北道で大粒の雨となって降り出す。でも、その雨も程なく小降りとなり、降っているのかいないのかわからないくらいになる。

 後ろから、すごい勢いで赤色燈を点滅させた車が追い越して行く。パトカーだ。160km以上は出ていたであろう。あっと言う間に見えなくなった。

 やっぱり事故だったようだ。でも、あんなスピードを出す必要ないのに。何時もの事だが、完全なスピード違反である。

 案の定パーキングンにはもう一台の車の方が先に到着していた。因みに小生の車は3人、もう一台は4人乗車である。聞くと、彼らは首都高が渋滞との情報により、外環を利用して東北道に乗り、途中、我々の車を追い越したらしい。

 西那須野塩原のインターで降り、小生の先導で次の集合場所である、関谷の道の駅を目指す。途中道の両側にはコンビニが何件かある。コンビニなんて無いと思って集合場所の駅前のコンビニで買い物をしたのに。

 既に、11時を廻っていると言うのに、どうしてこの道の駅には多くの自動車が停まっているのだろう。前回の時も多くの自動車が停まっていた。とってもここでテントは張れないと、塩原温泉付近で天馬を探す事にする。

 地図で適当な場所を探し、そこを目指す。途中、温泉街で、お酒を売っているコンビニに寄り、お酒を買って、我々の行こうとしている場所の行き方を教わり、ついでに塩原温泉の案内図を貰う。

 その場所、一寸した公園なのだが、舗装された駐車場が有り、トイレまである。近くには民家も余り無い。非常に静かな場所である。その駐車場には一台の自動車が停まっていたが、その反対側の駐車場の隅に二張りのテントを建て、2台の車で取り囲む。

 一つのテントに集まって、何時ものささやかな宴会が始まる。何時もの話しで盛り上がった後、それぞれのテントに戻る。1時頃だっただろうか。

 朝8時過ぎに起きる。トイレに行くと、そのそばに水道迄ある。そこで、もう一台停まっていた車の人らしい人が水を汲んでいる。あの車、人がいたんだ。

 濡れたアスファルトの上に張ったために濡れてしまっていたテントを乾かし、それぞれで朝食を取り、野立岩に向かう。

 野立岩の駐車場は既に沢山の自動車が停まっている。やっぱり時期が時期だからか結構観光客は多いようだ。

 支度を整え、野立岩の河原に降りる。二人は野立岩から直接河原に降りるが、残りの5人は少し先の、前回我々が降りた所よりはずっと手前の、遊歩道が切れた所の斜面の藪から河原に降りる。日が照っていて気持ちが良い。

 後悔岩の前に荷物を置き、インターネットで公開してもらっているトポを基に各岩を見て廻る。水岩の下地には少し水がついている。桜岩も半分から川側は下地が水没している。川の水位は前回来た時と殆ど同じ位だが、多分何時もよりは少し多目なのだろう。

 やっぱりもう一台の運転手の彼が一番にアップで後悔岩の側壁の易しい課題から登り始める。続いて何人かが同じ課題を登る。その左の面の左の方の易しい所を登り始める人もいる。小生はその様子を写真に納める。

 皆が一通りアップを終わった頃に小生も徐にアップを始める。やっぱり、後悔岩の皆が登った所を登る。

 前回小生が登れなかった、後悔岩の右の「後悔」という3級の課題を皆が登り始める。で、小生がその先がわからなかった所で行き詰まる。マットを敷いていないから、次のホールドを探って、見つからないと飛び降りる。何人かがそれを繰り返す。そんな中、誰かがその上のホールドに手を飛ばし、止める。すると、他の人もその様に登る。別の一人は、右手斜めカチで左足を斜めのスタンスに上げ、皆がデッドで取ったそのホールドをスタテイックに取り、登る。

 登った人は、その課題の左の方を登り始める。残された二人と小生の三人でその課題を続ける。その三人、下が岩盤で少し高いから、なかなか思い切って手が出せない。

 小生が飛び降りた時、踵を少々打ってしまう。もう一人もころんでどっかを打ったらしい。小生、やっぱりマットを使おうか。もう一人の仲間が、折角マットを使わない人達と来ているのだから。小生、まだもう少し頑張るか。3人なかなか勇気が出ない。一応手は出すのだが。

 再度、小生、マットを使うか。仲間、そうしよか。で、どうせならと、今回持って来たマットを総動員して、って、小生のマットとその仲間のマットの2枚だけだが、下に敷く。

 マットを敷いた途端に仲間二人は上に抜ける。やぱりマットはすごい。小生一人残される。

 皆が、エロンチョ岩とかいう岩の左の穴を使うマントルの課題をやっている。所が、結構これが難しいらしい。小生も、前回、どうしても恐くてあと一歩で出来なかった課題である。三段ボルダラーも苦戦している。

 程なくこれも皆が次々と登り、右の穴の課題に移る。後悔を半ば諦め遅れて参加した小生だったが、ここでもやっぱり一人残される。グレードが違うから、当然では有るのだが。

 この右と左の穴の真ん中の凹面をマントルする課題があるらしい。因みに4級らしい。で、誰も出来ない。途中から参戦した、某有名ボルダラーも出来ない。果たしてここはどうやって登のだろうか。因みに、ここも下が岩だし、その岩に乗ってのスタートだから、落ちたら結構恐い所なのである。頑張って、頑張りきれなければ自分でスターと地点の岩の上まで戻らなければならないのである。増してや、走って来てマントルなんて出来る場所では無いのである。

 後悔岩の後悔は薄かぶりの課題だから、一回やると疲れる。暫く休まなければ次のトライが出来ない。そんなことも有って、エロンチョ岩に浮気していたのだが、また後悔に戻ってトライする。右足を探して決めて見るが、左足が滑ってしまう。残念。

 またエロンチョ岩の左である。左手大きな穴をサイドで持ち、右手小さな凹みに添えて、左足をハングの下のスタンスに置き、右足を右のリップに掛けてマントルをする。身体が上がって来たら、右上の小さなカチに手を伸ばし、マントルを完成する。と言うのが一般的なムーブのようだ。右上のカチは使わずにマントルを返す人もいるが。

 小生は、その右上のカチの近くまでは手が行くのだが、あと1cmのところでカチに手が届かない。身体を上げると左手が効かなくなって来るから、あと1cmがきつい。右足のリップも斜めのリップだからしっかりと掛かる訳でもない。

 何回かやって、左手に頼り過ぎているのではないか。右足にしっかりと乗り込んでいないのではないかと考えるようになった。それを意識してやって見ると、確かに身体は上がる。しかし、右手を伸ばしてカチを取ろうとすると身体が下がってしまって手が届かない。

 少し休んで、また右足に乗るんだと言う意識を強く持ってやって見たら、右手の指先がカチの縁にようやくかかった。左手の負担が少し減った。身体が上がって行く。

 前回も敗退したこのマントルがやっとできた。マット無しに、この時はスポットも無しにやっとできた。4級らしいけど、やっぱり出来たら嬉しい。右もやって見たが、右は足がリップ迄上がらなかった。

 仲間が、FLY high という課題を触るために、下地の水たまりに石を運び始める。

 一人がその課題で左足のヒールが外れ、被っているから、背中から落ちる。たいしたことはないと言っていたが、肱や前腕の裏を思いっきり擦りむいたようだ。結構な出血をしていた。

 小生は後悔をしつこくやる。最初次のホールドに手が届いても掛かる気がしなかったのが、若しかしてホールドに手がかかるかもという感じがしてくる。しかし、すでに、パワーは大分落ちている。こんなことなら、最初からマットを使ってパワーをセーブしておくのだった。後悔する。? で後悔か? そんな馬鹿な。

 野立岩の影のぼろという課題を見に行く。下地に水が来てはいるが、濡れずに離陸は出来そうだ。しかし、岩がボコボコしているわりには逆層で良いホールドが見つからない。後ろには大きな流木が横たわっている。飛び降りる訳にも行かなそうだ。戻る。

 テーブル岩を触っている人がいたので、一緒に触る。

 この岩は低いから、地面からリップが取れる。難しくはない。ハングした部分の課題を登る。易しい。もしかするともう少し右かな。やっぱり難しくない。SDでやって見る。できた。ついでに課題の設定の無い所とかも色々と登って見る。

 後悔の合間に、その岩の左側の易しい課題を触って見る。先ずはカンテである。まぁ、適当にカンテも使って上に抜ける。この辺は前回も触った課題だが、暇だからまた登って見る。

 次はその右の大きなホールドで直上とかいう課題である。大きなホールドもあるが、顕著なホールドは幾つも無い。スタートが悪いらしいが、そんな気もする。次はその右の大きなカチで直上に触る。これも、まぁ、カチかなみたいな感じだが、それで良いのかどうかはわからない。

 この岩、全体にホールドがわかり難い。いっぱいあるようで、どれもが、そんなに良くはない。所々掛かるホールドは有るが、繋がらない。ラインが読み難いのである。仲間もそう感じているらしい。下地は岩盤だったり岩が出ていたりで良くはないし。なんか難しい岩に思える。

 結局、ここの左の易しい所はマット無しに3ヶ所くらい登った後に、そのまた右のスタート出来そうな所を一手出て見て、恐かったからそれで終わりにする。

 仲間の何人かが水岩を触り始める。水岩は、その下まで水が廻っているから、下手に落ちると水に落ちる。高いから恐い。当然課題も難しい。小生は眺めるだけである。

 水岩の裏側の被った部分の一番右ッ側に少しアンダーチックなポケットでスタートして、次のカチっぽいポケットを取ってリップをとり、マントルするような課題を登っている人がいる。見るとそんなに難しそうではない。もう一人も登ったので、小生にも出来るかもと取付いて見る。

 スタートして、3.5本の指が掛かるポケットで足を上げてリップを探る。ホールドが余り良いのが無い。後ろの岩との間に挟まった流木がすぐ後ろに突き出しているので、狭い。流木に触る。ホールドを模索する。流木を避けるのが大変である。もう流木に触っちゃったから流木に寄り掛かるか。すると、流木が動く。10cm位の長い丸太だから落ちると危ない。隣の岩に逃げてしまう。

 流木が無ければ出口がちょっと悪いが、ダイナミックでホールドもはっきりしているし、結構面白い課題である。

 小生は相変わらず後悔を飛ぶ。もう完全に疲れてしまっているのに、斜めのカチから次のホールドに手が出る。それも段々ホールドに掛かる感じになって来る。前回は離陸すら大変で、この斜めカチはほんの何回かしか触らなかったと言うのに。それだけ岩の状態が良くなったと言う事か。

 仲間が穴パワーとい岩の課題に触っている。この課題、何だかあまり良くわからないらしい。もう一人の仲間が、穴からのスタートが出来ないと、その穴と右上の窪みを使って上に抜ける。小生、そのスタートも出来ないから右手もう一つ上のホールドでスタートする。すると、すごく簡単である。

 降りて来て、穴の持ち方を仲間に教わる。やって見たら、その仲間と同じ穴とその横の窪みで離陸ができた。次のホールドは取りそこなったが、多分取れるだろう。

 その仲間と野立岩に行き、その仲間が折角の野立岩だからと野立岩の少し寝た側壁を登る。いつのまにか皆が集まり、もう一人の仲間が、その右のもう少し立ったところをワンハンドで登り出す。この仲間はワンハンドが好きらしい。小生が両手を使っても登れない所をワンハンドで簡単に登ってしまう。そう言えばその人、小川山のビクターのコンケープと言う課題をワンハンドで登ってしまったっけ。

 仲間が、水岩の川側にある岩の斜めのカンテを登り出す。下の岩に乗って、伸びるとカンテのホールドが取れてしまうのだが、それを、右の縦ホールドと、左のカンテでスタートし、右縦ホールドの下のガバにヒールフックで右上のカンテのホールドを取りに行くと言う限定で登っている。もう一人の仲間が真似をする。

 少ししてから小生も真似をして見る。もう力が無いし、縦ホールドが持てないから、スタートが出来ない。右上のカンテのホールドをいきなり取って見る。でも、ガバではない。降りようと、飛び降りると、有ると思った岩が無くて足を思いきり空振りしてしまう。その反動で少し後ろによろける。2〜3歩下がってやっと踏ん張る。ところが、そこは、あと一歩下がれば結構深そうな水の溜まった岩の穴に落ちる所であった。あぁ、よかった。

 仲間の一人が鳥岩に行っているようなので、靴を履いたまま行って見る。ところが、その鳥岩に行くには側壁から流れ落ちる水の流れを横切らなければならない。靴を濡らさなければ行けないのである。仕方が無いから、少し離れた所で写真を撮る。

 そこは風が抜けるのか寒い。非常に寒い。夕暮れ迄は少しは時間は有るが既に日は陰っている。その仲間は桜岩まで行ったようだが、小生はそこから引き返す。

 あと一回だけ、ということで、着込んでいたフリースと長袖のシャツを脱ぎ、後悔に挑戦する。かかった。と思ったけど、結局は止らなかった。同じ事をあと2回位やってしまったが。

 さっきからエロンチョ岩の右のマントルをしつこく攻めていた仲間が遂にマントルを返す。この仲間、満足岩でも1級の課題を最後の最後に登った彼である。

 そろそろお開きかと、皆が支度をする中、鳥岩から帰った彼が、水岩の千という課題に挑戦する。この課題、ものすごく疲れるらしい。それを最後の最後に登る。やっぱりすごいや。

 帰り支度を始める少し前に、一人のおじさんが降りて来た。遅れてもう一人リュックを背負った人が降りて来た。どういう人なのだろうか。観光客なのだろうか。一人は紐締めのサンダルを履いている。声をかけて来ないから特にお話しはしなかった。

 我々が野立岩を登り、上からそのおじさんを見ると、どうもクライミングシューズを履き始めたようだ。どうやらクライマーだったようだ。だったら声をかけてくれれば良かったのに。

 暫く前から渋滞の始まっていた道路には車がいっぱい並んでいた。

 駐車場に戻り、福渡温泉不動の湯に行く事にする。駐車場の隣のガソリンスタンドで聞くとすぐ近くらしい。ところで、この温泉、混浴らしいのだ。で、一人だけの女性の仲間に聞くと、おばさんが入っているだろうから大丈夫だと言うので、一人気の進まない仲間がいたようだが、皆で行く事にしたのだ。

 途中、場所がわからない事に気付き、車まで温泉の案内図を取りに戻る。その案内図に従い、次の橋まで歩いている途中で不動の湯の指導標を見付け、その指導標に従って川沿いの遊歩道に降りる。日曜の夕方だと言うのに結構人が歩いている。

 対岸の橋の袂に小屋掛けをした露天風呂が見える。脱衣場も何にも無い感じである。僅かにヨシズの目隠しがあるのみである。もしかすると岩の湯という露天風呂かも知れない。一応不動の湯を目指す。

 橋を渡り、川沿いを下流に向かって歩く。何人もの人達とすれ違う。

 遊歩道が少し川から離れた所の道の縁に横一列にベンチが置いて有る。その一番端に一人の女性が座っている。近付くと、足湯の様だ。殺風景な林の中に、ベンチと桶だけの足湯。

 不動の湯も、完全露天、囲いも無い、そんな感じだ。とても女性の入れる雰囲気ではない。岩の湯よりも混んでいるみたいだし。おまけに、タオル、水着禁止とまで書いてある。開放的な、掛け流しの入浴料百円の露天風呂、ちょっと残念だったが、町営の五百円の温泉施設に行く事にする。帰りに足湯の傍を通って、なるほど、連れの女性がこちらを利用するのか。そんな訳はないか。

 途中、相変わらず、道には自動車が並んでいる。それを見ながら反対方向に走る。帰りはこの列に並ぶのか。少し失敗したような気になる。

 偶々貰ったその温泉施設のパンフレットを見ると、入浴料の他に入村料二百円と書いてある。えっ、そんな。風呂に入るだけで。駐車料金かしら。5時以降は只だったりして。とかなんとか言っている間にその温泉施設のあるなんとかパークに着く。

 入口の料金所には人はいない。こんな夕方から入村料でもないから、予想通り、夕方からは只になったようだ。受付で聞くと、やはり5時以降は入村料はかからないらしい。ということはそれ以前はかかると言う事だが。

 ロビーではNHKテレビの浪曲の番組をやっている。ここ久しく浪曲なんて聞いていないから、なんとなく懐かしい。

 出て来たら、まだ浪曲をやっていた。大体1時間弱だから、5時からの1時間番組だったのだろう。誰もチャンネルを変えなかったようだ。

 既に暗くなった道を駐車場まで戻り、次の集合場所をインターの近くのファミレスに決めて出発する。既に渋滞は全くなくなっていた。高々1時間なのだが、やっぱり日曜日の夕方、暗くなってから帰る人は少ないようだ。

 行きに寄った関谷の道の駅の横のファミレスで夕食にする。味噌汁漬け物付き親子丼を食べて、足代を清算して一応解散する。

 運転を仲間に変わってもらって、西那須野塩原インターから東北道に乗る。西那須野、宇都宮間で渋滞しているらしい。やっぱり、高速は混んでいるんだ。最近日曜の寄るの高速は余り乗らないから。上河内サービスエリア付近から詰まりだした。

 後ろの席で少し、いやいっぱい寝かせてもらって、東北道の浦和料金所の渋滞の中で運転を代って、11時頃に出発点に戻る。帰りは4時間位かかった様だ。

 丁度ガソリンが無くなり掛けていたので、偶に行くセルフのスタンドでガソリンを入れ、家に戻った。

 途中給油無しで往復できたのだから、小川山とか山梨のエリアよりは近いようだ。泊まる場所も良い所が見つかったし、温泉も適当に入れるし、そのうちまた来ようかな。やり残した課題もあるし。


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作成年月日 平成14年10月28日
作 成 者 本庄 章