御岳ボルダーその63

2006年 9月25日記

 この時期恒例となった感のある、ついでの御岳に行ってきた。相棒と二人である。そして、ほぼ1ヶ月振りの外岩であった。

 午前中、都内でのこの時期恒例の用事を済ませ、以前渋滞に巻き込まれたという教訓もすっかり忘れ、青梅街道から新青梅街道を通って御岳に行った。幸いなことに、信号、信号でぶつ切りにされはしたが、渋滞も無く、3時には御岳に入ることが出来た。

 この青梅街道、そして、新青梅街道、てっきり国道だと思っていたのだが、国道では無かったらしい。いわゆる県道らしい。都だから、都道と言うのだろうが、その5号線らしい。青梅街道、新青梅街道共に5号線らしい。

 何時ものように、一先ずは忍者返しの岩にでもと考え、梅ヶ谷峠を越え、吉野街道で玉堂美術館前まで行った。しかし、上の駐車場は満杯で、空き待ちの自動車が一台いた。仕方が無いから、発電所脇の駐車場に行くと、こちらはまだ空きがあった。

 既に3時を少し回っていた。これから忍者返しまで歩くと、結構時間が掛かってしまう。忍者返しは諦め、デッドエンドの岩に向かった。

 相変わらず人が多い。10人以上はいただろう。当然の如く岩の下には数えなければ分からないほどの枚数のマットが敷かれていた。

 一応挨拶をし、川原の大き目の岩の傍らに荷物を降ろし、ストレッチをした。

 知った顔は見えず、やっぱり若い人が多いように見受けられた。その殆どの人はデッドエンド、そして、デッドエンド直上に挑戦していた。

 まずはアップにと、デッドエンドの右側の、カンテの課題辺りを登ってみた。

 この岩もスベスベで、スタンスに乏しい岩である。適当な丸っこい大きな出っ張りに足を突っ張り、カンテにホールドを求めて離陸してみた。左上にはちょっとしたバンド状の大きなガバホールドがある。そのホールドを左手で取り、カンテの右側に少し出て右上のリップを掴んでみた。少しスローパーチックだったので、ごそごそと手を探ったら、より持てるところが見つかった。

 裏側から降りてくると、デッドエンドの岩の川側の付け根辺りに大きな水溜りがあった。この水溜り、別に増水しているわけではないのだが、ここ1〜2年、ずっと消えずに残っている水溜りなのだ。今回もやっぱり水溜りになっており、心なしか前回よりも少し大きくなっている感じがした。

 続いて、その右の4級の課題を触ってみた。相変わらず下地が下がっているせいか、ホールドが分かりにくい。それらしいホールドを見つけ出し、足を上げようとしてみたが、そのスタンスがやっぱり高かった。当然足は上がらなかった。

 川原の方から男女の二人連れがやってきた。そのうちの男性の方がその課題の下辺りにマットを広げだした。結構大きなマットだった。仕方が無いから、また最初のカンテの課題のカンテの左側に移動した。

 さっきは、スタートに使えるガバホールドを提供してくれているちょっとしたバンドの下から、カンテの右に出てしまったから、今回はそのバンドをそのまま直上しようと、やってみた。

 大き目の出っ張りの左端を左手で持ち、右手は右のカンテの適当なところにおいて離陸し、出っ張りの右端のガバホールドを取り、左手を左上のよりガバホールドに移してみた。共にホールドは良さそうだったので、そのまま水平に走るリス辺りに両足を上げ、リップを伺ってみた。しかし、両手に頼りすぎていて、手が出ないからもたもたしていたら、二人連れの女性の方が、左上の方のリップを取るのだと教えてくれた。しかし、そうは言われても、少し遠い目だし、やっぱり手が出ない。そのまま飛び降りた。

 横の男性は、そのカンテと、右の4級の課題の間をまっすぐ登っていた。

 女性は、その男性のマットを借りて、小生が登れなかった場所を登り始めた。その女性は少し小柄な方だったから、カンテの右側に足を出し、カンテを少し右に回りこみながら登って行った。

 遊歩道の方から、どこかで見たような人が一人降りてきた。よく見たら、以前ジムで一緒に登っていた仲間だった。多分展覧山で会って以来だろうから、2年振りくらいである。相変わらずたまに登っているらしい。

 下にマットが無くなったので、さっきの登れなかった所を登ってみた。

 出っ張りの上の左のガバに両手を揃えてみた。右手が出た。左上辺りのリップのガバが持てた。なんだ、左のガバを両手持ちすればよかったのだ。そのガバホールドに足を上げ、その上に乗り込んで、そのまま登ったところを降りてきた。

 昔の仲間はイギリス人のトラバースをやっていた。

 先ほど男の人がやっていた、カンテと4級の課題との真ん中辺に取り付いてみた。

 その辺は、ガチャガチャした細かいホールドはあるものの、小生に持てるようなホールドは少ない。というか、おそらく無い。そこを何とかもてそうなものを探し出し、離陸してみた。

 指の上に指を重ねる方法で何とか持ったホールドで離陸するから、指がものすごく痛い。それでも何とか離陸し、足を水平のクラック辺りまで上げることができたのだが、やはり両手が離せなかった。

 意を決して、デッドエンドの面の方に参加させてもらうことにした。マットを持ってきていないから、こういうマットをいっぱい敷き詰めたところを登らせて頂くのが、なんとなく悪い気にさせられてしまうのである。恐る恐る「マットをお借りします。」と言って登らせてもらった。

 まずはそこでも何人かの人が飛んでいた、デッドエンド左のスタートである。

 この課題、普通の人のように、アンダーから直に上のポケットが取れなかったので、デッドエンド直上のスタートで使う真ん丸いスタートホールドでスタートし、左手を左上のアンダーカチに持って行って、キョン気味に、右手で上のポケットを取らなければならなかったのである。で、そのムーブをやってみた。

 アンダーカチの場所があまりよくは分からなかったので、壁に身体を入れられず、一回目は失敗した。

 二回目は、アンダーカチの場所は分かったのだが、足が決まらず、やっぱり壁に入れなかった。

 三回目、何とかポケットに指は届いたが、力尽き、落ちてしまった。

 それを見ていた、二人連れの男性の方が、右足のスタンスを教えてくれ、正対で取れるはずだと言ってくれた。一応、身体張力がなく、その正対が出来なかったから、あんなムーブをやっているのだがと言っては見たのだが、次にその正対ムーブをやってみた。すると、なんとなんだか結構楽にポケットに指が届いたではないか。そうか、小生もそれなりに身体張力がついてきたのか。しかし、指の使い方が分からず、以前の時ほど指が掛かる感触もつかめずに落ちてしまった。

 一先ず、右手でポケットが取れることを確認したので、デッドエンド直上をやってみた。

 一回目、ポケットの位置が分からなかった。

 二回目、ポケットに届かなかった。

 何でだろう。やっぱり疲れているのだろうか。今までとおんなじムーブをやっているつもりなのだが、ほんの2〜3cm届かないのだ。

 三回目、人の真似をして、今まで切っていた右足を岩に乗せてみた。全く届かなかった。やっぱり小生の場合は右足を切らねば駄目なことを確認した。

 四回目、だったかな。少し気合を入れる感じで、心持左足の踵を上げ気味にやってみた。すると、指がポケットに入った。中指と人差し指だった。

 どうやって持つんだっけ。そうだ、人差し指ではなく薬指だったっけ。そう気が付いても、既に人差し指を入れてしまっている。仕方が無いから、そのまま右に足を出してみた。少し動くことは出来たが、そのまま落ちてしまった。

 なんとなく、今までよりは、少しは持てたのかも。

 また川原側の壁に戻って、昔の仲間のやっていたイギリス人のトラバースをやってみた。

 下地が少し下がっているから、やりやすいといえばやりやすいのだろう。しかし、2手、3手辺りで足でモタモタしていたら、疲れてしまって、そのままお尻を地面に着けてしまった。やっぱりトーとかヒールとかを駆使するトラバースはきつそうだ。

 そこの一番川原側のカンテの課題を登ろうと、ホールドを探ってみたのだが、昔の記憶が全く無い。ただ、なんか見えない僅かなホールドを使ったというかすかな記憶だけである。

 昔の仲間に、そこのスタートホールドを聞いてみた。

 教えてもらったカンテのホールドを触ってみたら、なんとなく昔の記憶がよみがえってきた。仲間が言うように、親指が僅かに掛かるこんな感じのホールドだったような。

 足も、カンテの少し高めの顕著な斜めスタンスだったことを思い出したような。教えてもらっての試技だから、あくまでも思い出した気がするだけなのかも知れないが。

 そのホールド、スタンスで離陸してみた。次のホールドは、やっぱり見えないカンテの奥のホールドだったような。しかし、仲間もそこまでは覚えていなかったようだった。それに、そのムーブを起こして失敗すると、横の水溜りにボチャンの可能性もあるから、思い切ってそのムーブを起こせない。そろっと、まんまるっちーカンテを叩いてみた。何も無かった。

 なおもシツコク、2〜3回離陸してみたが、その次のホールドを思い出すことは無かった。

 ここでちょっと蛇足を。

 この3級の課題、以前に何回か遊んだ記憶があるので、過去のこの紀行文を検索してみた。そうしたらあった。「右カンテの少し奥の親指が少し掛かるミリカチホールドと左手前のフェースの一寸したカチで身体を上げて左手でカンテを捕らえ、右手をカンテの少し奥の少し掛かる所にもって行ければこの課題は終わる。」とあった。もう4年も前の記述であった。

 どこからか放送が流れてきた。多分5時の放送なのだろう。男女の二人連れが帰り、昔の仲間も帰った。5時半頃には我々以外の全ての人が帰った。マットは無くなった。

 久しぶりにデッドエンドをやってみた。

 アンダーとカチでスタートし、その上のカチに右手を飛ばし、右足を踏み変えて左足をアンダーホールドの左に伸ばしてみた。確かトウが掛かったはずなのだが、何にも抵抗が無く落ちた。疲れているのか、弱っているのか。

 またやってみた。進展は無かった。

 そのスタートのアンダーの先を偵察し、しつこくまたやってみた。

 トウが掛かった。足の腿の裏側が攣った。

 やっぱり外岩って、ジムで筋トレばっかりやってても駄目だということを改めて思い知った。でもこの歳になると、ここに通わないとその部位が鍛えられないし、たとえその部位が鍛えられても、他の使わない部位が衰えてしまう。と言うように、鍛えてもその効果は長続きがしないから、全ての部位を同時に鍛えるなんて無理だから、強くはなって行かないのだよなぁ。その鍛えた力が蓄積してくれればなぁ。いくらか指が強くなった気はするのだが、相変わらずホールドは持ちきれないし。そもそも、絶対パワーが違うんだよなぁ。デッドエンド直上は、もう無理なのかなぁ。改めて思ってしまった。

 そろそろ暗くなってくる頃だ。引き上げるか。

 駐車場に戻ったら、薄暗くなりかかっていた。

 帰りは何時ものように、梅ヶ谷峠から睦橋通りに出て、あきるのの近くのハンバーガー屋でハンバーガーを食べた。

 そこの駐車場を出るときに、バックをしたら、何かに自動車がぶつかった。降りて見ると、フェンスの角に鉄の棒が立ててあって、その棒にぶつかったようだ。お陰でバンパーの塗装が禿げてしまった。

 なんだか落ち込むことの多い日だった。


戻る

作成年月日 平成18年10月 4日
作 成 者 本庄 章