御岳ボルダーその55

2004年 9月27日記
 何となく恒例となったような気もするのだが、相棒と二人で彼岸の中日の御岳に行ってきた。御岳に行くのも、人がいるだろうエリアに行くのも久しぶりである。

 都内某所での用事を済ませた後、今回は前回の学習の結果から、五日市街道を避け、甲州街道に出て何時もの道を走る。

 立川の交差点の近くのハンバーガー屋で昼食を摂り、3時前に御岳に入り、玉堂美術館の上の駐車場に自動車を停める。空きスペースが二つ三つ有ったのだ。意外と人出は多くはない様だ。

 空がなんとなくどんよりとしている。山の上のほうにはガスもかかっている。駐車場の脇の草には露が浮いている。雨でも降ったのだろうか。

 忍者返しの岩に行くと、何人かのボルダラーがいる。中に顔見知りの人がいたので、一応会釈をする。

 何時ものクライマー返しのジャムを試みる。相変わらず留っている感じが無い。

 支度をして、マミ岩に行ってみると、岩の下にハイカーのような二人連れが寝転がっている。これじゃぁ取り付けないや。遊歩道の上の汚い岩に行ってみる。

 この岩には、以前からなかなか出来ない2級の課題がある。左手でカチを持ち、クロス気味に右手を出してリップ直下のホールドを取りに行くというのがその課題の一般的なムーブらしい。

 この壁にはそのほかにも余りかかりの良くない縦気味のカチが有る。そのうちどれを使うんだったっけ。以前の記憶を頼りにホールドを探ってみる。上の二つは縦気味のカチだから、なんか違う気がする。

 一番下にあるカチでやってみる。

 このホールドは縦もかかるし、その上の部分も親指がかかる。確か、そんな持ち方をしていたような気もしてくる。一応そのホールドで何回かムーブを試してみる。

 確かに他のホールドよりはかかるのだが、サイドで引き付けて少し腰を上げ、右手をクロスに出して行くと、なんか指が滑りそうな感じになってくる。

 もう少しで届きそうなところまで行くのだが、手が滑ると、丁度遊歩道の縁石の上に落ちそうなのである。縁石は少し段差があるし、遊歩道は舗装されているから、そんなところに落ちたら大変なことになってしまうのである。高さは1mそこそこなのだが、そのもう少しのところが伸びられないのである。今回もマットは持ってきてはいない。例えマットを持ってきていたとしても、段差があるから、落ちる訳には行かないのである。今回は岩全体がなんか湿っぽいようだし。

 それでも、足を選んだりして、何回か試してみたが、いずれも手が怖くてもう少しの所で届かない。

 別のムーブを試してみる。

 以前やっていて、スタンスがグラグラ動くのでその後やらなくなった、左足に乗り込むムーブをやってみる。以前よりは可能性が増したような気がするが、やはり右手をホールドするまでは行かない。

 その他のムーブも少し探ったりしたが、全部駄目なので諦める。やっぱり2級はまだ無理なのかなぁ。

 マミ岩の前で寝ていた二人連れらしい人達が上がってきたので、マミ岩に行ってみる。

 ここの3級の課題が小生の1つのバロメーターとなっている。両手を一杯に広げて、左手カンテ、右手縦カチでスタートできれば結構調子が良いと判断されるのである。

 それを今回もやってみることにする。

 足が無い。左足を上げるスタンス部分が無いのである。どうやら欠けてしまったようだ。という事は、小生にはもうそのムーブは出来ないのか。

 その左足を上げてスタートするムーブは他の人は余りやらないムーブのようなのだが、小生には足が上がらないから、普通の人が使うスタンスより少し低いそのスタンスで離陸していたのである。

 仕方がない。その少し右上の棚状になったところの普通の人が使うスタンスに足を上げてみる。

 少し右上だから、右足を上げてみる。やっぱり上がらない。やっぱり駄目なんだ。

 その付近のガチガチしたところを物色する。使えそうな場所は見つからない。

 何の気なしに、両手で岩を引き付ける恰好で、左足を上げてみたら、足が岩に沿って上がってゆき、そのスタンスに乗せることが出来た。やったー。

 そのままその左足に乗り込んだら、しっかり体が上がり、左手をカンテから上のポケットにゆっくりと上げることが出来る。多分、今までで一番確実に左上のポケットが取れたような感じである。

 そのポケットで立ち上がり、右手を上のほうの水平カチに持って行く。そのカチに両手を添え、右足をリップにあげようとしたのだが、届かない。ハングしたリップの下には棚状のバンドが走っていて、幾つか適当なスタンスが有るのだが、上からは見えないから、足先で適当にスタンスを探ってみる。

 長い時間探っていたのか、本の僅かな時間探っていたのか、本人には余り自覚が無い。いずれにしても、手がもたなくなってしまって、飛び降りる。

 足を確認するのを忘れていたのだ。少し休んで、足を確認して、またやってみる。

 何とか左足を上げ、右足をリップの滑りやすそうなところに置いて、少しデッド気味に一番上のリップに右手を飛ばす。

 ここは湿っているときに登ると結構怖いのである。

 遊歩道に廻って降りてきたら、見知った顔の方が現れる。最近復活、というか復活のための準備というか、をなさった方だった。

 今の小生の限界はこの辺だとか、ボルダ−のグレードはどうだとか、少しお話をする。

 まぁ、一応バロメーター課題を登ったので、忍者返しの岩に戻る。

 白狐岩の3級の課題をSDで登っている一団がいる。その左横のマントライクを触ってみる。この課題、未だに出来る気がしない。

 ガバチックなリップでスタートしても、次の手がわからない。左のガバは限定というから、その近くの持てそうな場所は使わないことにすると、左の持ちにくい縦のピンチチックなところか、某有名ボルダラーのように、いきなり岩の一番天辺を持つかしかムーブは考えられない。で、いずれも可能性を見出せない。でも、何回か虚しく右手で岩を叩いてみる。

 その横のカンテを抱きこんで登る感じの課題は、確か左足を左の方にフックして上のカチホールドを取りに行った記憶がある。そこを登っていた人に、確か左足のヒールフックで上のホールドがスタティックに取れたはずだとお話する。

 マントライクは出来ないから、その左の斜め上にトラバースして行く課題を触ってみる。

 この課題も、一番下の一番持ちやすいところからは未だ登っていない課題である。

 斜めに走るクラックの一番下の一番持ちやすいところでスタートしてみる。

 足は滑るし、ヒールはかからないし、結局今回も何回か挑戦したが進展が無かった。

 小雨が降り出したようだ。他の皆さんは帰り支度をしている。小生はまだ来てそんなに時間が経っていないから、忍者返しのスタートホールドを触ってみる。

 小生の名を呼ぶ人がいる。以前メールを頂いた方だという。その方のホームページはいつも拝見させて頂いているから、お名前を聞いて、そのHPの方だと直ぐにわかったのだが、メールの内容を最近頂いた別の方のメールの内容と勘違いしてしまって、なんとなく頓珍漢なやり取りをしてしまったようだ。

 結局そこにいた我々以外の人達は皆帰っていったので、忍者返しの岩の前には我々二人だけになってしまった。

 誰もいなくなったなか、久しぶりに忍者返しを触ってみる。

 足はどれだっけ。あれ、最近の新しい足はまた無くなったのか。とすると、スタートがまた少し悪くなったのか。

 スタートホールドはずいぶん形が変わった気がするなぁ。持ち方も、持て具合も余り変わってはいないようだが。

 右手をスタートホールドの少し上の方を持ち、左足を少しスメアチックにスタートしてみる。左足が滑る。

 やっぱり左足が滑った。そのスタンスでは駄目か。では、そこより少しだけ下の、大分昔に使ったような気のする僅かな突起でスタートするか、右足は何時もの場所で。

 スタートしてみる。離陸は出来る。左手を出してみる。次のホールドに僅かに届かない。やっぱり駄目か。

 昔を思い出して、左足に立つような感じで左手を出す。やっぱり届かない。湿気てるからかなぁ。

 忍者返しは諦めて、先程他の人達がやっていた白狐岩のカンテの課題をやってみよう。

 立ったまま、両手を広げてホールドを掴む。あれーぇ、こんなに余裕でホールドが持てたっけ。昔はパツパツだったような気がするのだが。まぁいいや。

 足を探す。斜めのちょっとしたカチスタンスがある。これかなぁ。右足をそこに突っ張って離陸する。意外と楽に離陸ができる。次は左足で左の丸っこいカンテ状を抱きこんだんだっけ。やってみるときちっとは決まらない。左手を離すと身体も離れる。

 左の方の岩を観察する。でも、別にはっきりとここにヒールをかけるとか、ここを抱き込むとかいう場所があるわけではない。なんとなく足を回して、フクラハギで抱え込む感じだったはずだが。

 右足のスタンスを変えて何回かやってみたら、右足が低いところの方が留ることを発見する。

 右足はほんの少し地面から離れたところでやってみたら、左手が離せる。左手で真上の斜めカチを触りに行ったら、直前で体が離れてくる。でも、こんな感じだ。

 2回目か3回目位に多分その辺を持った筈だという辺りを触ったのだが、全然指がかからない。あれぇー、確かこの辺が持てた筈なんだが。

 見ると、なんとなく割れたようような感じに見える。カチがなくなってしまったのだろうか。それとも、もう少し上の水平の部分だったのだろうか。いずれにしても、現在は水平のところまでは手を伸ばさないと持てそうに無い。

 足が低いと、そこまでは手が伸びないから、足を上げる算段をする。

 再び最初の斜めカチスタンスを使ってみる。最初よりは手は伸びたが、全く届いていない。もう少し高いところを無理やりスメアで出る。左足が廻らない。うーん、どうしよう。

 しばらく、ああでもないこうでもないとやってみたが、埒は明かない。以前やっていた時は下地は平らだったが、今は岩が出ている。無理をすると、岩の上に落ちてしまう。仕方がないこれも諦めるか。

 時間を見るとまだ3時過ぎだ。帰るには早すぎる。もう少し頑張ってみるか。

 忍者返しの岩に戻って、子供返しを跳んでみる。

 左手は少し高いしっかり持てるホールドをいきなり持ち、右手を右のほうの薄いカチに添えて左足で離陸し、右足を亀返しのトラバースの外傾した棚に乗せて跳んでみる。やっぱりはるかに届かない。

 さっきの白狐岩の一番右いある課題をやってみる。

 途中のちょっとした棚で離陸して左の少し上のほうのカチを取れば登れた筈だ。

 離陸して、左手を飛ばしてみる。留った。で、どうするんだったっけ。右足を右のカンテの方にフックするんだったっけ。それとも適当にどっちかの足を上げるんだったっけ。うっ、疲れてきた。左手がもたない。仕方がないから落ちる。

 足を探してみる。適当な足が全くといって良いほど見当たらない。まじめに探してはいないのだろうか。まぁいいや、これも諦めよう。

 忍者返しを触ってみる。やっぱり駄目だ。子供返しを跳んでみる。全く駄目だ。

 弱くなったというよりは、岩のコンディションが悪いのだろう。多分そうだ。

 相変わらず僅かな霧雨が降っている。対岸の遊歩道も歩く人は殆どいない。カヌーイストも、一人だけ熱心な人が行ったり来たりしていたが、今はその人も引き上げていった。

 時間を見ると4時を廻っている。なんだか余り時間が進まない感じだったのだが、やっとこんな時間になったのか。そろそろ帰るか。

 吉野街道のトンネルを歩くと、トンネルの中の車道部分が全部濡れている。それを見て相棒が、何故車道だけ濡れているのかと聞いてくる。自動車のタイヤが濡れているからだと答えてみたが、車道部分が全幅で見事に濡れているのに対し、そこから一段上がった歩道部分は全く濡れてはいない。その説明が出来ない。タイヤの濡れだったら、タイヤが転がる部分だけが濡れていて、車道のセンターライン付近や両サイドの歩道に近いところは濡れていない、或いは濡れ方が少ないというのなら理解できるが、全ての幅に渡って一様に濡れているのだ。なんとも不思議な現象だった。

 支度を整え、走りはじめたら、既に廻りは暗くなってしまっていた。

 以前良く寄ったハンバーグ屋の近くで丁度7時前だったので、そのハンバーグ屋に寄る。昼はハンバーガー屋、夜はハンバーグ屋だ。言い方は似ているが、感じは全く違う感じがした。

 何時もの時間に比べれば早いから、そのまま甲州街道から新宿通りを通って、お堀端を廻り、銀座を突っ切って晴海から東雲で湾岸に出る。この道も左折や右折の専用レーンが頻繁に出現し、それらを車線変更しながら左折や右折、時には直進しなければならないのだが、最近やっと慣れてきた感じがする。

 10時前には家に着いた。最近はこんな時間の帰還は珍しいかもしれない。本当はこの辺の時間には家に帰っていたいのだが。


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作成年月日 平成16年 9月27日
作 成 者 本庄 章