御岳ボルダーその54

2004年 5月31日記
 日曜日に相棒と二人で御岳に行ってきた。

 日曜日は天気が悪いとの事前の予報で、土曜日にはジムでも行こうかと思ったのだが、ジムに行く前に天気予報を見ると、日曜日は雨は降らないらしい。で、急遽ジムに行くのを取りやめ、土曜日の夜遅くに帰宅した相棒を誘い、日曜日の昼頃に慌てて出かけたのである。

 今回も船橋から松戸に出て、外環道から所沢経由で御岳に行くつもりであったが、どうやら中山競馬場の前が渋滞しているようなので、市川経由で松戸に出ることにした。この経路で松戸に行くのは久しぶりである。

 湾岸道路から国道14号に出るところがどこも渋滞している模様なので、原木から行徳を抜ける道を選択する。以前は物凄く渋滞したこの道なのだが、最近はそれほどは渋滞しないようだ。信号が沢山あり、右折車も多い道だから、それなりに時間は掛かったが、渋滞はしてはいなかった。

 その後は順調に進み、3時頃御岳の発電所脇の駐車場に到着する。今回はデッドエンドに行く予定である。

 駐車場への道の脇にも自動車が停められている。駐車場の中でも駐車場所以外のところに自動車が停められている。相当に混んだようだ。幸い既に3時だから駐車場は1/3近くは空いていた。

 支度は殆ど無いので、すぐに荷物をもって歩き出す。

 対岸の丸こんにゃく岩にボルダラーが見える。その少し上流のエリアにもボルダラー集団がいる。結構の数のボルダラーが来ているようだ。

 デッドエンドの岩には人はいない。下地は僅かに湿っているようだが、登るには支障は無さそうだ。そういえば、この岩のデッドエンドの課題の前の下地は何時も湿っているような気がする。気のせいだろうか。

 川原の大き目の岩の上に荷物を置き、ストレッチを始める。既に梅雨近い季節だからか、御岳虫と言われているらしい小さな痒い虫が飛んでいる。デッドエンドの岩の前は特にこの虫が多いようだ。そんなことも有って、荷物を出来るだけ川原近くに置こうとしたのだが、それでも結構御岳虫がたかってきた。

 対岸の遊歩道を先ほどの川原にいたらしいボルダラー集団が歩いている。

 そのボルダラー集団が神路橋を渡ってくる。どうやらこちらに来る気配である。

 川側の下地が少し下がったようだ。10級の課題のある凹角上のところが少し高くなっている。アップにとそこを登ってみる。まぁ、何とか登る。

 先ほどのボルダラー集団が到着する。男女7〜8人はいただろうか。そのうちの何人かは付き添いの人達のようだったが。

 続いて、途中に瘤のような出っ張りのある確か7級位の課題が設定された場所を登ってみる。

 足が滑るから、簡単ではない。何とか右側の縦リスのホールドを使って離陸し、左側のツルッとした垂壁に出てその瘤上のホールドを掴む。が、少し右寄りだったのか手が滑って落ちる。

 気を取り直してもう少し左のほうを掴んで、次の足を探す。どこもかしこもツルツルだから、適当なスタンスが見当たらない。仕方がないから、右側のカンテ状のところに何とかスタンスを求め、体を上げる。

 次のホールドがわからない。左手を引き付けて上のほうのホールドを探す。適当にエイヤッと右手を出してみる。しかし、留らずに落ちる。なんとなく真剣味に欠ける試技だなぁ。

 先ほど到着したボルダラー集団が、デッドエンドの課題の前に大きなマットを2枚敷き、デッドエンド横断を始める。困ったなぁ。アップが済んだら、デッドエンド直上をやろうと思っていたのに。

 何回か試行錯誤しながら、何とか先ほどのところを登る。

 デッドエンド横断をやっている人たちを少し見学してから、荷物を置いた大き目の岩の前の何時もすんなりとは登れない4級の課題を触ってみる。

 下地が僅かに下がったようだから、スタートの右足が少し高めである。でも、何時ものスタートホールドには届く。

 両手を小さなカチに置いて右足を水平クラックの大きな穴に押し込み、離陸してみる。体は上がったが、ホールドを引き付けられない。まだアップが足りないのかなぁ。

 マットをどかしてもらってデッドエンド直上をやってみようか、それともマットを借りてやってみようか、いろいろ考えながら、ボルダラー集団の試技を見学していたが、どちらも面倒くさいからと、再び4級の課題をやる。

 ホールドが持てるようになって、体は上がったのだが、右手が離せない。

 確か、右足を少しキョン気味にやれば上の縦ホールドがスタティックに取れたはずだと、右足をゴチョゴチョやってみたが、ポジションが決まらず、なかなかスタティックに右手が出せない。4回、5回、同じことを繰り返す。何故だろう、ホールドはそこそこ持てている筈なのに。

 左手の中指の腹を小さな突起に掛けているから、そこがすごく痛い。穴が開きそうである。

 どうもスタティックに取れそうに無い。仕方がない。デッドで取るか。ホールドを引き付け右手を出す。失敗。ちょっと中途半端だったかな。

 右足をしっかりと穴の中に入れ、左足を開いて、体を引き付けると同時に右手を出す。留った。多分、最初からこのムーブだったらもっと早くに登れていただろう。やっぱりこれが一番素直かも。

 待っていてもデッドエンドの前は空きそうに無いので、中州のボルダーに移動することにする。

 中洲ボルダーには釣り師は何人かいたが、ボルダラーはいない。

 ジャンピングフックのホールドを探る。下地は高めである。真中の縦リスの高い所のホールドが直接持てる。そのすぐ下の縦リスのホールドよりはいくらか持ちやすいホールドである。

 右手のホールドを探す。ちょっとした小さなピンチホールドを見つける。ピンチというよりは細かいカチホールドである。

 足は左の少し岩が凹んだスメアスタンスである。

 左足を突っ張り、左手の立てホールド引き付ける。右足を適当に決め、右上のホールドを触る。どこも持てない。少し上の傾斜が寝たところを適当に叩く。留るわけがないから、当然落ちる。

 岩のすぐ脇でフライを降っていた釣り人が居なくなった。もう、釣り人を気にせずにトライが出来る。

 右上のホールドを探す。

 斜めのカチホールド、ガチャガチャした細かいカチホールド、幾つかの候補を探し出し、それぞれを触ってみる。斜め右上に伸びるカチホールドは持てそうな感じなのだが、デッドだから留らない。おまけに少し左に寄りすぎているし。

 右手ホールドの右斜め上にガチャガチャした窪みを見つける。指の第一関節の半分ちょっとが辛うじて掛かりそうなポケットである。よし、これを使うか。

 やってみると、リーチ的にイッパイイッパイという感じではあるが、届くことは届く。が、なかなか掛かってくれない。なかなか思ったところに指が行かないのだ。

 何回やっただろうか。結構的が定まりだしたのだが、指が掛かってくれない。やっぱりリーチ的に少し足りないのだろうか。

 その右のレインボーハングをやってみることにする。この課題も未だに納得の行くムーブでは登れていなかったような気がする課題である。

 右手を右カンテに持っていってしまうと、ガバになってしまうから、そこは使いたくない。その手前の斜めカチを使う。

 左手はどこだ。顕著なホールドは無い。適当に岩を撫でながら、少し上のほうの岩の皺というか、ちょっとしたヘアラインカチを探し出す。足は右足をガバスタンスに置く。

 離陸したら、左上のガバのガストンホールドを取る。ここまでに何回かの試技を要したが、スタティックに進む。次は右足を右スタートホールドのすぐ下のカチスタンスに上げ、その足に乗り込んで、右手でカンテというか、リップというか、そんなホールドを取れば終わりなのだが、ガストンで体を引き付けなければならないから、そこが出来ないのだ。スタンスも決して良いわけではないし。

 最初は右足のスタンスに十分に乗り込めなかったから、リップを取りながら、その手がぬめって、左手を出すのが怖くて飛び降りる。

 少し休んで、左手を十分に引き付けて、きっちりと右足に乗り、右手がぬめることなく、左手でリップを捉える。

 やっと納得できるムーブで登ることが出来た。

 デッドエンドにはまだ先ほどのボルダラー集団が居る様なので、丸こんにゃく岩に行くことにする。

 丸こんにゃく岩には先客が二人。しかし、我々が到着した時には帰り支度の途中だったようで、間もなく移動していった。

 下地は乾いている。最近は日曜の昼過ぎでも下地は水没しないようだ。それだけ下地が上がったのだろうか。

 丸こんにゃく中央を触ってみる。

 何時ものスタートホールドを確認し、スタンスも確認して離陸。しかし、体が上がらない。全く離陸が出来ない。何だかんだ数回やってみたが、全く駄目。暫く砂の上に座って対岸でカヌーに乗っている二人の若者を見物する。

 その若者、ロールの練習をやっている。ロールとは、ひっくり返ったカヌーを、カヌーに乗ったまま、そのまま水面上に起き上がらせる技術である。

 パドルを構え、水の中にひっくり返る。水中から、水面上にパドルを構え、そのパドルのブレードで水面を押してカヌーを起こすのだが、起き上がることが出来ず、カヌーから這い出してくる。その若者をサポートしていたもう一人の若者のカヌーが岸から離れ、下流に流されて行く。あぁっ、カヌーが。しかし、かの彼は気が付かない。カヌーが30mくらい流されてやっと気が付く。

 急いでカヌーを追ったが、追いつかない。

 だいぶ暫くして、やっとカヌーを担いで帰ってきた。大分下流まで流されたようだ。

 丸こんにゃく中央を諦め、丸こんにゃく左をやってみる。

 ここはスタートのホールドもスタンスもはっきりしている。

 リップ上のホールドを開いた両手で持ち、右足をブラインドになったスタートスタンスに置く。離陸して、左足を左のほうのポケットに持ってゆく。右手を右奥のカンテに飛ばし、左手を左少し斜め上のしっかり持てるカチに寄せる。そして、右手をその上のガバホールドに飛ばす。ここまではスムーズに進む。続いて右足を適当にスメアして、左足を左上のカチスタンスに上げる。まぁ、ここまでは進む。が、体が上がらない。

 前回もそうだったのだが、まあるく出っ張ったリップの上に足を上げなければならないのだが、スタンスが少ないから、力技で足を上げなければならない。ホールドは両手とも殆どガバなのだが、なんだか身体全体に力が入らないから足が上がらない。従って体も上がらない。どうして力が入らないのだろう。なんだかやる気が起こらない。必死で這い上がろうという気力が沸いてこない。後ろに岩が迫っているから、それを避けながらということだから、そのためだからなのだろうか。そんなこともないはずなのだが。

 リップの上の右手のホールドを右斜め上に求めてみたり、右手で持ったガバホールドを左手で持ってみたり、ホールドとして使えるところの組み合わせを幾つか試してみたのだが、頑張る気が起こらない。スメアが厳しいからかと、右足を左足のスタンスに踏み買えてから左足を上げてみたりしたが、結局はすぐに後ろの岩に寄りかかってしまう。やっぱり疲れているのだろうか。それとも暑さのせいなのだろうか。

 背中が汗で濡れている。やっぱり暑いんだ。それもなんとなく蒸し暑い。やっぱりそのせいかなぁ。

 丸こんにゃく左もついに諦める。

 なんだか先ほどのカヌー青年が気になるから、またカヌー青年を見物する。

 なかなかひっくり返らない。水上で水中の体の動きをトレースしているようなのだが、なかなか水中に入らない。

 実は小生、クライミングをやる前は御岳でカヌーに乗っていたので、そのロールという技術は十分に承知しているのである。で、その小生の目で見ると、水上でトレースしているその青年の体の動き自体が既に間違っているのである。その青年は、体を捻り、上半身を回すように動かしているのだが、それでは起きることは出来ないのである。

 ロールをしている人を見ていると、いかにもパドルが回っているから体も回しているように見えるのだが、実際はカヌーが180度回転して起き上がってくるわけだから、そのカヌーに対する体の動きを見ると、体は直線的に起き上がっているのである。いかにも体が廻っているように見えても実際の体の動きそのものは直線なのである。そのことを教えてあげたくてうずうずしていたのだが、その青年は少し離れた対岸だし、こちらは岩にへばりついている訳のわからないおじさんだから、聞いてくれるかどうかもわからないしで、やきもきしながら見物していたわけである。

 後ろの青年を気にしながら、丸こんにゃく右を触る。

 この丸こんにゃく右だが、スタートスタンスのところの岩が欠け、大きなスタンスが出来たためにグレードが下がってしまった課題である。従って、そこなら登れるだろうと、取り付いてみたら、やっぱり登れない。上のほうのホールドを取ることは出来たのだが、体が上がらない。なんだか力が入らない。ジムでも力が入らない状態が続いているから、暑さのせいだけではなくて、まだ疲れが取れていないのかなぁ。

 結局丸こんにゃく岩も諦める。

 まだ5時前だ。時間はまだある。どこに行こうか。この状態では忍者返しの岩に行っても仕方がないし、オーストラリア岩のカンテも多分全く駄目だろうし、どうしよう。暫くカヌーの青年を見ながら考えた末、最近は全く行っていない、というよりも、最初の頃行っただけでその後は全く行っていないデラシネボルダーにでも行ってみる事を思いつく。あそこなら、発電所の駐車場も遠くないし。難しい課題も無いし。おまけに下地も無茶苦茶良いはずだし。

 発電所の前の神路橋の袂まで来ると、MTBの集団がたむろしている。最近はMTBの人たちも来ているのかと、その集団の自転車を眺めながら、神路橋を渡ろうとしたら、その橋の階段を少年がMTBで登っている最中で階段が塞がれている。しかし、下からその少年の仲間が「歩行者優先」と声をかけてくれたので、その少年が道を譲ってくれた。

 デラシネボルダーは右岸にあるので、神路橋を渡り、遊歩道を下流方面にほんの少し歩く。

 デラシネボルダーには人は居ない。しかし、チョークをこぼした後があったので、遊んでいる人はいるようだ。岩にもチョーク跡が残っている。下地も期待通りである。

 先ずは真中の少し右の被った、確か4級の課題辺りのところを登ってみる。

 リップが張り出しているから、その張り出しを持って離陸する。次いで、足をリップ下の横に走るクラックまで上げていって体を上げる。その中段のリップの上のリップ付近を探ってホールドを探る。すると、丁度良いカチが見つかったので、それをもって中段のリップに膝をかけ体を上げる。中段のリップに立てば、あとは岩の上まで適当に登ればよい。あぁー、気持ちが良かった。

 そのすぐ右のこの岩の一番高いところを登るべく、中段のリップを使ってホールドの偵察をしてみる。しかし、中段のリップの上が傾斜の強い壁になっているから、なかなかホールドが見つからない。2〜3回ホールドを探って諦める。

 続いて、その右のカンテ付近を登る。簡単だからすぐに登れる。降りて着つ直ぐにそのずっと左のほうを登る。そして、川に面した面、川に面した面と正面とのカンテ、正面の面の一番左、などなど、登れそうなところを片っ端から登る。

 中には直登が難しいところも有ったが、適当に右や左のスタンスやホールドを拾って、登ってしまう。

 一応登れそうなところは悉く登ったから、今度はトラバースである。

 この岩には丁度張り出したリップの下の壁の真中辺に水平にクラックが走っている。そのクラックを使って右端からトラバースをしてみる。

 最初は2/3位のところで落ちてしまったが、2回目にはスムーズにトラバースする。今度はそのクラック付近だけを使ってトラバースしてみる。難しいはずなのだが、先ほどよりはスムーズにトラバースを完成する。

 最初に登ったところのすぐ右の一番高いところがまだ登れていなかったので、そこを再度登ることにする。

 ここは中段のリップの張り出しが一部切れており、そこを適当に使って登ってみる。

 右の張り出しを使ったり、左の張り出しを使ったり、真中の切れ目を使ったり、いろいろやってみたが、上が登れない。張り出しの切れ目に適当なスタンスを見つけたので、そこを使う算段もしてみたが、悉く失敗する。

 相棒は川面に面した岩の上で大きな声を出して歌を歌っている。

 少し休んだり、またムーブを探ったり、暫くそれを繰り返す。が、進展は無い。

 時計を見ると、既に6時55分である。まだ明るいからと思っていたのだが、既にそんな時間だったのだ。まだもう少しは遊べそうだったが、あまり遅くなってもと引き上げることにする。

 自動車で発電所から玉堂美術館方面に走っていると、クラッシュパッドを背負ったボルダラー二組に遭遇する。皆さん結構頑張っているようだ。

 帰りも来た時と同じく、所沢から外環で千葉まで帰る。

 途中、所沢の手前で良く寄るうどんのチェーン店に入る。

 この店では小生が食べたいと思う丼はセットメニューということでうどんがついてくるのである。丼のほかにうどんまで食べるだけの食欲は無いから、何時も丼を食べたいなぁと思いながらも、適当なうどんで済ませているところである。

 今回は野菜うどんという、今まで無かったうどんがあったので、相棒と二人で、そのうどんを注文する。結構気に入ったうどんであった。

 8時から9時過ぎという時間帯だから、渋滞も無く、10時頃に我が家にたどり着く。

 ここ最近は、なんだかまじめにボルダリングをやっていないような気がする。なんとなく、惰性で適当に遊んでいる気がする。でも、それもボルダリングだから、それはそれですごく楽しい。でいて、マットを使っていないから、易しいところでも適当に怖いし。

 まぁ、この辺が小生の本来のボルダリングスタイルなのかも知れない。ならば、今後とも暫くはこのスタイルでだらだらとボルダリングを続けて行くことにするか。


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作成年月日 平成16年 5月31日
作 成 者 本庄 章