御岳ボルダーその5

2000年3月20日記
 この土曜日に久しぶりに御岳に行った。それも一人で電車に乗ってである。本日は現地で某青年と某ボルダラーと落ち合う予定なのだ。

 千葉から御岳に通うようになってかれこれ10年以上になる(ボルダリングで通うようになったのはつい最近のことでは有る)が、電車で御岳に行くのは初めてである。

 御嶽まで往復3000円位するのが、ホリデーパスだと2040円で済むので、このパスを購入する。

 東京駅からは青梅特快という青梅までの直通電車に乗る。特別快速だから結構早い。青梅で乗り換えだが、冬場の土曜日にしては混んでいるようだ。青梅駅のホームは次の電車を待つハイカーでいっぱいだ。

 電車が来た。4両編成である。ところが、これが満員。ホームにも人がいっぱい。ぎゅうぎゅうの超満員電車になってしまった。仕方が無いから一生懸命乗る事にする。

 2つ目だか3つ目の日向和田でその人達が殆ど降りてしまった。そうか、吉野梅郷だったのか。道理で尋常ではなかったわけだ。そう言えばいつもこの時期吉野梅郷の前の道が混んでいたっけ。いくら中高年ハイキングが盛んだと言ってもこの時期にこんなにいっぱい人がいるわけはないものなぁ。

 それにしても、青梅御嶽間がどうしてこんなに時間がかかるんだろう。30分近くもかかるのだから。沢井では4分も待たされてしまった。忍者返しに行くのだったら沢井で降りで歩いた方が早いかも知れない。今回はあんまり早く行っても寒いだけだから御嶽まで行ったが。

 ここでちょっと変だなと思っている人が居るかもしれない。「御岳」という字と「御嶽」という字の両方が使われているということである。これは一応区別して使っている。即ち御嶽駅は「御嶽」、地名としての御岳は「御岳」。地元でもそのように使われている様だ。

 先ずはとけたソフトクリーム岩へ。

 ここの山側のSDのマントル、4級が未だに出来ないで居る。もし失敗したら落ちるであろう所辺りに丁度背中を打ちそうな格好の石が有るのだ。それよりなにより、このとけたソフトクリーム岩はツルンコ岩で、ホールドやスタンスを探すのが難しい岩なのだ。そして、このマントルはルーフと言っても良いほどのドッ被りなのだ。

 で、今回は電車では有ったが、例のゾーンという可搬性に優れたマットを持参していたのだ。ゾーンは当然その石の上に敷きトライした。

 両手でリップのガバを持ち、右足の非常にかかるスタンスでスタート。体を引き付けた後、右方のカンテを捕らえる。そして、何と何と、両膝でリップにマントル。なんともみっともないけど、やっと出来た。でも、もうやらない。なんか面白くないから。

 二人ずれが来る。あまり御岳には来た事が無いらしい。例によって一通り課題を説明する。そんなに説明できるほど通ってはいないのだが、一応先輩面をする。

 その説明により、彼らは凹角の右側の3級の課題にトライをはじめた。これって、左アンダーから少し指にかかる右をとり、左は手のひらのフリクションで乗り込んで行く課題であるが、彼らはなかなか出来ないで居る。そこで、小生が模範演技。1回目は失敗。でも、2回目で奇麗に抜ける。今回の左手は何も考えずに決まっていた。やっぱり、花崗岩のパーミングのお陰か。後ろで「ウメー」の声、これこそが年寄りクライマーの醍醐味なのである。

 続いて山梨からの3人組みが来る。なんと、そのうちの一人は小生にEメールをくれた人だった。

 場所を移して、オーストラリア岩へ。ここでも良く合う青年に会う。

 先ずはモンキーカンテ。あれー、最初が出来ない。足が分からない。そんなー。3回、5回、結局今回はパス。まだ登れていないその横のカンテ右3級を彼の青年と一緒にトライ。青年は成功するも、小生は今一歩。今回はこの辺にしておくか。

 その横のなんだか良く分からない4級の課題にトライ。いきなり岩の上を持ってしまうと登れてしまう課題だ。小さなポケットが2つ有る。多分これを使うのだろうと2つのポケットを使って登る。でもなんかラインが右に寄りすぎる。左のポケットだけでトライ。左手のホールドがなくなるので出来ない。3回くらいトライ。最後のトライで失敗し飛び降りる。痛い。下の石の出っ張りに踵を打ったようだ。ここの下地は斜めだし、石が出ているし決してよくはないのだ。それに、4級で高さが無いと言う事から、折角持参したマットは左隣の課題の下に敷きっぱなしだったのだ。不覚。

 そろそろ1時を回るし、本日の行動を共にするはずの某青年と落ち合うべく丸刈りへ足を引き摺りつつ移動する。

 鵜の瀬岩の前で先の山梨組に会う。丸刈りに誰か居なかったかと聞くと多分誰も居ないと言う。だれか探しているのかと聞かれたので、実は千葉からの青年と落ち合う事になっていると言うと、その某青年ともう一人の仲間である某ボルダラーと一緒に忍者返しに行ったと言う。なんと某青年とその山梨の人は知り合いだったのだ。

 忍者返しに行く前に、予てからの課題、命下さい岩正面2級を試みることにする。

 この課題は、チョンボ臭いムーブで登ってはいるのだが、どうも普通は使わないスタンスを使って登ったらしいので、正規のムーブで登るべく何回もトライを繰り返している課題である。

 右足でスタートするとどうしても地面を蹴ってスタンスに立ち込むムーブになってしまうので、その下の左足でスタティックにスタートしようとするのだが、今回も出来なかった。やっぱり、まだまだ正統派2級の力は無い様だ。しょうが無い恐い系の2級を探そうか。

 忍者返しの岩に行くと、某青年と某ボルダラーだけしかいない。明日は雨との天気予報だから今日は人が居ると思ったのだが、なんで人がいないのだろう。

 そんな訳で、忍者返しを独占する。先ずはマットを敷いて、右手を決めて、左手を沿え、左足を選んで立ち上がり、右足を決めて左手を取りに行く。これが先ず最初の関門。左手が取れたら右足を上げ、そこに乗り込んで右手でスローパーを取る。これが次の関門。そして、右手を飛ばし、カチを取るらしい。でもこのホールドはまだしっかりとは取れていないからどんなホールドかは分からない。でも痛いホールドらしい。1度だけ触った時に小生も指に穴を開けてしまったホールドだ。で、ここがこの課題の核心らしい。

 今回は右手スローパーが3回続けて取れた。大分進歩したようだ。でも、この課題はかすかに被っている課題だから、きっちり引き付けて行かなければならない。従って疲れる。4回目からスローパーが取れなくなってしまった。でもしつこくやってみたが、結局その日はその後スローパーは取れなかった。ついでに玄関岩の水辺の被った課題も出来なかった。

 それでもその間、山梨の人達を始め何人かの人達がやってきて、某青年と某ボルダラーと一緒に亀返し、クライマー返し、クライマー返し直上、忍者返し直上、子供返し、そして虫、蟹にトライする。これで蛙のトライがあればこの忍者返しの岩の課題の全てである。そして、これら全てを某ボルダラーは登ってみせてくれた。そして、そして、そして、今回も某ボルダラーの蟹虫のトライが始まった。ビデオカメラがいっせいに回り出す。小生も小さなカメラを構えてしまった。このトライは3回も見学する事が出来た。いずれも最後の1手が取れなかったことが残念ではあったが。

 御岳って、やっぱり最後はみんなここに来るのか。さっきの青年もオーストラリア岩からデッドエンドに行くと言っていたが、結局ここにやってきた。そして、この前一緒に三峰に行った女性も一人でやってきた。ハイライトは、5時頃だったかにやってきた人だった。某ボルダラー曰く、その人はいつも人が帰りかける頃に来るのだとか。そして、噂通り今日もやってきたのだ。やっぱり御岳は忍者返しなのだ。

 今回もそんなに大した成果が有ったわけではないが、どうしても丸刈りに再度挑戦すると転戦していた某青年を誘いつつ、某ボルダラーと供に満足して沢井の駅に向かったのだった。

 やっぱり電車は楽だ。なにしろ寝ていても安全に帰れるのだから。


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作成年月日 平成12年 3月20日
最終改定日 平成12年 3月20日
作 成 者 本庄 章