御岳ボルダーその48

2003年 7月28日記
 日曜日の日に相棒と二人で御岳に行った。本年2回目である。

 久しぶりの雨の降らない週末ということで、仲間達は、三峰、中津川方面に行く予定とのことだったので、我々も遠出を考えた。しかし、自治会の夏祭りが土曜日にあり、相棒は、その役員をしている関係から、土曜日と日曜日の午前中はそちらに出なければならない。従って、出かける先は、空いている時間が日曜日の昼前からしかないので、近場の御岳でもということになってしまった。

 それでも、相棒が10時頃に帰ってきたので、何時もよりは早く、11時ちょっとすぎには家を出ることができた。

 道は空いている。首都高から中央高速で八王子まで行き何時もの道で御岳に入る。一応の目標はデッドエンドである。

 予想はしていたのだが、寒山寺の駐車場、玉堂美術館上の駐車場はともに満員である。もし、玉堂美術館上の駐車場が空いていれば車をそこに入れる予定であったが、予定通り発電所脇の駐車場に行く。

 発電所脇の駐車場も駐車場への取り付け道路の左側に既に車が一列で並んでいる。やっぱりここもいっぱいかと思いつつ、一応駐車場の中に入って見たが、案の定駐車場は満杯であった。

 取り付け道路の駐車場からの出口の所に一台分の空きスペースがあったので、一応そこに車を入れていると、駐車場から2〜3台の車が出てゆく。先に車を降りていた相棒に見に行かせると、駐車スペースが空いているとの事なので、再び駐車場に入り、空いた所に車を停める。やはり、学校が夏休みに入って初めての雨の降らない休日ということで、沢山の人が集まったようだ。

 荷物にマットを担いでデッドエンドの岩に向かう。

 杉林の中に入ると道はぐちゃぐちゃである。今までの長雨で、下地は乾いてはいないようだ。なんとなく不安が過ぎる。

 遊歩道からデッドエンドの岩の前を見ると人は誰もいない。やっぱり濡れているのだろうか。

 デッドエンドの岩を見ると、なんとなく濡れている色をしている。でも、チョークの付いたところは濡れている様子は無い。チョークの付いていない所を触って見ると、明らかに濡れているという感じは無い。まぁ、乾いているといえば乾いている。登って登れないことはなさそうだ。しかし、下地は湿っている。

 どうしようか迷いつつ、荷物を降ろして、沢側の壁を見ていると遊歩道から二人連れのボルダラーが降りてくる。その内の一人はどこかでお会いしたことのある人のようだ。挨拶をすると、その人が小生のHPを読んでくれていると言ってくれる。なんとなく嬉しいような恥ずかしいような。

 HPを読んでいると言って頂くと、最初は嬉しかったのだが、最近は相も変わらず登れない話題ばっかりだし、あんまり新しいものも追加されないから、なんとなく恥ずかしい気になってしまう。そして、年末からの一時中断以来、折角再開するつもりで気負い込んだ途端に雨ばっかりで、なんか最近はあまりやる気も起こらなくなってしまった感じになっている。それにもう歳だし、そろそろ潮時かななんて考えてしまうようにもなってしまった。とは言ってみても、まだもう少しは相変わらずだらだらと続くとは思うのだが。

 二人連れがデッドエンドをやっている横で、その右側の壁の6級とか7級の所をアップで触る。

 今回は、今までの長雨のせいか、沢の水嵩が増しており、何時もの降り口からこちらに回りこむ部分が水没している。従って、岩の上に抜けてからこちらに戻るのが大変そうである。

 そんな訳だから、岩の上に抜けることなく、リップをつかんだらそのままクライムダウンする。

 今回もサイズの小さい靴と大きい靴を持ってきていたので、その両方を履いて見たが、サイズの大きな靴はやっぱりスタンスに乗れないようなので、サイズの小さいほうの靴を使うことにする。

 この靴はずっと履きつづけると足が痛くなってしまうので、その都度履いたり脱いだりしなければならず面倒くさいのだが、今回は特に条件が悪そうなので諦めざるを得ない。

 例の4級の課題を触って見る。ホールドを確認して、足を水平クラックにねじ込んで、体を上げようとするのだが、体が上がる気配が無い。なんだか何時もと感じが違う。予想では軽々と体が上がるはずだったのだが。

 もう少し、その4級の課題のある壁の左の方でアップを繰り返し、二人連れの人たちに合流する。

 一応、小生のマットも多分必要が無いであろう後ろのほうに置かせてもらって、デッドエンド直上に触って見る。この左手のポケットがどれくらい持てるかを確認するのが今回デッドエンドに来た目的の一つでもあるのだ。

 小生のHPを見てくれている人がデッドエンドを登る。皆で祝福する。その人が岩の上から、水の中に頭を出した岩と少しだけ残った中州を使って靴を濡らさずに戻ってくる。

 小生は相変わらず直上の左手のポケットを探って落ちたり、やっと指をポケットに入れても持ち方を探っているうちに落ちる。

 二人連れのもう一人の人もデッドエンド直上をやりだす。この人、左手のポケットから右手のポケットがもう少しで取れる所まで行っている。

 その人の左手のポケットの持ち方を見ると、中指と薬指を使っている。そうだったか。

 真似して、薬指を使って見る。何回かの後に、綺麗に二本の指が入り、体を引き上げて、右に開く所まで行くが、そこから耐えられず落ちる。でも、二本の指が水平にポケットに入ると、中指の指先の腹がポケットの淵のちょっとしたでっぱり見たいな所に引っかかって、少し持てる感触を得た。これか。

 その後、その人の真似をして、ポケットを取りに行くときに右足も開いて上げる様にしたのだが、だんだんポケットに手が届かなくなってしまった。

 少し休んで、ゆで卵などを食べて、またやって見たが、ポケットに手が届かない。疲れてしまったのだろうか。

 二人連れが移動してゆき二人になる。

 マットを移動してデッドエンドを久しぶりに触って見る。

 左足のトウフックで足の脹脛が釣る感じになってしまう。やっぱり最近は使わなかった筋肉だから、その筋力が衰えてしまったようだ。また、少しずつ鍛えながらトライしなければならないようだ。ということは、暫くはだめそうだ。一回で諦める。

 再び直上にトライを始める。

 今度は右足を下ろしたまま伸びて見る。手が届く。そうか、右足を右のほうに開いて上げてしまうと、対角線の関係で、左肩の上がり方が悪くなるのか。右足は真下かあるいは少しカウンター気味に流した方が左肩は上がるのか。やっと気が付く。

 対岸を神路橋から一人のボルダラーが降りてきて遊歩道を上流へ歩き出すのが見える。こちら岸から橋を渡って対岸を上流へ行っても岩なんか無いのにと思いつつ、沢辺に出て上流を眺めると、先ほどの二人連れが中洲のボルダーで遊んでいるのが見える。そうか、その二人連れも神路橋を渡り、上流に向かって行ったから、どこに行くのかと思っていたが、中洲のボルダーだったのか。やはり後からきたボルダラーも中洲のボルダーに現れた。

 直上のポケットに再び届くようにはなったが、なかなか先ほどのポジションでポケットが持てない。ポジションを探っているうちに落ちてしまう。やっぱり疲れたようだ。

 マットをたたみ、移動の準備をしていると一人のボルダラーが降りてきた。

 移動の途中、今まで工事中であった御岳登山者のための駐車場が気になったので、遊歩道からその駐車場に上がって見ると、車は一台もいなかったが、吉野街道から駐車場に降りる道が綺麗に補修され、その上の吉野街道沿いになにやら綺麗な小屋が出来ている。ずっと工事中だった見たいだから、潰されたのかと心配していたが、潰された訳ではなかったようだ。

 綺麗な小屋がもしかしてトイレではと思えたので見に行って見ると、周りを柵で囲われている。東京都の水道関係の建物らしい。

 街道から駐車場への降口には既に柵は無く、車を入れることができるようだが、入り口の昔の看板には未だ布が被せられたままだった。従って、果たして使ってよいものかどうかは定かではなかった。

 そのまま吉野街道を玉堂美術館まで歩き、忍者返しとどっちに行くか少し迷ったが、とけたソフトクリーム岩に行くことにする。

 御岳小橋からとけたソフトクリーム岩を見ると、何人かが取り付いている。橋の袂ではボルダーマットを背負った人たちともすれ違う。

 岩の前に行くと、先客達が移動する所だった。既に3時を廻ったから、普通ならそろそろ帰る時間なのだろう。

 凹角の下にマットを敷き、宿題になっている凹角右直上をやることにする。

 この凹角右だが、最初の黒本ではグレードが2級になっている。それが、改訂版では3級になった。これはグレードが下がったということではなく、最初の右バージョンは、凹角をクラック沿いに直上するラインで2級だったらしい。しかし、最近の右バージョンは、凹角の右のカンテを右に回りこみ上に抜けるというラインで登られている。これだと3級ということらしいのだ。

 そこで、あえて2級バージョンの凹角右に挑戦していたのである。直上だと、リップ付近にホールドが無く、その上もつるつるでホールドらしいものは見当たらないし、おまけに高いから、マントルがすごく怖い。で、どうしても登りたかったのだ。

 左手をクラックに持ってゆき、右足スメアで離陸する。ところが、下地がまた少しだけ下がったようで、クラックの一番持てる所が少し背伸びをしないと持てなくなっている。そこで、補助的に右手でカンテをつかんで離陸する。別に下地が下がっていなくてもカンテを使うと楽だし、カンテを使っても体をカンテの右に出さなければ問題はないとは思うのだが、なんかカンテ限定的なことを言う人もいるので、こんな言い訳を書いて見た。因みに、下地がもう少し高ければクラックのレイバックだけで十分に離陸はできるのである。

 左足は左の壁のちょっとしたスタンスにスメアし、右手はリップの上のクラックを掴む。左手で左の壁のリップの上のカチを捕らえ、凹角に対しステミング気味に右足、左足と上げる。ここまでは既にムーブが確定済である。ここからがホールドが無く、動けなかったのだ。

 今回は、なんか右手が効いており、余裕がある。クラックの右のリップの下の壁を見ると少し高いがちょっとしたスタンスが見える。そのスタンスは今までは気がつかなかったものである。ここまで足が上がるだろうか。上げて見ると足が上がる。右手をクラックから上のほうの傾斜のゆるくなった辺りに飛ばすと、そこが持てる。

 何とか左足を上げたい。左のリップの上は今左手で持っているカチしかスタンスになりそうな所は見当たらない。この左手をどこかに移動してそこに足を上げたい。既にリップまで体が上がっている。ここで落ちる訳にはいかない。少し考えて、左手をそのカチの上の壁に手を返してオポジションできれば足は上がるかもと思いつく。失敗すると落ちるから、少し躊躇したが、思い切って手を返して見る。バランスを崩すことなく手が返り、しっかりとオポジションが効いてくれる。

 そろそろと左手の直ぐ下のそのリップ上のカチまで左足を上げる。左足が上がり、右手にしっかりと体重がかかる。リップは越えた。核心は終わった。後はつるつるのスラブを慎重に足、手を選んで上に抜ける。やった。岩の上で自然に笑ってしまう。

 下の相棒を見ると、手を叩いてくれている。相棒の直ぐ後ろにいた赤ん坊連れの奥さんも手を叩いてくれている。

 降りていって、マットに寝転んで、相棒と一緒にハトサブレーを食べる。すると、先ほどの奥さん、といってもちょうど自分の娘くらいの歳の人なのだが、が食べませんかとどういう訳だか御せんべいをくれる。相棒と一緒に有難く頂戴する。

 その人、青梅在住の人らしい。先日のテレビの青梅特集か何かで御岳渓谷がすばらしいことを知り、家族で出かけてきたらしい。そこで小生が岩を登る所を見て、感心して御せんべいをくれたらしい。

 その人が、いろいろ歩いて岩を登っているのかと聞くから、飛行機に乗っても岩を登りに行くと話してしまう。

 暫く休んでから、今日は調子が良さそうだと、ついでにオーストラリア岩のカンテの3級をやって見たくなる。

 荷物を持ってオーストラリア岩の前に移動し、マットを広げて支度をする。やっぱり下地は湿っている。

 早速、カンテの左側のちょっとしたポケット状のところを左手で持ち、右手は適当な所に添えて、岩に上げた左足で踏ん張ってみる。左足が滑る。左足の脛を岩にぶつける。やることをやってしまった。そんなに強くはぶつけていないから、そんなに痛くは無いが、決まりごとを素直に実践したという感じで笑ってしまう。

 3回か4回足を上げて踏ん張ろうとしたが、左手がもう一つ効かないので、それ以上の無理はせず、素直に諦めて、お決まりの忍者返しに移動する。滑り台岩ではリップのトラバースに打ち込んでいる人がいた。やっぱり結構地味な人はまだまだいるようだ。

 とけたソフトクリーム岩のほうを見ると何人かのボルダラーがいる。そのうちの一人がこちらを見て挨拶をしたよだったので近づいて見ると、デッドエンドであった二人ずれの一人のようだ。一応挨拶を返し、そのまま下流に向かう。

 マミ岩の前には何人かのボルダラーが見える。水の歌岩にも何人かのボルダラーが見える。

 忍者返しの岩の前はやっぱり増水で下地が少し狭まっていたが、そんなに混んでいる様子ではなかった。

 途中、鵜の瀬岩の状況を少し覗いてから忍者返しの岩に向かう。

 忍者返しの岩の前に下りてゆくと、何時もの人が一人、そして、何時ものビデオの人が一人、その他に若そうな人たちが何人かいた。

 何時もの人に挨拶をし、続いて、何時ものビデオの人に挨拶をしようとしたが、なにかに集中しているような様子で声が掛けられなかった。

 先ずはクライマー返しのジャムだと、マットの上にサンダルで乗るのも申し訳ないから、裸足になって、ナックルジャムを試して見る。中指を少し浮かして見たら決まったという仲間の情報を基に真似をして見たが、やっぱり何時もと変わらない。一回で諦める。

 荷物を置いて、足拭きマットを持って、ちょうどそこだけマットの敷かれていない子供返しに取り付く。

 右手の場所を探り、左手を左上のカチに決め、左足で離陸し、右足を少し右に持ってゆき、右上目掛けて飛ぶ。もう少しだ。

 若者が忍者返しを、リップ少し前まで行くが、次のホールドが見つからず飛び降りる。やはり、剥がれ落ちたホールドの代わりのホールドが分かりにくそうだ。

 また、子供返しを飛ぶ。ところが、靴底に砂でも着いていたのだろうか、右足が滑り、変な格好で落ちる。少し右足首に痛みを感じてしまう。まだ、完全ではないようだ。

 また子供返しを飛ぶ。距離的にはあともうちょっとなのだが。同じような事を繰り返す。相変わらず進歩はない。

 少し体調が悪くなってしまったので、5時ちょっと過ぎだったが、早めに切り上げる。まだ、1時間は遊べたのだが、少し残念。

 玉堂美術館の上の駐車場のトイレにより、発電所まで歩く。発電所脇の駐車場は既に大半の車がいなくなっていた。

 駐車場はあんなに混んでいたのに、帰りの道は意外なほど空いている。吉野街道も、新奥多摩街道も空いている。何時もより1時間以上も早いからなのだろうか。そんなことも無いはずなのだが。

 例によって、帰りは下道を使い、途中、牛丼屋に寄り、けんちん汁と牛丼を食べる。

 その後の甲州街道も混むという事は無かった。

 新宿から内堀通りに抜け、日比谷に向かう少し手前の所で道を間違え、右折の為の側道のようなところに入ってしまう。仕方が無いからそのまま信号で少し待っていたが、後ろは車が来ないし、全体に道も空いているからと、そのままバックをしてしまう。すると、今まで全く車が来なかった道に大型バスなどが続けて来てしまう。ゼブラゾーンで止まったから、そんなに危なくはなかったのだが、少し怖い思いをしながら、元の道に復帰する。

 その後は特に問題も無く、相変わらず、まだはっきりしない道筋を何とか思い出しながら湾岸道路の側道まで進む。後は一本道だから心配は無い。

 湾岸道路の側道も全く渋滞無く、9時ちょっと過ぎには家に着いた。途中の食事時間を差し引くと、3時間をほんの少し切る位の時間である。やっぱり道は空いていたようだ。


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作成年月日 平成15年 7月28日
作 成 者 本庄 章