御岳ボルダーその47

2003年 6月 1日記
 日曜日に相棒と御岳に行った。御岳も本年初めてである。

 久し振りの御岳だから何時もよりは少し早めに出発しようと考えていたのだが結局、例によって、午後1時頃家を出発することになってしまった。

 全く渋滞の無い首都高から中央道で八王子まで行く。吉野街道に入ると、登り車線は既に帰り車でいっぱいである。お影で玉堂美術館の上の駐車場に空きが有ったので、そこに車を止める。来るまでは発電所脇の駐車場からデッドエンドの岩に行くつもりであったのだが、折角ここに車を止める事が出来たので、とけたソフトクリーム岩から忍者返しの岩に目標を変更する。

 とけたソフトクリーム岩には先客が5人程いる。挨拶をしてマットを広げて用意をする。

 先客の一人がどうも以前会った事のある人と似ている。多分某ジムの某氏だろうと思われたが、はっきりしなかったので、声はかけなかった。

 下地が随分下がっている様だ。水際の下地はそれほどでも無いようだが、凹角から山側の下地が大分下がったように思える。従って、アップの為に登ろうとした易しい所でも結構高い。

 特にマットは敷かず、確か5級位の途中でマントルする課題に触って見る。御岳も約半年振りだから、恐々触って見る。スタートホールドが頭よりも高い。マントルに失敗すると結構落ちる。

 スタートして見たが、足が決まらない。次の手が良くわからない。適当に触って適当に身体を上げて見たが、マントルが恐いので、そのまま飛び降りる。

 その右の7級のアンダーだったかの課題をやって見る。これは、易しい割りに手順がわからず、何時もてこずっている課題である。

 左手アンダーから、右手サイドで右足をアンダーの上の出っ張りに乗せると言うのが一番楽な登り方だったようだと思い出し、一応そんな手順で行ったのだが、何だかまた左手でサイドを持ってしまい、持ち変えをしてしまった。もっとも、持ち変え無しが正解かどうかは未だにはっきりしないが。

 右足に乗ってからも、なんとなくモタモタしてしまって、なんとなくぎこちなく上に抜ける。何時も感じるのだが、この岩は、スタンスに乏しく、足がツルツル滑ってしまう岩質なのである。特にここ1〜2年は、靴のメーカーを変えたせいなのかも知れないが、特に感じるのである。

 まぁアップも済んだので一応広げたマットに座って休息する。

 先客の中の気になっていた一人に名前を確かめて見ると、やはり以前会った事のある某氏であった。実はこの某氏とは、同じ某クライミングクラブの会員同士であったのだ。お互い名誉会員と言うか幽霊会員と言うか、あまり実体のない会員同士なので、クラブで会った事はないのだが。

 果たして体調が何処まで戻ったのかのバロメーターとして、凹角の右直上に挑戦して見る。

 左手クラック、右手カンテ、左足スメアで離陸する。右手その上のクラックに持って行って、左手左上のちょっと窪んだカチを取るというのが最初の部分のムーブなのだが、この岩が滑り易いと感じ出した頃から、このムーブの最後の左手のカチが取れなくなっていたのである。そして、今回も全く取れないのである。飛び降りる。

 何でなんだろう。以前からこの事を考えていたのだが、思い当たる事として、この登れない状態の時に、前に使っていたメーカーのソールでリソールした靴を履いたら、このカチが取れたことがある。やっぱりソールだったのだろうか。しかし、自分と同じメーカーの靴を履いている人の話しとか登りとかを見ているとソールの性能がそんなに違うとも思えない。

 以前から気になっていたこの事を解明しようと、今回は、同じソールでリソールした、同じメーカーの同じモデルの半サイズ小さい靴も持って来ていたのだ。

 その半サイズ小さい靴に履き替えてまた同じ所をやって見る。出来る。そして、左手カチを取って、右手クラックの上のボッチリを掴んで足を上げることが出来た。

 単純にサイズの違いだけだったのだろうか。少し休んで、また普段の半サイズ大きな緩い靴に履き替えてやって見る。出来ない。

 慣れとか、疲れとか、その他の要素もあるかもしれないと、何回か交互に試して見たが、やはり、半サイズ小さな靴では出来て半サイズ大きな靴では出来ないのである。もう少し細かく言うと、スメアのスタンスに乗れるか乗れないかなのである。

 ここで、サイズの違いによる違いは何かを考えてみると、普段の緩い靴を履いた時は足の指は僅かに曲がるかなと言う感じで、殆ど曲がってはいないのに対し、半サイズ小さな靴だと足の指はそんなに強くはないが、曲がっているのである。これが、スメアの足に立てるかどうかの違いなのだろうか。

 この違いから考えられる事は、足の指が靴で曲げられる事によって強い押し付けの力が発生するのに対し、足の指が伸びていると、押し付ける力を支える場所が無いので逃げてしまうのではないかと言う事である。そう言う事なのだろうか。なんとなくこれが正解な気がする。

 外の岩場ではクライミングシューズを長い間履きつづける事が多く、そのために、窮屈な靴だと足が痛くなってしまう。そのために、靴のメーカーを変えた、その頃から、外で履く靴は少し緩めの靴を選ぶようになっていた。

 それがために、今までは靴のメーカーが変わった為のソールの質の変化、その事によるフリクションの違いが原因と考えていた。でも、今回、これで靴のサイズによるフリクションの掛かり方の違いではないかと考えるようになった。

 やっぱり、靴のサイズは少し小さめが良い事は間違いが無いようだ。とは言っても、いちいち靴を履いたり脱いだりする事は、外のボルダーではあまりやりたくはないと言うのも本当の所である。悩む所である。既に登りを優先する歳でもないのだから。

 靴のお影で、凹角右直上が以前よりは少し前進した。ここでお会いした某氏からもマットは使った方が良いと言われ、マットを敷いて挑戦もした。しかし、やっぱり出口のマントルまで身体を上げて行くとそれなりの高さが出て来る。マットを敷いているとは言っても、荷物を中にしまう事を主眼にした、某メーカーが最近発売した薄めのマットだから、思い切って手を出す事が出来ない。あと一歩、手が出れば何とか全身のフリクションを使ってでもと言うそんな所まで、2回か3回、行ったのだが、クライムダウンをしてしまった。

 4時半になるので、一応忍者返しの岩にも行こうと、移動する事にする。マットを片付ける時に、そのマットを先客にご披露すると、これがあのお金持ちのマットかと言われてしまった。買った時は予約が先だったので、値段はそんなに気にしなかったのだが、言われて見ると確かに、少々高めでは有る。

 忍者返しの岩の隣のマミ岩を対岸から見ると、人がいっぱいいる。うわぁーあんなに混んでいると思わず相棒に話し掛けてしまったが、忍者返しの岩の前にはそれ程人はいなかった。

 忍者返しの岩の前に行くと、以前から良くここでお会いする方が独りでいる。他には3人組と2人組だけである。何時も会う人の顔は見当たらなかった。良く会う人にお聞きすると、今日は早めに帰られたとか。やっぱり来ていたんだ。

 マットが何枚か敷いてあるし、どうぞお使い下さいと言ってくれるので、自分のマットは畳んだまま、マットを借りて忍者返しを触って見る。

 先ず、スタートホールドが微妙に変わっている。何だか上の方が少し剥がれており、指を差し込むと言う感覚が薄れている。スタートホールドの下に有った巨ガバのスタンスもかけて、その跡が少し凹んだスタンスになっている。スタートスタンスも僅かに左にずれ、ひところよりは判り易くなっている。一冬を越すとこうも変わってしまうのかという感じである。半年振りだから余計に変化が目立つのだろうか。

 スタートスタンスが欠けたと聞いた時にはスタートは大丈夫かと心配したが、特にスタンスが難しくなったと言う感じはない。スタートホールドの方が変化は大きい様に思われた。

 スタートから左足に立ち込んで左手を次のホールドに飛ばす。右足を巨ガバ跡に上げ、右手でスローパーを掴む。その体勢から身体を一生懸命上げて、右手を飛ばす。次のホールドの横腹を撫でて落ちる。うん、衰えてはいない。

 この忍者返し、先程のとけたソフトクリーム岩の凹角に比べれば結構パワー系のムーブなのだ。それが、ほぼ直近の到達点迄行けているのである。体重がここの所3kgは増えてしまったと言うこの状態でも体重の少なかった頃と変わらない事が出来たのである。間違いなく元に戻っている事を確信する。

 先客の二人連れの一人が、子供返しの最初の右手を決め上に登って行く。しかし、初めてだったようで、途中で行き詰まる。この人は次の試技で登ってしまった。

 もう一つのグループの人達が忍者返しを登っていたので、一緒にトライする。しかし、何時もの如く、2回目3回目と徐々に到達点が下がって来る。

 三人組みの二人が白狐岩のトラバースの課題を触っている。ここのマントライクが未だに出来ていないので、小生も白狐岩に行って見る。

 ついでにトラバースの課題も触って見る。この課題、少し被った所のリップを斜めに上がって行く課題だから小生には苦手な課題なのである。先客が出来ないでいる所をやって見たら、最初は出来なかったが、二回目になんとなく出来た。しかし、その先のホールドが判らず、疲れもするので、適当に切り上げる。

 その二人が今度は玄関岩のガバハングを登っている。また真似をしに行く。

 このガバハング、名前の通り岩がボコッと出っ張ってハング状になっている。その先は洞窟状になっており川に出っ張っている。そして、このハング部分の上部は巨ガバホールドが幾つかある。しかし、丁度持ちたい所のガバが動くらしい。落ちれば川の中に落ちるかも知れないから、なんとなくそのホールドは持つ気がしない。先客もそこを使わずに登っている。

 先客はハングの左側から出てハングの右上の方に抜けようとしているらしい。同じようにやって見たが、ハングの下を右に廻りこめない。2回目にやっと廻りこんだが、その先のよいホールドが見つからない。先客の仲間のもう一人も加わる。

 このハングの下にもぐりこんでハングの右下に出てみる。これの方が足は滑るのだが、頭のフリクションが使えるので、力を使わないですむ。しかし、ハングをまともに直上するような格好になるし、ガバホールドも乏しいので、その先がきつい。その後、結局誰も上に抜ける事は出来なかった。

 子供返しを触って見る。離陸して、右上の少し遠いホールドに飛びつく。もう少しで届くのだが。

 これも久し振りにクライマー返しの右手のスタートホールドを触って見る。相変わらず力を加えると外れてしまう。相変わらず左足がスタートホールドまで上がらない。

 忍者返しもスローパーがやっとになってしまった。6時をとうに廻っている。既に3人組と我々以外はいない。そろそろ引き上げるか。

 何時ものように睦橋通りから新奥多摩街道、甲州街道で、府中まで行き、今迄に何回か寄ったことのあるハンバーガー屋でハンバーガーを食べ、そのまま甲州街道を直進して、日比谷から有楽町、晴海、東雲と通って、湾岸357号にでて、そのまま357号を千葉まで戻った。

 家に着いたのは11時前だったから、なんだかんだで実質3時間位で帰る事ができた。この道は日曜日の夜だと結構空いているのだが、昼間はどうなのだろうか。今度この道を往きにも使って見ることにするか。


戻る

作成年月日 平成15年 6月 1日
作 成 者 本庄 章