御岳ボルダーその32

2002年 1月21日記
 日曜日の日に、ジムの仲間と2人で御岳に行く。別の用事で御岳には行けないと言う相棒を途中まで送る。そのために首都高の永福から中央道の調布インターまで甲州街道を走る。

 首都高はすごく空いている。渋滞情報の電光掲示板も何の表示もなく真っ黒である。所が、甲州街道が調布インターの直前で渋滞する。事故で車線規制が行われていたのだ。少し時間をロスする。

 今回はロッキーボルダーを触りたいと言う仲間の希望で、寒山寺の駐車場に車を停める。冬だからそこそこ空いているかと思いきや、結構いっぱいである。危うく停められない所であった。まぁ、そんな大袈裟な状態でもなかったが。

 駐車場から吉野街道に出た所で、冬の小川山で何度も会った山梨の人に会う。「あれー、今日は小川山は行かなかったのですか。」と聞くと、さすがに小川山は諦めたとの事であった。やっぱりそれが普通であろう。

 ロッキーボルダーに行くと、先客が一人いる。

 ボルダーの回りを一周して課題の様子を探った後、左の方の課題を仲間が登る。それを小生は遠くからデジカメに納める。

 この岩は遊歩道のすぐ脇に有って、大きく高いので、岩の全体を写真に納めるのが難しい。おまけに下地には結構大きな石が2つ3つあるから、その石が邪魔をして、横方向から撮っても、ボルダーの課題面の一部はどうしてもそれらの石の影になって写らない場所が出来てしまう。何とか3カット位の写真を撮る。

 先客の仲間らしい人達が2人くる。内一人はたまに会う人で、今回の仲間の知り合いであったので、仲間が少しお話をする。そこに、当初一緒に来る予定で、天気が芳しくなかったので別行動となり、もしかすると御岳に行くといっていたもう一人の仲間がマットを背負って来る。仲間がロッキーボルダーから忍者返しの岩に行くと伝えてあったらしい。

 仲間も特に急いで落としたい課題が会った訳では無かったようなので、後から来た仲間と一緒に忍者返しの岩に移動する。

 日曜日は雨との予報の関係で、昨日の土曜日は御岳は相当に賑わったようだ。今日は空いててくれるであろうとの期待通り、忍者返しの岩の前には7〜8人しかいなかった。この数でも多いとは思うが、昨今の状況からすると空いている方であろう。

 どういう訳か、亀返しの下にしかマットも敷かれてはいない。これも昨今の状況からすると、少し異常な状態かも知れない。しかし、これが本来の日曜日の姿なのだとは思うが。

 仲間は虫に焦点を絞っている。小生は忍者返しである。もう一人の仲間は特にはないらしい。

 仲間はロッキーボルダーで少しアップをしたのだが、まだ足りなかったようで、下流のボルダーで再度アップを始める。小生も真似をして易しそうな所を選んで触る。例のなかなか登れないやさしい課題の集まったボルダーである。

 仲間は白狐岩も触るが、小生はあまりアップをすると疲れてしまうので、一番左の一番やさしい所を登る。でも、寒いから靴のフリクションに少々の不安を覚えつつ登る。

 少し休んでから、忍者返しに触る。スタートして左手で第一手目を取る。少こーし持ち難い。でもまあまあか。右足を上げ、左手で身体を引き上げて右足に乗り、右手でスローパーを取る。なんかお尻が壁に入らない感じだ。やっぱりあまり調子は良くなさそうだ。

 今回は道中は日が照っていたのに御岳に入ったら曇ってしまった。従って、日は照っていない。なんとなく寒い。身体が暖まってはいない。条件としてはあまり良くはない。

 そんなことを考えているからかどうかはわからないが、もう一つ調子に乗れない感じだ。今日も駄目か。でも、なんとか両手で少し右より気味に身体を引付け、次の右手を飛ばす。指の腹が岩肌を擦る。そのまま落ちる。やっぱり駄目だった。まぁ、今回はそんなに無理する気もないからと自分を納得させる。

 他の人達は、蟹のトラバースの所をやっている人、亀返しの出だしのトラバースの所をやっている人、そして、虫をやっている人等などである。忍者返しをやっている女性も二人いる。それぞれの課題に散っているから順番待ちというほどのこともない。

 途中で買って来たパンを食べて、ウーロン茶を飲んで、十分に休んで、再度忍者返しに挑戦する。下にマットはない。

 スタートから第一手目を取る。今回は十分に持てる。引付けてスローパーを持つ。うん、まずまずだ。さっきは右足をいつものスタンスの少し右よりの場所に置いて見たが、今回は特に意識をせず普通の場所に置く。その代わりと言う訳でもないが、身体を引き付ける時に、左足を左の方の少し高い所まで流して見る。右手を飛ばす。

 かかった。充分ではないが、次のホールドが取れた。慎重にその右手を持ち直す。左足をスタートホールドまで上げる。が。その場所が何処が良いのか一瞬迷う。でも、ここぞと決めた所に左足を上げ、左手をクロスで縦カチを持つ。

 この縦カチが持つ場所によっては持ち難くなってしまうので、慎重に持つ場所を選ぶ。次は右手をカチに送り、次のスタンスに足を上げる。それで、半身になりながら再び右手を次のカチに飛ばすのだが、その時の足が右だったか左だったか一瞬迷う。

 そこで、少しもたついたが、右足をそのスタンスに上げてつぎのカチを取る。確か前回はスタテイックに取れたはずなのにと考えながら、少しデッド気味に取る。

 これで、今迄の最高到達点タイだ。前回は次の左足のスタンスで滑っている。そのスタンスを見ると、何故そこで滑ったのかと言う位のスタンスである。今回は足を見ながら慎重にそのスタンスに左足を上げ乗り込む。すると目の前のリップ付近のこの課題の中では超ガバといって良いほどのガバが持てる。

 一瞬、やっと終わったと思う。が、実際はまだマントルが残っている。慎重にリップの上のホールドを探す。しかし、期待した左手で持っている程度のガバはない。まぁ、それが当然なのだろうが。右手をスローパーチックなホールドに移し、左手を奥の十分に持てるホールドに移して、右足をリップに移す。そして体重をかけ乗り込む。

 やった、ついにやった。これで、段級グレードのスタンダードと言われる2課題を両方とも登ったのだ。この忍者返しは易しくなったと言われてはいるが、あくまでもこの忍者返しが段級グレードの基準なのだ。これが1級なのだ。まぁ、グレードはどうでも良い訳では有るが。

 核心を越えてから長かったが、やっと終わった。将にやっと終わった。初めて忍者返しの岩を表から登り裏に降りたのだ。これがやりたかったのだ。

 もう、今回はこれでお終い。まぁ、それでも良いのだが、幾つになっても人間欲という物は無くならないもので、早速虫のスタートを触り始める。未だこの虫の第一手目が取れていないのだ。

 将に忍者返しに初めて触った時と同じである。第一手目が取れない。まぁ、まだ虫は触ってはいけないということなのではあるが。ゲンキンなものだ。

 忍者返しと同じスタートホールドで忍者返しと同じ第一手目を忍者返しとは違う右手で取るのが虫の第一手目である。それを早速やって見たのだ。

 スタートホールドの持ち方は変わらないのだが、次のホールドをクロスで取る事になるので、足の位置、置き方が変わる。

 適当な足でよいしょと次のホールドを取りに行くと届かない。だけでなく、手がすっぽ抜けて真横になってそのまま地面に倒れ込む。低いし、下は砂だから、普段なら何でもないのだが、前回の笠間で打った腰の打撲の痛みがまだ残っている。丁度その場所をまた地面に打ち付けたのだ。痛い。一瞬腰を上げ、その場所を打たないような動きをしたために、大きくは打たなかったのだが、それでも少しぶつける。そして、少し大袈裟に痛い顔をして少しそのまま横たわってしまった。

 すかさず、周りの人が大丈夫かとの声をかけてくれたので、寝ている場合ではないと反省し、大丈夫だと起き上がる。少し痛かったが、動きに別状はない。でも、内心少し心配する。立ち上がってから、色々な格好で力を入れて見たり、お尻の筋肉に力を入れて見たりしたが、そのために新たな痛みは発生しない。多分大丈夫だろうと安心する。歩くと少し痛いけれど。

 少し休んでから、忍者返しの核心は日に一回しか越えられ無いと言う小生のジンクスを打ち破るべく、再度忍者返しに挑戦する。しかし、スローパーからの右手が次のホールドを捕らえられず落ちる。やっぱり駄目だ。

 マミ岩のSD課題のダイレクトというか、左のカンテを使わないバージョンをやってみようとマミ岩に行くと、一人岩の前で立っている人がいる。なにかの課題に打ち込んでいるようである。少し見ていたが、その人はそのまま動かないでじっと岩を見つめているので、また忍者返しの岩の前に戻る。

 遅れて来た仲間が魅惑の丸こんにゃくをやりたいというので、虫に挑戦を続ける仲間を残し、二人で丸こんにゃく岩に移動する。

 途中、オーストラリア岩により、モンキーポッケとかいう課題を見る。仲間はそれもやりたいらしい。ホールドを触って、なんか出来そうな感触を得たらしいが、今回は見るだけにする。

 とけたソフトクリーム岩周辺にも誰もいなかったので、当然丸こんにゃく岩には誰もいない。

 丸こんにゃく右の新たに出現したスタンスを使わないバージョンをやって見る。

 右手のホールドとして、少し奥の細かいリスを使うと結構楽に身体が上がる。このホールドは使って良いのだろうか疑問に思ったが、下から届くし、以前よりは下地が少し下がったと言う事なので、良しとしてそのホールドを使う事にする。

 身体は上がり、左手は次のホールドまで飛ばせるのだが、右手が出せない。仲間はそこを左手を再度飛ばして取り登る。どうやら左手を飛ばす方が楽なようだ。真似したら左手で取れた。このホールドはガバだからそれで足を上げれば終わるのだが、足が滑って足ブラになってしまい、疲れてしまって足が上がらない。

 2回目にそのガバを取った時に右手を返せば楽だと仲間が教えてくれるが、時すでに遅し、足を上げようともがいている最中だったのでまたまた疲れて落ちてしまった。

 この左手で持ったガバだが、ガバというよりもすごく効くポケットとでもいった方が良い感じの凹角なのである。そして、そのリップにちょっとした突起があるようで、そこが指に刺さって痛いのである。デッドなどで飛びつくと特に痛いのである。最初に持った時はそんなことは知らないから勢いよく持って指が痛かったから2回目はスタティックに取るようにした。そしたら痛くなかった。しかし、そのために疲れてしまった。どっちにしても登れなかった。

 じつは、この岩の前では、二人で色々なお話をしていて、トライはその合間にちょこっとやっただけだった。だから2時間弱ここにいて、それぞれの課題がせいぜい3手か4手の課題だったのだが、小生は多分都合4〜5回しかトライしなかった。まぁ、たまにはそんなボルダリングもよしとしよう。

 そろそろ4時になるということで、忍者返しの岩迄戻る事にする。と決まると人間変なもので、あと一回と仲間が魅惑の丸こんにゃくを触る。では小生もと丸こんにゃく左を触る。所が、足が滑って離陸出来ない。疲れたのだろうか。そういう訳でもないとは思ったのだが。

 忍者返しの岩に戻るとまだ5〜6人の人がいる。遅くなったから仲間だけが独りで待っているといけないと思ったのだが、他の仲間がいてくれて良かった良かった。

 良く見ると一部メンツが変わっている。やっぱりここは昼を過ぎてからぼつぼつと集まって来るエリアのようだ。

 仲間がまだ虫をやっている。キョンで右手を寄せる所を正対で寄せている。その方が楽だから便数が出せるとの事だ。小生も頑張らなければと負けずに忍者返しを触る。千本ノックだと続けて触る。さすが、2回目は一手目が危うくなる。当然忍者返しの核心は日に一回しか越えられないと言うジンクスは未だ破られてはいない。

 少し休んで、3回目、少し休んで4回目と、都合5回トライする。結局、結構短時間の内に2回目を除いて、核心のホールドの腹を思いっきり撫でると言う全く同じ状態を4回再現出来た。やっぱり強くなって来ているのだ。

 暗くなりかかって来たから、仲間の知り合いを誘って、遠征に備えての貯金をしなければと言う、遅れて来た仲間も強引に誘って御嶽駅前の中華料理屋に行く。そして、一人を除いて肉野菜炒め定食を食べる。

 なんだかんだ7時位までしゃべり込んでしまう。ゆっくりし過ぎたか。

 冬のこの時間だから道は空いている。八王子から中央道に乗ったが、この道も空いている。と、思っていたら、電光掲示板に火災発生。注意。という文字が写し出されている。火災?沿線のどっかで火災が発生したのではないかと話しながら走っていたら、なんか弱々しそうなサイレンを鳴らしたパトカーが追い越して行く。いつもの中央道のパトカーのようにすっ飛んで行くような元気が無い。せいぜい120km位しか出してはいない感じだ。

 変なパトカーだなーと思っていたら仲間が前方に煙が見えると言う。暗いしあまり目も良くないので、はっきりとは見えないが、確かに黒い煙が上がっているようだ。

 仲間がデジカメがすぐ出るかと聞くから、羽毛服のポケットに入っていたデジカメを出す。

 路上に発煙筒が焚かれている。前方には赤色燈が点滅している。自動車がゆっくりになり始める。車線規制が始まり一車線になる。左前方には大きな火の手が上がっている。高速道路上の車両火災のようだ。

 遂に車が停まってしまう。車が全く動かない。あと4〜5台と言う所で通行止めにされてしまったようだ。その横を覆面パトカーが通る。救急車が来て停まる。またパトカーが通る。消防車が来る。その光景を仲間がデジカメに納める。しかし、フラッシュは少し不謹慎かとノーフラッシュで写真を撮る。

 消防車が来た途端に煙が消える。そして、白い煙に変わる。さすが、一発で消化したらしい。でも、なお車は動かない。警官らしい人が車線規制用の看板を路上に置いて行く。見ると既に発煙筒は消えている。その間、15〜20分位であろうか。直前で通行止めに会い、燃えている自動車を真横に見られなかったのが残念ではあったが、何も見えない場所で止められるよりは遥かにラッキーとかなんとか話しながら、消化された自動車の横をのろのろと通過し、やっと走り出す。

 我々は80km位でゆっくり走っていたから、横をもっとびゅんびゅう抜いて行くかと思いきや、前も後ろもあまり自動車がいない。どうなっているのだろうか。まぁ、最近はあまり高速を飛ばす自動車もいないと言う事なのだろうか。そんなことも無いとは思うが。

 いずれにしても、少し不思議な一日であった。


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作成年月日 平成14年 1月21日
作 成 者 本庄 章