御岳ボルダーその19

2001年 2月 6日記

 今回は、2週続けての週末の雪で、3週間振りの外の岩である。行き先は笠間と迷ったが、結局は御岳。メンバーはいつものジムの仲間3人と相棒の5人である。ジムの仲間とは中央道の石川パーキングで待合わせた。

 石川パーキングは上り線は何回か入った事があるが、下り線は殆ど入ったことがない。やっぱりパーキングだからあんまり広くはなかったので、この時期にしては少々混んではいたが、お互いに道が空いていたこともあって、約束の30分前には既に落ち合う事ができた。食堂で軽い朝食をとる。

 滝山街道から吉野街道を使って青梅市に入る。先週末はこちらは大分雪が降った様で、未だに道の両脇には除雪された雪が相当に残っている。これを見て、岩は大丈夫だろうかと心配になる。進むに従い雪が段々多くなって来る。薄黒い雪が山と積まれた風景が増えて来る。民家の屋根の雪もまだ相当に残っている。本当に大丈夫だろうか。益々心配が増して来る。当然道路上には雪はないのだが。

 玉堂美術館の上の駐車場を覗く。3〜4台分は空いているようだ。しかし、駐車場内は一面に厚い圧雪で被われ、アイスバーン状態である。恐くて入れない。仕方なく上の発電所を目指す。心成しか又少し雪が増えたようにも思える。

 発電所脇の駐車場への入口の坂道は辛うじて路面が出ており雪はないのだが、駐車場内は一面雪で真っ白である。自動車がまだ入っていない所は降ったそのまんまの雪が積もっている。でも、こちらは広いし、何台か分の駐車スペースは一応雪が踏まれており、そのうちの何台か分は空いている。玉堂美術館の上の駐車場よりは日も当たるし、自動車の間も余裕をもって止められるのでここに自動車を止めることにする。積雪はこの時でもまだ20cm以上はありそうだった。

 そんな中、長野ナンバーのボルダラーらしい人達も見える。しかし、今回は雪を踏みつつそこまで行くのも大変なので、お話しはしない。遠目に眺めただけであった。

 さいわい河原の遊歩道までの道は踏まれており、所々路面も出ていたので、なんとか左岸の遊歩道まで行く事ができた。

 右岸の遊歩道は真っ白であるが、左岸の遊歩道には全く雪はない。しかし、左岸でも岩の上にはまだ雪が少し残っている。これでは忍者返しはだめかもしれない。デッドエンドは多分駄目だろう。ということで、ひとまずはとけたソフトクリーム岩周辺に行く事にする。

 こんな中でもカヌーイストはカヌーを漕いでいる。昔と違ってロデオボーターが増えているから、こんな中でも水の上で、カヌーをひっくり返しては起き上がっている。なにもこんな寒い中わざわざ水の中にひっくり返る事も無いのにと思う。寒いのにご苦労な事である。

 沢の水位は冬にしては少し多目のようだ。やっぱり雪しろが入り込んでいるのであろうか。後で確認した事だが、沢の水は雪しろのせいかいつもよりは冷たいようだ。いつものように暖かくはなかった。それにしても、この雪は何時まで残るのであろうか。大変に心配である。

 とけたソフトクリーム岩には雪は乗ってはいない。さすが日本一早く乾くボルダーだ。でも、下流側に廻りこんだら取り付きにはまだ雪が残っていた。

 一応ソフトクリーム岩周辺に荷物を置き、仲間はウォーミングアップを始めたが、小生だけはカメラを持って対岸から忍者返しの岩を偵察に行く。忍者返しの岩の上には僅かに雪が載っているが、岩の前には雪は無く、もしかすると登れるかもしれない。でも、上に雪が残っている所はもしかするとしみ出しているかも知れない。そんなことを考えていたら、さっきの長野の人達だろう人達が来たようだ。

 もどって、すべり台岩で遊ぶ。

 最初はすべり台6級。この課題、6月に来た時には登れなくなってしまっていた課題である。

 右手左手甘いカチで右足に立ち、左足に乗り込めれば右手少しガバが取れて終わる課題なのだが、左足に乗り込めない。右手が耐えられないのである。その昔は、これはねぇとか言って、初心者に登って見せていた課題なのだが。

 仲間は皆登ってしまう。当たり前だ、6級なのだから。悔しいと言うよりも癪に触る。なんで出来ないのだろうとの苛立ちさえ覚える。本当に癪に触るからしつこく繰り返す。

 右足を変えて見る。だめだ。元に戻して、今度は左足を変えて見る。やっとできた。何回やっただろうか。これで安定して登れるようになった。8ヶ月振りにやっとすっきりした。

 次はその左の方のトラバース。リップトラバースは4級らしい。途中からやると簡単なのだが、一番低い所からやると、3手目前後が悪い。足が乏しくなるのだ。何回かトライしていたら仲間の一人も真似をしだす。他の仲間はその左をSDでやっている。

 我々があまりにも出来ないので残りの仲間も加わる。その彼らは当然すぐに出来る。すかさず真似をする、というか、最後の足を真似る。できた。いつものパターンである。

 隣のSDに合流する。

 離陸が出来ない。左手が少し効くカチ、右手効かないカチから右手上のカチを取って立ち上がれば、左手アンダー気味のガバでお終いという感じの課題だ。しかしせせこましいし足があまり良いのが無い。小生の苦手な課題だ。

 先にやっていた仲間は登る。もう1人の仲間も登る。また1人残ってしまった。

 スタートの足を右にする。足が滑る。左足を流してみる。離陸はできた。でも次がとれない。左手の親指が少し掛かる事を発見。再びスタート。やっと右上のカチが取れた。取れたら後はそんなに悪いホールドは無い。丁寧に足を選んで上に抜ける。

 今度は皆でさっきのリップのトラバースをリップを使わないでやる。右ピンチで遠い左を取るところで落ちる。その後のクロスが核心なのだがそこまで行けない。気合を入れてやったら取れた。でも、そこから動けない。このホールドも親指を効かせて持てば次が動ける。でもこのクロスは出来ない。最後まで出来なかった。

 仲間はさっきのすべり台6級をSDでやり始める。小生は出来ないから、その右のカンテを限定で登る。ホールドもスタンスも細かい。立てない。スタンスを少し右の少し良いやつに変える。それで立ち上がったがあとのホールドがない。そこで、すべり台で使うホールドを使うことにする。足は上がるがその上のホールドはない。左手を返しマントルをする。そんなことを何回かやって、やっと登る。

 自分で勝手に限定を付けて遊んでいるから、登れなければ登れるようにホールドの限定を解除すれば良いのだが、それでは面白くない。ガバも絶対に使いたくない。でも、何とか登れそうなそんなホールドを探して使いたい。完全に自己満足の世界だ。クライミング自体が自己満足の世界だから当然と言えばそのとおりなのだが。

 仲間がこの小生の課題を登ってくれる。スタートの足を右ではなく左足で簡単に登る。左足で出るとその右の結構良いスタンスが使えるのですごく簡単になる。それと、小生が使うホールドのすぐ上のホールドを使っている。なるほど、そのホールドの方が摘まめるだけ効きは良いようだ。

 そのホールドを使ってすべり台で使うホールドを使わないで右足スタートで登ろうと、足を探したりして何回かやった結果、何とか登れた。仲間もすべり台のSDを登った様だ。

 すべり台岩で、かれこれ2時間位も遊んだだろうか。結構遊べる物である。

 他の仲間2人は水際カンテ2段のトライを始める。我々2人はそんなグレードは触れないから、その右の凹角を触る。相棒はさっきからずうっとビデオカメラを廻している。

 この凹角だが、下地が掘れたのか、いつものスタートホールドが触れない。下にはまだ少し雪も残っているし、なんとなくモチベーションが上がらない。

 2人組のボルダラーがやって来る。最近3級になった岸側のSDのマントルをやっている。少しお話しをする。

 まだ登れていないオーストラリア岩のカンテの右3級がどうしても気になるので、仲間1人とそっちに行って見る。相変わらずつるつるである。スタートのホールドを触って、今回も諦める。なにしろ、正月から3kgも太ってしまっているのだから。仲間も、モンキーカンテを触って、すぐに諦める。

 戻ったら、さっきの2人組が雪の上にマットを広げてアンダーの左の5級の課題を始めていた。

 その左隣の易し目の3級を触って見る。下は雪だし、なんとなくモチベーションが上がらないまま取り付いた物だから、右手で上のカチを持ったまま動けなくなってしまった。クライムダウンを試みたが、結局雪の上に落ちてしまた。かっこ悪かった。

 水際カンテのトライを見ていたら、2人組がキックマントル3級を始めた。

 このキックマントルだが、小生未だにマントルでは登れていない。昔左の方のガバ気味のホールドを使って変な風に登っただけだ。そして、去年の6月では全く歯が立たなかった課題だ。また、この課題も下地が少し下がったのか、マット無しでは身体が伸びきってしまうので今回も触ることは触ったのだがやらずにいたのだった。

 そんな感じで気になっていた課題だから、すぐさまマットを借りてやって見る。

 スタートは幅の狭いちょっとしたバンド状のホールドの両手スタートで右足を上げ、そのホールドにマントルを返すのだが、前回はその右足が上がらなかった。今回は右足が上がってマントルの体勢まで行った。わっ、出来る、と思って右手をリップに伸ばしたのだが、左手の返しが十分で無い為、右手でホールドを探っているうちに落ちてしまった。

 いきなりマントルの体勢まで行ってしまったので少々驚いたが、やっぱり、落ちたのは悔しい。

 それを見ていた水際カンテの仲間2人が面白い面白いと言いながら登り始める。そして、2人とも1発で登ってしまう。もう1人の仲間も何回かで登ってしまう。小生は4回か5回やったが、何れもマントルの左手が十分に返らない。従って右足に十分に立てないので右手をホールド出来ない。また1人だ。着ていたチョッキも脱いでやって見たのだが駄目だった。最後はもうよれよれ状態だった。

 2人組は又凹角の右の3級の課題の下にマットを敷いて取り付いている。さっきの汚名挽回にと登らせてもらう。今回はマットがあるから登れる。

 仲間の1人が凹角にトライを始めたので、小生も真似をする。実は自分のマットはオオストラリア岩で使っただけでここではまだ使っていない。あんな大きなマットを折角持って来たのにとも思うが、最近は出来れば使いたくないとの気持ちの方が大きいのだ。今回も小さな人工芝を敷く。

 なんか石が滑る様な気がして、なかなか足も決まらずどうしても登れない。仲間も律義に付き合ってくれている。

 やっぱり、キックマントルが気になったので、ついに自分のマットを敷いてもう一度トライする。スタートホールドを、それまでは親指の掛かる場所を持っていたのだが、その手の持つ位置を少しずらしてみる。今回は勿論チョッキも脱いでチョークバックも外した。はずして見てわかったが、チョークバックって結構重いものだ。だから登れなかったのか。そんなわけはないが、それだけ気合が入っているから、少し勢いを付けて右足に乗り込む。ホールドの上に横に向けて置いた右手にしっかりと体重を乗せる事が出来る。だから、左手もしっかり返った。右手がカンテをホールドした。スタートホールドに立てた。それからが核心と言う人もいるくらいにその上も人によっては思い切りがいるようだが、小生はそういうのは得意だから、難無く上に抜ける。できた。やっぱり気合いだったのか。

 相棒がビデオのテープが終わったと言う。今回は替えのテープは持って来ていない。それを相棒に伝える。結局小生がキックマントルを登っている最中に切れたらしい。従って、小生のキックマントルはビデオでは中途半端で終わっていた。少し残念。

 しばし仲間の水際カンテを見学する。相棒はすべり台岩を登っている。相棒が岩を登るのは久しぶりかもしれない。

 仲間の一人がついに水際カンテを登る。2段である。おめでとう。登った所をビデオに納めていなかったので、今度はビデオを廻して登る。しかし、うまく行かない。結構疲れるらしい。なにしろカンテを思いっきり開いた両手で抱えるように登るのだから。

 2人組がアンダーの左の5級の課題にまた取り付いている。1人がどうしても登れないようだ。小生も凹角は登れないけど、キックマントルが登れて気を良くしていたから、手本を見せる感じでその課題を登らせてもらう。例によって左手を返してマントルで登る。

 登れない彼は、さっき凹角の右を登っている。なのにどうしてこの課題が登れないのだろうかと思い、他に登り方が無い物かと、その後もマットを借りて色んな登り方をして見たが、巧く行かない。もう意地で色んなムーブを試す。で、ついに普通左手スタートホールドとして使う左のホールドは使わず、もう少し右のリスと右上の甘いカチからスタートして、一寸した出っ張りのリップに右手を飛ばし、左足にヒールフック気味に乗り込んで行くムーブで登れた。

 もう既に日は暮れていた。今日も結構登った。それも、殆どこのソフトクリーム岩とすべり台岩だけで。将にこれぞボルダリング。結構遊べる物だ。

 帰りは遊歩道ではなく吉野街道に出て駐車場まで戻った。途中まで車道を歩いて。

 いつもの夕食を取る駅前の中華料理屋ではなく、駐車場の入口にある店に入る事にする。ここは何回も通るのだが、この店には今まで入った事はなかった。

 なんとなく明るい土産物屋という感じだが、山葵(わさび)屋さんのようだ。そこで食堂もやっているという感じである。

 メニューを見て、少々驚く。高いのである。でも、入ってしまったから仕方が無い。安いのを探したら、何とかと言う釜上げうどんの様な物があるらしいのだが、それは平日しかやっていないと書いてある。一応平日だけかと聞いたら今日は空いているから出せそうだという。じゃぁそれにするかと思っていたのだが、他の人達3人は激辛そば或はうどんにするという。値段を見ると同じ値段である。念のためとどんなものか聞いて見たら山葵の辛さだとか。面白そうなのでそれにする。結局全員が激辛にした。

 まず、生山葵1本と山葵おろしが出て来た。山葵を自分で擦れと言う事のようだ。店の山葵のおろし方と言う書き物を参考に葉っぱの付いた方から葉っぱを取っておろす。途中目がしょぼしょぼしだす。他の人も目が痛くなったようだ。山葵って目にも来るのか。

 小生はうどんであったが、うどんが来る。少ない。普通の量の半分だ。道理で他に比べて安いはずだ。かけそばよりも安いのだから。

 味噌だれの漬け汁なのだが、そこに摺り下ろした山葵を入れようとしたら、店の人がたれも辛いから味見をしてから入れた方が良いと言ってくれた。味見をして見たらそんなに辛くなかったので下ろした山葵を半分くらい入れた。所が、これが辛い。ツーンと鼻に来る。

 この山葵だが、鼻が痛くなって結構きついのだが、唐辛子の様に舌に残ると言う事はない。僅かの時間で消えてくれる。後を引かないのである。その分爽やかと言えば爽やかである。

 サービスだったのか海苔山葵と山葵漬けが出されたのだが、向いの仲間が一瞬山葵漬けに伸ばした箸を直前で海苔山葵の方に平行移動させた。これを見て小生は、彼も相当に辛いのだと、一瞬笑ってしまったのだが、横の仲間が突然笑い出して床に転げ落ちてしまい、しばらくそのまま笑っている。彼も相当に可笑しかったのかと思ったら、辛すぎて咽て平衡感覚を失ってしまったらしい。笑っていたのではなく辛くてもがいていたらしい。それだけ辛かったらしい。

 向いの彼もあまり食が進んでいない様だ。その隣の彼も、山葵が効かないと言って小生の残った分まで入れてしまったから、入れ過ぎたと後悔しているようだった。確かに、最初のたれはそんなに辛いようには思わなかったのだが、少し余計に口に含むと相当に効くのだった。

 一応皆が食べおわったのだが、だれも席を立とうとはしない。いつもなら小生がそろそろ行こうかと声をかけるのだが、今回はどうもいつもと様子が違う。話が弾んでいるようないないような。しばしの沈黙も入るし。小生もそのまましばらく座っていたのだが、他の皆は一時放心状態の様になっていたらしい。それで、あまり話しもせずじっと座っていたらしい。で、本来ならばおなかがいっぱいにはならない量だから、なにかまだ食べるかと言う話しが出る所なのだが、誰もが、おなかがいっぱいになったのかどうかわからない状態だったらしい。だから、この日の夕食は結局このうどんと途中に寄ったコンビニで買ったパン1つだけだった。

 因みにこの激辛うどん、毎週食べに来る客が居るとか。残った漬け汁を飲みながら、確かに癖になるかもしれないと思った。一口飲むと鼻にツンと来て、涙が出そうになって、一瞬しまったと思うのだが、その刺激が過ぎると又再び飲みたくなってしまうのである。

 なんとも不思議な食べ物ではあった。


戻る

作成年月日 平成13年 2月 6日
作 成 者 本庄 章