キョンというムーブは難しい

2001年11月2日記
 何時の頃からかキョンと呼ばれる技を使い始めた。

 この技は正確にはドロップニーと呼ばれるらしいが、横を向いて足を前後に開き、後ろの足の膝を落とし、2つのスタンスの間で足を突っ張って身体を保持する技である。被った壁では絶大な効果を産み出す技でもある。

 一般的には、クライミングに慣れ始めて、被った壁に取り付き出して間もなくこの技を覚える事が多いと思うのだが、この技を覚えるともう病み付きになってしまう、そんな魔法のムーブでもある。

 このキョンにも、2つのスタンスの位置関係で、ハイキョン等幾つかのバリエーションがあり、その場でのその人にとっての最適スタンスを選ぶのが難しいとも言われている。

 しかし、この魔法の技を使ってしまうと力がつかないと、キョン禁止等と言うお触れを出す仲間もあるようだ。

 小生も、段々グレードも上がり、力の必要性を痛感するようになってから、また、足限定の課題をやるようになってから、あまりこのキョンをしなくなった。実際、キョンで次のホールドを取ってからのムーブがきつく、ホールドは取れても次のムーブが起こせないという経験も多くなり、キョンの限界を感じだしていたこともあって、もっぱら正対ハイステップを多用しだしたのである。

 しかし最近、すごく悪いホールドからすぐ斜め上のホールドにクロスで行くというムーブを1ヶ月近くトライしていたのだが、これがどうしても出来なかった。勿論、キョンもカウンターも考えられるムーブは全て試していたのだが、悉くはねのけられていたのである。

 出来る人は、そのホールドの真下のスタンスに乗って片足を切ってカウンターで取るのだが、その真似が出来ない。何回やっても出来ない。足を入れ替えても同じ。ホールドが保持出来ないのである。

 そんなことをしばらくやって後に、久し振りにキョンもやって見たのである。結果はカウンターと同じである。どっちもどっち、次のホールドの縁に触るだけである。もう一歩届かない。交互に両者のムーブをやっている内に、キョンの仕方を変えて見てはと思い、やって見た。といっても、表面的には何も変わらない。意識だけを変えたのである。

 出来るだけ身体を壁に付けるように意識して手を出すようにしたのである。そうしたら、次のホールドの有効面まで手が届いてのである。若しやと思い、次に同じようにやったら、足が滑って落ちたのである。

 その後、この身体をなるべく壁に付けると言う意識を強く持ってやって見たら、遂にそこのムーブができたのである。その先のムーブもこなして、終了点迄行けたのである。

 もっとも、その時はムーブを探っていたために、下半分は省略し、上半分だけやっていたので、その課題ができた訳ではないのだが、下半分はムーブは出来ているので、ムーブ自体は全て繋がったのである。下半分も易しくはないから、そう簡単に出来るようになるとは思えないが、大きく前進した事は間違いない。

 この時のキョンであるが、それまで何回となくやっていたのに、とっても使えるムーブだとは思えなかった。ところが、意識の置き方を変えたと言うか、やり方を少し変えただけで、なんとか出来るようになった。つまり、それまでのやり方が間違っていたというか、適切で無かったと言う事になる。

 キョンて、やっぱりちょっとしたことが大きく響くようである。それだけ難しいという事である。

 まぁ、キョンに限らず、クライミング全てが難しいのだが。


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作成年月日 平成13年11月 2日
作 成 者 本庄 章