甲府盆地の神社のボルダーを巡ってきました

2004年10月 4日記
 10月の始めの土曜日に甲府盆地の3つの神社のボルダーを巡ってきた。はっきりとした資料があったのは甲府市の羽黒大宮神社だけで、一つの神社は伝聞とそうではないかと思われる資料、そしてもう一つの神社は適当な見当だけで行ってきたものである。

 土曜日の朝7時頃に家を出る。もう少し早く出る積りだったが、色々あって、その時間になってしまった。今回も一人である。

 湾岸、首都高と、特に渋滞は無く、中央道で勝沼まで行く。途中、初狩パーキングに寄り、とろろ飯を食べる。以前このとろろ飯を食べて感激したのだが、そこがどこだったかはっきりとは覚えていなかったのである。それが、今回、再びそのとろろ飯に会うことが出来たのである。これでそこは初狩パーキングエリアであったということがはっきりと確認出来た。何しろ、210円で食べられるのだ。うどんより安いのである。これはお奨めである。

 先ず、あるホームページで紹介されており、仲間からもその存在を聞いていた、甲府市内の羽黒大宮神社を目指す。場所は湯村温泉の近くらしい。

 カーナビに導かれて、140号線から甲府駅の裏を走る道に入る。広域農道を使って明野村から信州峠に行くときによく使う道である。

 湯村温泉に右折すると、急に道が狭くなる。その細い道の両脇に旅館が並んでいる。こんな街中に温泉街があったんだ。それも、いまどきの新しい温泉では無く、弘法大師様が発見した温泉らしい。知らなかった。

 カーナビの地図には神社マークは無い。従って、適当に見当をつけて目的地を設定している。

 カーナビの目的地に設定した場所を過ぎて、少し走ったら、お寺の入り口が現れる。一応、別の地図を参考にして目的地を設定しているから、そんなに大きく外れてはいないはずである。そろそろ案内があっても良さそうなのに。

 尚も少し走るが、案内は無い。通り過ぎてしまったような気がするので、引き返して、山に登って行く脇道に入ってみる。高いところから見れば、神社らしい所が見えるかも知れない。

 その道は新しい住宅街に登って行く急な道なのだが、一番上あたりまで登って下の方を見てもそれらしいところは見えない。神社だから、大きな屋根が見えるはずなのだが。

 直ぐわかると思って、しまってあった別の地図を荷物の中から引っ張り出して見る。その地図には神社マークがあり、その場所はお寺より少し戻った所から脇に入る道を入ったところの様に見える。

 下まで戻って、その見当を付けた道に入ると、神社があった。

 その神社は予想したよりは遥かに小さな神社である。これでは高い所に登っても見えないはずだ。

 神社の脇の遊具のある空き地に自動車を入れる。果たしてここに自動車を停めても良いのだろうか。その空き地の脇にはボルダーがあるし、短時間だから良しとしよう。

 近くの畑に人がいる。神社の直ぐ脇には人家もある。人もいるようだ。何となく遊び辛い気もするが、まぁいっか。

 仕度を整えて、インターネットで落としてきたここに遊びにきた人の手記を引っ張り出して見てみる。

 駐車場の直ぐ脇の穴の開いたボルダーで遊んだとある。ここが駐車場で良さそうだ。

 今回は忘れずに持参した三脚を使ってデジカメをセットし、脇の穴のあるボルダーに触ってみる。

 熱い。日がまともに照りつける朝の10時過ぎだから、熱い。自動車の外気温計も27度を示している。

 真ん中を触ってみたが、離陸できない。左に大きな穴があるのだが、適当な右手が無い。足を置けそうな適当なスタンスも見当たらない。

 少し右に寄ってみたら何とか離陸は出来た。右手も何とか持てるホールドに手が届いた。左足を上げて左手の上のほうのホールドらしきところをめがけて手を出してみたが、届かない。左足に立てないのだ。何回かやってみたが進展が無い。

 仕方がない、ずっと右に寄って、右のカンテを使って上に登る。何とか上に抜けた。アップだからまぁいいや。

 神社の境内に入ってみる。お社の裏側のほうに幾つかのボルダ−が見える。ホームページから落とした手記をみると、「軽くハングしているが、左にポケットがあり、ガバガバ登れる」という岩があるらしい。小さなボルダ−らしい。

 社の裏の右の方にそれらしい岩がある。正面の下には祠がある。登っても良いのかなぁ。一瞬考えたが、裏に廻ったら、祠は見えないし、登れそうなハングだったので、取り付いてみることにする。

 先ず離陸が出来るかどうかを運動靴のまま試して見る。離陸できそうだ。

 デジカメをセットし、靴を履いて取り付いてみる。確かに左上のほうに非常にかかるポケットが有り、難なく上に抜ける。

 その手記にはそのポケットを限定して遊んだように書かれていたが、真似はしなかった。

 次は社の左奥の釘の一杯さしてある松の向かいの岩に行く。釘が一杯さしてあるとその手記には書かれていたが、よおく見なければ、錆びた釘は目につかなかった。

 その岩の垂壁の真中辺を触ってみたら、いきなりリップに手が届く。途中にしっかりしたスタンスもある。まぁ、写真用だからと、そこをマントルする。余りにも易しすぎたようだ。

 その岩の裏というか、社側からだと表に廻ってみたら、裏から見るよりは結構高い岩である。大きなフレークが斜めに幾つかあるから、その辺を登れば難しくは無さそうだ。

 左のほうから離陸して、そのフレークの方に斜め右上し、一応その面の一番高いところに抜ける。

 ガバホールドだから、難しくは無いが、4m位の高さがあるし、もしかするとホールドが欠けるかもとも思わせたから、僅かに怖い。

 その壁を右に廻り込むと、下部がルーフ状で僅かに被った壁になっている。いきなりルーフの上の壁の横リスが持てるから、そのリスを使って離陸する。横リスは3本ほど走っているから、それを繋いでリップまで行く。リップ上は枯葉が乗っていたりしたが、左少し奥にガバホールドがあったので、何とか上に抜ける。

 その岩の左奥にやはり大きな岩が有るのだが、その岩の正面には鳥居をもった赤い小さな社が作られている。下地も踏まれた形跡は無い。多分登られてはいないのだろう。写真を撮っただけで触りはしなかった。

 主な岩はこれで全部だ。さぁ、どうしよう。

 社の裏を廻って、さっきの小さな岩の前に来る。さっき登った面の右側が登れそうだ。

 左のカンテを使って離陸し、右のカンテを持って上に登る。やっぱり易しかった。

 持参したパンを1つ食べる。多分まだ1時間も経ってはいないだろう。でも暑い。日向は特に暑い。

 自動車に戻って、一番最初に触った岩を眺めながら、どうしようか考えてみたが、余りにも暑いから、今回の一応のメインの場所に移動することにする。

 その神社は、仲間が以前登って、その時の写真を見せてくれたことのある神社で、あるホームページで○○神社と紹介されていた場所がその神社ではないかと考えていたのである。

 既に背中が汗で濡れている状態であったが、着替えることなく、その神社まで移動する。当然カーナビの指示に従ってである。

 ある場所で、左折し、再びカーナビに従って左折したら、すごく細い道である。

 先に進むとますます細くなる。そして、大きなビニールハウスの脇を走る。で、最後には車輪幅ぎりぎりの小川沿いの道に出て、民家の脇を通り、畑の中に入ってゆく。

 なんか変だ。でもUターンが出来ないから、仕方なく先に進む。

 やっと少し広い道がぶつかってきたから、これ幸いとその道に曲がる。

 やっと普通の幅の道に出たので、多分その先だろうと見当をつけた方向に曲がり先に進む。

 大型の観光バスが停まっている。その脇に石の鳥居がある。ここだ。

 鳥居の脇のトイレのある数台の自動車が停められそうな駐車場らしいところに自動車を入れる。そこには既に1台の自動車が停まっていた。

 そこから石段が上のほうに伸びている。結構長い石段である。

 汗をかきながら、石段を登って行くと、その石段の脇にボルダ−が見えてくる。やっぱりこの神社で良さそうだ。

 神社の境内に入ると、大きな岩が幾つもある。結構立派な社の後ろにはここのご神体らしい大きな岩も見える。

 社の右側に廻ってみたが、裏に進めそうな道は無い。左側に廻ると道があった。

 社の裏にはご神体のほかにも大きな岩が2つ3つある。高さも結構高い。多分7〜8mは有るのではないだろうか。

 目的はその神社の裏山だ。

 インターネットから落としてきたトポを見ながら、進むが、どうも様子が少し違う。

 神社の裏の大きなボルダ−を過ぎると、ボルダ−は殆ど見えなくなる。尚も進むとコンクリート舗装された道が下から上がってくるが、その道の先は土取り場のようなところである。尾根筋を先に進むと、それまでのしっかりした道がいきなりなく終わってしまい、いきなり畑にぶつかる。その尾根の左側は先程見えた土取り場の一番上らしく、重機が置いてあるのが見える。

 畑の縁を先に進むと、沢になってしまう。尾根上に上がると、土取り場に入ってしまう。

 人がいなかったので、土取り場に入り先の道を探ってみたが、道らしいものは見当たらない。どうやらその先には進む道はなさそうだ。どうやらこの神社はインターネットに紹介されていた神社では無さそうだ。

 神社まで引き返す。

 神社の境内の岩はそれぞれ名前が付けられている。岩の下に祠が祭られている岩もある。なんとなく恐れ多い。岩の写真だけ撮って引き返す。

 石段の途中に、消えかけた看板に遊歩道入り口との文字が読める。その道の先は少し平らな少し広い場所がありそうだ。駄目元で入ってみる。

 その踏み跡のような道の脇には幾つかのボルダ−が存在する。しかし、数はそれほどでもない。途中東屋を過ぎ、畑の脇を通って、神社の裏の先程歩いた道に繋がっていた。

 やっぱりこの神社ではなかったか。予想は大きく外れてしまったようだ。でも、少しだけ諦めきれなかったので、その神社の前の舗装路をもう少し先まで行ってみる。その道は神社の裏山に沿って入り込んでいるように地図上では見えたからだ。

 その道は段々細くなって、最後は果樹園の中に伸びていた。

 既に昼は廻っている。でもって暑い。なんかやる気がそがれる感じである。

 意を決して、もう1つの、適当に見当をつけた神社に行ってみることにする。この神社のボルダ−に関する具体的な資料は全く無い神社である。

 地図上で見当をつけた神社マークの神社を目指す。例によって、カーナビを適当にセットする。

 その場所の地名が出てきたので、少しのろのろと走ってみる。

 ボルダ−に関する具体的な資料は全く無いのだが、実はボルダリングとは全く関係のないある筋からのその神社に関する僅かではあるが具体的な情報は得ていたのである。その情報を元に適当な見当で脇道に入る。

 やっぱり細い道である。当然対向車があればすれ違うことは出来ない。対向車の無いことを祈る。

 ごちゃごちゃと曲がりくねり、所々尚も細い道を分け進む。ほんとに良いのだろうか。でも、道の脇にはそれほど大きくは無いが、岩が幾つか転がっている。岩は有りそうだ。

 疑心暗鬼で走っていたら、突然二本の大きな岩の柱の立った、神社らしいところが現れる。あれか。

 その前の少し広くなった場所に自動車を停めその石に近づくと、その石には村幣○○神社と書いてある。やっぱりここだ。

 荷物を背負って中に入る。

 社の左側を奥に進むと、こんもりと木の茂った林、というよりは森と言った方が良さそうな所に入ってゆく。

 下草は殆ど生えていない林内に入ると、ボルダ−がある。それも半端な数ではない。夥しい数である。って、少し大袈裟ではあるが。

 少し斜面を登って行くと、再び少し小さな社が現れ、道はそこで途切れる。

 インターネットで落としたトポにある岩は多分この尾根の先にあるだろうことを確信する。しかし、道が途絶えたから、踏み跡を探さなければならない。

 社の周りを少しうろうろしたら、社の右の方の大きな岩が幾つか重なったところにかすかな踏み跡を見つける。

 それを登って行くとはっきりした踏み跡になる。

 その道の両脇にもボルダ−が点在している。しかし、暗い。日が射してこないのだ。だから下草も生えないようなのである。まだ夏の続きという感じの季節だと言うのに。

 踏み跡が薄くなってくる。踏み跡と言っても、なんとなく獣道の感じのする踏み跡である。藪を掻き分けて進むと、程なく一段上のほうにもう少し踏まれた道が出現する。

 その道に移り、先に進むと、尾根を離れ、道は水平になる。尚も進むと、左側に大きなボルダ−が現れる。

 なんか見たことのある形のボルダ−である。インターネットから落とした手記を見ると、「幹部岩」と名づけられた岩のようだ。やっぱり、ここだったんだ。

 それにしても暗い。じめじめしている。昨日か一昨日にでも雨が降ったのだろうか。そんな感じである。

 改めてトポを見直してみる。トポにはこの先まだボルダ−が固まったところがあるように書かれている。一先ずはトポに書かれた場所とボルダ−の確認をしよう。

 そのまま先に進む。

 尚もボルダ−はいっぱいある。しかし、トポにある「八木岩」とか「サンシャインタワー」とか言われる岩らしいものが現れない。おかしいなぁ。

 比較的平坦な道を尚も進むと、大きなボルダ−が幾つも現れる。

 そして、沢の源頭のような形状の斜面に突き当たる。そこで、また踏み跡が途絶える。

 うろうろしながら道を探ると、踏み跡らしきものを発見する。その踏み跡で斜面を登り、左側の尾根筋に出る。

 ボルダ−の影が薄くなる。トポには上部植林ではボルダ−が切れると書かれている。この辺がそのボルダ−の切れる辺りなのだろうか。

 尾根筋を尚も進む。

 少し広いところに出る。その場所の右側の尾根筋にまだボルダ−があるような感じに見える。もう少し尾根を登ってみよう。

 ちょっとした尾根の頭に出る。踏み跡はその頭に右の方から登ってくる尾根筋にも伸びている。でも、地図を持っているわけでもないし、その先行ってしまうと迷う可能性が大きいからと、そこから引き返すことにする。

 踏み跡といっても、獣道みたいなものだから、藪を漕いだり潜ったりしながら進んできている。尾根上では、はっきりとした踏み跡がわからなくなったところも何箇所かあった。そこを戻り始めたのだが、心配した通り、しばしば進むべき道を失ってしまう。

 何とかその都度、見当をつけ、記憶を呼び戻しながら降ってきたのだが、斜面を登って尾根に出た場所を案の定通りすぎてしまう。

 その場所は登るときに迷いやすそうだと、一応少し詳しく周りを観察していたから、大事に至る前に気がついて戻ることが出来、斜面の下の少し平らな岩の沢山ある場所に出ることが出来た。

 とすれば、やはりこの辺がトポの一番上の場所なのだろうか。でも、トポには上部に向かって左側に3つほど巨大ボルダ−とかかれているのだが、その巨大ボルダ−が見当たらない。巨大ボルダ−と書かれている方向の尾根を見ても、それらしいものは無い。間の沢にも無論それらしいものは見えない。

 改めてトポを見たると、「幹部岩」の先で尾根筋に上っているようにも見える。今歩いているところは緩やかな傾斜の少し広めの沢筋のようなところだ。やっぱり違うようだ。

 暗い樹林の中の踏み跡を辿って、「幹部岩」の前まで戻ってきた。と言うことは、やっぱりその先尾根筋に上がって行くのだろう。

 そのまま少し戻って、踏み跡が尾根を外れて水平になった辺りから、適当にその先の尾根筋を登ってみる。先程の大きなボルダ−の上のほうに見えた尾根である。

 尾根筋にもボルダ−はある。しかし、その道の脇に有るらしい岩は見当たらない。

 尚も登ると、トポにある岩のように見えるお結びの形をした岩が現れる。トポと見比べる。なんとなくそんな感じもするが、なんか形が違う感じもする。やっぱり違うかなぁ。

 先に進む。ボルダ−が小さくなり、ボルダ−が殆どなくなってくる。

 途中で交差してきた結構はっきりした踏み跡を、尾根から外れて、先程歩いた方の尾根に向かって、少し降りてみる。

 沢を渡り、向かいの尾根上にでる。さっき登ってきた尾根だろうか。そう思って少しその尾根を下ってみる。

 しかし、その尾根はどんどん今登ってきた尾根から離れていってしまうような感じである。先程歩いた場所はこんなには放れてはいないはずだ。沢から尾根に上がった場所でも無さそうだし。なんだか訳が判らない。降りてきた尾根を登り返し、登ってきた尾根の方に戻る。

 その先余りボルダ−は期待できそうに無い感じだったので、その尾根を下り始める。

 先程トポと見比べてみたお結び形のスラブの岩の前に出る。

 三角形をした少し傾斜の緩そうなスラブである。見ているうちに登りたくなったので、荷物を置き、靴を履く。

 デジカメをセットして最初のムーブを探ってみる。

 スタートスタンス、次のスタンス、その次のスタンスまでをチョークでマークし、デジカメのタイマーをセットする。

 急いで岩に戻り、ごく薄いフレークの手で、先程マークしたスタンスに乗り込む。これで、岩に取り付いている写真は撮れただろう。

 次のスタンスに乗り込み、体を上げ、もう一歩足を上げる。リップに手が届く。しかし、リップにしっかりしたホールドは見当たらない。適当にパーミングで押さえつけ身体を上げる。手をもう一手奥に進める。何とかマントルし、上に抜ける。

 改めて岩を見る。なんか気になったのでトポを見直す。やっぱり「はんぺん岩」じゃないだろうか。周りの岩をもう一度見て廻る。裏には「はりすら」という岩があるらしい。トポでは斜面に張り付いたような形で描かれている。そんな岩は見当たらない。やっぱり違うのかなぁ。

 でも、三角の岩は手記の写真の「はんぺん岩」そっくりだ。地面に座ってトポを眺める。なんか読みにくい岩が書いてある。よく見ると「切り口フェイス」とある。何とはなしにそばの岩を眺めて見たら、まさに切り口のような岩である。位置といい形といい、やっぱりあれが「切り口フェイス」だ。とすると、最初に「かまぼこマントル」ではないかと目を付けた岩はやはり「かまぼこマントル」だったんだ。とすればあれがやっぱり「はりすら」か。よおく見ると、岩の真中に斜めにバンドが走っている。そのバンドから上だけを絵に描くとトポの「はりすら」の形になるではないか。やっぱりあれが「はりすら」だ。

 やっと上部の岩がわかった。じゃぁ、少し登ってみよう。

 うらの「はりすら」を登ってみる。易しすぎるから、なんか違う気もするが、まぁいいや。

 次は「切り口フェイス」だ。

 トポにはリップは3手目以降に掴むとある。でも、スタートホールドが見当たらない。右の方のカンテを使って上に抜ける。トポとは違うみたいだけど、良しとしよう。

 そのまま、尾根の側面につけられた踏み跡を降ったら、「幹部岩」の少し先に出た。

 「幹部岩」の前に荷物を置き、回りの岩を見て廻る。

 「幹部岩」の右隣に「手始め岩」というのがある。幾つかの課題が書かれている。先ずはあれから登ってみよう。

 「手始め岩」は「幹部岩」より一段高いところにある。そこまで行って、デジカメを用意し、靴を履く。

 真中の少し右寄りにクラックというか、フレークのようなものが走っている。丁度良さそうな場所には指は入らないが、その辺りの淵に指がかかる場所が2〜3所ある。

 離陸をしてみたら、離陸は出来た。しかし、その先の手が見つからない。細かいホールドを探せばあるのかも知れないが、なんとなく湿っていて、今はその季節ではない。真中は諦め、右側のカンテを登ってみる。

 次はそのカンテの右側のフェイスである。こちらも難しくは無い。

 いよいよ「幹部岩」だ。

 高さは4m位か。丁度真中辺に凹角が上まで走っている。傾斜は僅かに寝ているし、ホールドはそこそこありそうだから、多分登れるだろう。

 岩が大きいから、少し離れたところにデジカメをセットし、登ってみる。

 離陸は出来たが、その先のホールドが余りよくない。左足を上げて乗り込んでみたが、その先で落ちる。

 なぜかなぁ。落ちるはずは無いのだが。

 もう一度ホールド、スタンスを確認し、凹角より少し左寄りのフェースのホールドやスタンスを選んで登ってみたら出口まで行くことが出来た。

 出口のリップを探ると、なんか湿っぽい。どうやら泥が乗っているようだ。

 足を上げて上を覗くと、枯葉とか、泥とかが乗っている。ありゃ−、どうしよう。枯葉を払ってみたら、左の少し奥の方にホールドが出てきた。助かった。そのホールドを左手で掴んで、右手は適当にその辺に置いて、足を上げて行き、何とか岩の上に左足を上げることが出来た。でも、その先も枯葉がいっぱいである。傾斜は無いが少しは傾斜している。慎重に上に這い上がる。

 そろそろ4時を廻っただろうか。薮蚊も結構いて、さっきから何箇所か刺されている。もう帰ろう。

 途中、踏み跡から外れたりしながら、その辺の岩の写真を撮る。被った面を持った結構大きな岩の有るから、近づいてみたりしながら、幾つかの岩を巡る。

 踏み跡に戻り、その踏み跡をそのまま降っていったら、いきなり藪に突っ込んでしまった。

 おかしいなぁ。少し戻って、別の方向に走る踏み跡に入る。しかし、その踏み跡は隣の尾根の方に進んでおり、その先はその尾根を登っているようである。これもおかしい。尾根に上がる手前を沢に沿って降ってみる。山芋を掘ったような穴が何箇所か有って、再び濃い藪に突っ込んでいる。こんなに濃い藪は登ってこなかった筈なのに。

 そのように何回か幾つかの踏み跡を進んだり戻ったりしてみたが、登ってきたと思しき踏み跡に入ることが出来ない。

 少し無理をして藪に突っ込んでみたら、直ぐ下に里が見えたが、神社様の場所は見えない。なんかやっぱりはずしているようだ。

 再び「幹部岩」近くまで戻る。

 このままこの山で迷ってしまうのだろうか。いざとなれば藪を漕いで里にでて、自動車の場所までは戻れるとは思うが、そんなことまではしたくは無い。なにしろ、刺のある潅木や、蔓の草が密生しており、藪を漕ぐのも結構大変そうなのだ。でもそろそろ暗くなる。暗くなる前に何とかしなければ。

 「幹部岩」に戻る道が段差になったところの端っこを通っていることに気付く。そういえば、幹部岩の手前で、登ってきた踏み跡からその上に見える段差になった踏み跡に乗り換えたっけ。歳はとりたくは無いものだ。

 その踏み跡から段差を降り、下のほうの踏み跡らしいところを降りてゆく。

 もう少しはっきりした踏み跡を登ったような気もするが、まぁいいや。歩けるから。

 少し暗い場所に入っていったら、いきなり小さな社の横に出た。やっと降りて来ることが出来た。

 そのまま神社の境内を抜け、無事自動車に戻る。

 しかし、待てよ。登るときは小さな社を左に見て登っていったはずなのだが、降りてきたときもその社は左に見えたっけ。やっぱり登ったときとは違う道を降りてきたようだ。

 まぁ、なんにしろ結果オーライということにしよう。本当はちゃんと総括しなければいけないのだろうが。

 帰り道の脇に湧き水を引いてきたような、太い塩ビパイプから水が滴り落ちている場所があったので、そこに自動車を停め、手を洗う。そして、一瞬その水を飲もうかとも思ったが、その水の水源がわからなかったので、飲むことはしなかった。

 その近くに以前一度行ったことのある温泉があったことを思い出し、帰る予定は明日なのだが、その温泉に寄ることにする。

 土曜日と言うことなのか、駐車場は前回よりは大分空いている。それでも、県外ナンバーの自動車が何台か停まっていた。

 玄関を入ると、受付のおじさんが、看板に書かれた幾つかの市町村をさしながら、これらの市町村の方ですかと聞いてくる。いいえと答えたら、村外者は500円ですと教えてくれた。そういえば、この辺の市町村がいっぱい集まって新しい市が誕生するらしい。そのことを先取りした措置のようだ。

 風呂場に入ると、端っこの方の扉が開いている。覗くとその先が露天風呂になっているようだ。前回のとき、露天風呂なんて有ったっけ。当然露天風呂に入ってゆっくりする。

 都合1時間くらいいて、ビン牛乳を飲んでしまった。

 さぁ、これからどうしよう。明日は雨という予報もあるようだし。このまま帰ろうか。でも折角山梨まできているのだし。そうだ、甲府のPジムでも行って見るか。

 以前もらっていたPジムのパンフレットを引っ張り出して見ると、土曜日は9時までとなっている。それじゃぁせいぜい2時間しかいられないじゃないか。途中食事をして、渋滞にでも巻き込まれたら1時間もいられないかも知れない。それではもったいないから、今回はパスするしかないか。

 明日はどこに行こうか。最初の予定では偵察する神社が2箇所だったから日曜日も偵察の予定だったが、今日でその2箇所の偵察が終わってしまった。もう探すところは無い。

 とあるボルダ−エリアにでも行って見るか。その辺が一番無難かも知れない。

 甲府の市内でガソリンを入れ、塩川ダムを目指す。そのダムサイトで泊るつもりである。

 途中、牛丼屋があったら入ろうと走っていたのだが、牛丼屋がなかなか現れない。そうこうするうちに町を外れてしまうところまで来てしまったので、最後になるであろうコンビニによって弁当を購入する。序にガリガリ君も購入する。

 ダムサイトの駐車場にはトイレの近くに停まっていた自動車以外はいない。明日は天気が悪いと言うことだったから、あまり人は来ていないのかも知れない。一番奥の場所に自動車を停め、途中で買て来た弁当を食べて8時頃には寝てしまった。

 明け方の3時ちょっと過ぎだったか、雨の音で目を覚ます。もう来てしまったか。午前中位はもつと思ったのに。仕方がない、帰るしかないか。

 外に出ると、周りは完全に濡れている。雨の音が静かになったからもしかして止んだのかもと思っていたが、雨は静かに、しっかりと降っている。改めて、駄目だ。

 帰ると決まれば早い方が良い。他に2台ほど自動車が停まっていた駐車場を3時半頃に出発する。

 甲府の町に下りても雨は降っている。大月に出ても降っている。都内に入っても降っている。やっぱり帰ってきて正解だったようだ。何時ものように相模湖まで20号を走ったのだが、家には7時頃には着いていた。

 今回も易しい所しか登らなかったなぁ。


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作成年月日 平成16年10月 4日
作 成 者 本庄 章