古美山ボルダーその3

2002年 5月 8日記
 以下は、連休の後半に相棒と一緒に石川県白峰村のボルダーを登りに行ったのだが、雨に祟られ、仕方なく豊田に来たと言う、そういう愛知県豊田市内でのボルダリングの報告である。それにしても、5月の連休のボルダリングは雨に祟られての転進が多いなぁ。誰のせいなんだろうか。

 白峰からの転戦で夜遅く10時頃に豊田に到着する。豊田はこれで3回目だから道はわかる。地図無しで大滝渓谷を目指す。

 今迄入った事のない、古美山の手前の王滝渓谷の駐車場に入って見る。結構広いしトイレもある。それに、この時間にしては車も結構いる。皆我々みたいに車で寝るのだろうか。

 なるべく暗そうな所に車を止め支度をする。まだ完全には雨も止んでいないから、それに、ここは近くに民家もあるから、昨夜と同じく車で寝る事にする。

 今日は何にもしていないのだが、結構疲れたのかラジオを聞く事も無く草々に寝てしまう。

 朝目が覚めると7時近い。その間一回も起きなかった。雨は降ってはいない。しかし、晴れてもいない。今日も登れないかもしれないとの不安が過る。

 昨夜はあんなにいた自動車がいない。どうやらここで泊まったのは我々だけだったようだ。他の車は何しに来ていたのだろうか。

 朝食の用意をしようとすると、相棒がラーメンを忘れたと言う。仕方が無いから家から持って来てまだ少し残っているご飯をオニギリにして食べ、コーヒーを沸かして飲む。

 マットを敷いているから、車の中でもガスコンロが使える。ラーメンくらいは十分に作れるのだ。

 8時過ぎ頃にもう少し奥の王滝渓谷入口の駐車場に行って見る。こちらにもトイレが有り、10台位の車が置ける駐車場がある。車を降りて、近くをほんの少し歩いて戻る。

 古美山に行ってもまだ濡れているし人もいないだろうからと、昨日道の駅で打ち出した地図をもとに天下峰に行って見る事にする。

 途中古美山の駐車場にはやはり車はいなかった。

 古美山の駐車場の前を通り過ぎてすぐに左に入る。そして、その先のT字を右に行くように地図はなっている。しかし、T字になる前に工事中で通行止めの場所にぶつかってしまう。仕方が無いから引き返して、道の傍らで焚き火をしていたおじさんに天下峰への道を聞くと、2つ目の橋の手前を左に行けば良いと教えてくれる。

 その道らしい所を行くと確かに天下峰への道標は有るが車は登れない。仕方が無いから工事中の所迄引き返して、迂回路に入って見る事にする。途中道を聞いたおじさんがまだいたから、一応車の中から頭を下げて挨拶をする。

 迂回路に入って下の県道迄抜け、工事中だった道を反対から入って見る。すると、すぐに工事中になる。引き返して、県道をもっと先に行くと古美山への入口を通るはずだと、その道を先に進む。やっぱり古美山への入口が現れる。

 途中泊まった駐車場に入って案内図を確かめ、以前案内していただいた記憶を頼りに大給を目指す。

 所が、大給の前を通り越したらしく、次の大田の駐車場の前に出る。来過ぎたと、引き返し、少しゆっくり走ると、大給への分岐路を発見する。その道に入ると以前の記憶が蘇って来た。たしかさびしい道だったのに、通り過ぎた道は結構自動車の通る道だったから、何かが違うと思いながら走っていたのだが、やはり脇道に入らなければならなかったのだ。

 道の脇の空きスペースに車を止め、大給城跡に登って行く。尾根に出て右に行くとすぐに松平なんとかの立派な墓があるので、一応寄って行く。

 その林の中の尾根道を左に行くと、ハイカーらしいおばさんの3人連れに出会う。

 ここのボルダーは城跡の中に点在しており、非常に気持ちの良いエリアである。

 見晴らし岩から豊田の町を一望し、付近のボルダーを見て歩く。トポは持っていないから詳しい事はわからないが、以前登った課題や紹介してもらった課題の幾つかを思い出す。

 岩は苔が多いせいかまだ乾いておらず、とても登れる状態ではない。靴もマットも持って来てはいないし。

 一通り見て、前回行かなかった方にも少し行って見て戻る事にする。春はやっぱり葉が茂って少し日陰になってしまうようだ。

 次は大田を目指す。この大田は、駐車場が歌石となっているが、すごく大きな駐車場の上に当たる。

 歌石の駐車場に車を止めて上に登って見る。

 案内してもらった時は下の方から道を外れて藪に入ったが、今回はまだ下が濡れているので、道を少し登って行く。途中道の分岐が現れその右の道の奥に少し被ったボルダーが見える。その道に入る。

 そのボルダーの奥に、以前見た岩が並んでいる。少し高くて、少し被っていて、ホールドスタンスもあまり顕著な物はなくて、結構高難度課題が出来そうな感じである。

 先に行くと再び尾根道に出る。それを右の方に進むと道の脇にボルダーが幾つか転がっている。なおも進むとボルダーは無くなり、暫く山道が続く。その先ボルダーは無さそうなので引き返す。

 一寸したピークを巻く感じで脇道にそれたのでそのまま一寸したピークを登と、そこにはピンが打たれた大きな岩がある。その脇に小さな岩が有り、乾いていそうだったので、ここまで来て何も登らないとするとボルダリング紀行が書けないと、運動靴で登って見る。しかし、靴が少し緩いから巧く登れない。相棒が裸足の方が登れるかもと言ってくれたので裸足になって登る。これで、一応ボルダリングはできたと満足する。

 古美山の駐車場に行くと既に7〜8台の自動車が止めてある。丁度今来たばかりの自動車もいる。その自動車の脇が開いていたのでそこに車を入れる。

 一応着替えて用意をして登って行くと、ダンスという課題を登っている人がいる。昼頃になって日も照りだしていたから、既に乾いて来たのだろうか。ちょっと話をすると千葉に居た事が有って、小生の通うジムにも来た事があったらしい。

 もう少し登って、一難去ってという課題のある岩の前に行くと、古美山クライマーズの人達がいる。前回あちこちを案内してくれた方もいたので挨拶をする。しかし、その岩の右端の課題以外はまだ濡れていて登れないらしい。

 何やら下で賑やかな声がするので降りて行って見ると裏ドラという課題で4〜5人の若者が遊んでいた。ちょっと見学する。

 戻って見ると、古美山クライマーズの人達が、ここは登れそうな課題が少ないからと、巴川の対岸のボルダーに行く算段をしている。河原だし、日当たりも良いらしいから乾いているだろうということからの算段らしい。

 対岸へは橋をかけなければ渡れないらしい。それで、仲間に電話して、脚立やらロープやらの調達を始める。皆でそっちの方に移動するようだ。徒渉に失敗するとずぶ濡れになるらしいのでどうしようか考えていたら、前回案内してくれた方が、その河原のこっち側のボルダーに行かないかと誘ってくれたので、一緒に行く事にする。

 最初は道の脇の一寸した路側帯に車を止め河原に降りる。ここが対岸への徒渉点になるらしく他の仲間も来るらしい。

 ここは、少し高い岩と水平クラックが2本くらい走った岩と流れの側のつるつるの岩が登れるらしい。しかし、水量が有って、とても対岸への徒渉は無理のようだ。その様に案内してくれた方が仲間と電話連絡を取る。そんな訳で、ここは見学だけにして、もう少し上流に行く。

 こちらは道路脇に膨らんだ駐車スペースがある。亀岩と言う岩らしい。その他に対岸にも岩があるらしいが、増水していてとっても渡れない状態である。

 この亀岩は川に面して亀の頭のような岩がルーフ状に出っ張っている少し大きな岩だ。その岩の出っ張ったルーフのある面とその右側のフェース状の面に何本かの課題があるらしい。

 ここは尺取り虫みたいな虫や毛虫が異様に多い。蜘の巣も張っている。それを竹の枝で払いながら掃除をする。そこに、古美山の駐車場で隣に車を止めた方が合流する。

 先ず正面左の水平リスに立ってきつい傾斜のスラブを登ると言う課題を触って見る。しかし、全く離陸が出来ない。

 アップ無しでは無理だと、その面の左のクラックとその上のフレークを使って登る簡単らしい課題を登る。クラックの下の方からしみ出していて、そこの所がスタンスとして使えないから、少し難しくなっただろうか。多分そんなことも無いとは思うが、少し力が入ってしまう。

 降りる段に、降り易い所の苔が濡れているようだったので、その手前を苔苔のガバホールドを使って降りる。所が、そのガバホールドが欠けて一瞬バランスを崩し、右手の肱を擦りむいてしまった。まぁ、それ以外の怪我は無かったので、血が少し出ていたが、そのままボルダリングを続けるのに支障はない。

 右の壁のガバ限定のCグレードというカチカチのフェース課題に挑戦する。

 そんなに難しくないと思ったのだが、思った以上にホールドが悪く、足も良い物が無いから、登れない。離陸して足を一歩上げればリップ下の唯一許されるガバホールドが取れるのだが、上げた足に乗り込んで行くと手が効かなくなって来て、そのスタンスに乗れず落ちてしまう。

 足を幾つか試すが良い足が見つからない。何回かやったが一先ず諦める。

 後から合流した人が、さっき小生が登ったクラックから左にトラバースして行くと言う課題をやっている。そして、一歩上がって左手アンダーで左にトラバースする所が出来ないでいる。

 やらしてもらったら、トラバースができた。そのまま亀の頭のルーフもリップをトラバースして亀の頭のルーフのテッペンでマントルするらしいのだが、少し上に上がり過ぎてしまい、その先のトラバースに移れない。そのまま上に抜ける課題も有ると言うので、そのまま上に抜ける。

 亀の頭のルーフをマントルする課題をやって見る。

 スタートは少しガバな左手と少しスローパーな右手でスタートするのだが、1m位のルーフだから足が無い。一応ルーフの中の適当な所にトウを引っ掛けてスタートするが、結局は足ブラで右足をリップに上げる。そして、もう一段上のリップの僅かなカチでマントルを返すのだが、なにしろ左足は足ブラ状態だから、なかなか右足に体重がかからない。4回か5回くらい挑戦するが惜しい所で落ちる。と言う事は、相当に頑張ってから落ちるからすごく疲れる。

 3回目位に右足の膝がフックできることを発見するが、右の方のホールドは限定だから右手が出せず結局マントルが返らない。

 案内してくれた方がやって見せてくれる。左足をルーフのサイドのスタンスを蹴っている。それかぁー。真似をしたら、やっとマントルが返り上に抜ける。

 気を良くして先にやっていた右側の壁の課題を見に行って、新たなスタンスを試し、2回目位でなんとか抜ける。

 しかし、暑い。ホールドがぬめる。確実に1グレードは上がっているかも知れない。

 後から合流したもう一人の人が小生が最初に触った課題を触り始める。

 この課題は、スラブ状の壁の途中に水平に近い右上がりのクラックが走り、そのクラックをアンダーに使って、そのクラックの左端に立ち込み、上のカチを取ってから適当なぺたぺたとスメアで上に抜ける課題らしい。難度はCらしい。

 スタートの左手はカンテのアンダーかカンテの縁のアバタのガストンらしいのだが、小生はアンダーは持っても力が入る気がしないので、カンテの縁のアバタを使う。しかし、殆ど効かないホールドである。

 案内してくれた人が登って見せてくれる。その人も小生と同じ左手である。クラックに右足で立って、足をクロスして、クラックを徐々に登って行くみたいな感じなのだろうか。でも、なかなか成功しない。

 その人は、新しい小生と同じ靴を今日下ろしたらしく、頻りと登り方が違うために登れないと言う。普段はC4ラバーを使っているらしい。確かにそのラバーとは性格が違うから足使いも微妙に違って来る。この靴は年寄り向きだと話すと、歳の話になり、聞くと、案内してくれた人は小生よりも4つ位い上だそうだ。

 この古美山クライマーズの人達は結構歳をとった方が多い。関東だと、年寄りのボルダラーは少ないから、小生は年寄りだと思ってしまうが、ここではまだ年寄りではないようだ。その辺が、この古美山の居心地の良さになっているのだろう。ここに来るとなんとなくほっとするのである。

 小生もまたやって見る。右足を少し突っ張って、マットからスタートしたら離陸ができた。しかし、足のクロスで剥がされてしまった。

 既に3時少し前である。他の人達は何とか対岸に渡ったらしい。我々は古美山が乾いたであろうと、古美山に戻る事にする。

 古美山では、一難去ってに取付く。もう一人の人はその右隣の文明開化という課題を触る。一難去ってはD難度、文明開化はE難度らしい。それぞれ1級と初段という事らしい。そして、共に古美山のテストピースらしい。

 一難去っては、左手サイドガバ、右手結晶で右足でスタートし、左足をスメアチックなスタンスで右足を上げ、右手をあまり良くないカチに飛ばして、右足の横のカチに左足を上げ、右足を切って左足で立ち上がり、左手リップ下のかかりの悪い皺のようなホールドから右手リップのカチを取りに行く。その後足を上げて適当な結晶を使って上に抜けると言うのが一般的なムーブらしい。

 最初は右足を上げてからの右手のカチが取れない。どうしてもデッドになってしまう。それがだんだんとスタティックに取れるようになる。次は左足を上げる所だが、これが上がらない。身体を上げて行くと右手が効かなくなってしまう。この左足を上げる所が第一難らしい。

 もう一人の人、案内してくれた人、それぞれが登って見せてくれる。案内してくれた人は左足を上げる時に右足をインサイドからアウトサイドに踏み変えている。

 一度真似をして見たが右足が廻らない。

 右足を上げてしまうとどうしても左足が上がらないから、左足でスタートし、右足スメアで左足を先に上げる事を試みる。それなら左足は上がる。しかし、右手が次のホールドに飛ばない。左手のサイドを少しアンダー気味に持ち変えると右手が取れるようになった。しかし、今度は左足で立てない。リップの皺の下にある結晶を左手で摘まんで身体を上げて見る。身体が上がりだす。次は右手がリップのカチを取れない。左手をリップの皺に上げると右手が取れる。あとは右足を上げてリップに乗り込んで行くだけだ。しかし、高い所だし、手は結晶を適当に摘まんでいるだけだから恐い。これが第二難らしい。そこで迷っていたら落ちてしまった。惜しい。誠に惜しい。登れたと思ったのに。

 少し休んでもう一回やったら、上に抜ける事ができた。古美山のD難度課題がやっとできた。実は今回の古美山は密かにこの課題を落としたいと思っていたので登れて本当に嬉しい。もう夕暮れぎりぎりだったから尚更嬉しい。

 そろそろ潮時である。今夜はもう帰るつもりである。お礼を言いながらお別れをして古美山を離れる。

 まだ明るいし、どうせ夜中に走る積もりだからと、別れる前に行き方を聞いておいた天下峰に再度行って見る。今度は知っている人に聞いたから一発で天下峰の駐車場に到着する。

 天下峰は想像していた所と大分違う。お寺の裏山みたいな岩場である。既に暗くなりかけていたから、少し登って行っただけだったので、全体はわからなかったが、登って行く道の脇や岩の基部に石仏が沢山祭ってある。こんな所を登のだろうかと思ってしまう。

 ボルダーは良くはわからなかったが、なんとなく有りそうな気はした。しかし、道沿いのボルダーの基部には殆ど石仏が祭ってあったので、登れるボルダーは藪の中なのかも知れない。

 既に暗くなってしまったので、帰る事にする。

 どうせ明日も休みだから、ゆっくりと帰るつもりで、暫く下の道を走る事にする。

 先ずは248号線で岡崎まで行く。岡崎では、ガソリンを入れ、牛丼屋で牛丼を食べる。この牛丼屋は味噌汁が付いて290円だった。

 岡崎からは1号線に入る。豊橋市内で一時道を失うが、無事1号線に戻り、その後は結構自動車は多かったが流れていたので順調に走る。

 途中浜名バイパスだと思うのだが、一般道と有料道路の分岐になる。で、一応贅沢に有料道路の方に入る。

 道路脇に駐車している自動車が何台かいる。10時少し前である。自動車専用道路みたいな造りだから、そんなところに車を止めて何をしているのだろう。その後その数が増えだす。若しかして、この先有料道路の無料開放を待っているのかとも思ったが、はっきりしないし、危ないのでそのまま走る。有料道路の料金所が見えだし、駐車中の自動車が増えるが、大半の自動車がそのまま料金所に向かうので、我々も料金所に向かう。すると、料金所に職員がいるのに、只今無料開放中とある。時間は10時3分前である。有り難く無料で走らせてもらう。

 その後、何ヶ所かの有料道路が無料開放されており、東名並に自動車が流れている。結局沼津まで1号線を使い沼津インターから東名に乗る。12時近いのに、大井松田辺りまで20kmの事故渋滞が残っている。事故処理は終わったと言うのに、渋滞があまり減らないみたいだ。

 遅くなっているしで、結局足柄サービスエリアで、例のマットで仮眠する。

 5時頃目を覚まし、そのまま6時過ぎに家に帰りつく。当然渋滞は全くなかった。


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作成年月日 平成14年 5月 8日
作 成 者 本庄 章