古美山ボルダーその2
2001年2月19日記
先日の土曜日と日曜日に、ジムの仲間2人と一緒に3人で、愛知県豊田市の古美山と言う所に行って来た。仲間の1人は昨年の暮れ、小生は1昨年の暮れに訪れているから、2人にとっては、2回目である。
ここは、豊田市の郊外の王滝渓谷と言う所にある王滝遊歩道の一部にあたる、古美山園地内に所狭しと並んでいる花崗岩のボルダー群である。花の季節にはササユリが咲き誇りそれはそれはきれいな所らしい。従ってボルダラーよりはハイカーが多いらしい。有名なルートの課題も幾つか有るがボルダリングの課題がメインのエリアである。
金曜日のよる出発、豊田市内で仮眠の後古美山へ。10時頃到着。さすが、まだ早いのか2〜3人しか人はいない。
先ずは縄文ハングの観音様ごめんなさいを偵察。なんか殆ど触られていない様子。どう登れば良いかあまりよくわからない。洞門内のルーフを見る。チョークがいっぱい付いているが、トポ集の課題がよくわからない。ホールドは有るような無いようなである。車に戻って支度を整え、フレーク岩の師匠出来ましたを偵察しながら、リーチロックに行き、荷物を置く。
このリーチロックは旧古美山エリアの真ん中辺に位置する岩であり、かつての古美山の最難の課題であったE難度の文明開化という課題のある岩でもある。因みにこの課題は、その後のここのグレードのテストピースとなっている。
1番左の難度Aののみ上りに取り付く。難度Aとは1番易しい難度だ。Aだからと、何でもありで一応登る。続いてその隣ののみパッチン、難度はC。ホールド限定の課題らしい。多分登ったのだろう。上には抜けたから。ウォーミングアップ終了。
仲間が一難去ってを登る。難度はD。今回の小生の目標課題でもある。仲間は当然登る。1昨年尋ねた時にお世話になった方が見える。仲間はその右の文明開化に移る。小生は地元の方と2人で、この一難去ってに挑戦する。
最初は右足カチスタンスから右手を取りに行けない。どうしてもデッド気味になってしまう。デッドではなかなか取れないホールドだ。地元の方はその先の1難であるそのホールドから左足を上げる所まで行っている。
何回かやっていたら右手が取れるようになった。でも、その後の左足が上がらない。ここまで何回か繰り返したが、段々疲れて来た。0.5難しかいっていないのに。
以前お世話になった方がこの一難去っての直上バージョンが有ると教えてくれたので、そのバージョンを試す。このバージョンはリップまで行けた。しかし、その後のマントルが核心らしく、足が決まっていなかった事もあって、落ちる。もしかすると登れたかも知れない。まっ、核心だから駄目だろうが。因みに難度Dはあるらしい。
仲間が右端のポンという課題を登ったので小生も真似をして登る。これは難度C。少しリーチものである。多分前回は登れなかった課題だ。まぁ、C位までは登れるようになったようだ。
前回全く歯が立たなかったサイコロ岩の課題が気になっていたので、皆でサイコロ岩に行く。
最初はA難度のイカサマ。前回はこれが全く登れなかったのだが、今回は登れた。次はCのゴメンナサイ。マントリングの課題だ。仲間は簡単に登るが、小生は奥のガバをアンダーで使ってやっと登る。でも、この課題はそのガバは使ってはいけないらしい。そこで再度挑戦。やっとこさ登る。
リーチロックに戻ると、我々が参考にしているトポ集の編集者が来ていたので、ここが初めての仲間がその方から我々と同じトポ集を分けてもらう。もう残りは少ないらしい。
仲間が気になっていたと言う外れ岩を見に行く。この岩は遊歩道のすぐ脇にあり、柵で囲まれている。あまり触られた形跡も無い。もしかすると冬場限定の課題かも知れない。
Aのトカゲの尻尾は登る。Dのトカゲを仲間が登り、易しいというので、もう1人の仲間と小生もやって見たが、やさしくはない。結局2人とも出来ない。カンテをパーミングでトラバースと言う課題であるのだが。
リーチロックに戻る途中に、お忍び前岩に寄る。仲間が低空飛行というB難度の岩のトンネル状の所のリップをフットジャムを効かせながらトラバースすると言う、大変に窮屈な課題をやる。この課題は、普通の人はあまりやらない課題だと思う。多分。で、当然パス。もう一人の仲間も窮屈過ぎるということでパス。
裏に廻って、仲間が、やりたいと思っていたと言う、難度Dのキャッチャーを登る。丸いハングのカンテを乗っ越す課題である。なんとなく御岳の水際カンテに通じる課題のようだ。密かに、彼の当面の課題は水際カンテらしい。内緒だが。
このキャッチャーから下の方に大きな岩が見えたので、その岩に行って見る事にする。トポで見ると、前回の時には行かなかった、番外地ロックらしい。この岩は、リーチロックのすぐ下にあり、ルートの課題のある大きな岩だ。
仲間がB難度の番外地を登る。草付きのクラックをトラバースして行く課題だが、少し高くて恐そう。2人はパス。
その岩の下の岩にあるスラブを結晶だけで登ると言うアンギラスという課題とその隣の岩のラドンという同じような課題に挑戦する。ともにB難度である。
ここ古美山の花崗岩は目の粗い花崗岩である。本当に目が粗い。そこら中に結晶が存在する。つまめる程大きい結晶も多い。サイコロ岩のパーミングホールドでは、結晶にカチ持ちが出来てしまう位だ。同じ花崗岩の笠間からは想像もつかない岩質である。
結晶をつまんで、1歩上がる。が次の足が無い。足を上げられない。結晶の使い方に何かコツでも有るのだろうか。結局この2課題は出来ず終いだった。
次はその下にあるビビリ岩に行く。この岩は最近発見された岩らしい。名前の通りハイボルダーだ。右上の方はしみ出しなのか濡れている。
仲間が真ん中のカウンターマニアらしい所を登る。出口のフレークが恐かったとか。因みにC難度である。高いから小生はパス。1番右のA難度のめまいという課題をやろうとしたが、濡れているから、やっぱりやめた。
一旦下の遊歩道まで降り、隣のハイカーズロックに行く。AからC迄の課題が2つの岩に9本設定されている。高くはない。
左の岩の1番左のあひるという課題を登る。B難度である。続いて右隣の岩のかわせみに挑戦。離陸出来ない。B難度である。仲間は総ての課題を登るが、結構大変なような事を言っている。小生もその他のAやBの課題を触ったが出来る気がしない。右の岩の1番右の兎というB難度の課題が出来そうな所まで行ったが、リップのややガバを取った所までで力が尽きてしまった。
もうそろそろ夕方になりかかっていたが、リーチロックまで戻ると、地元の方がセブンロック・ボルダエリアを案内してくれると言うのでお願いする。大スラブ岩から小犬岩、へそがん岩等を案内して頂いて、1番奥の目玉岩まで行くとその前に10数人の人達がセッションを行っていた。もう相当疲れているしで最初は3人で見学していた。
皆さんはC難度の目玉親父、同じくC難度の大目玉トラバース、D難度位らしい、今日できたと言う、目玉親父から出て砂かけ婆までのトラバースの課題に挑戦している。一部の人はその左奥の石頭に取り付いている。
ここ古美山で鉄人と言われているらしい既に還暦を迎えられたという方が、トラバースを足ブラでやっている。さすが鉄人。小生よりも年寄りだと言うのに。でも、小生もまだしばらくはボルダリングが出来そうだ。因みにこの方、古美山のほとんどのE難度の課題を登っているらしい。頑張らなければ。
寒くなって来たのでなにか登るかと、易しいA難度の鼠男、B難度の砂かけ婆を登る。このBはそんなに難しくない。で、地元の人にハイカーズロックのBは難しいのではと聞いて見たら、あそこは短いからとの返事だった。そうかなぁ。
小生も目玉親父に挑戦してみる。やっと離陸はできたが、リップにデッドが出来ない。仲間はこれをこなし、新しい課題もこなす。小生は大目玉トラバースにも挑戦するが、やっぱり駄目。一応核心の手前までは行けたが、核心部である遠いホールドがとれなかった。出来る積もりでやっている訳ではないから、まっ、そんなところでしょう。
奥の石頭に行く。といってもすぐ隣だ。
仲間が、その石の真ん中の地元の人が設定したプロジェクトを完成したらしい。仲間は1撃できたから難度はD位かと言っていたが、その試技を見られなくて残念である。
地元の人達がその仲間のムーブを真似て挑戦していたので、小生も、自分のグレードでは無いのだが、難しい1手か2手にトライするという、いつものパターンで参加する。当然出来ない。やっと離陸ができた迄だ。
左端の猫娘、難度Aを登る。最初は途中で落ち、左に飛び降りる。後で聞くと、下地が少し悪かったから仲間は一瞬ヒヤッとしたらしい。でも易しいから、2回目には登った。と言いつつ、少し高いから少し恐かった。右端のからかさ、B難度にも挑戦。仲間が登ったらしく、最後が恐いと言う。登り始めたら、もう戻れないと言う。グレードで登ってはいけないとも。でも上に登ってしまう。本当は仲間が簡単には登れなかったらしい課題だから、恐かったのだが、結局途中まで行き、高い所のスラブの乗っ越しの所まで行ってしまった。高いし、手も足も顕著な物はない。もう降りられない。幸い水平クラックに乗っているから、そのクラックを使って少しトラバースし、何とか乗っ越せそうなところで乗っ越す。やっぱり少し恐かった。
その後仲間が登った真ん中の課題にしつこく何回か挑戦した。すでに指の皮は終わりかけていると言うのに。地元の人達も挑戦するが、この日は我々の前では完登者はでなかった。
地元の人達も大半が帰ったので我々も帰る事にする。
もう薄暗くなりかかっていたが、我々がお世話になったトポ集の編者の方が帰り際に、最近開拓された古美山下部新ボルダーを案内して下さった。もう暗いからあまり岩をじっくり見る事はしなかったが、あっと言う間にリーチロックの下に出てしまった。
ここ古美山は非常にコンパクトに岩が集まっている。将に所狭しである。最近開拓されたというハイカーズロック、セブンロック、下部ボルダーでも、それぞれ1分か2分で行ける。それら全体でも笠間の石倉エリア位の広さでしかない。或はもっと狭いかも知れない。そんな中でこれらの新しい岩が開拓されたらしい。将に驚異だ。結局我々の荷物は1日中リーチロックの前に置きっ放しだったのだ。
駐車場で、小生が前回お世話になった方が、明日は大給城址に行くとのことで、明日も我々が古美山に来れば案内しましょうと言って下さったのでお願いする事にする。
豊田に戻り、先ずは食事にする。ビックリドンキーを見つける。駐車場はほぼ満杯。大分待たされる事を覚悟したが、待ち時間ゼロ。というより何より店内は空いている。何でだろう。豊田ってそういう所なのか。
次は風呂だ。やっぱり駐車場はほぼ満杯。でも風呂は混んではいない。やっぱり豊田はそういう所なんだ。どうせ寝るまで何もする事はないのだからと、ジャグジーに浸かったり露天風呂に入ったり、打たせ湯に打たれたり、サウナに入ったり、それはもう、疲れてしまうくらいに一生懸命にゆっくりして、その日は終わった。
翌日は前日の疲れか、また前日よりは暖かかったせいか、遅い目覚めであった。コンビニで昼ご飯を用意して古美山へ。寒いし皆さんゆっくりのお出ましと考えたのだが、駐車場はほぼ満杯。でもここは豊田だ。ボルダーエリアが混んでいる訳ではない。
昨日は行かなかった一手ロックのスラバーユの前に行く。そして、パン・ロック、秋岩等を偵察。しかし、昨日既に指の皮が穴の明く寸前まで削られており、小生のモチベーションは限りなくゼロ。仲間は既に指に穴が空いており、昨夜コンビニで買ったアロンアルハを塗っている。それにしても古美山クライマーズの人達はどういう指の皮をしているのだろう。良くもまあこの岩で2日も遊べる物だ。
そうこうするうちに、昨日お世話になったトポの編者とお会いし、大給城址を案内して下さるとの事だったので、図々しくお願いする事にする。
途中大田城址のボルダーエリアに寄る。古美山から5〜10分位の所である。この大田の読み方だが、岩雪の紹介記事ではオイダとなっているが、正式にはダイダらしい。因みに大給はオギュウである。
大田城址には非常に大きな駐車場がある。しかし、ここの駐車場は時間制限があるらしく、夜の6時には閉まることになっているらしい。その為地元の人達は下の駐車場に車を置くらしい。
駐車場の入口の登り坂から、林の中に入って行く左の方の細い道を登って行く。ここはハイボルダーが多いようだ。でも、ちょっと道を外れて、林の中に入って行くと、そこら中にボルダーがあるという感じだ。トポの編者いわく、日当たりの良い所しか開拓はされていないから、林の中はほぼ手付かずだとか。もったいない話しである。
ここは被った岩も幾つか有り、FからG難度の課題も設定されているらしい。優に初〜2段は有るのかも知れない。そんなグレードは登れないから小生には検討すらつかないのだが。
大給城址のボルダーエリアはそこから車で5〜10分位か。多分もっと近いと思う。ここは駐車場は無いから、道端の空きスペースに駐車する。5〜6台は置ける広さである。
林の中を少し登って行くと松平某の墓がある。そこを左に樹林帯の尾根道を辿ると5分もかからずに開けた場所に出る。日当たりもすこぶる良い。そこら中ボルダーだらけだ。大田の比ではない。古美山よりも多いのかも知れない。下地も本当に平らで良い所が多い。
大田もそうだが、以前岩雪に紹介されたトポはわかり難いらしい、未だにわからない岩もあるらしい。グレードも現在の古美山よりは1グレード位は辛いらしい。近く日本100岩場に紹介されるらしいので、それが出ると、多分沢山の人が訪れる事になるのだろうか。あまり人が来て欲しくはないが。でも、トポだけは欲しい。
そして、春の桜、秋の紅葉がまた抜群らしい。なぜ駐車場が無いのか不思議なくらいに素晴らしいロケーションである。そしてそして、ここも手付かずの岩がいっぱいあるらしい。未だに岩の掃除をしているらしい。なんとも羨ましいことである。岩無し県の千葉県人からすると、本当に羨ましい。またまた定年後の移住先候補が増えてしまった。
ここは本当の城跡の中にボルダーが散らばっているから、平らな広場みたいな所が沢山ある。そんな平らな所に一寸したボルダーが転がっている。そんな岩に、やさしい課題から被り系の難しい課題まで、沢山の課題が設定されつつある。そう、将に現在進行形である。もう10年以上も前に岩雪に紹介された時でも、現在進行形のエリアであった。それが、今でも現在進行形である。
現在進行形はここ大給だけではない。王滝渓谷一体のボルダーエリアがエリアごと現在進行形である。因みに紅陽台の岩場という所も開拓が進行中らしい。ただし、こちらはルートが主体らしいが。
豊田市を一望出来る見晴らし岩で眺望を楽しんだ後、今日は暖かいからと、今までのエリアに続いて、冬場はあまり行かないらしい、北面のエリアも案内して頂く。ここには岩雪に写真の載っているダイヤモンド形のスラブの岩があった。
この岩、思ったより高い。トップロープで登っていた課題らしいがやっぱり高い。登って見たい課題の1つであったが、止めた。写真の右隅の松の様な木が今は大木になっている。それからすると、あの写真からは20年以上はたっているのかもしれない。
その岩の先に笠間のシンプル岩に雰囲気の似た大きな岩がある。一応エリアとしてはこの辺でお終いとの事であったし、折角来たのに本日はまだ殆ど、小生は全く、登っていなかったから、遅い昼食の後、案内してくださった方と別れ、この岩に取り付く事にする。もしかするとこの岩の前でバレーボールが出来るかもしれない。そんなロケーションの岩だ。
正面、てどこが正面だかわからないが、の左の方にA難度のマントル1手の課題があるとのことだったので、触って見たが、足が上がらない。手も痛い。例によって、Aじゃない。仲間もマントルの最後で、悪い、という。もっともそのAは小生のやったAの右隣のAだが。そのAは小生は最初から出来る気がしなかった。
右に廻りこんだ所にもAがあるので、それをやって見る。離陸出来ない。仲間のやるのを真似たら離陸ができた。でもその後も悪い。壁の途中でオポジションを使ったマントリング気味のムーブを繰り出したりして何とか抜ける。
今度は仲間が左の方の、リップ無しのトラバースに挑戦している。足が悪いらしい。小生はリップありで同じ場所をトラバースする。途中で足が見つからず落ちる。時間も時間なので引き上げる事にして支度をしていたらマットを背負った若い2人組が現れる。少しそれとなく見学するかと言う事になったが、それ程うまそうでもなかったので、結局はそのまま帰る。
途中案内をして下さった方が地元の若い人に捕まって模範演技をなさっていたので、また改めてお礼を述べ、帰路についた。
ここは駐車場が無いから水道もない。北のエリアの一番高い所に小さなトイレはあるが、そこにも水道はない。松平某の墓の前の手水場にも、水は無い。遠征組みとしては、それだけが少し残念であった。
既に夕方である。まっすぐインターに行き、千葉に向かった。途中首都高で渋滞があったものの、10時過ぎには千葉についた。
やっぱり豊田は近くはない。度々行きたいと思わせる所なのだが。