笠間ボルダーその8
2000年12月25日記
この土日月の自主的3連休は、結局中日の日曜日に先週と同じ仲間で先週と同じ笠間に行ってしまった。
北関東自動車道の笠間インター経由で大黒岩へ。常磐道を岩間インターで下りるよりは10分程節約になるようだ。因みに笠間インターから佐白山は10分程である。
大黒岩には2組6人程の先客が居る。一組は先週の茨城の人達、もう一組は何と新潟と山形のカップルである。茨城の人達に、遠くから毎回良く来るねと言われてしまったが、新潟、山形からはもっとすごい。もっとも、岩手の北侍浜とかを考えれば、人の事は言えないが。でも、ここ大黒岩に3組み10人ものボルダラーが取付くとは、笠間も大変にメジャーになったものだ。
支度をして、ストレッチを行って、でも、なんか足りない気がする。やっぱり昨夜から電池の充電をするなど準備していたビデオカメラを忘れてしまっていた。残念ではあるが、かえって相棒も登る良いチャンスであったかも知れないと前向きに考える事にする。
今回も3足の靴を持参したので、カチ靴に慣れようと、紐靴を履く。ノーハンドスラブをノーハンドで登ってみる。何回かやってやっと2歩まで出たが、3歩目は出なかった。仲間の一人も一緒にトライしたが、結局2歩目位で滑ってしまい、靴がもったいないと1回で止めてしまった。
程なく、アウトエッジやパラダイスゲート、リトルマントルで遊んでいた先の2組は相次いで移動していった。何時もの大黒岩に戻った。
仲間2人と小生でアンダークリング4級に取付く。小生、この課題は未だ登れていない。今回は是が非でも登りたいと考えていた課題の一つである。仲間2人は簡単に登る。例によってそれを参考にしようとしたのだが、左足が少し遠すぎ、小生にはそこまで足が開かない。従って、その手前のスタンスを使う事にする。しかし登れない。
仲間2人は隣のストロングフィンガー2級にトライ、一人が登る。小生も真似をする。
この課題、以前は全く離陸できなかったのだが、今回は離陸は出来る。でも、右足が決まらず動く事が出来ない。
一人アンダークリングに戻り、何回かトライするも、やっぱり左足に立てない。仲間は今日の目標であるサムライ返し初段に移動した。
このスタンス、スメッジング気味に使うと立てそうだったので、何時ものベルクロ靴に履き替えて見る。と、なんとか立てそうだ。で、その後2〜3回でやっと登れた。素直に嬉しい。
相棒は何時も下りる時に使う10級の課題の左の9級の課題に取付いている。
小生は、紐のカチ靴でもこのアンダークリングを登りたかったので、靴を代え、再度挑戦する。今度は1回で登れた。このカチ靴でも登れたと言う事は、この靴が使えるということであり、なんとなく嬉しい。
サムライ返しを見学に行く。そして、無謀にも仲間の真似をして取付いてみる。離陸は出来るが、右足の所まで足が上がらない。手が離せないから、足を手で上げてやる事も出来ない。仲間達は、難なくその右足に乗り込んで上のリスを取りに行っている。小生もあのように足が上がるように、もっとストレッチに励む事にしようか。
相棒はと探すと、マントル9級に取付いていた。先の9級の課題は登れたらしい。暫く足の運びを教えたり、スポットをする。
サムライ返しに戻って見ると、仲間達は右手のホールドを新たに見出し、新たなムーブを考え出したようだ。小生も、そのホールドを使って足を上げてみる。さっきよりは少し足が上がったが、足を置くまでには至らなかった。
仲間の一人がサムライ返しを登る。やったー。おめでとう。
小生、少しストレッチをして、さっきのムーブに挑戦。足が上がり出す。やっぱりその場凌ぎのストレッチでも少しは効くようだ。でも足を躊躇しているうちに剥がされる。やっぱり、初段は無謀のようだ。
ストロングフィンガーに再度挑戦する。右足はカウンターで右手を飛ばしてみる。飛ばす事は出来たが、留まりはしない。でも、展望が出てきた。何回かやってみる。右手が止まった。しかし、その手は悪い。その後2回位で諦める。
相棒はまだマントルの課題に取付いている。が、足が1歩高い所に上がっており、上のガバホールドを持っている。おっ、行ける。次に足が上がる。次のガバを取る。マントルを返す。やったー。9級を2本登ったー。
サムライ返しにまたまた戻る。サムライ返しの右のねこをやってみる。E難度である。易しい課題と言う事である。右のクラック限定らしい。が、出来ない。何だろう。3回位やってみたが出来ない。マットも無いし、下はアスファルトと言う事で、手の近くまで上げたスメアの足では次の思い切ったムーブが起せない。それを見て、サムライ返しを登った仲間が取りつく。足をクラックに置いて、マントルを返す。簡単そう。上は苔々で恐かったらしいが、抜ける。もう一人の仲間も抜ける。小生もその足を真似る。この足、手の所まで上げるのだが、クラックにねじ込む感じで立つと、意外と簡単に身体が上がった。で、次のスラブへの1歩の乗り込みがやっぱり恐い。少し躊躇いながら、足を選んでなんとか抜ける。出来た。
なんだかだで、結局2時間位いここで遊んだようだ。
今回も下の駐車所に車を置き、石倉の頭まで行く。途中、道の脇に何かの動物に食われたような猫の死骸が有る。仲間も見つけたらしく、やっぱり笠間は何となく気持ちが悪いと言う。小生はあまりそういう風には感じないのだが。
石倉の頭には荷物が幾つか置いてあり、先ほどの新潟と山形のカップルもいた。程なく先ほどの茨城の集団も来た。我々はそこで少し晩い昼食を摂る。そこに、いつも会う古くから笠間に来ていたという人が現れる。
待ってました。実は、先週もこの人を待っていたのであるが会えず、今回もムーブを色々と教えてもらおうとこの人を待ち構えていたのである。
早速仲間がサムライ返しのムーブを聞く。右手のホールドは使わなかった様だが、大筋、仲間が登ったものの様だった。小生は、石倉岩の周辺の分からない課題を聞いてみる。
先ず、ケーシーだが、そのような名前は記憶が無いらしい。でも、以前、石倉岩の頭の少し被った所をカンテを使って登ろうとして上のホールドが無く断念した、そこを左に回り込んだフェースを登る課題を教えてもらった。多分、古いトポの位置関係からして、それがケーシーのようだ。とすると、その被った壁の真中を下の石から登るのが多分ビギナーズマントルだ。ハンドトラバースははっきりしなかったが、我々がHiマントルと称した課題は以前から遊びで登られていた事と、ポコ岩のハン・トラも、小生の想像した、すごく恐そうな空中のハンドトラバースらしい事が確認できた。
続いて、わざわざギル岩まで行き、スーパースターを教わる。この課題は彼が笠間に来るようになってからは誰も登っていないとのことで、確信はないとの事だったが、聞いた話では、身体はカンテの左で、リス沿いにリスに足を懸けて登って行くらしいとの事だった。
次に、スパークカンテを聞いてみると、やっぱり、左手はカンテ、右手は少し持てるホールドでマントルのようだ。
以上、今回は大変な収穫を得る事が出来た。
仲間がもう一つの目標としていた扇岩に行く。
その仲間が先ず、リードも出来るというクラックの課題、ターゲット3級をやると言う。高いし、下地も良くはないので、今回持参したマット類全て、といっても3枚だが、を敷く。
さすがクラッククライマー、一撃する。当然、他の人はパス。
続いて、やっぱり今回の目標、スパークカンテ1級である。
ターゲットを登った仲間が1撃する。マントルを返し、右手を右のホールドに持っていって、足を上げ、ズリッという音をさせながら、何とか抜ける。上は苔で真っ青。大分恐かったようだ。
そこに、先ほどの人が来たので、この課題を確認すると、右のホールドは限定されるらしい事が分かった。確かに我々仲間に流通するビデオでは右のホールドは使っていなかったともう一人の仲間も言う。何となく残念。
なんかの拍子にその人にワシントン倶楽部の名前の由来を聞く。まだ課題が設定される前の話だそうだ。確かにワシントン倶楽部だ。納得。
仲間達はここの挑戦を続けていたが、小生のグレードでは無いので、小生と相棒でラブタッチに行く。
ベルクロ靴でラブタッチに取付く。この課題、前に登れているのだが、登れない。以前に登れたムーブを再現するのだが、足が移せない。剥がされてしまう。何回も滑り落ちる。その何回目かに、アンダーを持っていた親指を傷つけてしまった。
登れないし、怪我はするしで腐ってしまい、今回どうしても登りたいワシントン倶楽部に移動しようと、仲間を確認すると、こちらに来る支度をしていたので、仲間を待つ事にする。
仲間はやっぱり登る。相棒は裏のグリコ9級を登っている。仲間が運動靴でグリコを登る。小生も真似して運動靴でグリコを登る。
仲間がラブカンテにトライする。どうしてもレイバックにならず、ラブタッチになってしまう。小生、スタートの足を右足に替え、レイバック体勢に持ち込む。が、右手は上がるものの、左手が上がらない。動けない。
仲間が、それを真似して、手を進める。が、足が上がらない様だ。もう一人の仲間がトライ。何回かで右手をリップまで伸ばし、抜ける。出来るんだ。小生、ラブタッチも結局だめ。相棒もグリコ駄目だった様だ。ともに悲しい。
シンプル岩に移動。仲間はシンプルアンドディープをやるとの事なので、小生と相棒はワシントン倶楽部に行く。
ベルクロ靴を履く。手順通りやってみる。スタートの右手が何となく決まらない。左足が何となく決まらない。でも、左手でリップを持つ。右手もリップを捕らえる。が、結局右足が上がらない。当然落ちる。いきなり前回と同じ所まで行けたが、なんかきつい。次はリップを持つ事なく落ちる。そんな事を繰り返す。
なんか変だ。やっぱり疲れているのか。それだけではない。岩がなんとなく湿っぽい。スタートホールドの手が持ちにくい。持てない時すらある。中指は何回となく結晶に引っ掛かって穴が空きそうになるし。後で仲間に聞くと、仲間も大黒岩でそう感じたし現に大黒岩の窪みに水が溜まっていたと言っていた。やっぱり湿っていたようだ。
足がすごく疲れる。靴が柔らかいのかと、カチ靴に変えてみる。少しは楽に立てるみたい。やっぱり本当にこの靴に慣れて来た様だ。リップを捕らえる確率が上がった。
笠間に来ればやっぱりワシントン倶楽部だと、仲間達が合流する。仲間達もやっぱり1撃できない。ここはそういう課題なのだ。だから笠間に来ればワシントン倶楽部なのだ。
でも、さすが仲間達は登る。そして、だんだんスムーズに登るようになっている。その時、リップの左の最後のホールドはぶら下がれるホールドだと仲間の一人が言った。小生その言葉に、そのホールドは取れているのだから足が上がらなければそのホールドにぶら下がってしまえと考え、次の試技でいっぱいに伸び切った左手に、右手をなんとか近づけて、ぶら下がってみた。
落ちない。足が壁を僅かに蹴っている。いや、スメアっている。こんな言葉は無いけど。少しもがくと左足をずっと乗せたいと思っていたスタンスに乗せられたらしい。右足は上げようとしたスタンスに上がっていないけど、手は良いからマントルの体勢に持っていってしまえと、右手を左手の近くに移す。左手をもっと良い所を求めて左に持って行く。必死だ。後で上で見ていた仲間から聞いた事だが、手がずるずると滑っていたらしい。そんな事とは知らず、右手を返す。返った。左手も返った。お腹がリップに乗った。出来たと思った。無茶苦茶のドタバタだが、足を上げて、石の上に抜ける事が出来た。出来たのだ。登れたのだ。ヤッタのだー。やっと、本当にやっと登れたのだ。見ると、右の手首から出血していた。
この課題、何回トライしたのだろうか。少なくも前回の100回は遥かに越えている筈だ。何しろもうかれこれ1年は取付いている課題なのだから。そして、やっぱり、上で見ていた仲間がその気迫が伝わってきたと言う。長かった。
既に4時を廻っていた。
帰り道は猫が恐いし、周回道路に下りる所も結構急だとの事なので、石倉の頭まで登り返し、上の駐車場経由で帰る事にした。既に暗かった。
仲間も初段や念願の課題を登ったし、相棒も9級の課題を登ったし、小生もやっとワシントン倶楽部を登ったしで、何時ものQ番に行く。今回は結構客が居た。
ここで、仲間が撮影していた小生のワシントン倶楽部を登った映像を見せてもらった。少し暗かったけど、本人は相当にドタバタと考えていたムーブが、それらしく見える。それほど見苦しくも無い。様だ。
嬉しかった。お陰で高速では少々アクセルを余計に踏んでいたようだ。気を付けなければ。