笠間ボルダーその7

2000年12月19日記

 先日の日曜日にジムの仲間2人と相棒の4人で笠間に行った。今回はワシントン倶楽部狙いである。いつものように幕張本郷駅待合わせで出かけた。

 いつもより1つか2つ手前のコンビニに寄って、11時過ぎに佐白山到着。大黒岩に3人くらいのボルダラーが取り付いている。自動車を止めようかどうか一瞬迷ったが、そのまま駐車場に直行した。

 今回は下の駐車場に駐車し、以前から気になっていたアプローチを探ることにする。

 駐車場から周回道路を一方通行の逆方向に入って歩いて行くと最初のU字カーブの真ん中当りの左側に上の道のトンネルの前当りにショートカットできる場所が現れるので、その場所を登って上の道に出る。その道を逆方向つまり左方向にほんのちょっと下ると右上にはっきりした踏み跡が現れた。多分これが石倉の頭にでるはっきりした踏み跡だろうということで、その踏み跡に入る。果たして、この踏み跡は程なく石倉の頭にでた。

 意外と近い。上の駐車場から石倉の頭に出るよりも、アップダウンもないし、近いかも知れない。途中扇岩めがけて林の中を降りて行くことも出来そうだ。今回は素直に直進し、石倉の頭の日当たりの良い場所に出て、皆で昼食をとった。

 実は今回は普段使っているA社のベルクロの他に、最近ジムで使い始めたB社の紐締めと最近リソールしたスリッパの3足の靴を持参していた。

 先ずはまだ外では履いたことのない紐締め靴を履いてLoマントルの岩でウォーミングアップ。ホールドを限定したり、トラバースをしたり色々と遊ぶ。

   この靴、まだ少々きつく、そう長くは履けないのだが、すごく固く、所謂カチ靴である。先ずは調子が良さそうだ。

 仲間2人はエモーション狙いであるので、シンプル岩に直行し、そこに荷物を置くことにする。扇岩にはクラックを登っている以前何回かお会いした人達が、また、このシンプル岩にはシンプル&ディープに取り付いている人がいた。笠間も結構人が来るようになったものだ。多分筑波のクライミングジムの影響が大きいのかもしれない。

 フィンガー・クラックを偵察する。実は今回のもう一つの目論見としてこのクラックをジャミングで登ろうと考えていたのである。その為の幅広の布テープも持参したのである。

 クラックに手をねじ込み足をスタンスに乗せて身体を上げて見る。身体は上がる。しかし、手はすごく痛い。手にはまだテーピングをしていないのだ。手を上げて、またその手にぶる下がって見る。やっぱり痛い。なんかあんまり効いている感じもしない。テープを巻いてまでやる課題でもないかと勝手に決めて、シンプル・ファイターらしきものに移動る。

 このシンプル・ファイター及びシンプル・ライクの2課題だが、何処なのかよくわからない。シンプル岩の正面から見て左の壁にシンプル&ディープを含めて3本の課題があることになっているのだが、2本しかわからない。もう1本がどこなのかわからない。昔から笠間に来ていたという人に聞いてもわからないと言う。昔登ったのはシンプル&ディープの左は1本だけだったとか。

 因みに、その人に教わった昔の課題は、顕著なフレークを左足スタンスにして、右上のホールドをピンチ、左手は縦カチで離陸し、左手で右ピンチの上を取って足を上げるというものであった。

 その課題を試す。何回かの試技で右手の上のホールドを左手でやっと取ったが、足を上げられない。左手はそんなに効くホールドではない。やっぱり1級のホールドだ。今の小生には無理と諦める。

 エモーションに挑戦している仲間が足の使い方を変えたらしく、それで次のホールドが取りやすくなったらしいので、小生も触らせてもらう。右足を先に決めてから左足をスタンスに乗せるのだが、やっぱり手が甘すぎて一瞬離陸出来るものの壁に止っていられない。

 紐締めとスリッパの靴を持って相棒と二人でワシントン倶楽部の岩に行く。

 相棒は今回はビデオカメラマンに専念しているようだ。一応相棒の靴も持って来てはいるのだが。

 先ずは昨夜ビデオで研究した左足を少し開き、リップを取ってからその左足を本来のスタンスに乗せると言うムーブを試す。リップはなんとなく持てるので、といっても辛うじて持てるかなというところだが、足を戻して見る。が、決まらない。何回となく試すがどうも巧くゆかない。昨夜はこれで決まりと思ったのだが、やっぱり甘かった。

 左足スタンスを元に戻し、従来の方法とほぼ同じことを繰り返して見る。左手の場所を色々と探ったのだが、やっぱり左手が決まらず、従って右手も上がりそうに無い。結果もほぼ従来と同じ。

 ちょっと中休みして、シンプル岩に戻る。

 ここにはまた新しい仲間が増えている。茨城の人達らしい。その人達の話しによると、今度龍ヶ崎の佐貫と言う駅の近くにボルダリングジムが営業ジムとしてオープンするらしい。年内オープンを目指しているとか。

 仲間は相変わらずエモーションに取り付いている。その一人が、右手中継の後リップに手が止まる。そして、左手から左足で、ついに上に抜ける。やった。運良く相棒のビデオにも収まったようだ。因みにこの課題は初段である。

 ワシントン倶楽部に戻って、どうもカチ靴では石に身体を付けることが出来ないのではと思い、スメアができるスリッパに履きかえる。そして早速、左足スタンスの立ち方をインサイドを使うスメアでやって見る。なんとなくリップの左手が効く様になった気はするが。左手の場所も色々と探って見る。足も膝を入れたり色々とやって見る。結局はあまり進歩は無い様だ。気持ちの問題も大きいと思ったのだが。

 左足のスメアの場所を再度点検して見る。色の変わった一寸した膨らみである。そこをよおく見ると、何とそのすぐ横に大きな結晶があるではないか。即スメアリングの場所をそこに変える事にする。

 右手カンテで右足から左足をその結晶にスメアリングする。なかなか良さそうだ。同じことをまたまた繰り返す。左足の感覚がまだ安定しない。毎回置く場所が微妙に違うようだ。だが、悲しいかなこの違いが小生にはわからない。どこにどう置くのがベストなのか、エッジを使うのかどうかがわからない。間違いなく何回かは好感触を得ているのだが。悲しい。

 そうこうするうちにエモーションを登っていた仲間2人が合流する。もう一人もエモーションは登ったようだ。2人とも目的の課題が登れていいな。

 彼らは2人とも既にこの課題は登っているのだが、安定して登りたいということで一緒に登る。この課題って1度登れても2度目3度目がすんなり登れると言う課題ではないようだ。それだけ手や足が微妙の様だ。先程扇岩を登っていた何回かお会いしたことのある土浦の女性も加わる。

 やっぱり、仲間もこの課題を、心配した通り何回か失敗したが、それぞれが登った。一人はリーチが有り、我々より下のスタンスでリップが取れるので参考にはならないが、もう一人はリーチが小生とほぼ同じくらいなので、彼のホールド、スタンスは参考になる。

 彼は、左足のスタンスで左手をリップの左の方に持って行き右足を上げて右手を上げ、左手をさらに左の比較的良いホールドに持って行く。この左手を真似て見る。が、どうもしっくりする場所が見当たらない。

 仲間の一人が石の上でリップのホールドを指示してくれる。それによると、リップ上にはどうも2ヶ所のポイントがあるらしい。そしてそのポイントは、奥はそこそこ効くらしいが手前はそんなに良くは無いらしい。でも、小生にはこの最初のポイントがわからない。少し遠いみたいだし。何回かこのホールドを指示されながら探ったが、結局このホールドは諦め、元の右のホールドを使うムーブに戻す。

 左足に膝を入れながらスメアで乗り込み、左手をリップの右に持って行ってみる。持てる。よしこれだ。右手を上げてみる。上がった。次は右足だ。だがその右足を上げる予定のはっきりしたスタンスの場所がわからない。岩にへばり着いているから、見えない。見えなきゃ仕方が無い。足を上げるのは諦め、左手を左の結構持てる所まで伸ばす。その体勢で右足を上げる。やっぱり見えないけど、下の人に指示してもらって何とか上げて、左足も壁を蹴りながら左のフレークまで上げる。足が決まって手が決まったのだから後はマントリングだけだ。が、ここで力尽きる。残念。でも、やったー。ちょっとチョンボ臭いけど、プラス思考で行く事にしよう。

 今まで全く効きそうになかったホールドが、足が決まると不思議と持てるようになる。やっぱりスローパーは力ではなかったようだ。体重を足でしっかり分担すれば、手にはそれほどの保持力がなくとも良い理屈である。この理屈、頭では理解していた積もりなのだが、実際に経験してみて初めて理解する理屈の様だ。と言いつつ、別の場面ではすっかりこの理屈も忘れてしまうのだろうが。

 仲間の一人がジャンプ倶楽部5級に挑戦しているので真似をしてみる。小生、まだこの課題は登れていなかったのだ。

 まずリップに飛びついてそのままマントルを返すだけの単純な課題だ。1回目は見事にマントリングに失敗。どちらかと言うと苦手な課題だから、気合が足らなかったようだ。気合を入れなおし、2回目でやっと登る。スメアリングでのマントリングは嫌いだ。

 仲間はハングマンをやる為にヒップ岩に移動して行くが、小生はしつこくそのままワシントン倶楽部を続ける。

 どうも左足のスメッジング気味のスタンスに立つのには今までのベルクロ靴の方が良さそうな感じがしたので、取りに行く。ついでに、着ていたシャツが7分袖だった為に、落ちる時にどうしてもリップで擦って削れてしまう左手の内側が痛くて仕方がなかったので、手の甲のテーピング用にと持参した幅広テープを張ってみた。なかなか具合が良さそうだ。

 靴を履き替えてトライ。立てる。結構楽に立てる。従って、もうリップは完全に持てる。後は見えないスタンスへの右足の乗り込みだ。やっぱり靴だ。

 今まで、靴でこうも劇的に違うとは考えなかった。僅かに寝たスラブチックなフェースの結晶へのインサイドのスメッジング的な立ち込みに於いてであるが、最初に履いたカチ靴というか、硬い靴では馴れない所為もあってその体勢すらとれない。スリッパではその体勢がとれ、立てるのだが、結構きつい体勢にならざるを得ない。所が、今まで使って来た少し硬いベルクロの靴では結構楽にその体勢がとれ十分に立てるのだ。ソールはスリッパもベルクロも同じ所で同時にリソールしてもらったものだから全く同じなのに。

 果たして、この場面でその足使いが正解かどうかはわからないし、靴の性格に因って最適な足使いがそれぞれ有るのかもわからないが、現在の小生にとってはこのベルクロ靴が最適であったということであろう。ただ、最近のこのベルクロ靴の評判がもう一つであるので、今後の靴の事が気にはかかるが。

 その見えないスタンスをチョークでマークアップする。が、その手前の左足のスメアの場所が見えない。もう既にそれだけ暗い。もう4時を廻っている。道理で暗い筈だ。折角スタンスのマーキングもしたのに、見えなきゃ仕方が無い、本日はこれで諦めよう。

 マットに3足の靴をくるんで、シンプル岩の前に戻ると、仲間達はまだシンプル&ディープで遊んでいる。今度は右手でランジしているらしい。ワシントン倶楽部よりは少し明るい感じ。でも、大して変わらない。仲間も切り上げることにする。

 ホップ岩まで下り、周回道路をショートカットの場所まで戻る。来た時の踏み跡より大分遠い様な気がした。ヒップ岩の所から上に登り、踏み跡を辿った方が早かったかもしれない。暗くなっていなければそうしたほうが良いのかも知れない。

 帰りに大黒岩に寄って侍返しを偵察する。この課題までもがチョークベタベタである。わー、笠間もついにこうなったか。

 少し戻って陶芸の森公園とかのトイレで手を洗い、いつものQ丼を目指す。この中華料理や、冬だしまだ6時前だから空いていた。

 いつもQ丼ではと豚焼肉丼を頼む。これもQ丼並みの大盛りだ。ここはすごい。再度感激。

 帰りは、もしかすると使えるのではないかと、どこをどう走っているのかは定かではなかったが、最近開通したばっかりの北関東自動車道とかに乗って見ることにする。この道路、友部ジャンクションで常磐道と接続し大洗の方まで行っている様だが、常磐道から手前は笠間までしか出来ていないようだ。なのにもうその部分が共用されている。これもやっぱり、つい先日笠間の陶芸美術館に天皇陛下が来たその効果か。ミズガキといい、ここと言い、やっぱり天皇陛下の影響力は絶大なものがあるようだ。今度は三峰当りに行ってくれないだろうか。高速道路が出来たりして。

 これからはおまけである。

 家に帰って、相棒の映してくれたビデオを見る。延々とワシントン倶楽部から落ちる小生が映っている。時間は1時半頃から4時過ぎまでだから、3時間近くこの課題から落ちつづけている。相棒が、小生の落ちる回数を数えていたらしく、百回以上飛び降りていたと言う。そんなに飛び降りていたら、身体を悪くするとも言う。確かにそうかもしれない。飛び降りると言っても1メートルも飛び降りてはいないのだが、折角持って行った厚いマットは使わず、薄いマットに飛び降りていたのだから。

 それにしても3時間で100回だとすると平均すると2分に1回以上の割合で飛び降りていたことになる。途中仲間が来り、シンプル岩に戻ったりと中断が有ったから、1分も間を空けずに取り付いていたのかも知れない。よくもまぁ飽きもせずしかも繰り返し繰り返しやったものだ。普通なら疲れてしまう所なのに。と言うことは、それだけ力のいらない課題と言うことか。それにしてもよくもまぁ身体が保ったものだ。指の皮も無くなる訳だ。

 お影で翌日、背中や肩、とりわけ足が筋肉痛になってしまった。歩くのも辛いほどだ。両手中指の指の皮はないし、両腕の内側は落ちる時に石のリップで擦った擦り傷がひどいし。おまけに腰痛まで出る始末となると、まさに満身創痍である。何時までこんなことをやっていられるのだろうか。

 と考えつつも一方で、来週は年休も溜まっているので月曜日を休んでしまおうかとも考える。3連休となれば、その時は何処に行こうかな。


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作成年月日 平成12年12月19日
作 成 者 本庄 章