笠間ボルダーその30

2007年 2月27日記

 日曜日に、相棒と二人で笠間に行った。今回はクラックの練習が目的であった。

 相変わらず、朝少しゆっくりしてしまったので、仕方無く出発を10時ということにしたのだが、結局は10時半頃になってしまった。

 何時ものように、龍ヶ崎から牛久、荒川沖を通って国道6号に入り、千代田石岡インターから常磐道に乗った。荒川沖から桜土浦インターを使って常磐道に乗ったほうが、時間的には早いのだが、荒川沖の先から千代田石岡インター入り口の手前までは土浦バイパスが使えるので、そんなに大きな時間の差にはならない。ということで、最近は千代田石岡インターを使うようになったのだ。

 どうせなら全部一般道をとも思ったりするのだが、石岡に入る手前の恋瀬橋、そして、石岡から笠間までの国道355号で少し時間がかかってしまうので、何となく高速に乗ってしまうわけである。因みに、千代田石岡、岩間間の高速代は500円であった。

 途中、昼食のパンなどを買うために国道355号沿いのコンビニに寄った。その店では、ちょうどパンを棚に並べるための準備をしているところだった。10枚位積み重ねられた平たい大きなトレーに新しいパンが入れられており、そのトレーを一枚移動させては、その中のパンをレジの読み取り機みたいなもので読み取っているから、パンの棚にはあまりパンは並んではいなかった。その読み取り作業が終われば、新しいパンが棚に並ぶだろうと、横に立って待っていたのだが、その店員は、そのパンの読み取りが終わると、次のお弁当のやはり何枚も重ねられたトレーの方に行ってしまった。えっ。勿論、直ちにその店を出た。もうあの店には二度と行くことはないだろう。

 暫く走ると、またコンビニが出てきたので、そのコンビニでパンを買った。実は、パンの数は先のコンビニよりはずっと少なかったのだが、それを承知で購入するわけだから、ずっと気持ちよく購入出来るというわけである。意地悪な見方をすれば、その店も、商品が入荷したときの対応は前の店と変わらなかったのかもしれない。でも、それを見せ付けられることなく、気持ちよく買えれば、それはそれで良い訳である。あからさまに見せ付けられたときには、そこも拒否すればよいだけである。

 佐白山の千人溜りの駐車場に行くと、自動車が10台程停まっていた。東京や千葉などのナンバーをつけた自動車も何台か停まっていた。結構人は来ている様だった。

 既に1時を過ぎていたので、自動車の中で、買ってきたパンを食べた。相棒と二人では、別にたいした話もないから、一言二言の会話以外はほとんど黙ったままパンを2つほど食べてから、出発した。

 今回は、少し薄いタイプだが、クラッシュパッドを持参したので、そのパッドに荷物を詰めて歩き出した。

 駐車場を出たところで、パッドを背負った人が降りてきたので、一応挨拶をした。次にすれ違ったカップルは、クライマーではなさそうだったので、挨拶はしなかった。

 下の駐車場から直接エリアに行ける踏み跡の途中から、扇岩の前に出られる踏み跡に入り、石器人岩の方に歩いていったら、人の声が聞こえてきた。石器人岩の前から、シンプル岩の前に行ったら、4人ほど人が居た。

 その人たち、なんだかどこかで見たことがあるような。ようく見たら、以前、良くジムであった仲間達だった。

 先ずは、手にテープを巻き始めた。この前のスクールで、掌の方にテープを巻くのはあまり好ましくないと言うことを教えられたし、手の甲のテープの接着力は結構強いことも体験したので、掌の端っこ2cm位のところからテープを貼り始め、手の甲をまわして反対の掌の端っこ2cmくらいで留めると言う、ちょっと変てこなテープの巻き方をしてみた。

 しかし、巻き終った途端にテープの端が剥がれだしてしまった。手の甲に比べて手の平の方は汗腺が多いからくっつかないのかも。失敗した。と思ったのだが、テープの残りも少なくなってしまっていたから、巻き直すことも出来ず、仕方がないからそのままで、フィンガークラックを触り始めた。

 このクラックだが、右の淵が20cmくらい手前に出っ張って、ちょっと互い違いになっている。クラックを界に凹角状を呈しているわけだ。こういうのをコーナークラックというのかも知れない。従って、右側のその出っ張った側壁がちょっと邪魔をして、クラックが体の正面に来ず右に寄っているから、左手の順手のセットがやりにくい。サイズも、やや狭目のハンドというかフィンガーというか、そんなサイズだ。どちらかというと、初心者には優しくないクラックなのだ。

 先ず、右手順手で手を差し込んでみた。親指の付け根辺りまでは入るのだが、そこから先が入らない。右手の肘は、右側の出っ張った側壁にぶつかるから、思うように手の角度も探れない。場所を上げたり、下げたり、手のひらを無理やり捻じ込んだり、色々やってみたが、なかなか決まるところが見つからないのだ。

 右手はまぁ、この辺で妥協してと、勝手に場所を決めて、左の手を上の方に差し込んでみた。順手は入れにくいから、自然と逆手になる。しかし、クラックの位置は体の右端にずれているから、やはりなかなか思うように入らない。おまけに、手のひらのテープの端は丸まってくる。とまぁ、初っ端から、二進も三進も行かない状態に陥ってしまったのだった。

 ここで諦めたら、その日の目的の大半を失うことになってしまう。引くに引けない。一先ずは、右手は何とか効いていると自分自身に思い込ませ、左手はクラックの淵に掛けただけという感じで離陸してみた。

 何とか離陸は出来た。体が上がったから、左手を上げてみた。最初よりは少しは良いが、そう良い場所ではない。右手は、効いていると無理やり思い込ませているわけだから、そう時間をかける訳にも行かない。左手をもう少し上に上げてみた。

 なんだか右手が効いている感じがする。やけに体が安定している。どうしたのだろう。右手の肘が右の壁に押し付けられていた。そうか、腕のフリクションか。ジャミングが効いているわけではないのか。ということはチョンボか。まぁいいや。

 そのまま右の壁に寄りかかりながら、左手のジャミングの場所を探ってみた。段々体が下がってきた。疲れたのだろうか。もう継続は不可能かも。仕方がないから、飛び降りた。

 この課題、前々回だかに、一応ジャミングで登ったのだが、その時は、手の指をクラックの中の小さなカチに引っ掛けたりしていて、完全なジャミングではなかったのだ。今回は、指先を使うことなく、完全なジャミングで登りたかったのだ。

 手に巻いたテープの両端が剥がれていたので、手のひらの方にテープを付け足して、手のひらのそのはがれている両端のテープを止めてみた。まぁ、少しはテープが止まったようだ。

 この間、シンプル岩の前には、他に、二人組と、数人組の人達、そしてジムの仲間達と、結構な数の人達がいた。

 それまで食事か何かをしていたジムの仲間達が動き出したので、一緒にくっついていって、ワシントン倶楽部を教えてあげた。ワシントン倶楽部の前には、何人かの先客がいた。その内の一人はどこかでお会いしたような感じだったので、聞いてみたら、やはりお会いしていたようだった。

 その先客の人達は、ワシントン倶楽部をやっていたので、我々は、その横のジャンプ倶楽部を触ることにした。

 若者の男性は直ぐにリップに飛びつけたのだが、女性の方がなかなか飛びつけなかった。そこで小生も、お手本とか言いながら、飛びつこうとしたら、一瞬ジャンプが出来なくなってしまった。気を取り直し、タメを作って飛んでみたら、届かなかった。なんだか薄々は感じていたのだが、外岩でも完全にグレードが下がってきてしまったようだ。最高グレードが落ちてきたのは単に、一箇所、一つの課題に打ち込むことをしなくなっただけということで、納得していたのだが、今まで普通に登れていたグレードも怪しくなりだしていたようだ。ジムでのグレードが下がっているのは、グレードが辛くなっただけではなく、確実に自分自身も弱くなってきた結果だったようだ。遂に、今後のトレーニング方法を再考しなければならない時期に来てしまったようだ。

 先客の一人が、ワシントン倶楽部やボストン倶楽部などを説明してくれ、仲間もワシントン倶楽部を登り始めたので、仲間の一人を連れだし、ハングマンとかその裏のちょっと被ったところの課題とか、掘り出し岩とかいう岩の最近の課題とかを案内してあげた。

 その時、ハングマンには女性が一人取り付いていた。また、掘り出し岩の場所が一瞬分からなくなってしまって、枯葉の積もる斜面を徘徊してしまった。

 ところで、この掘り出し岩だが、以前ジムでお世話になったことのある人に教えられた、笠間では新しい岩だ。岩の前の下地はほんの少しの幅で平らなところがあるが、その先は斜面になっていて、岩から落ちると、その斜面を転がり落ちる感じだから、その面に設定されたフレークの淵を使って登る4Qだかの課題が結構怖いのだ。

 序に、それ以外に最近発表された、笠間の新しい岩、新しい課題について少しだけ簡単に触れてみよう。

 先ずきのこ岩だ。この岩は、以前から触られてはいたが、一般的な名前などは無く、密かに触られていた。というか、恵津子岩とかビッグボスの岩の下の方にある、傾斜のゆるいスラブを持った岩だ。そのスラブの左の側壁のリップをトラバースするらしい1Qの課題が設定されている。

 その岩の下の方の、昔の周回道路の淵には道端岩岩がある。この岩のカンテには5Qの課題が設定されている。

 掘り出し岩の近くには無名岩1という岩があり、2Qの課題がある。

 シンプル岩の前の広場のワシントン倶楽部側の下にある岩2つには、カンテを登る「シンプル&チープ」(3Q)とマントルの「かさまん」(2Q)という課題が設定されている。

 そのほか、既存の岩に加えられた新課題としては、プラクティスマンの岩の右側面には、カンテを使わずに登る「おか持」(1Q)、ヒップ岩の被った面には、左端の「ヒップマントル」(2Q)、真ん中の大きなフレークから左カンテというかリップへの「色SIKI」(2D)、そのフレークからクラックを使わずに登る「モラン」(1D+)等がある。但し、これらのグレードは一般的な段級グレードに準拠してはいるがというグレードらしいことを申し添える。

 ついでに、エアロダンサーは2Q(+2R)

 ワシントン倶楽部に戻って、最初は仲間達の登るのを見ていたのだが、途中から小生も触ってみた。しかし、手のひらのテープが邪魔をして、なかなか右手がカンテに止まってくれなかった。

 結局、左足に立つこともできず、全く登れる気配が無かったので、相棒と二人で、再びシンプル岩に戻っていった。

 シンプル岩の前で、ワシントン倶楽部でもお会いした、以前どこかでお会いした方がいたので、どこでお会いしたか聞いてみたら、千葉のジムとか小川山でお会いしていた方々のようだった。

 結局、なおもしつこくフィンガークラックをやっていたら、一人の方が、ジャミングで登ってみせて下さった。そして、肘を落とせば効くということも教えて下さった。

 そういえばそうかと、やってみた。いくらか効いてきた感じで、体が上がり、左手も少し上の方に捻じ込むことができたので、右手を上げることができた。その右手で身体を支え、左手を上げたら、リップの上の方に左手が上がった。

 左手を探ってみたら、ガバホールドのところだった。ここでガバを使うわけには行かない。ガバを避けつつ、場所を探っているうちに落ちてしまった。

 そのお仲間達が、石器人岩に移動したので、小生も一緒に行ってみた。

 以前良くあった方の話題が出てきたので、その方の所属する山岳会の方か聞いてみたら、やっぱりその山岳会の方たちだった。そうか、それで、クリスマスの小川山でもお会いしたのか。それでやっと以前お会いした経緯が納得できた。序に、御岳で三弦のお話をさせていただいた方の消息も聞いてしまった。

 相棒が、小生を探している人がいると呼びに来たので、シンプル岩の前に戻ると、笠間でよくお会いする地元の方だった。

 その方とお話しながら、また、フィンガークラックを触ってみたのだが、既に半分くらい剥がれてしまったテープを取ってしまっていたこともあって、手が痛くて、登るどころの話ではなかった。

 別の仲間の人達が、右隣のフェースという課題を触っていた。この課題、登れたり、登れなかったりで、小生にとって、易しいのだか難しいのか分からない課題なのだ。

 クラックももう無理だったので、そっちの方に混ぜてもらって、触ってみた。

 足を探ったり、右足のヒールを使ったり、色々やってみたが、やっぱり登れなかった。岩の調子は決して悪くはない。間違いなく弱くなっているようだ。

 既に、4時を回っていた。少し前には、ジムの仲間も戻って行った。5時を回ると、駐車場の管理の方が回ってくるし、ということで、我々も帰ることにした。それにしても、寒い一日だった。多分、4度とか5度という温度ではなっかのだろうか。もしかするともっと低かったかも知れない。何しろ、下の駐車場を出るときで、既に6度だったよう記憶があったのだから。日は出ていなかったし、風はあったしで、多分相当に寒かったはずだ。

 駐車場に戻ると、まだジムの仲間の自動車がいた。

 帰りに、山麓公園のトイレによった。やっぱり水は冷たかった。

 道は混んではいなかったが、岩間から高速に乗った。

 途中、結構眠くなってしまったので、千代田のパーキングに寄った。今までに登り線のこのパーキングには殆ど寄ったことはない。多分はじめてかもしれない。寄ってみたら、コンビニが入っていた。

 コンビニを覘くと、デカプリンを売っていたので、デカプリンを買ってもらった。でも、なんだかあまり大きくなかった。200gで、デカプリンと書いてあったのだが、若しかして、ある仲間のブログで見たデカプリンとは違うのかなぁ。(やっぱり違ってたようだ。ブログで紹介されていたのは、400gだそうだ。)

 帰りは、桜土浦まで高速を使った。しかし、通勤割引が適用になったので、料金は行きと同じ、500円だった。

 荒川沖の駅前の道が牛久方面に伸びていた。今までは工事中で行き止まりだったのだが、それが開通したようだった。一瞬行ってみようかとの誘惑に駆られたのだが、またまた、今度はカーナビの不調が本格的になってきていたので、行くことを思いとどまり、何時もの脇道にそれていった。

 実穀というところの交差点で、右に曲がらなければならないのだが、またもその交差点を見落とし、直進してしまった。この交差点は、既に2回か3回ほど、夜にぼけっと走っていて通り越した実績のある交差点だったのだ。

 引き返すのもなんだからと、適当に右折し、何とか半分壊れたカーナビをなだめすかしながら走って行ったら、なんとか龍ヶ崎の町で何時もの道に合流することが出来た。その為、夕食に寄る予定にしていた牛丼屋に寄ることが出来なくなってしまった。

 龍ヶ崎の先から千葉県に入って暫くの間は、大きな駐車場があるような食べ物屋は殆ど出てこない。相棒と相談したら、家に帰って、適当に夕食にしようと言うことになった。

 家で食事のつもりで暗い田舎道を走っていたら、いつも気になっていたチェーン店の大きな看板が出てきた。相棒は以前からのそこの○○ラーメンが食べたいといっていたのだが、小生はあまりラーメンは好きではなかったので、拒否していたラーメン屋だったのだ。しかし、今回は既に8時近かったし、こんなことでもないと入ることはないだろうということで、そのラーメン屋に入ることにした。

 そのラーメン屋の建物は結構大きく、半分はゲームセンターになっていた。客席も結構広かった。

 食券を買ってカウンターに出すと、食券はあっちだと、食券売り場の直ぐ脇のカウンターを指差した。わざわざ歩いて人がいるそのカウンターまで移動してきたのに。食券なんてどこで出してもおんなじだと思うのだがと思いながら、食券売り場の方に戻っていったら、食券を出す場所を教えてくれたお兄ちゃんがやってきた。確かにそのカウンターには「食券受付カウンター」と書いてあった。「食券受付カウンター」なんて聞いたことがない。昼間のコンビニといい、なんだかますます変な世の中になってきたものだ。

 自動車の中で相棒と、まぁ、一回で良いねと言い合ってしまった。決してまずいわけではないが、わざわざ行くほどでもないということだ。

 家には9時ちょっと前に着いた。5時に駐車場を出たから、4時間近くかかった訳だ。豊田だって、全て高速を使えば、倍はかからない。やっぱり高速が使えるということは、相当に楽だということか。

 家に帰って暫くして、「フィンガークラック」のことを考えてみた。

 フィンガークラックだよな。小生が挑戦していたのは、ハンドジャムだよな。そういえば、以前あの課題で、サムジャムが効いた記憶があるよな。

 待てよ、フィンガージャムとハンドジャムの界ってどこなのだろう。人差し指と親指の間、つまり、手のひらの半分くらいまでが入るのは、ハンドなのだろうか、フィンガーなのだろうか。

 まぁ、どっちでもいいや。


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作成年月日 平成19年 2月27日
作 成 者 本庄 章