笠間ボルダーその28

2006年 4月28日記

 日曜日の日に笠間に行ってきた。今回は一人である。

 日曜日は天気が悪いとのことだったし、ジムの仲間の一人が三峰に行くとのことだったので、久しぶりの三峰に行こうかとも考えたのだが、相変わらず出そびれてしまって、土曜日の日は一日ウダウダしてしまった。

 土曜日の夜、そのまま日曜日もウダウダしてしまってももったいないと、インターネットの天気予報で、雨の降らなさそうな場所を探してみたら、茨城は雨は降らないとの予報になっていた。よし、茨城に行こうということで、笠間に決まったわけである。

 土曜日は散々寝てしまったものだから、朝は4時頃には目が覚めてしまったので、そのまま支度を始め、朝の7時には家を出た。何時もに比べると相当に早い時間だが、早くに目が覚めたということもあるが、雨の可能性も残されているからということと、高速の通勤割引を狙ったというのがその主な理由であった。その甲斐あって、8時40分位には圏央道のつくば牛久インターに到着することが出来た。

 雨が降り出す前にいくらかでも登ってしまおうと、途中どこのパーキングにも寄らず、岩間インターで降り、まっすぐに笠間に向かった。

 コンビニで昼飯を買おうと、少し選好みをしてしまったら、確か以前あったコンビニが見当たらず、笠間の町に入ってしまった。コンビニが増えたと思っていたのだが、結局は新規開店をした、有名な同じ名前のコンビニが2軒だけになってしまったようだ。仕方が無いから、途中で道をそれ、笠間の街中にコンビニを探しに行ってしまった。

 この時期、笠間はつつじ祭りだかの真っ最中である。しかし、道が混んでいるということは全く無く、ちょっとした寄り道のみで、佐白山公園に着くことが出来た。

 佐白山公園の駐車場には自動車は1台しか停まっていなかった。その自動車の横に自分の自動車を停め、支度をしていたら、作業用の小型トラックがやってきて、柵を開けて普段は通行止めの公園の周回道路に入っていった。最近は日曜日でも公園整備の作業をやっているのだろうか。それで公園内の山の中が綺麗なのだろうか。別に遊歩道でもないのに、踏み跡の周りの藪が刈り払われていたり、最近の笠間は本当にきれいに整備されているのである。

 一旦は扇岩に直接出る踏み跡に入りかけたのだが、ここしばらく石倉の頭やギル岩に行っていない事を思い出し、引き返して、そのまま石倉の頭まで行ってみた。

 石倉の頭は日が当たっていて、少し霞がかかった笠間の町が眼下に広がっていた。今日は一日曇りということだったが、この辺りは雲が切れてくれたようだ。久しぶりに石倉岩の天辺に登ってみた。

 ギル岩に降りる降り口の小さな岩の、以前は「LOマントル」という名前の課題とされていた、易しい課題を本当に久しぶりに登ってみた。笠間に来始めた頃には、なかなか登れなかった課題である。リップの辺りのガバチックなホールドを使うことなく登ることができた。

 石倉岩を背にして、左側の2段だか3段だかになった少し高い目のスラブの一番上のスラブがまだ登れていなかったので、そこを登ってみようと、途中の段のところまで登って見た。

 その段は、もっと幅があって、しっかりと立てる記憶があったのだが、両サイドは立てるものの、真ん中はなんだか立ちにくい。その立ちにくい右側の段に立って、その上のスラブのスタンスを探ってみた。

 幾つかしっかりと立てそうなスタンスはある。しかし、青い苔というよりは薄い幕みたいな苔が生えている。滑ったら、3〜4m落ちて、そのまま斜面を転がり落ちる。そのままでは登る気がしなかったので、ブラシを持ってきて磨いてみた。

 3〜4箇所磨いてみたが、なんだかそのスタンスに乗る自信がもう一つ出てこない。ホールドも2歩上がれば、たてカチ様のホールドに手が届きそうなのだが、万が一足が滑った場合に、ぶら下がれるようなホールドには思えない。落ちてもたいした怪我はしないだろうが、斜面を転がり落ちるのはあまり歓迎することではない。やろうかやるまいか、少し悩んだが、今回は一人だということで、登ることを諦めた。

 これも久々に、Hiマントルを触ってみた。

 下の石と石倉岩の頭の石との間のリスに手を掛けて下の石に乗り、少し被さった状態で立ち上がっている石倉岩の頭の岩のリップを取って、そのリップをマントルする課題である。そのリップにあまり良いホールドが無いのだ。下地は掘れて樋状になっており、そのすぐ後ろは岩である。落ちると結構痛い目を見そうな下地なのである。要するに怖い課題なのである。

 下の岩に攀じ登り、リップを探ってみたら、ちょっとした浅いポケット状のホールドが見つかった。そのホールドで立ち上がり、さらにリップの奥のホールドを探ってみた。しかし、しっかりしたホールドは無い。下の壁は少し被り気味だし、勿論スタンスですよというようなスタンスは無い。まぁ言えば小生には苦手なマントルである。したがって、これも一人だからと諦めた。

 朝食をまだ摂ってはいなかったので、コンビニで買ってきたパンを一つ食べた。一人だから、すぐに食べ終わってしまった。

 ギル岩の前に行ってみた。

 縦に走るクラックを触りながら、どうやってスタートするのかを思い出してみた。しかし、さっぱり思い出せない。昔は、スタートして、クラックの手を上げて、カンテの手を上げて、位までは何回か到達していたのに。

 ゴールドフィンガーを触ってみた。右手のフレークは持てるのだが、左手のリップのホールドはこんなに悪かっただろうか。はるか昔の思い出のような気がしてきた。

 その下の「ビギナーズカンテ」のある岩に行って見た。そこの真ん中のスラブがまだ登れていないのである。

 一応持参した薄めのマットを左端下のちょっとしたテラス状の下地に敷いて、まずは「ビギナーズカンテ」らしきところを触ってみた。

 あれー。どうだったっけ。このスラブ壁の中のフレークってどう持ったっけ。何もかにも全く忘れていた。当然真ん中の「スラブ」なんて問題外であった。

 次は「ラブタッチ」である。

 右手アンダー、左手カンテのパーミングで、ちょっとしたテラス状に立ち上がって、左手をより上の奥の壁を押さえ込む。そんなムーブなのだが、ちょっとしたテラスに右足で立ち込めない。従って、左手が上に移せない。なんだかなぁ。

 すぐに諦めて、ハートビートカンテの岩の「マジックフィンガー」にぶら下がってみた。前回教わったスタンスに全く乗れないから、ポケットに入れた右手の指に体重が掛けられない。離陸が出来ない。全く持ってなんだかなぁー、である。

 まぁ、今まではアップであったから、真剣にトライする気はさらさら無かったから、それはそれとして、これからが本番の始まりである。ということにして、シンプル岩の前に移動した。

 今回の目的は「シンプルファイター」である。

 下にマットを敷いて、左下のサイドアンダーカチとリップの上のフレークのピンチで離陸して、左手を出してみた。右手がなんだかぬるっとした。ぬめっているのだろうか。いっぺんにやる気を失ってしまった。

 こうなったら、「石器人スラブ」か。大変な論理の飛躍ではあったのだが。

 スタンスを探し、一歩二歩と登って見た。二歩目はここだったのだろうか。

 またスタンスを探してみた。2〜3箇所のスタンスを試してみた。あれー、どこだったっけ。3歩目が上がらなかった。

 それでも、しつこく、幾つかのスタンスやムーブを試してみた。しかし、前回は持てた気がしていた右手のホールドがあまりもてない。親指を使ったり、何回かその右手に無理に耐えていたら、右手の指の腹に穴が開いてしまった。ここもだめか。

 じゃぁ、やっぱり「ワシントン倶楽部」か。ますます持って支離滅裂である。

 ここも下地に木の根っこが出ているから、マットを敷いて、取り付いてみた。

 左足のカチスタンスに立ち上がればリップに手が留まるようになるのだが、ここの所、なかなか左足に立ち上がれないでいたのである。

 やっぱり左足に立ち上がれなかった。

 どうしてなのだろう。やっぱり足の力がなくなっているのだろうか。マットに座りながら、目の前の岩の表面を見つめながら考えてみた。

 待てよ、右足のスタンスになるところが、ほぼ同じ高さのところに3箇所ほどあるではないか。無意識に、一番右側の一番乗れそうなところに乗るものと思っていたのだが、もしかして、一つ左側のところに乗ってみたら、左足で立ち上がれるかもしれない。

 やってみたら、立ち上がれた。やっぱりこれだ。しかし、リップは取ったものの、次のムーブではがされてしまった。

 同じスタンスで、またやってみた。立ち上がれなかった。なぜだ。2回、3回、やっぱりだめだ。

 その時履いていた靴はリソールしてから、結構使っていた靴で、内エッジが大分磨耗してしまっている靴であったから、もう一足持ってきていた、リソールしたての、内エッジのしっかりと立った靴に履き替えてみた。

 立てた。やっぱりエッジか。実はこの靴、石器人スラブでも一度履いて見たのだが、ソールが減るのを嫌って、また古い靴に履き替えた経緯があったのだ。ここなら、多分ソールは減りにくいだろうと、再び履き替えてみたのである。

 この、スタンスに内エッジで立つ時のタイミングなのだが、なんとなくちょっとしたきっかけで立てるか立てないかが決まる気がするので、その後、意識を集中して、どうすれば立てるのかを何回か試してみたのである。そこでわかったことは、立つ瞬間に足首を岩側に寄せるというか、足のそこを平らにするというか、内エッジを掻き込むというのか、そんな感じで、エッジを切り替えた瞬間に自然に体重移動が行われ、そのままゆっくりと立ちこんでゆく、なんとなくそんな感じで立ち込めるのではということだったのである。

 そう意識して立ってみたら、立てるようになってきた。ということは、そういう風に意識すれば、古い靴でも立てるのかと、やってみたら、見事に立つことができた。なんだ、エッジが無くとも立てたんだ。

 その後はもったいないから、古い靴のまま、何回と無く、そのスタンスに立つことができ、リップの右の奥を右手で持って、左手をより左の丸いちょっとした出っ張りに持ってゆくことが出来るようになった。

 その左の丸いちょっとしたでっぱりを取ればもう登れたも同然である、筈だったのだが、それからが進まなかった。

 その左のスローパーに手がしっかりと止まってくれないから、右足を右カンテの黄色いボッチリに上げ辛く、左足が左のフレークの頭に移らないのである。やっと上げた右足を突っ張って左足を上げようとするのだが、左手がずれてきて、結局は落ちてしまうのであった。改めて、今回の条件は相当によくないことをしっかりと確認したのであった。

 条件がよければもう登れているのに。そう考えながら、そして、ここで登れれば本物だと言い聞かせながら、その後も何度と無く、リップのスローパーを持ちながら落ち続けていた。

 「ハングマン」の方から人の声が聞こえてくるような気がしたので、行って見たら、一人の人がハングマンをやっていた。今回の笠間で初めてお目にかかるボルダラーであった。

 少しお声がけをした後、再び「ワシントン倶楽部」への挑戦を今度こそ、今度こそと思いながら続けていた。

 あまりにも登れないので、その左隣の、「ジャンプ倶楽部」を眺めてみた。この課題はリップに飛びついてマントルを返す課題である。しかし、少し左に寄ると、直接リップに手が届くようになる。飛びつかずに登れないかと、リップを触ってみたら、丸っこくてなかなかに持ちにくい。なおもそこらへんを触ってみたら、リップにちょっとした出っ張りが見つかった。ここを持てば、丸っこくなっているリップが十分に持てる。そこを持って離陸したら、離陸が出来た。そのまま隣の飛びつく辺りのリップに移って、マントルを返した。登れた。

 その後も、途中、パンを食べたりしながら、しつこく「ワシントン倶楽部」をやっていたら、先ほどの「ハングマン」の人が通りかかったので、誘ってみた。

 この方、日立だかから電車で見えた方らしい。結局その方と「ワシントン倶楽部」に挑戦を続けることとなった。

 この方、小生のHPを見てくださっている方だったようで、「もしかしてHPの」と言われてしまった。風貌がなんとなくということだった。うれしいような恥ずかしいような。結局は、こんな年寄りがボルダリングをしていることが珍しいということなのだろう。

 ちょうどその時、前回の笠間でお会いした方が上から降りてきた。そして、小生の名前を呼んでくださった。

 その方も交え、「ワシントン倶楽部」を続けた。

 前回お会いした方は、この「ワシントン倶楽部」は飛ぶのが一番易しいと、ランジバージョンを見せてくださった。やっぱり条件が悪かったのか、成功するのに何回かかかってしまったが。

 相変わらず、リップの左の丸っこいスローパーを抑えながら落ちた時に自分の指を見たら、指先がヘラの頭の様に丸あるく平べったく潰れているように見えた。相当強い力で岩を押さえつけていたのだろうか。それでも滑って落ちてきたのだから、やっぱり相当に条件が悪いのだろう。なんとなく納得してしまった。

 前回の方が、どこかのHPに笠間の新課題が乗っていたといって、その「シンプルアンドチープ」などの課題を案内して下さった。

 序に、ホップ岩に行ってから、周回道路に出て、サンシャインの下からその少し先の外れ岩とかいう岩を見て、その岩の上の、ビッグボスの近くのスラブの岩を見に行った。その岩は、以前仲間と遊んだことのある岩だった。

 「ワシントン倶楽部」に戻り、荷物を持ってヒップ岩の前に移動した。

 ハングマンの方は、「シンプルファイター」をやりに来たらしい。それは好都合だ。

 マットを敷いてくれたので、それを使わせていただいて、小生も「シンプルファイター」を触ってみた。午前中よりはホールドが持てた。でも、フレークの上は取れなかった。

 ハングマンの方が、何回目かにリップのフレークに足が上がった。しかし、その上のフレークが取れなかった。

 小生、ピンチフレークの上の方の淵に指がかかった。でも保持は出来なかった。

 ハングマンの方は、次の試技でシンプルファイターを登ることが出来た。良かった良かった。

 ハングマンの方が、ピンチフレークの持ち方、そして、その上の左手の持つところを教えて下さった。フレークの上は、フレークのサイドを持つのではなく、その上のカチを持つらしい。そのカチは上から見ればわかるというので、見に行ったら、確かに下からはボッチリに見えるホールドが、指3本くらいかかりそうなカチだった。

 ピンチフレークの持ち方を教わった様に持ってみたのだが、足の位置なのか、なかなか手に馴染まない。何回かやっていたら、しっかりともてるようになった。

 右手がしっかりと持てれば、その上のカチがより取り易くなる。結局、2回ほど上のカチを取ったのだが、足は上がらなかった。

 何もかにもが出来ないから、その右側の「フェース」の課題をやってみた。前回の方、ハングマンの方、それぞれに登って見せてくださったが、結局は小生独自の、右足ヒールフックで、何とかスタテイックチックに登ることが出来た。この課題、前回はもう少し楽に登った気がするのだが。でも、確か前回は地ジャンぽかったかも。

 続いて、その左の「フィンガークラック」をジャミングで登って見た。未だジャミングでは登れていない課題である。

 ハングマンの方がジャミングの場所を教えて下さったので、それを真似してみたら、何とか離陸ができ、クラックのリップの所のガバが取れた。そのガバは出来れば使いたくは無かったのだが、今回はだめだめ続きだったので、使うことにして、その上の、少し開き気味のクラックのジャミングでハングを越えて見た。人差し指付け根のところがしっかりと効いて、ジャミングでリップの上に足を乗せることが出来、そのまま次のジャミングで上に抜けることが出来た。やったー。何とかジャミングチックで登ることができた。クラック限定ということで、まずはこれでよしとしよう。完全ジャミングムーブは次の目標としよう。

 降りてきて、ハングマンの方に、左人差し指の付け根に出来た圧迫痕というか、凹みというかを示しながら、ジャミングが利いたような気がしたと、お話してしまった。やっぱり嬉しかったのだろう。

 その後は、前回の方と一緒にエモーションなどを触ったりしていたら6時近くになってしまったので、帰ることにした。

 ハングマンの方とはシンプル岩の前で分かれ、前回の方と駐車場まで戻った。6時頃だったのだが、まだ自動車は4台ほど停まっていた。

 芸術の森公園の裏門に回ってみたら、既に門は閉まっていた。因みに、この時期、陶火祭りとかの期間中だったらしく、駐車場は有料だったらしい。

 帰りも、通勤割引を使って高速で帰った。その時、美野里パーキングで夕食に炙り親子丼を食べた。炙り親子丼なんて初めてであった。


戻る

作成年月日 平成18年 4月28日
作 成 者 本庄 章