笠間ボルダーその27

2006年 3月19日記

 日曜日の日に相棒と二人で笠間に行ってきた。ほぼ一年ぶりの笠間である。日曜日には天気が崩れるとのことだったので、土曜日にと考えていたのだが、何時ものごとく、なんとなく出そびれてしまっての日曜日となったわけである。

 高速の通勤割引を使おうと、朝7時半頃の出発を目論んだのだが、これもやっぱり8時過ぎの出発となってしまった。とはいっても、最近の日帰りの外岩行きに比べれば大分に早い出発ではあった。

 何時もは桜土浦かその二つ先の千代田石岡のインターから常磐道に乗るのだが、今回は、最近新しく出来たらしい、つくば牛久のインターから常磐道に乗ることにした。その為、以前は良く使っていたのだがここの所殆ど使うことの無くなった、女化という所から牛久駅の近くで408号線に合流する道を走ってみた。

 この道、つい先日、本当に久しぶりに牛久方面から走ってみたのだが、新しい道が出来たり、道の周りの様子もすっかり変わってしまっていたりで、迷ってしまった道なのである。であるから今回は、インターネットから地図を落としてきて、その地図を頼りに走ってみたのである。その甲斐あってか、迷うことなく408号に合流し、つくば牛久のインターに行くことが出来た。

 ところで、このつくば牛久インターは、常磐道ではなく圏央道のインターなのである。ところが、常磐道までは約1kmほどの距離があるのだが、現在はインターの入り口から、常磐道のつくばジャンクションまでしか出来ていないから、地図上で見る限りでは圏央道という感覚は全く無く、常磐道のインターと感じてしまうインターなのである。しかし、実際に行ってみると、将来伸びるであろう高速道の一部が作られており、その未だ未完成の道に合流する感じで道が造られているから、やっぱり圏央道の道なのだろうと思わせるインターではあった。

 この道、インターに入った途端にぐるぐる回る道を走らされ、その先ほんの少しまっすぐ走ったと思うとまたすぐにぐるぐる回らされて常磐道に合流する道であった。そして、そのグルグルの半径が結構大きかったものだから、なんだかとっても無駄な距離を走らされた気がしてしまったのであった。

 常磐道では、コンビニのあるパーキングということで、千代田のパーキングに入り、トイレに寄った。その時、真っ黒な自動車に真っ黒な装束の集団がいて、その集団の一部がトイレから出てくるのに出くわしてしまい、そのうちの一人とぶつかりそうになって、お互いに2回か3回ほど同じ方向に避けあってしまって、一瞬ぎょっとしたが、何事も無く無事すれ違うことが出来、胸を撫で下ろすシーンがあった。しかし、この黒装束の集団、黒いネクタイをしていたから、多分どこかのお葬式か何かに出席されるかされた集団なのだろうが、なんとなくネクタイが曲がっていたり、あまり着こなしがスマートでなかったりした人が何人かいたから、その筋の方々でもなさそうな気もする集団ではあった。でも、明らかに仕切り役と使いっ走り役みたいな人もいたから、もしかすると、だったかもしれない。いずれにしても何事も無くてよかったよかった。

 昼食のパンを調達した後、岩間インターで高速を降り、笠間に向かった。

 芸術の森公園の外周を回る道に入ると、2箇所ほど道路工事をやっていて、片側通行になっていた。看板には、通行止めがどうのとかあったように見えたから、もしかすると平日は通行止めだったのかも知れなかった。

 途中、仲間が最近行ったらしいとの情報のあった、うだうだ岩に寄ってみようかとも考えたのだが、久しぶりの笠間だったので、そのまま佐白山公園の駐車場に直行した。

 その千人溜の駐車場には数台の自動車が停まっていた。中には、東京方面そして、大阪、三重ナンバーの自動車までいた。

 支度を整え、マットも持って、エリアに向かった。途中、以前はそれほどはっきりとはしていなかった、石倉岩の頭には行かず、途中から斜面をトラバースして、扇岩の前に出る道がしっかりと踏まれていた。

 シンプル岩の前に行くと、先客が二人いた。聞くと、関西方面の方らしい。どおりで関西方面の自動車が置いてあったはずだ。でも、現在は埼玉在住だとか。

 フィンガークラックやその右の難しい6級の課題を触っていたので、小生も、フィンガークラックを触ってみた。

 フィンガークラックは、クラックのみでやろうと、もがいてみたのだが、リップの上の少し開いたクラックにジャミングが決められず、結局は敗退してしまった。その右のフェースとかいう難しい6級の課題は、2回目か3回目に足を少し工夫して何とか登ることが出来た。

 このフェースとかいう課題、登れる時はすっと登れるのだが、登れないときはどうしても登れないという、なんとも厄介な課題なのである。挑戦しながらその理由を少し考えてみたのだが、多分、足の使い方なのだろう。あるキーとなるスタンスにある格好で乗れるか乗れないかで成否が決まるような気がした。

 先客はラブタッチに行くというので、小生は、ハートビートカンテの岩の右側のマジックフィンガーという課題をやりにいった。

 この課題、右手の二本指ポケットで離陸する3級の課題なのだが、いまだにポケットにぶら下がることが出来ず、全く出来ない課題なのである。

 右の少し斜め下の少し高くなった斜面の途中に立ち、身体を斜めにして、右手でポケットを取って離陸するのだが、何回やっても離陸が出来ずにいる。二本指に耐えられないのだ。最近は少しは指が強くなったと思っていたのだが、やっぱりだめだった。

 シンプル岩の前に戻り、高速のコンビニで買ってきたパンを食べていたら、若者の4人程の集団が降りてきた。

 その集団もフィンガークラックやフェースを触りだした。聞くと、横浜かららしい。今回は地元の人は誰もいないようだ。

 彼らに混じって、再びフィンガークラックをクラック限定でやってみた。やっぱりだめだった。手の甲が何箇所も擦り剥けたというのに。

 その集団が石器人岩に行ったので、小生も行ってみた。

 石器人スラブ右をやっていたので、岩の上に回ってみていたのだが、カンテの右側の面を登ってくるから、ここはカンテの左側の面を登るのだと言って、登って見せた。出だしが意外と難しく感じてしまったが。

 その人達もそこを登ったので、石器人スラブ左も面白いよと教えてあげた。

 先の二人連れも参戦し、石器人スラブ左を登り始めた。

 二人連れは、右足をいきなり岩まで上げて、左カンテで離陸してしまった。この場所は三角形のイカの頭のような格好をしていて、地面から1M前後は岩が無いから、普通は足が岩まで上がらなくて苦労するのに。なんとなくがっかりしてしまった。

 後から来た人達はなかなか出来なかったから、小生独特の全身のフリクションを使う、岩にへばりついて離陸し、左手のオポジションで立ち上がるムーブを見せたら、先客も真似をしてくれた。しかし、先客は出来なかった。

 この芋虫のようなゴロゴロムーブだが、小生にはものすごく簡単なムーブなのだが、意外と出来ない人が多い。というか、小生以外で、すぐに出来た人を殆ど見たことが無い。どうしてなのだろう。小生は一番最初から出来たというのに。

 一人でマットを二枚持った人が降りてきた。以前お会いしたことのある人だ。しかし、どこでお会いしたか思い出せなかったので、聞いてみた。つくばのジムでだった。やっと地元の人が来た。

 先客が、さっき小生が触ったマジックフィンガーのムーブを教えてくれというので、その地元の方も一緒に、行って見た。

 マット二枚の方が、この足で離陸するのだと、僅かな痘痕のスメアスタンスを教えてくれたので、そこを使って離陸してみたら、一瞬二本指に耐えることが出来た。そうか、足を使うんだ。

 2回目は簡単に足がすっぽ抜けてしまったが、3回目には離陸が出来、左手を出そうというところまで出来た。やっぱり足なのだ。でも、その一瞬の離陸から先には進まなかった。

 先客がハートビートカンテはどちらかと聞くから、カンテの左に回りこむと5級、右側の壁を登るのが2級バージョンだと教えてあげた。すると、どうやってスタートするのかというから、左のカンテを持って、右足をこの辺に置いてと、離陸の仕方をやって見せた。それは、カンテを両手で持って壁にへばりついている、昔の「関東の岩場」に出ていた写真のようなポーズである。以前はこのポーズが結構きつかった様な記憶があるのだが、そのときは意外とスムースにそのポーズが出来たよう思えたので、一人で密かに喜んでしまった。

 石器人岩に誰もいなくなったので、石器人岩に行ってみた。

 下地には木の根っこが出ているし、シンプル岩の下地の泥は乾いてはいなかったりで、今回はなんとなく湿っている感じが残っているようだったので、持参した薄いマットを敷くことにした。。

 何箇所かうっすらとチョーク跡の付けられた岩肌に、自分のスタンスを探してみた。

 出だしのスタンスはまぁどこでも良い。二歩目のスタンスを探してみた。

 ここだったかなぁ。三歩目はここだったっけ。三歩目は少しV型をしたちょっとした凹みに印を付けてみた。

 既にチョークで白くなったホールドで離陸し、二歩目に乗ってみた。三歩目はどこだったっけ。足元を見下ろすと、そこら中にチョーク跡が見えた。えーとえーと。落ちた。

 これじゃどれが小生のマークかわからない。マークを少し上に伸ばすみたいな格好で付け直してみた。

 三歩目のスタンスに足は乗せたが、なんだかバランスが悪い。十分に乗り切れない。下に戻って三歩目を探してみた。その少し上に乗れそうな箇所が見えた。このスタンスの方が良さそうだ。そう考え、次には足をそこに上げてみた。足は上がったが、少し高いからその足に乗り込めない。そうか、二歩目を上げなければ。

 二歩目の足を捜してみた。少し右上により乗りやすそうな斜めのスタンスを見つけ、印をつけた。

 その二歩目に乗り、より高いところの三歩目に乗り込んだ。マイクロポケットのひとつに手が届いた。左足を上げて右手もマイクロポケットを掴もうとしたら、落ちた。

 今度はより慎重に足を辿って、両手で二つのマイクロポケットをしっかりと持った。右足はしっかりと立っている。左足はどちらかというと適当な場所に置いている。右手をそのまっすぐ上辺りの傾斜の緩んだ辺りにそろそろと伸ばしてみた。もうちょっとで。両足が滑った。そのまま下まで滑ってしまった。

 上のホールドに手を伸ばそうと、少し背伸びをするような格好になってしまったのか、足が外れてしまったようだ。岩をズルズルと滑り落ちたから、結構ソウルが磨り減ったような気がして、ソウル面を見たら、両方とも、先っぽの方がささくれ立ったようになっていた。あらもったいない。

 こんなに早く、それもこんなに足数少なくマイクロポケットが持てるとは思わなかった。スタートスタンスから二歩目のスタンスに乗るときに、左手を返し、オポジションで足を上げるというムーブも今回初めてやってみて、うまくいったムーブでもあった。あんまり本気でトライしたわけでもないが、意外と収穫の多いトライだったようだ。満足満足。ということで、ここもおしまい。

 ワシントンクラブに行ってみると、先客が取り付いていた。混ぜてもらってやってみたが、結論から言うと全くだめだった。

 何時もの足で離陸し、多分何時ものであろうスタンスに左足を乗せ、その足に乗り込もうとするのだが、全く乗り込めないのだ。って、ここ2年、いや3年以上かもしれないが、乗り込めていないから、今回乗り込めたら奇跡だったかも知れないが。

 そのムーブを諦め、思いつくムーブを幾つかやってみたが、ことごとく撃墜されてしまった。完全なる敗退であった。

 ヒップ岩のフィストクラックが気になっていたので、行ってみた。

 最初の丸くボコッと突き出したようなテラス状に登るのが大変に疲れるのだが、なんとかそのちょっとしたテラス状に足を挙げ、上のクラックに左手を入れてみた。

 ちょうど掌の厚さよりも少しだけ広いクラックだから、うまいこと親指を使ってジャムを効かせる事が出来ない。なんとなく効いている気もするが、上の壁は僅かに被っているから、その手がすっぽ抜けると背中から落ちる格好になる。怖くて体重をその手に預けられない。そこから降りてきた。

 この岩は結構大きい。従って、この課題も結構高い。マットは上に置いてきている。やっぱり、この高さで、おまけに地面には少し木の根っこが出ているから、マットが欲しい。相棒が取ってきてくれるというのでお願いしてしまった。

 先客が降りてきて、クラックを触りだした。やっぱりジャミングが出来なかった。

 先客が、ヒップ岩の左の方の壁の斜めに走るダイクを手で使って登るラインを触りだした。先客の一人がそのラインを登ったので、小生も触らせてもらった。

 左の方の壁の下にスタンスがあったので、それが使えないかと考えたのだが、場所が悪く、結局は先客がやっていたように、ダイクにヒールで途中切れたダイクの先を取りに行かなければだめなようだった。

 先客と一緒に再び先ほどのクラックの課題をやりはじめた。それぞれクラックに手を入れるのだが、その先に進む人はいない。皆クラックは下手なようだった。

 横浜の集団も降りてきて、その岩の右側の壁のスラブや、右側のカンテ近くのエアロダンサーなどを触りだした。以前お会いした人も降りてきた。

 以前お会いした人が、エアロダンサーを登って見せてくれた。しかし、リップを取るところから降りてきた。その辺は結構リーチもののように見えた。

 その以前お会いした人が我々のクラックに参加してきた。そして、ジャミングを小生よりは少し低いところに決め、上を伺うも、次の手が出なかった。

 そんな中、先客の一人が、クラックの中の下部の部分にカチがあることを発見した。そのカチを教わって、小生が登ってみた。

 丸い出っ張りの上に登って、クラックの中のそのカチを右手で持ち、左手をクラックの中ほどにジャムして上を伺ってみた。左手がなんだか効いている気がしたので、右手を離して伸び上がってみた。さぁどこにジャミングを決めようか。

 どうも良さそうな場所がわからない。これはだめだ。そう思って降りようとしたのだが、右手のカチに手を掛ける前に力が尽きかけて来た。わぁ、どうしよう。このままでは落ちる。あわててカチを探り、身体を下ろしてきたのだが、力尽き、落ちてしまった。

 その時、下には薄いマットが二枚ほど敷かれていたのだが、その周りにスポットをしてくれている人達が取り囲むように立っているのがちらりと見えた。どうしようか一瞬迷っている間に足から着地し、そのまま後ろに転んでしまった。

 まぁ、何時もの着地風景だし、何時ものように足首が痛んだのだが、何時もと少し違っているところがあった。足首がものすごく痛かったのだ。横に避けて少し座っていたら、痛みも少しは和らいできたのだが、それでも結構な痛みが残っている。もしかしてやってしまったかもしれない。

 しばらく休んでから立ってみた。やっぱり左足首の痛みが結構ある。少し変な格好をするとものすごく痛みが増す。やっぱりやってしまったようだ。

 ここで、ほんの少しの言い訳だが、普段、小生は少し高いところから飛び降りるときには、足首の硬さを考慮して、足、お尻、そして背中と着地させ、受身のごとくに後ろにひっくり返るというスタイルを取っている。しかし、このときは後ろに何人か人が立っていたので、この受身の姿を思い切って取ることに一瞬の躊躇があったようで、一瞬後ろにひっくり返らないよう頑張ってしまったのだ。もしかして、その躊躇が。もっと積極的に後ろに。まぁ、仮定のことをいってもしょうがないが。

 4時頃だったのだが、もうこれでは登れないと、そのまま帰ることにした。

 シンプル岩の前に置いた荷物を回収し、来たときと同じ道を足を引きずりながら引き返した。ちょっとアップダウンのある踏み跡だから、時々変な格好で足首をかばったりしながら。

 駐車場の手前の舗装路を足を引きずりながら歩いていたら、後ろから追いついてきた人が、山の中を歩いてきたのかと聞いてきた。相棒も、以前の後遺症が未だ残っているようで、少し足を引きずるような歩き方をしていたから、やっぱり年寄りが分をわきまえずに頑張ってしまった姿に見えたのだろう。

 何時ものように芸術の森公園のトイレにより、何時もの食事所に寄ったのだが、何時ものところは準備中だった。やっぱり何時ものところはまだ普通の営業には戻っていなかったのだろうか。

 幸い、自動車の運転は出来る。来た道をそのまま引き返した。

 つくば牛久を6時ちょっと前に下りたから、通勤割引が適用されて、通行料金が1100円のところ600円になった。

 なんとなく落ち込み気味だったから、夕食くらいは豪勢にと相棒も言ってくれたのだが、結局はいつも寄る牛丼屋に落ち着いてしまった。

 やっぱり貧乏性は抜けないものだなぁ。


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作成年月日 平成18年 3月19日
作 成 者 本庄 章